BMW・5シリーズ

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BMW・5シリーズBMW 5 Series )は、ドイツ自動車メーカー・BMWが製造・販売している乗用車である。

概要[編集]

5シリーズは5人乗りのセダンもしくはステーションワゴンである。欧州ではセグメントEの大きさに分類される乗用車の代表的なモデルである。

2008年1月には累計生産台数が500万台に達した[1]。車名の後のアルファベットは、iフュエルインジェクションeはイータエンジン、tターボエンジンdディーゼルをあらわす。

初代(1972年-1981年)E12[編集]

518前期型
520後期型

初代5シリーズ。「ノイエクラッセ」と言われた1800/2000系の後継としてデビューした。1977年にマイナーチェンジを行い、グリル、ボンネット、リアコンビネーションランプなどが新しくなり、同時に給油口がリアナンバープレート横から右リアフェンダーへ移動している。欧州では末期に3.5リッターの535iおよびエアロパーツを纏ったM535iが発売される。

日本での販売[編集]

日本へはバルコム・オート・トレイディングが輸入していた。正規輸入車の最初期導入モデルは日本の法規に合わせてフェンダーミラーを装備していたが、途中からドアミラーに変更された。

日本での正規輸入モデル
グレード 販売期間 エンジン 排気量 最高出力 備考
520 1973年-1974年 直列4気筒SOHC 1,990cc 115馬力 2002と同じツインキャブ仕様ではあるが大きく重いボディゆえ、若干パワーアップされていた。
MTが選べた。オイルショックによる排ガス規制と前後して触媒付の520iと入れ替わる。
520i 1975年-1979年 105馬力 320iと共通のエンジン インジェクション仕様となったが、触媒が付いた関係で520よりも出力が下がっている。
530i 直列6気筒SOHC 2,986cc 175馬力 上級セダン3.0iと同じ6気筒エンジンを搭載する5シリーズのフラッグシップモデル。
アメリカ仕様をベースとしている。こちらも年々厳しくなる排ガス規制ゆえに短期間で導入が中止された。
518i 1980年-1981年 直列4気筒SOHC 1,766cc 100馬力 520iと交代で導入された4気筒モデル。
これは318iのエンジンを5シリーズボディに移植したもので、他国では販売されていない。
528i 直列6気筒SOHC 2,788cc 165馬力 末期に加えられた6気筒モデル。やはりアメリカ仕様をベースとしている。

2代目(1982年-1988年)E28[編集]

2代目5シリーズ。6シリーズ(E24系)とプラットフォームを共用する。デザイン面では初代をリファインした感じが強い。当時、BMWは風洞設備を持たなかったために、風洞実験によって設計された同世代のアウディ・100メルセデス・ベンツ・Eクラスと比較すると空力面での遅れは否定できなかった。このモデルから高性能なM5が販売される。

日本での販売[編集]

BMWの日本法人として1981年昭和56年)に設立されたBMWジャパンが輸入・販売を行っていた。518iA、528eA、533iAのラインナップが当初用意され、その後518iAが520iAに、533iAがM535iAへ変更されたほか、524tdA、M5が追加された。(末尾の"A"はオートマチックトランスミッション搭載の意味。その他アルファベットは上記参照) 日本仕様は環境対策から全車キャタライザー(触媒)付きモデルで、排気ガス規制が遅れていた欧州仕様(触媒なし)に比べ一部を除きパワーダウンした仕様となっており、法規上の理由からヘッドライトの外径がアメリカ仕様と同じ4灯同径規格サイズのシールドビームが採用された。(欧州仕様など、その他地域の仕様は車体外側のLoビームが内側のHiビームに比べ外径が大きくなっている) また、M5は初代M6(E24)と同様にデビュー後しばらくの間は日本へ導入されなかったため、正規輸入された車両は非常に少ない。当時は正規ディーラー網が未整備だったこと、内外価格差が大きかったことなどから並行輸入も盛んで、528i(2.8Lの直列6気筒M30型エンジン…通称ビッグシックス、184馬力)、M535i(触媒なし本国仕様、218馬力)などが並行輸入業者によって販売された。 日本仕様の正規輸入車は全て左ハンドルとなるが、南アフリカ共和国の工場で製造された右ハンドル仕様も少数が並行輸入されている。

