ウニモグ

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ウニモグ U400
門型アクスルとハブリダクションドライブが特徴

ウニモグUnimog)とはダイムラーメルセデス・ベンツブランドで製造、販売する多目的作業用自動車である。名称はドイツ語独特の略号法である「Universal-Motor-Gerät」(直訳すると「多目的動力装置」)の太字部分を読んだものである。

概要[編集]

第二次世界大戦後まもなく農作業車として開発が始まったウニモグは、技術革新を繰り返しながら生産が続けられ、これまでに累計40万台以上が生産された。多目的自動車の分野では他メーカーの追随を許さない圧倒的な実績を誇っている。 高い最低地上高と四輪駆動方式で副変速機逆転機を装備できることから、超低速や悪路での作業にも適している。 日本では高速道路会社トンネル壁面清掃や照明器具の保守、NTTで通信車、JRA等で馬場のメンテナンス、警察機動隊災害警備用車両、消防の耐熱救難車、鉄道の保守用軌陸車として使われている。

海外ではダカール・ラリーのカミオン(トラック)部門で競技車として活躍するほか、チームの荷物や補修部品を運ぶサポート車として重宝されている。 また軍事でも輸送用や自走砲車として用いられている。

日本にある古いウニモグとしては、1953年製ウニモグが静岡県藤枝市に存在し、また急傾斜地牧場肥料散布機として、北海道帯広市の業者が1970年式を2台保有している(ヘッドライトなどは取り外されており、肥料散布専用として公道走行はできない)。

2011年春、ダイムラー社から東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)における被災地支援目的にトラックタイプの「U4000」「U5000」が各2台ずつ、計4台が三菱ふそうへと空輸され日本財団に寄贈された。

歴史[編集]

