アウディ・A5

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A5 (Audi A5)は、ドイツの自動車メーカーアウディが製造・販売する中型乗用車アウディ・A4(4代目)のクーペ仕様として、2007年に公開・発売された。ドイツ南部にあるアウディのインゴルシュタットの工場で生産されたモデルの一つである[1]

現行モデルのカブリオレ

初代(2007-2017年)8T/8F系[編集]

アウディ・A5
Audi A5 3.2 FSI Quattro.jpg
クーペ3.2FSIクワトロ
フロント
Audi A5 3.2 FSI Quattro rear.jpg
リア
概要
販売期間 2007年 - 2017年
ボディ
乗車定員 4人
ボディタイプ 2ドア クーペ
2ドア カブリオレ
5ドア ハッチバック
駆動方式 FF/4WD
パワートレイン
エンジン 1.8L 直4 DOHC TFSI 160PS/25.5kgf·m
3.2L V6 DOHC FSI 265PS/33.7kgf·m
2.7L V6 TDI 190PS/40.8kgf·m
3.0L V6 TDI 240PS/51.0kgf·m
4.2L V8 DOHC FSI 354PS/44.9kgf·m
変速機 6速MT、7速DCTCVT
サスペンション
前: 5リンク
後: トライペゾイダル・リンク
車両寸法
ホイールベース 2,751mm
全長 4,625mm
全幅 1,854mm
全高 1,372mm
車両重量 1,535kg
系譜
先代 アウディ・80クーペ
アウディ・A4カブリオレ
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A5 クーペ[編集]

4代目アウディ・A4(B8型)からの派生車種である。アウディ・80をベースとしたアウディ・クーペが絶版となった1996年以降、初めての4シータークーペとして2007年にデビューした。そのスタイリングは2003年ジュネーブショーに出品された「アウディ・ヌヴォラーリ」に近く、そのデザインはイタリア人デザイナー、ワルテル・デ・シルヴァ(Walter de'Silva)[2]、もしくは和田智による作品[3]とされる。

エンジンは、ガソリンエンジンが1.8L直4TFSI 170PSと、3.2L V6FSI 265PSの2種と、ディーゼルエンジンが2.7L V6TDI 190PS、3.0L V6TDI 240PSの2種の計4種。これらのエンジンは従来どおり縦置きに搭載されるが、その位置は3代目アウディ・A4(2007年モデル)に対し約100mm後方に移動され、重量配分の改善が計られている。新たに設計されたプラットフォームは「MDS」と呼ばれ、2007年8月に発表された4代目アウディ・A4と共通である。

トランスミッションは、6速MTと7速SトロニックDCT)、マルチトロニックCVT)が搭載されている。

日本での販売[編集]

  • 2008年2月21日 - 3.2L V6モデルが発売された[4]。販売のターゲットは「年収1,500万円以上の富裕層」であり、年間販売台数の目標は700台であるとされた[5]
  • 2009年4月22日 - 2.0L直噴ターボエンジンと7段Sトロニックが搭載された A5 2.0TFSIクワトロが追加された[6]
  • 2009年8月25日 - 2010年モデルより小型ドアミラーとLEDリアコンビネーションランプが採用された[7]。またアウディサイドアシストがアダプティブクルーズコントロールとのセットオプションで設定された。
  • 2009年12月22日 - HDDナビゲーションシステムが標準装備された[8]
  • 2010年8月18日 - 「2.0TFSIクワトロ」にAPS(アウディパーキングシステム)が標準装備された[9]。また、「3.2FSIクワトロ」が廃止された。
  • 2012年1月11日 - マイナーチェンジモデルを発表[10]。ヘッドライトやテールランプ、シングルフレームグリルのデザインが変更されたほか、新デザインのステアリングホイールが採用された。なお、搭載されるエンジンには変更なし。


A5 カブリオレ[編集]

派生車種として、オープンカーであるA5カブリオレが2009年より追加販売された。アウディ・A4(2代目)カブリオレの後継モデルにあたる。

日本市場へは同年7月13日に発表され、同年8月25日から3.2FSIクワトロが導入された[11]。価格は784万円からであり、販売の約8割が東京という、都市部偏重の需要予想が明らかにされた[12]。前身となるモデルとしてA4カブリオレがあったが、日本ではモデルサイクル途中の2006年から販売中止となっていた。

