アストンマーティンF1
エントリー名 |
アストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラワンチーム![]() |
---|---|
チーム国籍 |
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チーム本拠地 |
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チーム代表者 |
|
テクニカルディレクター | ダン・ファローズ |
2023年のF1世界選手権 | |
ドライバー |
|
テストドライバー |
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シャーシ | AMR23 |
エンジン | メルセデス M14 E Performance |
タイヤ | ピレリ |
F1世界選手権におけるチーム履歴 | |
参戦年度 |
|
出走回数 | 50(49スタート) |
コンストラクターズ タイトル | 0 |
ドライバーズ タイトル | 0 |
優勝回数 | 0 |
通算獲得ポイント | 132 |
表彰台(3位以内)回数 | 1 |
ポールポジション | 0 |
ファステストラップ | 0 |
F1デビュー戦 | 1959年オランダGP |
2022年順位 | 7位(55ポイント) |
(記録は2022年最終戦アブダビGP終了時) |
アストンマーティンF1(Aston Martin Formula One)は、イギリスの自動車メーカー「アストンマーティン」の名を冠したF1のコンストラクター。
1959年から1960年にかけてF1世界選手権に参戦。2021年に前身レーシング・ポイントから改称し、61年ぶりにブランド名が復活した[1]。所有および運営は、AMR GP Ltd.。エントリー名は、アストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラワンチーム(Aston Martin Aramco Cognizant Formula One Team)。
概要[編集]
イギリスの自動車メーカー「アストンマーティン・ラゴンダ」社は、元々はカーレースに参戦するための工房から発展した背景を持ち、戦前の早い段階からモータースポーツに携わってきた歴史がある[2]。
第二次世界大戦後、同社がイギリスの実業家一族デイヴィッド・ブラウン・コーポレーション(アストンマーティンとラゴンダを統合した創業者)の傘下だった時代にスポーツカーレースで成功を収め、1959年にはル・マン24時間レースを初制覇し、同年のスポーツカー世界選手権のマニュファクチャラータイトルを獲得した。それと並行してフォーミュラカーのF1世界選手権に参戦したが、2年間でわずか6戦の参加にとどまった[3]。
2000年代以降、アストンマーティンはプロドライブと提携し、スポーツプロトタイプやGTレースで活躍してきた。
F1に関してはアンディ・パーマーCEO時代の2018年よりレッドブル・レーシングのタイトルスポンサーとなり、ハイパーカーのアストンマーティン・ヴァルキリーを共同開発するなど関係を深めてきた。ヴァルキリーのレース仕様車でFIA 世界耐久選手権 LMH(ル・マン・ハイパーカー)クラスに参戦し、ル・マン総合優勝を狙う計画も発表された[4]。
2018年10月、アストンマーティンはロンドン証券取引所に株式上場するも、株価低迷が続き経営状態が悪化[5]。2020年1月、トミーヒルフィガーなどのファッションブランドを保有するカナダの大富豪、ローレンス・ストロールが率いる投資家グループがアストンマーティンの大株主となり[6]、ストロールはアストンマーティン・ラゴンダ社の会長に就任した。ストロール会長は息子のランス・ストロールが所属するF1チーム「レーシング・ポイント」のオーナーでもあり、2021年シーズンより所有するレーシング・ポイントをアストンマーティンのワークスチームに改変し、リニューアル参戦することを表明[7]。F1コンストラクターとしてのアストンマーティンが、61年ぶりに復活することになった。
これに伴い、2020年限りでレッドブルとのタイトルスポンサー契約を終了し、共同開発していた車種アストンマーティン・ヴァルキリーのLMH計画も延期[8]。レーシング・ポイントの運営会社レーシングポイントUKリミテッドも、「AMR GPリミテッド」に社名を変更した[9]。
