デビルマンG

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デビルマンG』(デビルマン グリモワール、DEVILMAN GRIMOIRE)は、高遠るいによる日本漫画作品。『デビルマン』のリメイク作品で、秋田書店の月刊漫画雑誌チャンピオンRED』に、2012年5月号にプレ連載(第0話「PERSONA」)が掲載され、翌6月号から2014年2月号まで連載された。

概要[編集]

『デビルマン』と『マジンガーZ』の作品生誕40周年記念として開始された連載である。原典の『デビルマン』を知らない若い読者でも楽しく読める「完全新作」を目指しており、登場人物の多くがそれぞれ原典とは違う運命を辿る予定であるという[1]。なお、本作には「飛鳥了=サタンは登場しない」ことが連載当初からの構想として盛り込まれており[1][2]、原作にある「不動明と飛鳥了」の関係性ではなく「人間としての不動明」が主題となった[3]

あらすじ[編集]

現代日本弱肉強食の格差都市東京。その闇にまぎれて人ならぬ者どもがうごめき始めていた。その名は悪魔(デーモン)族。魔女を自称する女子高生ミキ。彼女の幼馴染である不動アキラの体を乗っ取って地上に現れた悪魔族の勇者アモン。2人を中心に悪魔族の戦いが繰り広げられる。

やがて、悪魔族と合体しながらも人間の意識を残す悪魔(デビルマン)が現れ、戦いは、悪魔族とデビルマンの戦いに移って行く。

悪魔族元老院の主導権を握った冷元帥クルール、シレーヌ、ヴィルフェらは、サイコジェニーの精神操作能力を使い、潜んでいた悪魔族らに無差別な人間攻撃を行わせる。アモン=不動アキラも操られ、舎弟たちやアオイを襲い殺してしまう。一方、空宜リョウに率いられたデビルマン軍団は人間を護るために悪魔族と戦っていたが、数の上での劣勢はいなめなかった。

しかし、雷沼重造の記憶と思考を引き継いだ神崎サヱコによりデビルマン誕生の秘密が解明され、デビルマン軍団は急激にその数を増やして行く。

登場人物[編集]

魔鬼邑 ミキ(まきむら ミキ) / デビルマン・フラムメドック
ソロモンの指環を持ち、自分を魔女だと信じている女子高生。アレイスター・クロウリーなどの現代魔術を実践し、常に三角帽子とマントの魔女っ娘コスプレをしている。
突如現れた悪魔族に対抗するため召喚魔術を実行し、アキラの体に悪魔族の勇者アモンを憑依させてしまう。その後はアモンの力を増幅させ、微力ながら悪魔族に直接殴ってダメージを与えられるようになるなど不思議な能力に目覚め始め、アモンを召喚した責任感から彼と共に悪魔族と戦う決意をする。
魔王サタンの策でデーモンのフラムに体を乗っ取られそうになるが、アモンとの同調(リンク)を繰り返すうちにアモン以外のデーモンとの融合を拒絶できるようになっており、人の心を失わず悪魔の力をもった人間として悪魔と戦う悪魔人間(デビルマン)となる。
不動 アキラ(ふどう アキラ)
ミキの幼馴染。優等生だが貧弱な体格のいじめられっ子で、不良たちのターゲットにされていた。悪魔族からミキを守るために身を挺して食われそうになるが、その瞬間ミキの召喚魔術により呼び出されたアモンにその体を乗っ取られた。
アモンと合体した後は、原作TVアニメ版と同様にアモンが支配し、アキラとしての意識は消失しているが、残留しているかすかな意識がアモンに影響を与えている。

人間[編集]

アルフォンヌ・ルイ・シュタインベック三世
教師。スケベで女生徒に嫌われている。本人曰くケンカの達人だそうだが、実際のところは実力はイマイチ。
蘭 ジュン(あららぎ ジュン)
女教師。レズビアンでアオイとは恋人同士。アオイと同棲しており、ほぼ内縁の夫婦のような関係。
アオイ
水泳部の顧問。レズビアンでジュンの恋人。泳いだ後は所構わずジュンを求めてしまう。ジュンとの関係は学校の誰もが知っているらしい。
サイコジェニーに操られたアモンに殺害される。
大柴 ソウスケ(おおしば ソウスケ)
剣道部顧問で剣道の元・全日本王者。
雷沼 重造(らいぬま じゅうぞう)
雷沼研究室の教授。シレーヌの接触者である己の娘を探している。
タレちゃん / 魔鬼邑 健作(まきむら けんさく)
ミキの弟。あだ名の由来はまだおもらし癖が抜けていないから。
カミソリ鉄(カミソリてつ)、メリケン錠(メリケンじょう)、チェーン万次郎(チェーンまんじろう)
アキラをいじめていた不良たち。アモンと合体した後のアキラに制裁を受け、以後はアキラの舎弟になっている。
東大寺
雷沼ツバサに好意を寄せる男子生徒。
デビルマン軍団と悪魔族との最終決戦時には、デビルマン・カイムとなっており、シレーヌをツバサの仇として倒す。しかし、シレーヌがツバサ本人であったことを悟ると死にゆくシレーヌと合体し、戦いの場を後にする。