2010年9月13日、3.2LV6FSIエンジンに代わって、2.0Lガソリン直噴ターボエンジンに7速Sトロニックを組み合わせた「2.0TFSIクワトロ」が設定された[13]

2012年1月11日、A5クーペと同様にマイナーチェンジモデルを発表[10]。ヘッドライトやテールランプ、シングルフレームグリルのデザインが変更されたほか、新デザインのステアリングホイールが採用された。なお、搭載されるエンジンには変更なし。

2013年より、大相撲本場所の優勝パレードカーとして使用される。名古屋場所以外の5つの場所で使用される予定である[14]

2015年からは千葉マリンスタジアム(QVCマリンフィールド)のリリーフカーとしても使われている。

A5 スポーツバック[編集]

ドイツで2009年9月から発売された4ドアクーペ(厳密には5ドアファストバックサルーン)であるA5スポーツバックが、日本においても2010年1月13日より発売が開始された[15]。なお2.0TFSIにSトロニックとクワトロを組み合わせた1グレードでの展開となっている。価格は575万円である。(Sラインの設定あり)

2012年1月11日、A5クーペと同様にマイナーチェンジモデルを発表[10]。ヘッドライトやテールランプ、シングルフレームグリルのデザインが変更されたほか、新デザインのステアリングホイールが採用された。なお、搭載されるエンジンには変更なし。

S5[編集]

欧州向けにA5の高性能モデルである「S5」がA5と同時に発表された。欧州仕様は260kWを発生させるV型8気筒エンジンに6速マニュアルトランスミッションを組み合わせ、0-100km/h加速は5.1秒である[16]

日本での販売[編集]

2008年2月21日、A5と同時に販売開始[4]。354psを発揮する4.2LV型8気筒FSIガソリン直噴DOHCエンジンに6速ティプトロニックオートマチックトランスミッションを組み合わせる。

2010年9月13日、4シーターオープンカーであるA5カブリオレをベースとする「S5カブリオレ」を導入[17]。スーパーチャージャー付3.0LV型6気筒直噴ガソリンエンジン「3.0TFSI」に7速Sトロニックを組み合わせた。

2012年1月11日、「S5 クーペ」「S5 カブリオレ」共にマイナーチェンジモデルを発表[10]。ヘッドライトやテールランプ、シングルフレームグリルのデザインが変更されたほか、新デザインのステアリングホイールが採用された。なお、搭載されるエンジンには変更なし。また、A5 Sportbackをベースにした「S5 Sportback」が新たに設定された。スーパーチャージャー付3.0LV型6気筒直噴ガソリンエンジン「3.0TFSI」が搭載される。

2代目(2016-)F5系[編集]

アウディ・A5
Audi A5 Sportback 2.0TFSI sport (DBA-F5CVKL) front.jpg
Audi A5 Sportback 2.0TFSI sport フロント
Audi A5 Sportback 2.0TFSI sport (DBA-F5CVKL) rear.jpg
Audi A5 Sportback 2.0TFSI sport リア
Audi A5 Sportback 2.0TFSI sport (DBA-F5CVKL) interior.jpg
Audi A5 Sportback 2.0TFSI sport インテリア
概要
製造国 ドイツの旗 ドイツ
販売期間 2016年-
ボディ
乗車定員 4名
5名(Sportback)
ボディタイプ 2ドア クーペ
2ドア カブリオレ
5ドア ハッチバック
駆動方式 FF(Sportback)
4WD
車両寸法
ホイールベース 2.825mm
全長 4.760mm
全幅 1.845mm
全高 1.390mm
車両重量 1.610kg
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A5(2代目)[編集]

2016年6月2日、ドイツにて2ドアクーペ「A5 Coupé」を初公開[18]。同年6月10日、「A5 Coupé」を発表[19]。欧州仕様のラインナップはガソリンターボが2種類、ディーゼルターボが3種類。トランスミッションは6速MTと7速DCT、ディーゼルのハイパワー仕様にトルコン式8速ATが用意される。車両重量は先代に比べ60kg軽量化された。

2016年9月7日、欧州にて5ドアクーペ「A5 Sportback」を発表[20]。大型のリアゲートを備えたモデルである。

2016年11月4日、欧州にてオープンカー「A5 Cabriolet」を発表[21]。ワンタッチで開閉ができるソフトトップが採用された。ボディ剛性が向上されているほか、安全面も強化されている。

