フォード・ブロンコ

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ブロンコBronco )は、フォード・モーターが製造するSUVである。

初代(アーリーブロンコ 1966年-1977年)[編集]

第1世代

最初のブロンコはコンパクトなSUVで、ジープ・CJモデル、ジープ・チェロキーに対抗して造られた。ホイールベース92インチと小型なサイズは、オフロード走行で人気となった。(後にフォードのコンパクトSUVは、フォード・ブロンコIIフォード・エスケープにその地位を取って代わられる。)ブロンコは、アクセルとブレーキを4輪駆動のピックアップトラックF-100のものを流用している以外は、フレーム、サスペンション、ボディのほとんどがオリジナルの設計によるものである。初期のエンジンは170立方インチで、1969年にパワフルで性能がよく、より豪華な仕様のシボレー・ブレイザーが登場するまでは、スカウトやジープに対抗していた。シボレー・ブレイザーの登場に対してオプションのエンジンとしてチャレンジャー289V8(200馬力)と同302V8(205馬力)を用意したが、ブレイザーの350立方インチ(255馬力)にかなうものではなかった。1973年パワーステアリングオートマチックトランスミッションが追加され、販売台数を伸ばしたが、それでもブレイザーの半分程度でしかなかった。1974年頃には、より大きく、快適な車となること、つまりフルモデルチェンジがブロンコに求められ、販売不振はさらに続いた。

2代目(1978年-1979年)[編集]

1978年、新たにデザインされたブロンコでは、シャシー、ドライブトレイン、ボディの多くをF-100トラックと共用した。設計は1972年から開始されたが、1970年代のオイルショックによってその開発は遅れていた。ボディサイズが大型化され、フルサイズのSUVであるブレイザーや、ダッジ・ラムチャージャー、プリムス・トレイルダスタージープ・グランド・ワゴニアトヨタ・ランドクルーザー等に対抗しうるようになった。ベースのエンジンはV8の351V8と400立方インチ(6,555cc)が用意された。1979年には、触媒を含め、様々な排気対策のための改良が施された。

3代目(1980年-1986年)[編集]

第3世代

大規模なモデル・チェンジが1980年に行われた。モデルは、新たにデザインされたF-シリーズをベースとしている。新しいブロンコは、全長が短くなり、パワートレインに僅かな改良が成された。最も顕著に改良されたのは、TTB(Twin Traction Beam)と呼ばれるフロント・サスペンションである。燃費を考慮して、エンジンには直列6気筒300立方インチがベースとなったが、このエンジンは上級の5.0リッターよりもトルクがあった。1984年、電子制御の排気システムが採用された。この年、351立方インチのエンジンが、さらに1987年には5.8リッターが最上級エンジンとして投入された。なお、フォードは1982年までボンネットにFORDの文字を施していたが、この年から青い楕円の中にFORDと書かれたロゴを使い始めるようになった。

4代目(1987年-1991年)[編集]

第4世代

1987年フルサイズのボディとドライブ・トレインのブロンコは再びF-シリーズをベースに改良を受けた。新たなボディはエアロダイナミクスの影響を受け、他の車と同様に大型化し、そのスタイルはリフレッシュした。1988年、全てのブロンコは電子制御のフューエル・インジェクションを採用して販売されるようになった。1991年、25周年記念モデルとしてシルバーのボディにグレーの内装を施されたモデルが発売された。

5代目(1992年-1996年)[編集]

第5世代

1992年、F-シリーズをベースとして、安全性の向上を大きな目標として改良された。

1994年にはサイド・エアバッグが追加装備された。内外装とも僅かに変化が見られるほか、ソフトトップ・モデルが追加された。ドライブ・トレイン などに関しては変更されなかった。

6代目(2021年-)[編集]

フォード・ブロンコ(6代目)
概要
製造国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
販売期間 2021年–
ボディ
ボディタイプ 5ドアSUV
2ドアSUV
駆動方式 四輪駆動
パワートレイン
エンジン 2.3L EcoBoost 直列4気筒 DOHC ターボ
2.7L EcoBoost V型6気筒 DOHC ツインターボ
最高出力 274PS(2.3L)
314PS(2.7L)
最大トルク 43kgf・m(2.3L)
55kgf・m(2.7L)
変速機 7速MT
10速AT
車両寸法
ホイールベース 2,550mm(2ドア)
2,949mm(4ドア)
全長 4,440mm(2ドア)
4,811-4,839mm(4ドア)
全幅 1,928-2,014mm
全高 1,783-1,814mm
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2017年北米国際オートショーにて、2020年にブロンコを復活させると発表。2019年3月にプロトタイプが完成し、翌2020年3月の発表を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期され、同年7月13日に発表された。

歴代モデルと比較して車体は小さくなり、史上初の中型SUVとなったが、ラダーフレームを持つ本格的なクロスカントリー車という位置づけは堅持されている。ボディは4人乗り2ドアのほか、ブロンコ初の5人乗り4ドアもラインナップされる。初代モデルの「G.O.A.T. (Goes Over Any Type of Terrain)」コンセプトを継承し、オフロード走行を重視した最新技術が多数組み込まれている。

エンジンは直噴ガソリンターボの「EcoBoost」を搭載。標準の2.3L 直列4気筒エンジンは最大出力274ps、最大トルク42.8kgmを発生する。オプションで2.7L V型6気筒エンジンも用意され、最大出力314ps、最大トルク55.3kgmを引き出す。トランスミッションは7速MTと10速ATから選択できる。

2021年6月に生産を開始。フォードが日本市場から撤退しているため、正規輸入は行われない。

ブロンコスポーツ[編集]

ブロンコスポーツ

ブロンコと同時発表され、2020年10月より生産開始。本格的なクロスカントリー車であるブロンコに対し、モノコックボディを持つ都市型SUVとして開発された。

エンジンは直噴ガソリンターボの「EcoBoost」で、標準で1.5L 直列3気筒エンジンを搭載。オプションで2.0L 直列4気筒エンジンも用意される。トランスミッションは8速ATのみ。

グレード体系はベースモデルのほか、「Big Bend」「Outer Banks」「Badlands」の全4グレードが基本となり、「Badlands」を除き全て1.5Lエンジンが標準となる。ベースモデルは17インチアルミホイール、マニュアルシート、マニュアルエアコンを装備。「Big Bend」は17インチアルミホイール、マニュアルシート、オートエアコンを装備し、オプションで電動シート、シートヒーター、パワームーンルーフ、アダプティブクルーズコントロールが選択できる。「Outer Banks」は18インチアルミホイール、電動レザーシート、シートヒーター、オートエアコンを標準装備するハイグレード仕様。「Badlands」のみ2.0Lエンジンを搭載し、オフロードサスペンション、ツインクラッチリアドライブユニット、17インチアルミホイール、電動シート、シートヒーター、オートエアコンを標準装備し、オプションで電動レザーシートを選択できるオフロード特化型のモデル。

関連項目[編集]