デビルマン (映画)
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デビルマン | |
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DEVILMAN | |
監督 | 那須博之 |
脚本 | 那須真知子 |
製作 | 冨永理生子 松井俊之 北﨑広実 |
製作総指揮 | 泊懋 |
出演者 | 伊崎央登 伊崎右典 酒井彩名 宇崎竜童 阿木燿子 |
音楽 | 安川午朗 |
主題歌 | 「光の中で」hiro |
配給 | 東映 |
公開 | ![]() |
上映時間 | 116分 |
製作国 | ![]() |
言語 | 日本語 |
製作費 | 10億円[要出典] |
興行収入 | 5.2億円[1] |
『デビルマン』(DEVILMAN)は、2004年10月9日東映系公開の日本の特撮映画。永井豪の漫画『デビルマン』の実写映画化作品。PG-12指定。原作の名シーンを切り貼りしただけのシナリオとメインキャストの演技力の低さから、多くの酷評が寄せられている作品。
概要[編集]
「原作漫画の完全実写映画化」というキャッチフレーズのもと、制作費10億円をつぎ込みVFXをふんだんに用いて製作された。当初、公開は2004年5月頃を予定したが「驚異の映像をふんだんに駆使し、満足のいくクオリティーに仕上げる事」を確約するため10月に延期した。特撮映画・テレビを手掛ける東映と、アニメを手掛ける東映アニメーションがタッグを組んで特撮シーンが製作され、それを「T-Visual」と名づけて売り出した。先にアニメによる作画を行い、それにしたがってCGに動きをつけたり、CGカットの中に一瞬だけ手描きの絵が挿入されたりと「アニメと実写の融合」という新しい表現を試みている。
あらすじ[編集]
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評価とその背景[編集]
『デビルマン』が公開された2004年には他にも『CASSHERN』(4月)、『キューティーハニー』(5月)、『NIN×NIN 忍者ハットリくん THE MOVIE』(8月)と往年の人気漫画・TVアニメをVFXを用いて実写化した映画が公開された。それらの評価はまちまちであるが、『デビルマン』はその中でも特別に評価が低く、多くの酷評が寄せられた。
映画評論家の前田有一は本作を「ポスターだけはいい映画」として100点満点中2点と評し[2]、作家の山本弘も自身の公式ホームページで冗談めかしながらも「僕はこれから映画を作ろうという人間すべてにこの映画を観せるべきやと思う。だってこの映画を観たら、娯楽映画を作る際に、何をやったらあかんかがよく分かるやろ?それさえ守れば、駄作が作られる可能性が極端に減らせると思うねん。」と述べている[3]。また唐沢俊一もこの作品を「事故」にたとえ、野次馬気分で見に行く映画であると指摘した。第14回東京スポーツ映画大賞特別作品賞において、審査委員長の北野武は「映画『デビルマン』は『みんな〜やってるか!』『シベリア超特急』『北京原人 Who are you?』に続く映画史に残る四大おバカ映画。酔っ払って見たらこれ以上のものはない」と述べた[4]。その他にも各新聞・各種の映画サイトで酷評が寄せられ、最低映画を決定する「文春きいちご賞」(週刊文春主催)の2004年度で1位を獲得、同趣旨の第1回「蛇いちご賞」(スポーツ報知)でも作品賞に選ばれた。
これらの評者が挙げる批判点としては以下のものがある。
- 主演の伊崎兄弟をはじめとしたメインキャストに演技経験が皆無か乏しいタレント(多くがインタビューなどで「演技は初めて」と述べている)が大量に起用され、その様子は「学芸会」[2][5]と評された。
- 原作の話の筋を短い上映時間につめこんだ結果、原作では整合性のとれた部分が映画で意味不明になっている。全体が細切れのエピソードの単なる羅列になり、物語上重要な場面がことごとくカットされた。また説明的な台詞が多く、明と了の関係、悪化していく世界情勢など、重要な部分をナレーションでの一言で済ませている。
- 登場人物たちの理解不能な行動が多い。例として、デーモンたちがいる屋敷が襲撃されるシーンで部隊が一斉射撃している正面に続々とデーモンたちが向かっていく(部隊がいない方向へ逃げたり反撃を試みたりはせず、ただ銃口の前に出てきて射殺されるだけ)。また、重火器で武装しているにもかかわらず、武器が日本刀1本だけの相手に発砲せずに突撃しては刀で倒される部隊、銃を両手で持った相手に銃口を向けるだけで全く反撃せずに倒される部隊、素手の相手に対して全く発砲せず逃げ去る警官たちなど。
- 小林幸子[6][4]やボブ・サップ、小錦などの有名人のカメオ出演に全く意味がなく、話の緊張感を削ぐだけになっている。
- 格闘シーンのCGに迫力が無い。