2017年3月7日、ジュネーブモーターショーにてCNG(天然ガス)仕様車「A5 Sportback g-tron」を初公開[22]。2.0L直列4気筒直噴ガソリンターボ「TFSI」エンジンを搭載し、CNGモードで約500km、ガソリンと合わせた合計で約950kmの航続性能を実現している。同年8月18日に受注が開始された[23]

2022年11月、イギリスでカブリオレの販売が終了した[24]

日本での販売[編集]

2017年4月4日、「A5 Coupé」「A5 Sportback」「A5 Cabriolet」を同時発表[25]。導入されるのは、「A5 Coupé 2.0 TFSI quattro sport」「A5 Sportback 2.0 TFSI」「A5 Sportback 2.0 TFSI sport」「A5 Sportback 2.0 TFSI quattro sport」「A5 Cabriolet 2.0 TFSI quattro sport」。すべてのモデルで2.0L直列4気筒直噴ターボエンジンと7速Sトロニックを組み合わせる。A5の前輪駆動モデルは日本初導入で[26]、同年7月26日より販売を開始した[27]。また、A5 Sportbackは後席が3人掛けとなり乗車定員が5名となった。

2018年11月13日、一部仕様変更を発表[28]。機能装備が強化された。A5 Sportbackは同日販売開始。A5 Coupé及びA5 Cabrioletは同年12月中旬より販売が開始される。

2019年5月頃、「A5 Cabriolet」が販売終了(公式発表なし)[29]

S5 (2代目)[編集]

2016年6月2日、ドイツにて「S5 Coupé」を初公開[30]。同年6月10日、「S5 Coupé」を発表[19]。A5の高性能モデルで、3.0L(2995cc) V型6気筒直噴ガソリンターボエンジンを搭載する。

2016年9月7日、欧州にてA5 Sportbackの高性能モデル「S5 Sportback」を発表[31]。パワートレインはS5 Coupéと同じものである。

2016年11月4日、欧州にてA5 Cabrioletの高性能モデル「S5 Cabriolet」を発表[32]。パワートレインはS5 CoupéやS5 Sportbackと同じものである。

2019年4月17日、欧州にて「S5 Coupé TDI」「S5 Sportback TDI」が発表された[33]。従来はガソリンエンジンが搭載されていたが、欧州仕様は今回の改良でディーゼルエンジンに改められる。最高出力347hp、最大トルク71.4kgmを発揮する3.0LV型6気筒直噴ターボディーゼル「TDI」エンジンを搭載し、電動コンプレッサーも併用される。さらに48Vマイルドハイブリッドが採用され、実走行100kmあたり最大0.4Lの燃料が節約できる。

日本での販売[編集]

2017年4月4日、「S5 Coupé」「S5 Sportback」「S5 Cabriolet」を同時発表[25]。共に最高出力354ps、最大トルク500Nm(51.0kgm)を発揮する3.0LV型6気筒直噴ターボエンジンに8速ティプトロニックを組み合わせる。

2018年11月13日、一部仕様変更を発表[28]。機能装備が強化された。S5 Sportbackは同日販売開始。S5 Coupé及びS5 Cabrioletは同年12月中旬より販売が開始される。

2019年5月頃、「S5 Cabriolet」が販売終了(公式発表なし)[34]