日本での正規輸入モデル
グレード 販売期間 エンジン 排気量 最高出力 備考
528eA 1982年-1988年 直列6気筒SOHC 2,693cc 120馬力
(1987年-1988年のみ129馬力)
燃料効率を重視した設計のエンジンを搭載。末尾の「e」はギリシャ語の『eta』(イータ)を意味する。
当初は3段ATであったが、1985年から4段ATに変更された。
排気量の割にパワーは抑えられていることから欧州では525eとして販売されていた。
518iA 1982年-1986年 直列4気筒SOHC 1,766cc 100馬力 日本仕様は3段AT、末期にはATが4段化された。
533iA 1983年-1984年 直列6気筒SOHC 3,210cc 180馬力 日本/北米向けに用意されたモデル。1984年にはBMW Japanの3周年を記念してウォルター・マウラーデザインの533iを100台限定販売した(アルピンホワイトのボディにグレーのグラデーションが施されている)。日本仕様は3段AT、末期にはATが4段化された。
524tdA 1984年-1986年 直列6気筒SOHCディーゼルターボ 2,443cc 115馬力 BMW初のディーゼルモデル。税法上518i同様5ナンバーとして扱われた。
M535iA 1985年-1988年 直列6気筒SOHC 3,430cc 185馬力 Mテクニックステアリング、ビルシュタイン製スポーツサスペンション、専用デザインアルミホイール、前後オーバーフェンダー、機械式LSD(リミテッド・スリップ・デフ)、2本線のボディーストライプ、前後"M"エンブレム(リアのエンブレム表記は「M535i」)、オンボードコンピューター(多機能時計)を備えている。

なお、日本仕様はこれらの装備を装着した「M535i」というグレードのみであり、欧米仕様に存在する「535i」というグレードは日本では正規販売されていない。

また、セットオプションとして、BMW M製の前席スポーツシート、Mテクニックエアロキット(前後専用デザインバンパー・サイドステップ・リアスポイラー)、ドアモール上部及びテールライトのメッキ部分をブラックアウト化、リアエンブレムを「M535i」から「M」マークのみへ変更した「スポーツパッケージ」も存在する。日本仕様のみ、リアエアロバンパー中央部分に黒色の細長いモールが装着される。スポーツパッケージ仕様はメーカーセットオプションとなるが、これらの装備は「BMW Mテクニック」オプションパーツとして単独でも購入することが可能だったため、ディーラー等で中古車架装時などにMテクエアロパーツのみを装着して販売した車両なども存在し、ベース車両が比較的地味なデザインだったことも伴い、このMテクエアロパーツの型を模したFRP製の粗悪なコピー商品も出回った。

末期に、「M535i」をベースに外板色をM5専用の「マカオブルー」、キドニーグリル以外の外装メッキモール類のブラックアウト化、前後エンブレムレス化、バッファローレザーシート(ノーマル形状シート)などを装備した「エディション5」が限定販売された。


520iA 1987年-1988年 1,990cc 129馬力 BMWは1987年から全車キャタライザー(触媒)付となったため、それまでキャタライザーなしの仕様のみしか存在しなかったライトシックスモデル(直列6気筒M20型エンジン搭載車)を初めて導入。

M5(初代)[編集]

直列6気筒DOHCエンジン、3,453ccのエンジンを搭載。5MT M5に搭載されたエンジンは、かのBMW・M1のものを改良したもので、最高出力は286馬力(日本仕様は260馬力)を発生。最高速度は250km/hに達し、当時の世界最速の4ドアサルーンであった。 キドニーグリル以外の外装メッキモール類のブラックアウト化、及び前席スポーツシートは標準装備だが、BMW Mによるオーダーメイド車両なので、Mテクニックエアロパーツの有無など様々な仕様が存在する。初代M6(E24)同様、発売当初正規輸入されなかったため並行輸入車が多い。(1985年に本国デビューしているが、日本では1987年から導入)

3代目(1988年-1995年)E34[編集]

