カナダグランプリ
ジル・ヴィルヌーヴ・サーキット | |
![]() | |
レース情報 | |
---|---|
周回 | 70 |
コース長 | 4.361 km (2.709 mi) |
レース長 | 305.270 km (189.694 mi) |
開催回数 | 58 |
初回 | 1961年 |
最多勝利 (ドライバー) |
![]() ![]() |
最多勝利 (コンストラクター) |
![]() |
最新開催(2023年): | |
ポールポジション |
![]() レッドブル-ホンダ・RBPT 1:25.858[注 1] |
決勝順位 |
1. ![]() レッドブル-ホンダ・RBPT 1:33:58.348 2. ![]() アストンマーティン・アラムコ-メルセデス +9.570s 3. ![]() メルセデス +14.168s |
ファステストラップ |
![]() レッドブル-ホンダ・RBPT 1:14.481 |
カナダグランプリ(カナダGP, 英: Canadian Grand Prix, 仏: Grand Prix du Canada)は、カナダで1967年以降断続的に行われているF1世界選手権レースのひとつ。
概要[編集]
1961年に国内スポーツカー選手権として開催されたのが始まりで、1967年からF1世界選手権の一戦となった。1970年まではモスポート・パークとモントランブランで交互に行われていたが、1971年から1977年まではモスポート・パークでのみ開催された。1975年は開催されていない。オンタリオ湖近くにあるモスポート・パークは1961年にオープンしてF1でも利用されたが、安全性が低いという判断がされたこともあり、近年では大きなレースではあまり利用されていない。1964年にオープンしたモントランブランはケベック州のモントリオール北方150kmにあるサーキットで、コース幅が狭く曲がりくねっていることから追い抜きは難しい上、コースの狭さとバンピーな路面で、2回限りでF1は開催されなくなった。
1978年以降はモントリオールにあるジル・ヴィルヌーヴ・サーキットで行われている。このサーキットはセント・ローレンス川に浮かぶ人工島であるノートルダム島内に作られたものである。このノートルダム島は1967年にはモントリオール万国博覧会の会場、1976年にはモントリオールオリンピック会場となっていたことでも有名である。当時カナダの国民的英雄であったジル・ヴィルヌーヴが1982年のベルギーGP予選で事故死したことを悼み、同年に「サーキット・イル・ノートルダム」から改称されたもので、コース上には彼を讃えるメッセージがされている。コースのレイアウトは最近までは数年毎に細かい改修が行われていたが、基本的なコース特性は変わっておらず、高速サーキットである。現在のコースレイアウトになったのは、1996年からである。
当初はF1レースを行うにはいささか肌寒いシーズン終盤に日程が組まれていたが、1982年からは春から初夏にかけて行われるようになった。輸送の都合上2004年から2007年まではアメリカグランプリと2週連戦が組まれており、ヨーロッパスタイルとは毛色の違うサーキットで行われるシリーズとなっていたが、2009年は開催されず長いヨーロッパラウンドが続く事になった。2010年のF1世界選手権で2年ぶりに復活した。
2017年3月、開催契約を2029年まで延長したことを発表した[1]。
主な出来事[編集]

- 1970年 - ティレルがオリジナルマシンの001を登場させ、コンストラクターとしての第一歩を記した。
- 1977年 - この年カナダ国籍チームとして参戦したウルフが母国GPで優勝。
- 1978年 - フェラーリのジル・ヴィルヌーヴが母国GPでF1初優勝を達成。表彰式ではカナダのピエール・トルドー首相から祝福された。
- 1980年 - チャンピオンを争うアラン・ジョーンズ(ウィリアムズ)とネルソン・ピケ(ブラバム)がスタート直後に接触。赤旗再スタート後にピケがリタイアし、ジョーンズがチャンピオンを獲得した。
- 1982年 - スタートでエンストしたディディエ・ピローニのマシンに追突したリカルド・パレッティが死亡。
- 1989年 - トップを独走していたアイルトン・セナが優勝目前でリタイアし、ティエリー・ブーツェンが初優勝。95戦目という当時最も遅いF1初優勝記録となった。
- 1991年 - ナイジェル・マンセルが優勝に向けてクルージングしていた最終ラップに突然ストップ。ピケがF1での最後の勝利を得た[2]。
- 1995年 - トップを独走していたミハエル・シューマッハが電気系トラブルでスローダウン。フェラーリのジャン・アレジが91戦目でF1初優勝を果たす。