  • 1945年戦後のドイツでかつてのダイムラー・ベンツ社の、航空エンジンの元開発責任者であるアルベルト・フリードリッヒ(Albert Friedrich)が「農業用自動多目的装置」としてタイヤは同径の4輪駆動で、ホイールベースが短く、路面に応じて前輪軸と後輪軸が自在に傾斜するというコンセプトで、最初のプロトタイプをデザインする。ウニモグの開発が始まった1946年当時、ドイツは連合軍の占領下にあり自動車の開発・生産には許可を必要とした。ドイツが再び軍事大国となることを恐れた連合軍はドイツを農業国として復興させることを意図し、他の名目では新規開発を認めなかったのだ。人材も技術もあるが自動車を開発できない。そんな状況の中、開発チームは知恵を絞って規制の網を潜り抜けた。
  • 1946年にエアハルト&ゾーネ(Erhard und Söhne)社と生産に関する契約を結ぶ。同年の終盤に完成したプロトタイプU6は、ガソリンエンジンを搭載し(ダイムラー・ベンツのOM636ディーゼルエンジンの開発は未完成であったため)、農業用の駆動装置として使用できることはもちろん、運転席と助手席があり後部には小さな荷台が付いており、農作業と器具・資材の搬送の両方をこなす汎用性は、それまでのトラクターには見られなかったコンセプトであった。
  • 1947年の後半には25馬力を発生するOM636ディーゼルエンジンが、標準搭載されることになる。なお初期のウニモグのシンボルマークは 2本の雄牛の角をUの字で模ったものであった。初期の70.200シリーズ'は、Boerhringerによって生産された。これはエアハルト&ゾーネでは生産規模が足りず、また当時のメルセデス・ベンツには4輪駆動車の生産は許可されていなかったための処置。
  • 1951年にダイムラー傘下に入り、2本の雄牛の角を模ったマークに代わってメルセデス・ベンツのエンブレム「スリーポインテッドスター」がU401シリーズから装着された。ロングホイールベース402シリーズを追加。
  • 1953年クローズドキャビンがオプション設定され、全天候型車両となる。
  • 1955年404Sシリーズ登場。主な顧客はドイツ軍で冷戦時代に向けての配備であった。このモデルは従来の農業用器具からより多目的な、クロスカントリートラックという意図で設計されていた。1980年までに64242台が生産された。
  • 1956年から約1万8000台生産されたU411タイプは小型のコンクリートミキサー車としても使用されるなど、農作業以外の用途が増えてゆく。
  • 1957年フルシンクロメッシュギアボックスが装備され走行中のギアチェンジがスムーズになった。これは農業用トラクターとしては初の装備。
  • 1963年406/416ミドルシリーズの生産が開始される。これらのモデルには65馬力のOM312ディーゼルエンジンを搭載。416(2900mm)は406(2380mm)のロングホイールベース仕様。後期型では、OM352直噴ディーゼルエンジンが搭載された。当初は80馬力であったが、のちに110馬力までパワーアップを果たしている。オリジナル・ウニモグとミドルシリーズの中間に位置する、ライトシリーズ421/403が登場。421のホイールベースは2380mm、403は2250mmである。421にはメルセデス・ベンツの乗用車から流用した2.2L 40馬力エンジン、403はトラック部門から流用した4.8L 54馬力エンジンが搭載された。
  • 1966年100,000台目のウニモグがGaggenau工場でラインオフ。
  • 1972年ウニモグをベースとしたさらに大型の農業用器具としてMB Tracが登場する。このモデルは1991年まで生産された。
  • 1974年新型U120 へビーシリーズ425が登場する。
  • 1975年404Sの後継としてシリーズ435が登場する。
  • 1976年424ミドルシリーズU1000、U1300/L、U1500、U1700/Lが登場。同時期に従来モデルもモデル名が変更され、U600/L、 U800/L、 U900、U1100/Lとされた。(Lはロングホイールベース仕様)。丸みのあるキャビンのモデルは「ライトシリーズ」で、角ばったキャビンのモデルは「ミドルとヘビーシリーズ」と呼ばれるようになる。この年から全車に4輪ディスクブレーキが装備される。
  • 1977年200,000台目のウニモグがラインオフ。
  • 1980年U404 (Unimog S)が生産中止。
  • 1985年ライト・ミディアムシリーズの407と427が登場。
  • 1988年406と416が生産中止。437シリーズ登場。
  • 1990年新ライトシリーズ408(U90)と418(U110-U140)が新デザインで登場。運転席側の視界を向上するためにキャビンが左右非対称デザインとなる。新フレームワークとコイルスプリングの採用によりハンドリングの向上も図られた。タイヤ空気圧調整システム、ABSなどが採用された。
  • 1993年U2450 L 6×6登場。
  • 1994年12台限定のFunmog登場。レザーシート・カーペットなどを装備した高級仕様で150,000ドイツマルク。
  • 1996年UX100登場。歩道や公園の植え込みなど狭い場所用の超小型モデル。UXシリーズは静油圧無段変速駆動方式を採用する。
  • 2000年UGN シリーズ(UGN/405: U300/U400/U500)登場。副変速機シフトレバーの表記は「Hi / Lo」ではなく、ウサギカメの絵が描かれている。これは、識字率が低い発展途上国での使用を想定したものである。良路での最高速度は、最終減速比の低いアーバンウニモグでも約110km/h程である。排気ブレーキには日本車に見られるオン / オフスイッチは無く、右足のかかとで操作する足踏み式である。作業に適した視界を確保するため、運転装置(ステアリングホイール計器盤ペダル)の左右切り替えが可能である。
  • 2002年生産がGaggenau工場からRheinにある欧州最大のメルセデス・ベンツ・トラック工場に移管される。UHN U3000-U5000 (437.4)登場。
  • 2005年12月ドバイモーターショーで、Unimog U500 Black Editionが発表される。
  • 2006年6月UGNシリーズは"ブルーテック(BlueTec)" テクノロジーが採用され、ユーロ 5の排ガス規制に適応する。ブルーテックモデルは、モデル名が405.101(従来型は405.100)などとなり区別されている。同年のハノーファー商用車ショーでU20を発表。ウニモグ・シリーズ初のキャブオーバーデザイン。基本構造はU300からの流用だが、キャビンはブラジルで生産・販売されているAcceloのものを流用しコストを低減している。ホイールベースは2700mm。


日本での販売[編集]

かつてはヤナセが輸入していたがその後ウェスタン自動車AMGジャパンを経て2005年11月以降「ワイ・エンジニアリング株式会社(株式会社トノックスグループ)」が輸入元になる。この結果、ヤナセは自動車輸入業を完全に廃業することとなった。

軍用[編集]

汎用性と不整地走破能力の高さから各種物資や機材の運搬以外にも迫撃砲多連装ロケットランチャー対空機関砲を搭載して自走迫撃砲ないし自走式対空砲とするなど様々な軍用車両のベースになっている。

またドイツのUR-416TM-170UR-425コンドルATF ディンゴ、南アフリカ共和国のブッフェルマンバなどウニモグのシャーシに装甲化された車体を乗せる形で装甲車を開発するベースにする例も多い。

ギャラリー[編集]

民生用[編集]

軍用[編集]

登場するマンガなど[編集]

個人所有者[編集]

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]