ローレンス・ストロールはファクトリーにも巨額の投資を行っている。ストロールが取得した時点で、シルバーストーンに所在するチームのファクトリーはジョーダン時代の1991年に建設されたものが拡張されながら使われていたが、既に古く手狭なものとなっていた[10]。そこでストロールは、2021年に従来のファクトリーの隣接地に30エーカー(約121,000 ㎡)の広大な土地を確保し、およそ2億ポンド(330億円)と言われる巨費を投じ、近代的な新ファクトリーを建設中である(2023年から2025年にかけて段階的に完成の予定)[11]。車両の空力開発に不可欠な風洞施設も、それまでブラックリーのメルセデスファクトリーの施設を借りて使用していたが、ストロールの投資により、自前の風洞が建設されることになった[12]。
シーズン[編集]
デイヴィッド・ブラウン・コーポレーション時代[編集]
1959年[編集]
オランダグランプリにてロイ・サルヴァドーリ、キャロル・シェルビーの布陣でデビュー。デビューマシンであるDBR4は、オランダグランプリでは2台ともエンジンブローでリタイアしてしまったものの、その後のレースではサルヴァドーリが2回の6位、シェルビーが8位、10位をシーズン中に獲得した。
1960年[編集]
オランダグランプリのみにDBR4を投入し、イギリスGPから新マシンであるDBR5を投入。しかし、当時のF1はクーパーに象徴されるミッドシップマシンへの転換期にあり、伝統的なフロントエンジンマシンは時代遅れになろうとしていた。結果はサルヴァドーリがリタイア、シェルビーに変わって参戦したモーリス・トランティニアンが11位で完走するも、このレースの勝者であるクーパーのマシンを駆るジャック・ブラバムから5周遅れという惨憺たる結果となってしまった。
このレースをもってアストンマーティンはスポーツカーレースに集中するべくF1を撤退した。
AMR GP時代[編集]
2021年[編集]
タイトルスポンサーとしてコグニザント(Cognizant)と契約[13][14]。「アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム」として参戦。ドライバーは残留するランス・ストロールと、スクーデリア・フェラーリから移籍するセバスチャン・ベッテル[14]。
ベッテルは開幕4戦をノーポイントで終えるも、アゼルバイジャングランプリでは予選11番手に終わったものの、決勝でのレース戦略功を奏して2位でチェッカーを受け、チームに初の表彰台をもたらした[15]。ストロールもコンスタントにポイントを稼ぐなどの活躍を見せた。
2022年[編集]
ドライバーは前年に引き続きベッテルとストロール。2022年型マシンのAMR22は、シーズン開幕当初こそ独特のサイドポッドの処理を行っていたものの、シーズン半ばにはレッドブル・RB18風のサイドポッドを導入し、マシンのカラーリングに引っ掛けて一部では「グリーンブル」などと呼ばれた[16]。
ハンガリーGPを前にした7月28日にベッテルが同年限りでF1を引退することを発表[17]、後任としてアルピーヌF1からフェルナンド・アロンソが移籍することを発表した[18]。
2023年[編集]
ドライバーはストロールとアルピーヌF1から移籍したアロンソ。2023年型マシンのAMR23は、2022年4月に加入したダン・ファロウズが携わり、AMR22と比べ95%が新しくなったと語っていた[19]。プレシーズンテストの初日午前のセッションこそ電気系のトラブルが発生したものの、午後のセッションではアロンソが2番手タイムを記録[20]、2日目もアロンソが3番手タイムを記録するなどのパフォーマンスの高さを見せ[21]、ライバルから警戒される存在となった[19]。
開幕戦のバーレーンGPでは、スタート直後にアロンソとストロールが接触したものの、互いにダメージはなかった。アロンソは接触により順位は落としたが、残り10周で3番手のカルロス・サインツをかわし、3位でチェッカーを受けた。アロンソがバーレーンで表彰台に上がったのは2010年以来となった[22]。
5月24日、2026年から新レギュレーションに基づくパワーユニットをホンダから供給されることを発表した[23]。2023年現在はメルセデスからリヤサスペンションやギアボックスの供給を受けているが、2026年以降は内製するとマーティン・ウィットマーシュは発言している[24]。
車両ギャラリー[編集]
パワーユニット型(2021年)
グラウンドエフェクト型(2022年 - )
AMR22 メルセデス
戦績[編集]
年 | シャシー | エンジン | タイヤ | ドライバー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | ポイント | ランキング |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1959年 | DBR4 | アストンマーティン RB6
