水力

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水の循環
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水力(すいりょく、Hydropower,Waterpower)とは、の持つ位置エネルギー運動エネルギーを、動力として利用すること、あるいはそうやって得られる動力のことである。水の勢いによって生まれる水の力のこと。

概要[編集]

水力では羽根車を水の力を利用して回すことによって、他のエネルギーに変換する。電力などのエネルギーに変える場合もあり、この際には水力発電の略称として用いられることもある。

一般的に水を使って動力を得る様式で主なものとしては、以下のような形式がみられる。

  • 水車などの水の流れを利用し、製粉水車小屋)や揚水(例:ハマー揚水用水車)などを行う。
  • 発電用水車
    • 水力発電ダムと併用し、高いところから落ちる水を利用して発電を行う。小規模な場合はダムを併用しないこともある。
    • 潮力発電:潮の干満を利用して発電を行う。潮汐発電とも呼ぶ。
    • 揚水発電:電力消費量が少ない時にポンプで水を汲み上げて、電力消費量が多い時に発電を行うもの。つまり、電力を水の位置エネルギーに変換して蓄えておく、電力貯蔵装置とでも言うべきものである。水の汲み上げの時に使う電力の方が多い。

これらは、その水の持つエネルギーの種類(位置エネルギー / 運動エネルギー)にもよって様々ではあるが、この外にも水の溶媒としての濃度や、その溶媒としての機能を利用して、溶け込んでいる資源を回収・利用することでエネルギーを得ることも可能ではあるが、それらは余り「水力」の範疇では扱われない。

水の持つ位置エネルギーや運動エネルギーは、地球全体の環境からみると、主に太陽光やそれに起因するによって、水が三態(三相)に変化しながら移動した結果だとみなすことが可能である。などに溜まっている水は、蒸発することで空気中に上り、の形で再び地上に降り注ぐ。こと位置的に高い地域に降りそそいたこれらの水は、となって低い場所へ移動するが、この過程で川の流水を直接ないしダムに蓄えるなどして、その位置エネルギーや、低い位置に向かって流れるという運動エネルギーを利用するのである。海流もそういった太陽からの熱エネルギーが関与しているが地球自転も関与しているし、潮汐の場合は地球の自転の他にも太陽引力が関与しているなど、やや複雑である。

いずれにしても地球が太陽からの恩恵を受け続ける限りにおいては、そのエネルギーはほぼ無尽蔵に使うことができると考えられており、またそういった「自然に元々存在するエネルギーを利用する」という観点において、火力による二酸化炭素原子力における放射性廃棄物などといった汚染の心配がないことから「公害のないクリーンなエネルギー」ともみなされる。ただ、この水の持つエネルギーを利用する上で、ダムの設置など水の移動を制限する施設を設置することで、周辺の環境に影響を与える可能性があり、流水量の変化に伴い水辺生態系への影響から、下流の流水量変化に伴い、この水量に依存する様々な影響(河川の浄化能力の減少や浚渫力の減少に伴う水底への土砂の堆積など)もみられる。この影響は程度問題ではあるが、規模によっては深刻な環境問題となる場合もある(→アスワン・ハイ・ダムのケースなどを参照)。

なお水力の利用は古くからよく研究されているため、水量の規模によって様々なレベルでこれの利用が可能である。例えば、小川のような小さな流れに設置可能な小水力発電機から、河口海峡などに設置することを前提とした潮力発電まで、その規模に応じた設備が開発・利用されている。なお小川に対応したものでは、個人での設置が可能な製品もある。

関連項目[編集]