520i
525i最終型

1988年に3代目5シリーズがデビュー[2]。E32型7シリーズと共通する印象のスタイルであった。Cd値は0.30-0.32を達成し従来型から飛躍的に向上した。また、ミディアムクラス(W124)を見習いボディ剛性も大幅に向上させたが、同時に車重も増えW124よりおよそ100kg重くなった車重のために、ドイツでは先代の量販グレードであった518iが切り捨てられた。535iはビッグシックスと呼ばれる名機を搭載した最終モデルである。先に登場した735iにも採用された第3世代DME(デジタル・モーター・エレクトロニクス)制御となり出力の向上を果たしている。

1991年に520i、525iがDOHCに変更するとともに4速ATから5速ATとなった。(なお535iは4速AT)

1993年にはマイナーチェンジを行い、V型8気筒DOHCエンジンを搭載する530i、540iが導入されたため、直列6気筒 3.5リッターエンジンを搭載する535iが消滅。V8モデルには熱対策のためにワイドキドニーグリルが与えられた。また、全車に運転席エアバッグを装備。

1994年には直6モデルにもワイドキドニーグリルを与えた。助手席側のエアバッグも標準装備となった。同時に525i、530i、540iにM製のエアロパーツ、スポーツサスペンション、スポーツシート、BBS製2ピースアルミホイールなどを装備したスポーツパッケージが設定される。 5シリーズのサスペンション形式は、3代目(1988年-1995年)E34の頃までは前輪がマクファーソン・ストラット式、後輪がセミトレーリングアーム式を採用していた。

日本での販売[編集]

1988年昭和63年)、まず日本に導入されたのが、直列6気筒SOHCエンジンを搭載する525i 535iであった。日本に正規輸入されたモデルは以下のようになっている。

日本での正規輸入モデル
グレード 販売期間 エンジン 排気量 最高出力 備考
セダン
525i 1988年-1991年 直列6気筒SOHC 2,493cc 170馬力 550万円。1991年平成3年)にBMW JAPAN10周年を記念した限定車が発売される。限定色や本革製スポーツシート、専用のウッドパネルが装備されていた。
535i 1988年-1993年 3,430cc 211馬力 780万円 535iのみの装備としてオーディオ横のオンボードコンピュータが搭載される。時刻、日付、外気温、平均燃費、平均車速のほか、盗難防止用の暗証番号等も任意で設定できる。1991年平成3年)にBMW Japan10周年を記念した限定車が発売される。内容は525iに準ずるものだが、前席がパワーシートとなりサンルーフもつく。1992年平成4年)にはエアロパーツ、スポーツサスペンションやスポーツシートなどM5に準ずる装備を持った535iスポーツが限定発売される。 オプションのサンルーフはプラス20万円。 正規ディーラー車のうち、ミシュランTRXが装着された車体も存在した。末期には右ハンドルも選択できた。
520i 1991年-1996年 1,990cc 150馬力 520万円。右ハンドルのみの設定になった。 525iとの装備の差はアロイホイール、フロントフォグランプ(後に標準装備化)、一本出しマフラーに留まる。
525i 1991年-1996年 2,493cc 192馬力 価格600万円1994年平成6年)と翌年にそれぞれ特別仕様車「セレクション」が発売される。専用ボディカラーやレザーシート、ウッドパネル、CDチェンジャーなどが装備されていた。
530i 1993年-1996年) V型8気筒DOHC 2,996cc 218馬力 動力性能的には525iと大差はないが、ウォールナットパネルやワイドキドニーグリルを装備にすることにより高級感を演出していた。 サイドステップが標準装備となる。
540i 1993年-1996年 3,981cc 286馬力 価格845万円。エンジン停止中でも外気循環を自動的に行うクライメートコントロール、クルーズコントロールなどが540iには標準装備であった。リアブレーキにベンチレーテッドディスクが装備された。
ツーリング(ステーションワゴン
525i 1992年-1996年 直列6気筒DOHC 2,493cc 192馬力 1992年から導入開始。2枚式の巨大なパネルサンルーフがツーリングモデル最大の特徴であった。(525iにはオプション)ただ、剛性面で難があった感は否めず、以降のBMWツーリングモデルには一度も採用されていない。ドイツでは520iからM5までのラインナップが存在したが、日本導入モデルは525iと540iの2車種のみである。525iは右ハンドルのみ、540iは左ハンドルのみの設定。540iは販売期間が短く価格も900万円と高価であった。
540i 1994年-1996年 V型8気筒DOHC 3,981cc 286馬力