2.5L L6 |
A | MON | 500 | NED | FRA | GBR | GER | POR | ITA | USA | 0 | NC | ||
![]() |
Ret | 6 | 6 | Ret | ||||||||||||
![]() |
Ret | Ret | 8 | 10 | ||||||||||||
1960年 | DBR4 DBR5 |
アストンマーティン RB6
2.5L L6 |
D | ARG | MON | 500 | NED | BEL | FRA | GBR | POR | ITA | USA | 0 | NC | |
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DNS | Ret | ||||||||||||||
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11 |
年 | シャシー | エンジン | タイヤ | No. | ドライバー | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | ポイント | ランキング |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2021年 | AMR21 | メルセデス M12 E Performance 1.6L V6ターボ | P | BHR | EMI | POR | ESP | MON | AZE | FRA | STY | AUT | GBR | HUN | BEL | NED | ITA | RUS | TUR | USA | MEX | SÃO | QAT | SAU | ABU | 77 | 7位 | ||
18 | ![]() |
10 | 8 | 15 | 11 | 8 | Ret | 10 | 8 | 13 | 8 | Ret | 20 | 12 | 7 | 11 | 9 | 12 | 14 | Ret | 6 | 11 | 13 | ||||||
5 | ![]() |
15 | 15† | 13 | 13 | 5 | 2 | 9 | 12 | 17† | Ret | DSQ | 5 | 13 | 12 | 12 | 18 | 10 | 7 | 11 | 10 | Ret | 11 | ||||||
2022年 | AMR22 | メルセデス M13 E Performance 1.6L V6ターボ | P | BHR | SAU | AUS | EMI | MIA | ESP | MON | AZE | CAN | GBR | AUT | FRA | HUN | BEL | NED | ITA | SIN | JPN | USA | MEX | SÃO | ABU | 55 | 7 | ||
18 | ![]() |
12 | 13 | 15 | 10 | 10 | 15 | 14 | 16† | 10 | 11 | 13 | 10 | 11 | 11 | 10 | Ret | 6 | 12 | Ret | 15 | 10 | 8 | ||||||
13 | ![]() |
13 | 8 | 17† | 11 | 10 | 6 | 12 | 9 | 17 | 11 | 10 | 8 | 14 | Ret | 8 | 6 | 8 | 14 | 11 | 10 | ||||||||
36 | ![]() |
17 | 12 |
関連項目[編集]
脚注[編集]
出典[編集]
- ^ AT&A, AKAI Taro /. “アストンマーチンF1チームとは? | F1用語集 | Formula1-Data”. F1ニュース速報/解説【Formula1-Data】. 2021年1月21日閲覧。
- ^ “アストンマーチンに惚れたが”. カー&レジャーニュース (2020年3月22日). 2021年2月2日閲覧。
- ^ “様々なドラマがあった!アストンマーティンのレーシング・ヒストリー”. Octane Japan (2020年12月16日). 2021年2月2日閲覧。
- ^ “【WEC2020】アストンマーティン 「ヴァルキリー」ハイパーカーで2021年ル・マン24時間レース優勝狙う”. AUTO PROVE. (2019年7月21日) 2021年2月6日閲覧。
- ^ “【まだ出口は見えず?】アストン マーティンの苦境は続く 注視が必要”. AUTOCAR (2020年3月30日). 2021年2月6日閲覧。