- 2001年 - ラルフ・シューマッハが兄ミハエルとの接戦を制して優勝。F1史上初の兄弟ワンツーフィニッシュを飾る(兄弟揃っての表彰台も史上初)。
- 2007年 - ルーキーのルイス・ハミルトンがデビュー6戦目で初優勝。スーパーアグリの佐藤琢磨が前年度チャンピオンのフェルナンド・アロンソをオーバーテイクして6位に入賞。ロバート・クビサがヘアピンで大クラッシュを喫するが軽症で助かった。
- 2008年 - ピットロード出口で赤信号で停車していたキミ・ライコネンにハミルトンが追突(両者リタイア)。荒れたレースをクビサが制し、ポーランド人ドライバーとしてF1初優勝。BMWザウバーにとってもチーム初勝利となった。
- 2011年 - 大雨のため赤旗中断。再開後にコンディションが回復すると、一時最下位に落ちていたジェンソン・バトンが驚異的な挽回をみせ、最終ラップにハーフスピンしたセバスチャン・ベッテルをかわして優勝した。2時間の中断を含め、レース終了まで4時間を要した。
- 2013年 - 車両撤去作業中のコースマーシャルがクレーン車に轢かれて死亡した。
- 2014年 - シーズンを支配したメルセデスの2台に相次いでトラブルが発生し、レッドブルのダニエル・リチャルドが残り2周でトップのニコ・ロズベルグを抜き去り初優勝した。
- 2018年 - セバスチャン・ベッテルが1度もトップを譲らず、ポール・トゥ・ウィンで通算50勝目を飾った。レースは70周で行われる予定であったが、チェッカーフラッグを振る役割を任されたモデルのウィニー・ハーロウが1周早くチェッカーフラッグが振られるハプニングがあり、規則に従い、68周で終了した。
- 2020年 - 新型コロナウイルス感染症の世界的流行のため開催中止[3]。
- 2021年 - 新型コロナウイルス感染症の世界的流行のため2年連続で開催中止。
過去の結果と開催サーキット[編集]




F1世界選手権として開催された1967年以降の結果について記載する。
年 | 決勝日 | ラウンド | サーキット | 勝者 | コンストラクター | 結果 |
---|---|---|---|---|---|---|
1967 | 8月27日 | 8 | モスポートパーク | ![]() |
ブラバム-レプコ | 詳細 |
1968 | 9月22日 | 10 | モントランブラン | ![]() |
マクラーレン-フォード | 詳細 |
1969 | 9月21日 | 9 | モスポートパーク | ![]() |
ブラバム-フォード | 詳細 |
1970 | 9月20日 | 11 | モントランブラン | ![]() |
フェラーリ | 詳細 |
1971 | 9月19日 | 10 | モスポートパーク | ![]() |
ティレル-フォード | 詳細 |
1972 | 9月24日 | 11 | モスポートパーク | ![]() |
ティレル-フォード | 詳細 |
1973 | 9月23日 | 14 | モスポートパーク | ![]() |
マクラーレン-フォード | 詳細 |
1974 | 9月22日 | 14 | モスポートパーク | ![]() |
マクラーレン-フォード | 詳細 |
1975 | 開催されず | |||||
1976 | 10月 | 3日14 | モスポートパーク | ![]() |
マクラーレン-フォード | 詳細 |
1977 | 10月 | 9日16 | モスポートパーク | ![]() |
ウルフ-フォード | 詳細 |
1978 | 10月 | 8日16 | モントリオール | ![]() |
フェラーリ | 詳細 |
1979 | 9月30日 | 14 | モントリオール | ![]() |
ウィリアムズ-フォード | 詳細 |
1980 | 9月28日 | 13 | モントリオール | ![]() |
ウィリアムズ-フォード | 詳細 |
1981 | 9月27日 | 14 | モントリオール | ![]() |
リジェ-マトラ | 詳細 |
1982 | 6月13日 | 8 | モントリオール | ![]() |
ブラバム-BMW | 詳細 |
1983 | 6月12日 | 8 | モントリオール | ![]() |
フェラーリ | 詳細 |
1984 | 6月17日 | 7 | モントリオール | ![]() |
ブラバム-BMW | 詳細 |
1985 | 6月16日 | 5 | モントリオール | ![]() |
フェラーリ | 詳細 |
1986 | 6月15日 | 6 | モントリオール | ![]() |