M5(2代目)[編集]

M5最終型

E34型M5は1988年に3.6リッター直列6気筒DOHC エンジンに5速MTの組み合わせでデビューした。17inのホイールは市販車では珍しくアルミホイールにエアロディスクを被せたもので、高速域での安定性とともに、欧州車によく見られる多量のブレーキダストを排出する役割も兼ねていた(アルミホイール+ホイールカバーという組み合わせは後にトヨタ・プリウスでも行われた)。

1993年には排気量を3.8リッターに拡大し出力を向上させた。タイヤサイズは変わらないものの、ホイールは一般的なデザインに改められた。そして1994年の改良では6速MTと18inタイヤが採用された。 後期型は出力の強化により、フロントブレーキが大径、4ピストン化された。

最高速度はリミッターによって250km/hに制御される(ちなみに250km/hという数字は、1987年、750iの発売に当たってメルセデス・ベンツとの紳士協定で交わした両社サルーンの最高速度である)。

日本での正規輸入モデル
グレード 販売期間 エンジン 排気量 最高出力
M5 1988年-1993年 直列6気筒DOHC 3,535cc 315馬力
1993年-1996年 3,795cc 340馬力

カナダ市場では540iにM5と同じ外観と6速MTを組み合わせたM540iが発売された。その他、4輪駆動モデルの525iXやディーゼルの524td、525tdsなどが発売されたが日本市場に正規輸入はされなかった(ただし四輪駆動モデルはアルピナB10-3.0Allradのみ、アルピナの正規ディーラー・ニコルにてわずかながら販売された)。

4代目(1996年-2003年)E39[編集]

4代目5シリーズ 前期型
4代目5シリーズ 後期型
4代目5シリーズ 後期型 ワゴン

4代目5シリーズ。エクステリア・デザインは、BMWのデザイナーである永島譲二。先代よりボディーサイズを拡大したが、空気抵抗係数(Cd値)は0.29-0.30である。アルミ製サスペンション(リアサスはこの代からインテグラルアーム式<5リンク>)を採用し、さらなる安定性および、軽快なハンドリングを実現するとともに、ASC+Tと呼ばれるトラクションコントロールを直列6気筒モデルに装着した。V型8気筒モデルにはASC+Tを発展させたDSCと呼ばれる横滑り防止機構を装備。

パッシブセーフティの面でも充実しており、初期モデルではエアバッグがフロント左右、サイド・エアバッグの4エアバッグであったが最終的にはITSヘッド・エアバッグを含む10エアバッグにもなった。電子制御デバイスの導入にも積極的で、自動防眩機能を内蔵したルームミラーやレインセンサー付きのワイパーなどが装備される。

1997年には直列6気筒モデルにステーションワゴンのツーリングが追加される。1998年には直列6気筒モデルのトランスミッションがマニュアルモード付きのステップトロニックと変更を受けるとともに可変バルブ機構のVANOSが吸排気の両方に作動するダブルVANOSに進化。1999年にはBMW Mがデザインしたエアロパーツやホイール、内装を持つスポーティーなMスポーツが追加される。

2000年にはフェイスリフトを行い、1996年から2000年までのモデルが前期、2000年以降が後期となる。後期の外見上の大きな識別点は国内でイカリングと呼ばれるエンジェルライト。直列6気筒(M52)エンジンを一新して、パワーアップを図りつつ排ガスもクリーンになった。2.8リッターが廃止になり528iがカタログ落ちし530iが加わる。M52エンジンから進化したM54エンジンは当時世界最高水準のパフォーマンスを誇った。

日本での販売[編集]