悪魔(デビルマン)[編集]

全員が憑依を受けた悪魔族の名をコードネームとしている。

空宜 リョウ(うつぎ リョウ) / デビルマン・ゼノン
日本を代表する舞台演出家。上演した『新約・神曲』の大成功で世界に認められ、現代のダンテと呼ばれる。
悪魔族に戦いを挑む悪魔人間の1人で、悪魔王(ルシファー)ゼノンと融合を果たしている。「在れ」と命じただけで思いのままに森羅万象を生み出す強力な「神の力」を有する。
その正体はソロモン王本人であり、悪魔族を産み出した人物である。
神崎 サヱコ(かんざき サヱコ) / デビルマン・アーガマ
空宜リョウのマネージャーを務める、眼鏡をかけた女性。デビルマン軍団の一員。
火叢 アスカ(ひむら アスカ) / デビルマン・ハーシュ
ミキに惚れている不良。ミキとは同じ中学だった。あだ名は「ヒムラー」。
川本 ミキコ(かわむら ミキコ) / デビルマン・トゥルグ
根は真面目だが、火叢たちの不良グループに入り浸るようになっている。あだ名は「ミーコ」。
悪魔人間としての姿と能力は『デビルマン』に登場したミーコと同じで、胸と股間から強力な溶解液を噴射して敵を溶かす。
守城 ケイ(かみしろ ケイ) / デビルマン・ヴィルフェ
ヨーヨーの世界チャンピオン。獣魔族ヴィルフェと融合。世界王者となっても、世間では認められない自分の境遇を不満に思っている。
橘 リュウ(たちばな リュウ) / デビルマン・バリィ
プロボクサー。デビュー戦前夜にトラックにはねられた際に、デビルマンへと変身を遂げる。融合した地精族バリィは太陽系外からの隕石と合体した重金属生命体で、微細粒子となったバリィの肉体を全身の細胞と置換することでデビルマンへと変身する。散布した白燐分子を、拳の摩擦で発火させ、敵を焼き尽くす。
磔真 ユリ(たくま ユリ) / デビルマン・フラウバー
ポニーテールの女性。
刃黒 レイ(はぐろ レイ) / デビルマン・デスプロー
普段はライターの仕事をしている知性的な男性。

悪魔(デーモン)族[編集]

他の生物との合体を繰り返してその力を取り込み進化する超生物。10の支族に分かれている。主に接触者(サモナー)を通じ、宿主(ホスト)の肉体を乗っ取って人間界に現れる上級の悪魔族と、主人である悪魔族に召喚される下級の悪魔族がいる。宿主(ホスト)の精神は悪魔族に乗っ取られた瞬間消失するが、宿主(ホスト)の記憶はそのまま悪魔族に受け継がれる。