ウィリアムズ-ホンダ | 詳細 |
1987 | 開催されず | |||||
1988 | 6月12日 | 5 | モントリオール | ![]() |
マクラーレン-ホンダ | 詳細 |
1989 | 6月18日 | 6 | モントリオール | ![]() |
ウィリアムズ-ルノー | 詳細 |
1990 | 6月10日 | 5 | モントリオール | ![]() |
マクラーレン-ホンダ | 詳細 |
1991 | 6月 2日 | 5 | モントリオール | ![]() |
ベネトン-フォード | 詳細 |
1992 | 6月14日 | 7 | モントリオール | ![]() |
マクラーレン-ホンダ | 詳細 |
1993 | 6月13日 | 7 | モントリオール | ![]() |
ウィリアムズ-ルノー | 詳細 |
1994 | 6月12日 | 6 | モントリオール | ![]() |
ベネトン-フォード | 詳細 |
1995 | 6月11日 | 6 | モントリオール | ![]() |
フェラーリ | 詳細 |
1996 | 6月16日 | 8 | モントリオール | ![]() |
ウィリアムズ-ルノー | 詳細 |
1997 | 6月15日 | 7 | モントリオール | ![]() |
フェラーリ | 詳細 |
1998 | 6月 7日 | 7 | モントリオール | ![]() |
フェラーリ | 詳細 |
1999 | 6月13日 | 6 | モントリオール | ![]() |
マクラーレン-メルセデス | 詳細 |
2000 | 6月18日 | 8 | モントリオール | ![]() |
フェラーリ | 詳細 |
2001 | 6月10日 | 8 | モントリオール | ![]() |
ウィリアムズ-BMW | 詳細 |
2002 | 6月 9日 | 8 | モントリオール | ![]() |
フェラーリ | 詳細 |
2003 | 6月15日 | 8 | モントリオール | ![]() |
フェラーリ | 詳細 |
2004 | 6月13日 | 8 | モントリオール | ![]() |
フェラーリ | 詳細 |
2005 | 6月12日 | 8 | モントリオール | ![]() |
マクラーレン-メルセデス | 詳細 |
2006 | 6月25日 | 9 | モントリオール | ![]() |
ルノー | 詳細 |
2007 | 6月10日 | 6 | モントリオール | ![]() |
マクラーレン-メルセデス | 詳細 |
2008 | 6月 8日 | 7 | モントリオール | ![]() |
BMWザウバー | 詳細 |
2009 | 開催されず | |||||
2010 | 6月13日 | 8 | モントリオール | ![]() |
マクラーレン-メルセデス | 詳細 |
2011 | 6月12日 | 7 | モントリオール | ![]() |
マクラーレン-メルセデス | 詳細 |
2012 | 6月10日 | 7 | モントリオール | ![]() |
マクラーレン-メルセデス | 詳細 |
2013 | 6月 9日 | 7 | モントリオール | ![]() |
レッドブル-ルノー | 詳細 |
2014 | 6月 8日 | 7 | モントリオール | ![]() |
レッドブル-ルノー | 詳細 |
2015 | 6月 7日 | 7 | モントリオール | ![]() |
メルセデス | 詳細 |
2016 | 6月12日 | 7 | モントリオール | ![]() |
メルセデス | 詳細 |
2017 | 6月11日 | 7 | モントリオール | ![]() |
メルセデス | 詳細 |
2018 | 6月10日 | 7 | モントリオール | ![]() |
フェラーリ | 詳細 |
2019 | 6月 9日 | 7 | モントリオール | ![]() |
メルセデス | 詳細 |
2020 | 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により中止 | |||||
2021 | ||||||
2022 | 6月19日 | 9 | モントリオール | ![]() |
レッドブル-RBPT | 詳細 |
2023 | 6月18日 | 9 | モントリオール | ![]() |
レッドブル-ホンダ・RBPT | 詳細 |
優勝回数(ドライバー)[編集]
(2勝以上)
回数 | ドライバー | 優勝年 |
---|---|---|
7 | ![]() |
1994, 1997, 1998, 2000, 2002, 2003, 2004 |