日本に正規輸入されたモデルは以下のようになっている。

日本での正規輸入モデル
グレード 製造年 エンジン 排気量 最高出力 価格
前期型
525i[3] 1996年-2000年 直列6気筒DOHC 2,493cc 170馬力 543万円
528i 2,793cc 193馬力 613万円
540i 1996年-2003年 V型8気筒DOHC 4,398cc 286馬力 798万円
528iツーリング 1997年-2000年 直列6気筒DOHC 2,793cc 193馬力 645万円
後期型
525i /525i Mスポーツ 2000年-2003年 直列6気筒DOHC 2,493cc 192馬力 530万円
530i/530i Mスポーツ 2,979cc 231馬力 610万円
540i/540i Mスポーツ 1996年-2003年 V型8気筒DOHC 4,398cc 286馬力 885万円
525iツーリング 2000年-2003年 直列6気筒DOHC 2,493cc 192馬力 578万円
530iツーリング 2,979cc 231馬力 661万円

M5(3代目)[編集]

M5(E39)

E39型M5は先代まで使用していた直列6気筒エンジンを採用せず、新開発のV型8気筒DOHCエンジンを搭載して馬力は400馬力の大台に乗った。トランスミッションは6速MTのみであった。外装は専用エアロパーツ、専用18inアルミホイールで仕立てられ、内装はレザーであった。最高速度はリミッターで250km/hに制限されるものの、解除することで295km/h以上の速度を出すことができた。

グレード 製造年 エンジン 排気量 最高出力
M5 1998年-2003年 V型8気筒DOHC 4,941cc 400馬力


5代目(2003年-2010年)E60/E61[編集]

5代目5シリーズ(アメリカ仕様)
5代目5シリーズ ワゴン
5代目5シリーズ 後期型

「E60」はセダン、「E61」はツーリング(ワゴン)のモデルコードである。

先代に比べて車体寸法が拡大したが、重量増加を抑えるため、Aピラーよりも前、フロント部分はアルミニウム構造とされた。当初搭載されたエンジンは、直列6気筒は先代モデルに搭載されていたエンジン(M54)の流用、V型8気筒バルブトロニックを装備した新型のものであり、4気筒2,000ccエンジンや、ディーゼルエンジンもあった。変速機MTのほか、全てのエンジンに新しい6速ATが組み合わされた。

技術面では「アクティブステアリング」と呼ばれる、ステアリングギア比を走行速度によって変化させる可変ギアレシオ・パワーステアリングが搭載され、これには横滑り防止機構と連動して自動的にカウンターステアを当てる機能も備わっていた。また、「ダイナミックドライブ」と呼ばれる、モータースタビライザーを組み合わせによってコーナリング中に左右のロールを抑え、乗り心地と操縦性を確保する機能も設定された。E6X・7シリーズに先行装備された、iドライブ(アイドライブ)と呼ばれる車内快適装備の操作のためのコンピュータシステムも搭載された。

外観デザインはエッジを多用するなどして、従来のBMWとは大きく異なったイメージのものであった[4]。これには賛否が分かれたものの、デザインを革新的なものにすることはBMW社内上層部による決定事項であり、オーナーであるクヴァント家もこの新しいデザインを強く支持していたという[4]。このデザインはクリス・バングルが率いるBMW社内のデザインチームによるもので、実際に採用された作品は、イタリア人デザイナー、ダビデ・アルカンジェリ(Davide Arcandeli )によるものだった[4]。ただしダビデは、急性白血病によりこの自動車の発売前に死去している。

歴史[編集]

2005年にはエンジンを一新、直列6気筒にはバルブトロニックが採用され、マグネシウム合金を用いての軽量化や低燃費が試みられた。V型8気筒エンジンは従来の4.4リッターを拡大した4.8リッターと4.0リッターが追加された。同時期にヘッドアップディスプレーをオプション設定され、内外装に対して特別注文を受け付けるBMWインディビジュアルのプログラムも開始された。

2007年にマイナーチェンジが行われ、フロントグリル、バンパー、ライト類の意匠変更のほか、トランスミッションも改良され、シフト時のタイムラグが従来の半分となった。530iはエンジンが変更されて出力が向上した。

日本での販売[編集]

2003年平成15年)に販売が開始され、翌年にはワゴンの「ツーリング」と、パッケージオプションとして『Mスポーツ』仕様が追加された。販売された全てのモデルにおいて変速機はATのみの設定であり、アクティブステアリングも標準装備として販売された。

