ZU-23-2

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ZU-23-2
ZU-23-2 in Saint Petersburg.jpg
サンクトペテルブルク砲兵博物館に展示されているZU-23-2
種類 対空砲
原開発国 ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
運用史
配備期間 1960年-
配備先 #採用国を参照。
関連戦争・紛争 ベトナム戦争
ソ連のアフガニスタン侵攻
そのほか多くの戦争紛争
開発史
開発期間 1950年代後半
製造期間 1960年-?年
派生型 #派生形を参照
諸元
重量 950kg
全長 4.57m
銃身 2m(87.3口径
全幅 2.88m
全高 1.22m
要員数 2名

砲弾 BZT曳光徹甲弾
OFZ曳光焼夷榴弾
口径 23x152mm
砲架 三脚
旋回角 360°
発射速度 2,000発/分(最大)
400発/分(実用)
初速 970m/秒
有効射程 1,500-2,000m(対空射撃)
最大射程 2,000-2,500m(対地射撃)

ZU-23-2ロシア語: ЗУ-23-2)もしくはZU-23は、第二次世界大戦後にソビエト連邦が開発した低空防空用の牽引式対空機関砲である。形式名のЗУは、対空砲架を意味するロシア語「Зенитная Установка」の頭文字であり、英字転写するとZUとなる。GRAUインデックスでは2A13[1]

概要[編集]

ZU-23-2は、口径14.5mmのZPU-1/2/4の後継として1950年代後半から開発が始まり、1960年に制式採用された。

ZU-23-2は、ガス圧作動方式の2門の23mm口径2A14機関砲をZPU-2後期型の二輪と三脚を備えた砲架に搭載している。牽引状態から車輪を折りたたんで接地させて射撃準備を整えるのに30秒かかるが、緊急時には牽引姿勢のままでも射撃は可能である。

照準は手動で行うが、改良型では電動旋回機構が搭載されている。ZAP-23光学機械式照準器に目標情報を入力することでより正確な対空射撃を行うことが可能であるほか、地上の歩兵や軽装甲車両を攻撃するためのT-3対地射撃用照準器も有している。

ソ連において約140,000基が生産されたほか、ライセンス生産がブルガリア[2]、ポーランド、エジプト[3]、中華人民共和国[4]で行われている。

ZU-23-2を牽引するために用いられる車両は多数あるが、ソ連・ロシアにおいてはGAZ-66四輪駆動トラックとGAZ-69四輪駆動車が特によく見られる組み合わせである。

この対空機関砲の成功が、後の自走対空砲ZSU-23-4シルカの開発につながった。

アフガニスタンに放棄されたBMP-1
奥の車両は、砲塔を取り外した部分にZU-23-2を取り付けている

ソ連のアフガニスタン侵攻においてソビエト連邦軍は、ZU-23-2をZIL-131ウラル-4320といったトラックの荷台に積載してガントラックを仕立てあげ、ZSU-23-4シルカと共に基地の警備や輸送車列の護衛に使用した。高仰角と高連射速度を活かして山や切り立った崖の上から攻撃を仕掛けてくるムジャーヒディーンに即座に弾幕射撃を浴びせることが可能であったため、ムジャーヒディーンにとっては恐るべき兵器の一つとなった。

これらアフガニスタンにソ連軍が持ち込んだZU-23-2は、残置したままソ連軍が撤退した後にムジャーヒディーンによって回収され、今度はアフガニスタン側によってソ連軍の航空攻撃への対抗手段として使用された。アフガニスタン紛争 (2001年-)においても、ターリバーン勢力と北部同盟の双方が、9K32 ストレラ2スティンガーミサイルといった対空ミサイルとあわせて防空手段として使用した。

ロシア連邦軍では旧式化に伴い対空ミサイル自走式対空砲に更新されていったが、軽量であることから現在でも空挺軍などで使用されている。また、複雑な対空システムより安価で扱いやすく、耐久性が高いという特徴から旧共産圏を中心に多数の国で使用され続けている。正規軍のみならず重火器が不足しがちな武装勢力ですら軽車両で牽引したり、後述のテクニカルとして保有している例が見られ、彼らにとって貴重な対空兵器火力支援兵器となっている。

ZU-23-2は牽引するだけでなく、正規軍・非正規武装組織問わずトラックの荷台に搭載してテクニカル的な運用をすることが多く、また、トラック以外にもMT-LB汎用装甲車M113装甲兵員輸送車などの屋根に搭載して自走式対空砲兼用の簡易歩兵戦闘車とすることもある。このようなテクニカルが好まれる理由は、対空機関砲を対空のみならず、地上目標を掃射するために多用されるからである。珍しいところではアフガニスタンにおいてBMP-1歩兵戦闘車の砲塔を取り外して兵員室の屋根にZU-23-2を取り付けている例もある。これは、ソビエト軍の現地改造なのか、アフガニスタン政府軍もしくはムジャーヒディーンによるものかは不明である。

