アウディ・R8 (市販車)

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アウディ・R8
2015 Audi R8 Coupé 5.2 FSI quattro (19409896583).jpg
概要
製造会社 Audi Sport logo.svg Audi Sport[1]
(Audi logo detail.svgアウディの子会社)
製造期間 2006年–
ボディ
クラス スポーツカー
ボディタイプ 2ドア クーペ
2ドア ロードスター
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アウディ・R8は、ドイツの自動車メーカーアウディが製造・販売するクーペ型のスポーツカーである。ランボルギーニ・ガヤルドランボルギーニ・ウラカンはメインフレームやエンジンブロックなどのベース部品を共有する事実上の兄弟車(前者は初代、後者は2代目)である。 自動車メーカーアウディが製造している自動車の中では最も値段が高い。

初代Audi R8 4.2(2006年-2016年)[編集]

アウディ・R8
Audi R8 V10 – Frontansicht, 13. März 2011, Wuppertal.jpg
後期型 フロント
Audi R8 V10 – Heckansicht, 13. März 2011, Wuppertal.jpg
後期型 リア
Audi R8 (8667632755) (cropped).jpg
後期型 フロント
概要
製造国 ドイツの旗 ドイツ
販売期間 2006年 - 2016年
ボディ
ボディタイプ 2ドア クーペ
駆動方式 ミッドシップ フルタイム4WD
パワートレイン
エンジン 4.2L V8 DOHC FSI直噴
420馬力/43.9kg・m
5.2FSI:5.2L V10 DOHC FSI直噴
525馬力
GT:5.2L V10 DOHC FSI直噴
560馬力
変速機

2007年07月-2013年02月
6速Rトロニック/6速MT
2013年03月-

7速Sトロニック/6速MT
サスペンション
ダブルウィッシュボーン
車両寸法
ホイールベース 2,650mm
全長 4,431mm
全幅 1,907mm
全高 1,249mm
車両重量 1,565kg
その他
タイヤサイズ F:235/35ZR19
R:295/30ZR19
ハンドルの位置 左/右
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2003年フランクフルトモーターショーで発表されたコンセプトカー「アウディ・ルマン・クワトロ」をベースにしたスポーツカー。

ボディにはASF(アウディ・スペース・フレーム)を採用し、ボディのみで210kgと軽量である。また、エンジンフレームの一部にASFとしては初めてマグネシウムを採用している。ボディはほとんど手作業で作られ、さらにX線ミクロン単位まで溶接部をチェックするなど、細部にわたってこだわっている。ランボルギーニ・ガヤルドはメインフレームやエンジンブロックなどのベース部品を共有する事実上の兄弟車である。

エンジンは、4.2L FSI 直噴 V8 DOHCを搭載。最高出力420ps/7,800rpmを発生する。またエンジン潤滑はドライサンプ方式で、エンジン搭載位置を下げることで低重心化に貢献している。

トランスミッションは6速Rトロニックを採用。これは、メカニカルギアボックスと電動油圧クラッチを組み合わせたもので、ATモードとMTモードが選択できる。

サスペンションは前後ともダブルウィッシュボーンで、標準搭載のガス封入式ショックアブソーバーと、アウディ マグネティック ライドをオプションで選択可能。ショックアブソーバーに磁性体を含んだフルードを封入しており、磁力でフルードをコントロールすることで素早く繊細なサスペンション制御を可能にし、ダンピング特性が異なる「スポーツ」と「ノーマル」の基本モードを用意して、日常の走行からスポーツドライビングまで広くサポートする。

ドイツ・ネッカーズルムのネッカーズルム工場で1日20台ペースで生産される。

先に本国ドイツやヨーロッパで発売され、日本でも2007年7月から価格1,670万円で発売[2]。日本では当初、左ハンドル/4.2リットルV8FSI/6速Rトロニックの仕様のみが発売されたが、2009年2月17日より6速MT仕様を追加[3]。なおR8の販売は日本国内のアウディ正規ディーラーの中でもごく一部の店舗の限定となっている。