日本での正規輸入モデル
グレード 販売期間 エンジン 排気量 最高出力 変速機
525i
525iツーリング
2003年-2005年
2004年-2005年
直列6気筒DOHC 2,493cc 192馬力 AT
525i
525iツーリング
2005年-2010年
530i 2007年-2010年 2,973cc 272馬力
545i 2003年-2005年 V型8気筒DOHC 4,398cc 333馬力
540i 2005年-2010年 3,999cc 306馬力
550i 4,798cc 367馬力

M5[編集]

M5(E60)

M5として4代目に相当するE60型M5は、F1技術のフィードバックによる新開発のV型10気筒DOHCエンジンを搭載する。馬力は先代の400馬力からさらに107馬力アップし507馬力である。この507という数字は幻のロードスター「BMW 507」をリスペクトした結果とも言われている。ただし常時507馬力モードではなく、始動時はエンジン保護の理由から400馬力モードであるが「P500」と「P500S」モードを選択することにより507馬力を発生する。

ハンドルに備わるMボタンでは「シフトスピード」、「エンジンマネージメント」、「EDC」などのセッティング内容を割り当てることができ、Mボタンを押すことで瞬時にそのセットアップを呼び出すことができる。またいわゆる隠しモードも存在し、DSCオフ状態でエンジンマネージメントを「P500Sモード」とすることにより、最高シフトスピードが元来の「5」から「6」に変更可能となる。運転席側フロントガラスにエンジン回転数、速度、ナビメッセージなどを映し出すヘッドアップディスプレイも備え、さながらF1パイロットのような気分も味わえる。

変速機は油圧によりクラッチを作動させる、2ペダルMTのセミオートマチックトランスミッションとなる7速SMGを搭載する。米国仕様では7速SMGと6速MTが選択できるが日本仕様はSMGのみ。さらに加速アシスト機能も加わり、0-100kmは4.7秒を切る。

外装は専用エアロパーツで、フロントフェンダーにはエア・アウトレットが空いているが機能上の放熱効果はない。リヤのMスポイラーは日本では標準装備だが、海外では選択制。足周りには専用19inアルミホイールが装備されるが、オプションでM6用ホイールも選択でき、リヤのオフセットが張り出していることもありマニア間ではM6ホイールも人気である。M5、M6ホイールどちらともBBS製。

速度リミッターはメーター読み270km/hで作動する。欧州にはワゴン仕様であるM5ツーリングも存在するが、日本国内には正規輸入されていない。

グレード 販売期間 エンジン 排気量 馬力 変速機
M5 2004年-2010年 V型10気筒DOHC 4,999cc 507馬力 7速SMG

6代目(2010年-)F07/F10/F11[編集]

BMW・5シリーズ
F10/F11型
フロント(530d)
BMW 530d (F10) front 20100410.jpg
リア
BMW 530d (F10) rear 20100410.jpg
販売期間 2011年-(日本)
乗車定員 5人
ボディタイプ 4ドアセダン・5ドアワゴン
変速機 6速MT
8速AT
駆動方式 FR
サスペンション 前:ダブル・ウィッシュボーン式 後:インテグラル・アーム式
全長 4,910mm(セダン)
全幅 1,860mm(セダン)
全高 1,475mm(セダン)
ホイールベース 2,885mm-2,968mm
車両重量 1,625kg-1905kg
-自動車のスペック表-

6代目は新しいクロスオーバー車となるグランツーリスモ(F07)から発売された。これはハッチバック型のもので、2009年3月に世界的に発表され、日本では同年11月に535i/550iグランツーリスモの受注が開始された。続いて2010年3月25日にセダン(F10)が、半年後の9月にステーションワゴンのツーリング(F11)が日本で発売された。528iはBMWとして初めて日本のエコカー減税対象車となっている。

コンポーネンツはF01の7シリーズと共用しており、車体は先代からさらに拡大された。6代目の大きさはE32の7シリーズとほぼ同じである。また7シリーズと同様にエネルギー回生システムを取り入れており、減速時に発電機を回してバッテリーへの充電を行い、燃費の改善に役立てている。