レバノン内戦多国籍軍として参加していたアメリカ海兵隊の地上部隊は、1983年後半にZU-23Mによる攻撃を受けた。この攻撃に対し、当時の海兵隊スポークスマンは「ZU-23Mのような大口径機関砲を対人射撃に用いるのは、戦時国際法で禁止された、大きすぎる苦痛を与える非人道的な兵器使用である」との発表を行ったが、Maj. W. Hays Parksは1988年に発行された海兵隊新聞(en:Marine Corps Gazette)にこの見解は誤りであるとの反論を寄稿している[5]

このようなZU-23-2が対人射撃に用いられる様子は、リビア内戦においても両勢力がテクニカルに搭載したZU-23-2を広く用いていたことが知られている[6]。またシリア騒乱においても多用されていて、ピックアップトラックに装備されたZU-23-2が少なくとも1機のシリア軍ヘリコプターを撃墜しているビデオがYouTubeに投稿された。

派生形[編集]

ソ連・ロシア[編集]

ZU-23
ソ連製のオリジナル。
ZU-23M
ソ連製の改良型。照準装置にレーザー測距儀パッシブ赤外線式ナイトビジョンを取り付け、電動旋回機構を装備させている。

ポーランド[編集]

ZU-23-2にストレラ-2M(SA-7B グレイル)を取り付けた、ZUR-23-2S Jod
ポーランド陸軍の"Hibneryt"自走式対空砲
ポーランド海軍のZU-23-2MR機関砲
ZU-23-2
ポーランド製。電動式の旋回装置と電子式の照準装置を装備している。
ZUR-23-2S Jod
ポーランド製の改良型で、上記の電動旋回装置と光学電子式照準器の他にストレラ-2MNATOコードネーム:SA-7B グレイル)赤外線追尾式地対空ミサイル発射器を2基搭載している(picture)。
ZU-23-2MR
ZUR-23-2Sの艦載型。
ZUR-23-2KG Jodek-G
ZUR-23-2Sに改良された照準器を搭載し、地対空ミサイルをポーランド国産のGROMポーランド語で「稲妻」の意味)に換装した改良型(pictures)。
Hibneryt
ZU-23-2 シリーズの対空砲をポーランド製Star 266 トラックに搭載した自走式対空砲。シャーシとなったトラックには予備の弾薬を搭載しているほか、電動旋回機構を作動させるための発電機を追加している。

フィンランド[編集]

23 ItK 95
フィンランド製の改良型(picture)。

中華人民共和国[編集]

85式
中国製のZU-23-2。口径は23mm。
87式
中国製の改良型。口径を25mmにアップしている。

採用国[編集]

トラックに牽引されているZU-23-2
トラックの荷台に射撃姿勢で搭載されているZU-23-2
ヨーロッパ

ボスニア・ヘルツェゴビナブルガリアフィンランドギリシャハンガリーポーランドセルビア東ドイツ

ソビエト連邦構成共和国

アルメニアエストニアグルジアモルドバロシアウクライナ

アフリカ

アルジェリアカーボベルデエジプトエチオピアガボンギニアビサウリビアモロッコモザンビークナイジェリアタンザニアウガンダジンバブエ

中近東

アフガニスタンイランイラクレバノンパキスタンイエメン

南アジア東南アジア東アジア

バングラデシュカンボジア中華人民共和国北朝鮮インドインドネシアラオスモンゴルスリランカベトナム

ラテンアメリカ

キューバニカラグアペルー

登場作品[編集]

ゲーム
固定兵器や車載兵器として登場し、プレイヤーやAIが操作可能。発射時に特徴的な駐退動作が見られる。
プレイヤーが操作することはできないAI専用兵器として、地上固定設置2タイプとウラル-4320トラックに積載された自走対空砲タイプが登場。プレイヤーやAIが操縦する航空機の脅威、あるいは爆撃目標となる。
簡易的なFPS化を行う有料アドオン・モジュール「DCS: Combined Arms」を導入すると、プレイヤーがこれらを操作・操縦し戦闘を行うことも可能となる。
NRFやSRNが使用する。
ロシア軍の対空機関砲として登場。攻撃力が高く、敵ヘリコプターの驚異的存在だが、アメリカ軍の物より連射性能は劣る。
「スコーピオン」という名称で登場する。
山岳地帯に多数が設置されている。哨戒飛行しているハインドを容易に撃墜することが可能。

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]