2009年1月に開催されたデトロイトショー2009では、『5.2FSIクワトロ』を発表[4]。同モデルは最高出力525ps/8,000rpmを発生する高回転型5.2L V10エンジンを搭載した他、フロントグリルのクローム処理やフロントエアインテークの大型化など、外観にも変更が施されている。価格は1,994万円で、同年4月より予約受付を開始[5]

2010年10月6日に5.2FSIクワトロをベースとしたオープンモデル『スパイダー5.2FSIクワトロ』が発売[6]。価格は2194万円。

当初、R8の右ハンドル車はスパイダーのみだったが、2010年10月26日にクーペモデルの一部改良により、こちらも右ハンドル車が追加されたために以降では左右どちらのハンドルも選択できるようになった。

2012年3月には軽量化とエンジンチューンを施した『GTスパイダー』を全世界333台限定で発売。日本向けは10台。価格は3,064万円。

2013年3月、新型トランスミッションを搭載した2013年モデルを発表[7]。7速デュアル・クラッチ・トランスミッション「Sトロニック」を搭載し、0-100km/hを3.6秒にまで縮めるという進化をもたらした。フェイスリフトも行われている。価格は4.2L V8モデルが1799万円、5.2L V10モデルが2119万円、5.2L V10 Spyderが2339万円。

バリエーション[編集]

R8 LMS[編集]

R8 LMS

市販車のR8をベースとしたFIA GT3クラスのレーシング仕様。レーシングカーのR8とは異なる。ニュルブルクリンク耐久シリーズや、2011年に日本のスーパー耐久 ST-Xシリーズに参戦[8]。また、SUPER GTのGT300クラスに2012年シーズンからゲイナーおよびaprが2012年モデル・LMSウルトラで、一ツ山レーシングがスーパー耐久やGTアジアILMCなどで使用していたLMSにアップデートキットを組み込み、2台体制で参戦した。

R8 eトロン クワトロ[編集]

R8 e-tron

R8をベースとした電気自動車。53 kWhの容量を持つリチウムイオンバッテリーが採用され、最高出力313 ps、最大トルク500 kgmを発生する。2012年後半の市販化を予定されていたが[9] 販売の中止が決定されている。

市販車モデルは10台が生産され社内テストに供されたが、Audiが考えるよりもバッテリーの進化が遅く十分な性能が発揮できなかった。

2代目Audi R8 4S(2016年-)[編集]

アウディ・R8
2015 Audi R8 Coupé 5.2 FSI quattro (19409896583).jpg
アウディ・R8 V10 plus
2015-03-03 Geneva Motor Show 4115.JPG
2015-03-03 Geneva Motor Show 4119.JPG
R8 LMS
概要
製造国 ドイツの旗 ドイツ
販売期間 2016年3月-
ボディ
乗車定員 2名
ボディタイプ 2ドア クーペ
駆動方式 ミッドシップ フルタイム4WD
パワートレイン
エンジン 5.2L V型10気筒エンジン
最高出力 R8 V10/548ps
R8 V10 plus/619ps
最大トルク R8 V10/55.1kg・m
R8 V10 plus/57.1kg・m
変速機 7速Sトロニック DCT
サスペンション
-
車両寸法
ホイールベース 2,650mm
全長 4,425mm
全幅 1,940mm
全高 1,240mm
車両重量 1,454kg
その他
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R8 スパイダー

エンジンは自然吸気V10、5.2Lエンジンを搭載。また、新たに新世代のアウディ スペース フレーム(ASF)、新開発のquattroフルタイム4輪駆動システムなどを搭載した。前型に用意されていたV8エンジンは廃止されたが、アウディによると検討はされているとのこと。日本には最高出力540PSの「R8 V10」と、そのハイパワーバージョンにあたる最高出力610PSの「R8 V10 plus」が導入されている[10]。価格は「R8 V10」が24,560,000円、「R8 V10 plus」が29,060,000円。2017年7月上旬から、オープンモデルの「スパイダー」も発売さた。ランボルギーニ・ウラカンはメインフレームやエンジンブロックなどのベース部品を共有する事実上の兄弟車である。

バリエーション[編集]