- 公開前のポスターと全く違うシレーヌのデザインは多くの批判を浴びた。これは演ずる冨永が本来のシレーヌの衣装をスタッフ陣の必死の説得にも拘らず最後まで拒絶し、結局スタッフ陣が折れざるを得なくなり、新たにデザインを起こしてようやく冨永を承諾させたことによる。
結局、制作費10億[要出典]に対して興行収入は5.2億[1]と興行的にも大失敗に終わった。2005年4月にはDVDが発売されたが、これは初回限定版の特典目当てで売り切れることもあった[要出典]。
スタッフ[編集]
- 原作:永井豪
- 製作総指揮:泊懋
- 企画:遠藤茂行、森下孝三
- プロデューサー:冨永理生子、松井俊之、北﨑広実
- 監督:那須博之
- 脚本:那須真知子
- 撮影:さのてつろう
- 特撮監督・VFXプロデューサー:佛田洋
- デビルマンコンセプトデザイン:寺田克也
- キャラクターデザイン:衣谷遊
- CGプロデューサー:氷見武士
- CGスーパーバイザー:野口光一
- 製作プロデューサー:生田篤
- キャスティングプロデューサー:福岡康裕
- 特殊撮影・VFXコーディネーター:高橋政千
- アクションコーディネーター:野口彰宏
- 衣装:森口誠治、鶴岡英門
- 音楽:安川午朗
- 主題歌:hiro『光の中で』
- 協力:ボーダフォン、プジョー・ジャポン
- 『デビルマン』製作委員会:東映、東映アニメーション、東映ビデオ、テレビ朝日、バンダイ、ラッドガー
キャスト[編集]
- 不動明 / デビルマン:伊崎央登
- 飛鳥了 / サタン:伊崎右典
- 牧村美樹:酒井彩名
- 牧村啓介:宇崎竜童
- 牧村恵美:阿木燿子
- 飛鳥教授:本田博太郎
- シレーヌ:冨永愛
- 川本巳依子(ミーコ):渋谷飛鳥
- ススム:染谷将太
- ニュースキャスター モリソン:ボブ・サップ
- 牛久雅夫:仁科克基
- 重森隆夫:大沢樹生
- 青山:金山一彦
- 上田:きたろう
- 佃:鳥肌実
- 沼田:今井雅之
- 長田:俊藤光利
- ジンメン:船木誠勝
- 六平:田中鈴之助
- 洋二:川久保拓司
- ミノル:中山貴将
- 沙織:仲程仁美
- 由香:石川佳奈
- 美穂:森本ゆうこ
- ススムの父:小倉一郎
- ススムの母:洞口依子
- 佃の同僚:モロ師岡、有福正志
- 中学校の先生:布川敏和
- アジトのデーモン:KONISHIKI
- 隣家の中年女:小林幸子
- 神父:永井豪
- 銃を受け取る車椅子の男:的場浩司
- 地下鉄の乗客:嶋田久作
受賞[編集]
ソフト化[編集]
東映ビデオより発売。
- DEVISUAL ver.0 デビルマン解体新書 -シレーヌ編-(DVD1枚組、2004年9月21日発売)
- デビルマン 通常版(DVD1枚組、2005年4月21日発売)
- デビルマン プレミアムセット(DVD2枚組、2005年4月21日発売・初回限定生産)
脚注[編集]
- ^ a b 「2004年度 日本映画・外国映画 業界総決算 経営/製作/配給/興行のすべて」、『キネマ旬報』2005年(平成17年)2月下旬号、キネマ旬報社、2005年、 152頁。
- ^ a b 『超映画批評』内のデビルマンのページ
- ^ 『山本弘のSF秘密基地』内の「『デビルマン』は映画ファン必見だ!」
- ^ a b “第14回東京スポーツ映画大賞 授賞式の模様”. 東京スポーツ新聞社 (2005年2月6日). 2005年12月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年12月20日閲覧。
- ^ ただし、川本巳依子(ミーコ)を演じた渋谷飛鳥だけは例外で、「原作を知らなかったから、ミーコになりきるために原作を読んで役に臨んだ」とコメントしたことが、「プロの鑑」などと好意的に受け止められた。
- ^ 小林は第14回東京スポーツ映画大賞特別作品賞の表彰式においてビデオレターを寄せた際に「突然呼び出されて何が何だかわからないうちに出演することになった」旨のコメントを残している。
外部リンク[編集]
- “DEVILMAN”. 映画「デビルマン」製作委員会. 2003年11月1日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2014年5月3日閲覧。
- 『デビルマン』は映画ファン必見だ! - 公式サイト「山本弘のSF秘密基地」内の映画『デビルマン』批判記事。
- アンチ『デビルマン』リンク - 山本弘が映画『デビルマン』に対しての批判記事・サイトを集めたもの。
- デビルマン - 日本映画データベース
- デビルマン - allcinema
- デビルマン - KINENOTE
- デビルマン - インターネット・ムービー・データベース(英語)
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