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ 学研ムック『LE VOLANT ULTRA』、2015年、89頁
  2. ^ By Design: Audi A5 『Automobile』 2007年
  3. ^ アウディ、11年ぶりクーペ デザイナーは日本人 『朝日新聞』 2008年2月21日
  4. ^ a b 11年ぶりの4シータークーペ「アウディA5」デビュー”. webCG (2008年2月21日). 2020年9月17日閲覧。
  5. ^ アウディ・ジャパン代表取締役社長ドミニク・ベッシュによる発表[リンク切れ] 『Auto Gallery Net』 2008年2月21日
  6. ^ 「アウディA5」にエントリーグレード追加”. webCG (2009年4月22日). 2020年9月17日閲覧。
  7. ^ アウディ「A5」「A6」「TT」の装備が充実”. webCG (2009年8月25日). 2020年9月17日閲覧。
  8. ^ アウディ「A4」「A5」全モデルに最新HDDナビ”. webCG (2009年12月22日). 2020年9月17日閲覧。
  9. ^ アウディA5 装備充実、1グレードに”. webCG (2010年8月18日). 2020年9月17日閲覧。
  10. ^ a b c d 「アウディA5」と「S5」がマイナーチェンジ”. webCG (2012年1月15日). 2020年9月17日閲覧。
  11. ^ 【アウディ A5カブリオレ 日本発表】高級4人乗りオープン”. Response. (2009年7月13日). 2020年9月17日閲覧。
  12. ^ アウディ A5カブリオレ 日本発表 東京集中型のクルマ
  13. ^ アウディ A5カブリオレ に2.0リットルエンジン…3.2からダウンサイズ”. Response. (2010年9月13日). 2020年9月17日閲覧。
  14. ^ “アウディ A5カブリオレ、大相撲の優勝パレードカーに登場”. 価格.com. (2013年1月26日). オリジナルの2013年1月28日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130128121743/http://news.kakaku.com/prdnews/cd=kuruma/ctcd=7010/id=28084/ 2013年1月26日閲覧。 
  15. ^ 【アウディ A5スポーツバック 日本発表】マルチな4ドアクーペ”. Response. (2010年1月13日). 2020年9月17日閲覧。
  16. ^ 【ジュネーブモーターショー07】アウディの新型クーペ、A5 発表”. Response. (2007年2月28日). 2020年9月17日閲覧。
  17. ^ アウディ S5カブリオレ 発表…S4のV6スーパーチャージャーを搭載”. Response. (2010年9月13日). 2020年9月17日閲覧。
  18. ^ アウディ A5 クーペ 新型、初公開…最大60kg軽量化”. Response. (2016年6月3日). 2020年9月17日閲覧。
  19. ^ a b アウディ、新型「A5/S5」を本国で2016年秋に発売”. webCG (2016年6月10日). 2020年9月17日閲覧。
  20. ^ アウディ A5スポーツバック 新型、5ドアクーペが2世代目に”. Response. (2016年9月8日). 2020年9月17日閲覧。
  21. ^ アウディ A5カブリオレも新型に…最大40kg軽量化”. Response. (2016年11月7日). 2020年9月17日閲覧。
  22. ^ 【ジュネーブモーターショー2017】アウディ A4 / A5 新型に、天然ガス車「g-tron」”. Response. (2017年3月9日). 2020年9月17日閲覧。
  23. ^ アウディ A4 / A5 新型にCNG車「g-tron」、欧州受注開始”. Response. (2017年8月18日). 2020年9月17日閲覧。
  24. ^ DIGITAL, AUTOCAR (2022年11月7日). “アウディA5カブリオレはもう古い? 英国から撤退 後継モデルも未確定”. AUTOCAR JAPAN. 2022年11月7日閲覧。
  25. ^ a b 新型「アウディA5」、3種のボディーで同時デビュー”. webCG (2017年4月4日). 2020年9月17日閲覧。
  26. ^ 【アウディ A5シリーズ 新型】FFモデル新設定…斎藤社長「過半数超えると想定」”. Response. (2017年4月4日). 2020年9月17日閲覧。
  27. ^ アウディ A5スポーツバック、FWDモデルを国内初導入…546万円より”. Response. (2017年7月26日). 2020年9月17日閲覧。
  28. ^ a b アウディが「A5」「S5」シリーズと「RS 5クーペ」の装備内容を強化”. webCG (2018年11月13日). 2020年9月17日閲覧。
  29. ^ アウディ A5カブリオレ(全国)の中古車”. カーセンサー. 2020年9月17日閲覧。
  30. ^ アウディ S5クーペ、新型を発表…354馬力ターボ搭載”. Response. (2016年6月6日). 2020年9月17日閲覧。
  31. ^ アウディ S5 スポーツバック 新型、354馬力ターボ搭載”. Response. (2016年9月20日). 2020年9月17日閲覧。
  32. ^ アウディ S5 カブリオレ 新型、欧州で発表…354馬力”. Response. (2016年11月9日). 2020年9月17日閲覧。
  33. ^ アウディ S5 に48VマイルドHV、電動コンプレッサーも搭載…欧州仕様は高性能ディーゼルに”. Response. (2019年4月19日). 2020年9月17日閲覧。
  34. ^ アウディ S5カブリオレ(全国)の中古車”. カーセンサー. 2020年9月17日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]