- ^ “ストロール父がアストンマーチン大株主に。レーシングポイントの名称も変更へ”. motorsport.com (2020年1月31日). 2021年2月2日閲覧。
- ^ 株式会社インプレス (2021年1月1日). “アストンマーティン、F1 2021年シーズンからマニュファクチャラーとして参戦”. Car Watch. 2021年1月21日閲覧。
- ^ “WEC:アストンマーティンが2020/21年の参戦延期を正式発表。ハイパーカーを再評価へ”. autosport web. 2020年2月19日閲覧。
- ^ “2020年 - 2021年F1エントリーリスト”. FIA.com (2021年1月8日). 2021年2月9日閲覧。
- ^ “アストンマーチン、建設中の新ファクトリーが完成すれば”ゲームチェンジャー”になる? チーム代表「施設が分散していると、意思疎通に衝撃が生じるものだ」”. Motorsport.com. 2023年1月5日閲覧。
- ^ “特集|目指すはF1の頂点。アストンマーチンが新設する”330億円の”ファクトリーへ潜入……その本気度が見えてきた”. Motorsport.com. 2022年12月1日閲覧。
- ^ “アストンマーチンの新ファクトリー、準備着々。一部は今月末には稼働「みなさんが思う以上に大きな違いを生む」”. Motorsport.com. 2023年5月22日閲覧。
- ^ AT&A, AKAI Taro /. “アストンマーチンF1、コグニザントとの冠スポンサー契約を発表…新VIもお披露目”. F1ニュース速報/解説【Formula1-Data】. 2021年1月21日閲覧。
- ^ a b “2020 & 2021 FIA Formula One World Championship Entry List” (英語). Federation Internationale de l'Automobile (2015年3月14日). 2021年1月14日閲覧。
- ^ “セバスチャン・ベッテル、アストンマーチンにF1初表彰台を献上「天にも昇る心地だ!」”. formula1-data.com. 2021年6月7日閲覧。
- ^ “グリーン・レッドブル”と呼ばれるアストンマーティンAMR22。FIAは合法と明言も、レッドブルは知的財産流出を疑う - オートスポーツ・2022年5月21日
- ^ “4度のF1チャンピオン、セバスチャン・ベッテルが2022年末での引退を発表。チームは契約延長を希望も本人の意思を尊重”. auto sport Web (2022年7月28日). 2023年5月24日閲覧。
- ^ “アストンマーティンF1、2023年シーズンからのフェルナンド・アロンソ加入を正式発表。契約は複数年”. auto sport Web (2022年8月1日). 2023年5月24日閲覧。
- ^ a b “大注目のアストンマーチン、新車AMR23の“アグレッシブな”開発目標は「ほぼ達成」と開発者が自信滲ませる”. jp.motorsport.com (2023年3月5日). 2023年5月24日閲覧。
- ^ “F1プレシーズンテスト初日は赤旗1回。王者フェルスタッペンが好発進、0.029秒差にアロンソ、角田は15番手”. auto sport Web (2023年2月24日). 2023年5月24日閲覧。
- ^ “【F1バーレーンテスト2日目タイム結果】ソフトを履いた周冠宇がトップで終了。フェルスタッペン2番手、アロンソ3番手”. auto sport Web (2023年2月25日). 2023年5月24日閲覧。
- ^ “自身に追突した僚友ストロールを「ヒーロー」と称したフェルナンド・アロンソ”. Fomula1-Data (2023年3月6日). 2023年5月24日閲覧。
- ^ “ホンダ、2026年からのF1復帰を発表。アストンマーティンにパワーユニットを供給へ”. auto sport Web (2023年5月24日). 2023年5月24日閲覧。
- ^ “アストンマーチンF1ウィットマーシュCEO、ホンダとの提携について語る「日本のみなさん。2026年よりも前から、我々に声援を!」”. jp.motorsport.com (2023年5月24日). 2023年5月25日閲覧。
外部リンク[編集]
- 公式ウェブサイト
- アストンマーティンF1 (@AstonMartinF1) - Twitter
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