R8 LMS[編集]

ベース車両の2代目への移行に伴いR8 LMSも2代目に移行した。

2015年ニュルブルクリンク24時間レースでのデビュー戦においてクラス優勝および総合優勝を遂げている。2019年には発展版であるEVOが投入され、2022年には更なる進化を遂げたEVO2が投入される。

R8 eトロン クワトロ[編集]

R8 e-tron

2015年のジュネーブモーターショーにて発表された後、欧州で同年6月から顧客向けの受注が開始されたが、受注開始から1年以上の間に数十台しか売れておらず、全体で100台未満の販売台数で生産終了となった[11]

R8 RWS[編集]

RWSは「Rear Wheel Series(後輪駆動シリーズ)」の略で、R8史上初にして、現行アウディラインナップ唯一の後輪駆動モデル。クーペとカブリオレの合計で999台の限定生産となる[12][13]

ワンオフモデル[編集]

The Audi R8 Star of Lucis[編集]

下述のKINGSGLAIVE FINAL FANTASY XVにも登場する実車を1台限定・税別5千万15円での販売も行われた[14]

その他[編集]

ナショナルジオグラフィックの「世界の巨大工場 - アウディ」によると、R8は一日20台が生産され、そのほとんどが熟練工により手作業で製造されているという。

マーベル・シネマティック・ユニバースにおいては一部作品においてトニー・スタークの愛車として登場しているが、2008年に公開された『アイアンマン』で初代クーペが登場した際には制作者の予想以上に頑丈であったためラストシーンが一部変更になった。

脚注[編集]

  1. ^ More individuality – quattro GmbH”. アウディ. 2011年7月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年7月24日閲覧。
  2. ^ Audi Japan (2007年7月26日). “新型アウディR8を発表 アウディ初のミッドシップスポーツカー、「アウディR8ディーラー」を通じて販売”. 2009年5月21日閲覧。
  3. ^ Audi Japan (2009年2月17日). “アウディ ジャパン、プレミアムスポーツカー『アウディR8』にマニュアルトランスミッションを追加設定”. 2009年5月21日閲覧。
  4. ^ Audi Japan (2009年1月15日). “デトロイトモーターショーに アウディ スポーツバック コンセプトを出品”. 2009年5月21日閲覧。
  5. ^ Audi Japan (2009年4月21日). “『 アウディR8 5.2 FSI クワトロ 』発表 -待望のV型10気筒 5.2FSIエンジン搭載モデルが登場”. 2009年5月21日閲覧。
  6. ^ Audi Japan (2010年10月6日). “フラッグシップ オープンスポーツカー『アウディ R8 スパイダー』発売”. 2010年10月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年10月23日閲覧。
  7. ^ Audi Japan (2013年3月19日). “2013/03/19 新型Audi R8を発売”. 2013年8月21日閲覧。[リンク切れ]
  8. ^ S耐:Audi R8 LMSがスーパー耐久シリーズ2011に参戦 Archived 2011年1月23日, at the Wayback Machine.、Motorsport Forum
  9. ^ “アウディ R8 ベースのEV、市販決定”. Response.. https://response.jp/article/2010/11/12/147926.html 2011年4月7日閲覧。 
  10. ^ フルモデルチェンジした「新型 アウディ R8」、2016年は限定100台の販売 - Autoblog 日本版(2017年3月12日閲覧)
  11. ^ 高すぎる価格も原因?アウディのEVスーパーカー「R8 e-tron」が生産終了へ。 - Autoblog 日本版(2017年3月12日閲覧)
  12. ^ 初試乗 アウディR8 RWS - AUTOCAR JAPAN(2018.04.16)2018年10月25日閲覧
  13. ^ 999台限定、アウディR8の2WDモデル「RWS」はクワトロと別モノ - carview!(2020.4.11)2020年10月25日閲覧
  14. ^ KINGS GLAIVE FINAL FANTASY XVに登場する新型 Audi R8 「The Audi かR8 Star of Lucis」の一台限定販売が決定! - アウディ ジャパン 2016年11月11日(2016年11月29日閲覧)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]