![]() |
2007, 2010, 2012, 2015, 2016, 2017, 2019 | |
3 | ![]() |
1982, 1984, 1991 |
2 | ![]() |
1963, 1964 |
![]() |
1969, 1970 | |
![]() |
1971, 1972 | |
![]() |
1979, 1980 | |
![]() |
1988, 1990 | |
![]() |
2013, 2018 | |
![]() |
2022, 2023 |
- 太字は2023年のF1世界選手権に参戦中のドライバー。
- ピンク地はF1世界選手権以外で開催された年。
優勝回数(コンストラクター)[編集]
(2勝以上)
回数 | コンストラクター | 優勝年 |
---|---|---|
14 | ![]() |
1963, 1964, 1970, 1978, 1983, 1985, 1995, 1997, 1998, 2000, 2002, 2003, 2004, 2018 |
13 | ![]() |
1968, 1973, 1974, 1976, 1988, 1990, 1992, 1999, 2005, 2007, 2010, 2011, 2012 |
7 | ![]() |
1979, 1980, 1986, 1989, 1993, 1996, 2001 |
4 | ![]() |
1967, 1969, 1982, 1984 |
![]() |
2015, 2016, 2017, 2019 | |
![]() |
2013, 2014, 2022, 2023 | |
2 | ![]() |
1961, 1962 |
![]() |
1971, 1972 | |
![]() |
1991, 1994 |
- 太字は2023年のF1世界選手権に参戦中のコンストラクター。
- ピンク地はF1世界選手権以外で開催された年。
- * 1986-1995年はイギリス国籍、1996-2001年はイタリア国籍。
優勝回数(エンジン)[編集]
(2勝以上)
回数 | メーカー | 優勝年 |
---|---|---|
14 | ![]() |
1963, 1964, 1970, 1978, 1983, 1985, 1995, 1997, 1998, 2000, 2002, 2003, 2004, 2018 |
12 | ![]() |
1968, 1969, 1971, 1972, 1973, 1974, 1976, 1977, 1979, 1980, 1991, 1994 |
10 | ![]() |
1999, 2005, 2007, 2010, 2011, 2012, 2015, 2016, 2017, 2019 |
6 | ![]() |
1989, 1993, 1996, 2006, 2013, 2014 |
4 | ![]() |
1986, 1988, 1990, 1992 |
![]() |
1982, 1984, 2001, 2008 | |
2 | ![]() |
1961, 1962 |
![]() |
1965, 1966 | |
![]() |
2022, 2023 |
- 太字は2023年のF1世界選手権に参戦中のメーカー。
- ピンク地はF1世界選手権以外で開催された年。
- * コスワースが製造。
- ** 1999-2005年はイルモアが製造。
- *** ホンダ・レーシング(HRC)が製造するRBPT及びホンダ・RBPTと記録は別扱い。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ^ ウエットコンディションで実施。 “雨が降ろうがお構いなし。フェルスタッペンがポールポジション! ヒュルケンベルグ、運も味方にフロントロウ|F1カナダGP予選”. motorsport.com (2023年6月18日). 2023年6月19日閲覧。
出典[編集]
- ^ “【F1】カナダGP、F1開催契約を2029年まで延長”. motorsport.com (2017年3月3日). 2020年7月26日閲覧。
- ^ “Mansell's Last Lap Heartache | 1991 Canadian Grand Prix”. FORMULA 1 2019-06-06. 2021年7月29日閲覧。
- ^ “F1、南北アメリカ大陸での今季レース開催を断念”. ESPN F1 (2020年7月25日). 2020年7月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月26日閲覧。