スーパー2000

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スーパー2000(Super 2000、S2000)は、国際自動車連盟 (FIA) が定めた競技車両規定の1つ。グループAの発展で、ラリーツーリングカーレースに用いられた。

2011年SWRCに参戦するフォード・フィエスタS2000
2013年WTCCチャンピオンマシンのシボレー・クルーズ1.6T

概要[編集]

1990年代のラリーツーリングカーレースのメイン規定であったグループAは改造範囲が狭く、ベースとして高価かつ高性能な市販車が要求されるため、参戦可能な自動車メーカーが限られていた。そこで2000年にFIAが施行したスーパー2000では、量産車をベースに2.0リッターまでの自然吸気エンジンへの換装・駆動形式の変更・軽量化・エアロキットの追加などの競技用改造を認める一方、セミATアクティブデフなどの電子制御デバイスを禁止し、FIA公認コンポーネントを使用して車両コストを一定水準に抑えることを念頭に作成された。これにより低コストでベース車両からの大規模な改造が可能になり、メーカーの参入障壁が大幅に下がった。

なお同様の規格にスーパー1600があり、こちらは最大1,640ccの自然吸気エンジンで、前輪駆動である点が異なる。

ツーリングカーレースではイギリスツーリングカー選手権(BTCC)やヨーロッパツーリングカー選手権(ETCC)で用いられ、ETCCが発展した世界ツーリングカー選手権(WTCC)でも2005年の誕生時からスーパー2000はメイン規定として扱われた。2014年以降に施行された、改造範囲の広いTC1規定もスーパー2000の特例という扱いであったが、2017年末を持ってWTCC自体が消滅し、ツーリングカーレースでは用いられなくなった。

世界ラリー選手権(WRC)では2007年からプロダクションカー世界ラリー選手権(PWRC)への参戦が認められると多くのメーカーが参入し、既存のグループNを凌ぐ戦闘力を見せた。また2011年以降のワールドラリーカー(WRカー)規定の更新を巡り、コストや性能を抑制するためスーパー2000をベースにする案(スーパー2000+)が推進され、最終的に1,600cc直噴ターボを搭載する新WRカー規定(S2000 WRC)が誕生した。2010年には純粋なスーパー2000のみで争われるS2000世界ラリー選手権 (SWRC) も誕生するなど隆盛を極めた。しかし2013年を持ってラリーにおけるスーパー2000は1.6リッターターボのグループR5へに置き換わることになり、同年にSWRCはWRC2へと発展解消した。WRカーも2017年以降は改造範囲を広げ、スーパー2000からかけ離れたものとなった。規則上は2018年現在もスーパー2000の参戦自体は可能であるが、実際に用いているエントラントはほぼ存在しない。一方で、南アフリカなどの国内選手権では依然メインに使用されている。

主なレギュレーション[編集]

ラリーカーとツーリングカーとでそれぞれ個別のレギュレーションが存在し[1]、規則上ラリー版は「S2000ラリー」と呼んで区別する。 さらに2011年より世界ツーリングカー選手権(WTCC)および世界ラリー選手権(WRC)の最高クラスで使用する1.6L 直噴 ターボ(1.6L DI T/C)エンジン車両に対するレギュレーションが追加された[2]

ベース車両
  • 連続する12か月間に2,500台以上生産された4座席以上を有する車両で、グループAの公認を取得する必要がある。
最低車重
  • ラリーカー(スペアタイア1本を含む)
    • 車両のみで1,200kg以上かつドライバーとナビの体重を含んで1,350kg以上。
  • ツーリングカー(全ての装備品を付けたドライバー体重を含む)
    • オリジナルまたはGr.Nにて公認されたトランスミッションを使用した前輪駆動車は1,140kg。
    • S2000にて公認されたトランスミッションを使用した前輪駆動車は1,170kg。
    • オリジナルまたはGr.Nにて公認されたトランスミッションを使用した後輪駆動車は1,170kg。
    • S2000にて公認されたトランスミッションを使用した後輪駆動車は1,200kg。
エンジン
  • 2L NA仕様
    • 排気量は2Lまで。
    • 自然吸気(NA)のみ。
    • レブリミットは、ラリーカーが8,500rpm。ツーリングカーが4気筒は8,500rpm、5気筒は8,750rpm、6気筒は9,000rpm。
  • 1.6L DI T/C仕様
    • 排気量は1.6Lまでおよび気筒数は4気筒まで。
    • ガソリン直噴およびターボ過給のみ。
    • レブリミットは8,500rpm。
駆動系
  • 変速機構は機械式のみ。
  • ラリーカー
    • 四輪駆動車への改造が可能で、公認された車両のもの。または公認されたもののみ使用可能。
  • ツーリングカー
    • 二輪駆動のみで公認された形式を変更しなければ改造は自由。公認された車両のものを改造する場合は5速まで(5速を超える場合は、6速以上が作動できないようギアを除去する)。S2000にて公認されたシーケンシャル・トランスミッションは6速まで。
サスペンション
その他
  • ABSやEPSなどドライバーエイドとなる電子デバイスは使用禁止。
  • 車体価格は16万8千ユーロまで(日本円にして2,000万円前後)。

主な車種[編集]

ラリーカー[編集]

ツーリングカー[編集]

S2000規定が導入された選手権[編集]

脚注[編集]

関連項目[編集]