勇者アモン
獣魔族(ベスティア)に属する悪魔族。アキラの体を乗っ取って地上に現れた。人間を餌としか考えておらず、接触者(サモナー)であるミキを喰おうとするがアキラの意識に阻まれ、以後ミキを守ることになってしまう。だがミキを守っていくうちに、彼自身も正義や愛情といったものを学び始めている。
今の姿を気に入っており、悪魔族との合体による進化を受け入れず、ただ殺すだけのため異端として「食わず殺しのアモン」と呼ばれている。
「斬肉飛剣(サウザンド・カッター)」「血椀刀(セイバー・チョップ)」「真空音檄(ソニック・アロー)」「極小焼滅光線(マイクロ・ターミネーション・ビーム)」「葬烈脚(フューネラル・キック)」「断空翼(スラッシャー・ウィング)」などの多彩な技を使う。
シレーヌ
雷沼教授たちからマダムと呼ばれる悪魔族。真の力を得るために宿主(ホスト)として融合するために接触者(サモナー)を探している。
アグウェルと融合して取り込んだ能力を利用してアモンに化け、ツバサの目の前で雷沼教授を殺害してショックを与えることで彼女との融合に成功する。以後は、ツバサのふりをしたままアモンへの逆襲の機会を窺う。
レディ・シレーヌ / 雷沼 ツバサ(らいぬま ツバサ)
重造の養女でシレーヌの接触者(サモナー)。シレーヌの力を駆使してアモンを陰ながら助太刀し、後にアキラやミキのもとに身を寄せる。
節足族(インセクター)マサック、巨竜族(ダイノゾア)マゴート、樹怪族(アルルーナ)ジュラド、獣魔族(ベスティア)ドローマ
雷沼研究室の配下の悪魔族。全員アモンに殺された。
水妖族(アクエリアン)ゲルマー / 千田 マリ(ちだ マリ)
シレーヌの両腕と称される悪魔族の1人。「千田マリ」という隻眼の妖艶な女性に扮し、魔鬼邑家に家庭教師として潜り込む。
水と自在に融合する能力を持ち、タレちゃんやミキに憑りついてアモンを苦しめ、一時的に彼の肉体をも乗っ取ったが、ゲルマーから解放されたミキによってアキラの身体から追い出されたことで急激に弱体化。最後は自分の部下であるヱバインに裏切られ、無理やり合体させられてしまった。
獣魔族(ベスティア)ヱバイン
ゲルマーの配下の悪魔族。鏡に映った物や人間を支配する能力を持ち、ゲルマーとのコンビでその能力が最大限に発揮される。何故か下半身が馬なのを気にしており、そのことを突っ込まれるとムキになって怒る。その能力でアモンを苦戦させたが、弱体化してしまった主人のゲルマーに愛想を尽かし、彼女と合体。巨大化して戦うがアモンの必殺技「巨顔変化(グレーターファング)」に敗れ去った。
地精族(ノーム)アグウェル / 吾河 シロー(あがわ シロー)
シレーヌの両腕と称される悪魔族の1人。壁や地面に潜り込んだり、他者を壁の中に溶け込ませたりする能力を持つ。美形の男性教師「吾河シロー」に扮し、アキラたちの通う学校に地学教師として転任してくる。
表向きは女の子に人気の爽やかな教師を演じているが、陰では気に入った女子の体を溶かし、壁や床と一体化させて楽しむ陰湿なサディスト。
サイコジェニー
頭部の下に大きな右手がつながっているデーモン。サイコキネシスの能力はデーモンの中でも随一で、何者も防ぐことはかなわないが、物理的な攻撃力は一切持ち合わせていない。
ニクス / 艫舵 ヒカル(ともだ ヒカル)
水妖族(アクエリアン)のデーモン。かつて、魔将軍ザンへの挑戦権を賭けてアモンと対決するが、戦いの最中にザンの配下に襲われため決闘を中断し、後日決着をつけることを誓い合った。しかし、ザンはシレーヌに殺され、以来アモンはシレーヌを追いかけるようになり、自分との再戦の約束が忘れられたことに不満を抱いていた。
転校生・艫舵ヒカルとしてアモン=不動アキラの前に現れるが、アモンはニクスのことを全く思い出せなかった。ミキを人質にとり、アモンとの再戦を果たすが敗れる。しかし、アモンとの戦いで消滅した下半身を、凍らせた水で作り直し、再生する。名前はアニメ版デビルマンの登場人物「友田光一」から。
魔王サタン
古生代に地球に飛来した、外宇宙人の血を引く、両性具有の鳥人族(ハルピュイア)。
脳幹食い(ブレイン・イーター)のメドック
節足族(インセクター)のデーモン。他者の頭部に憑りついて、意のままに操る。
フラム
強力な炎を操る炎鬼族(イグニス)のデーモン。サタンの能力により召喚され、ミキの体を乗っ取ろうとするが失敗。ミキに憑りついていたメドックと融合してしまう。
冷元帥クルール / クルール・フォン・クラインバルト
悪魔族元老院の両巨頭の一角と称される、地精族。宝玉師団を率いる。
人間社会での顔は、ドイツの名門貴族クラインバルト公爵家の当主姉妹の姉で、ファッションブランドのクラインバルト・コレクションの総合プロデューサー兼宝石デザイナーを務める。
ココ
クルールの妹。服飾デザイナー。
悪魔王ゼノン
邪顔族(ゴーゴン)の王。かつて神を名乗る超越的な存在の侵攻で悪魔族が危機に瀕した際、悪魔族を団結させ神に立ち向かわせたが、それは罠で神の力をもって自分に付き従った大勢の悪魔たちを滅ぼした。

用語[編集]

魔王禁闘法
約6600万年前に、悪魔族元老院(セナトゥス・デアボリ)によって定められた、“魔王”同士の争いを禁じた法。“魔王”の称号は666体の同族を屠った者に冠されるもので、強者の証であり、上級悪魔とも称される。デーモンが繁栄した白亜紀後期には、巨大化した一部の恐竜にデーモンが捕食されるという事態が増加。元老院が状況を危惧していた時、シレーヌに元老院の長の1人・魔将軍ザンが殺害されるという事件が発生。これ以上、強力な固体数を減らすことは種族の維持のためにならないと判断し、この法律が制定された。

書籍情報[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b 『チャンピオンRED』2012年6月号610ページの作者・高遠るいへのインタビューより。
  2. ^ サタンは今作にも登場するが、『デビルマン』のようなキーパーソンではなく、敵の1人としてである。
  3. ^ コミックス5巻の作者後書きより