グレード名は昨今のBMWの流儀通り、下2桁の数字と実際の排気量は一致しない。出力とトルクの数値に基づき「自然吸気○○00cc相当」という意味を込めて「5○○」という表記になっている。つまり3,000ccターボを搭載する535iは「3,500cc相当」であり、4,400ccターボの550iでは「5,000cc相当」の意である。
535iと550iのエンジンは、最近の欧州車では一般的な「自然吸気エンジンを排気量の小さいターボエンジンに置き換えた」もの。535iは「35」とはなっているが、少なくともピーク性能自体は過去の540iとほぼ同程度のものになっており、カーグラフィックやInsideLineなど内外自動車メディアの性能テストでも従来の各社NA 4,000ccとほぼ同程度の記録をつけた。

足回りは四輪操舵のインテグレイテッド・アクティブ・ステアリングを装備するほか、エンジンの出力特性や変速パターンを変更する「ダイナミック・ドライビング・コントロール」を標準装備。下位グレードではオプションとなるが、伸び・縮み両方のダンピングレートを可変する「ダイナミック・ダンピング・コントロール」、ダイナミック・ドライブとダイナミック・タンピングを統合制御しアクティブ・スタビライザーを備える「アダプティブ・ドライブ」なども用意されている。

近年の他のBMW車と同様に、5シリーズ車もランフラットタイヤを使用するため、パンク修理剤も積載しない。 前後重量バランスを重視したトランクへのバッテリー配置も従来どおりで、整備士以外はバッテリーに触れられないよう密封されている。

車内のインターフェイスでは、改良されたiDriveを採用。環状の入力装置だけでなく、ナビやオーディオの項目を直接開くためのショートカットボタンが設置された。 取扱説明書は電子化され、iDriveから呼び出して画面で見るものになった。 操作系ではオプションでアクティブクルーズコントロールや赤外線暗視装置、車線変更時に後方から接近する車両を検知し警告を促す「レーン・チェンジ・ウォーニング」も装備できる。

2011年下期より、523i(2.5L)と528i(3.0L)の搭載エンジンが直列6気筒NAから直列4気筒直噴ターボ(2.0L)へ変更された。本国では520iと名乗っているモデル(2,000cc相当184PS)が日本では523iに名称変更された。同一エンジンを搭載した他のモデルは本国と同一名を名乗っており、日本向け523iのみ名称変更されたことになる。

2012年8月からはディーゼルエンジンを搭載した「523d BluePerformance」を追加(セダン・ツーリング)。ポスト新長期規制に対応している。

日本での正規輸入モデル
セダン
グレード 型式 エンジン・排気量 最高出力 最大トルク 変速機 価格
523i DBA-FP25 直列6気筒 2,500cc 204PS/6,300rpm 250Nm/2,750-3,000rpm 8AT 610万円
528i DBA-FR30 直列6気筒 3,000cc 258PS/6,600rpm 310Nm/2,600-3,000rpm 715万円
535i DBA-FR35 直列6気筒 直噴3,000ccターボ 306PS/5,800rpm 400Nm/1,200-5,000rpm 835万円
550i ABA-FR44 V型8気筒 直噴4,400ccターボ 407PS/5,500rpm 600Nm/1,750-4,500rpm 1040万円
ツーリング
グレード 型式 エンジン・排気量 最高出力 最大トルク 変速機 価格
523iツーリング DBA-MT25 直列6気筒 2,500cc 204PS/6,300rpm 250Nm/2,750-3,000rpm 8AT 640万円
528iツーリング DBA-MU30 直列6気筒 3,000cc 258PS/6,600rpm 310Nm/2,600-3,000rpm 745万円
535iツーリング DBA-MU35 直列6気筒 直噴3,000ccターボ 306PS/5,800rpm 400Nm/1,200-5,000rpm 865万円
グランツーリスモ
グレード 型式 エンジン・排気量 最大出力 最高トルク 変速機 価格
535i Gran Turismo DBA-SN30 直列6気筒 直噴3,000ccターボ 306PS/5,800rpm 400Nm/1,200-5,000rpm 8AT 878万円
550i Gran Turismo ABA-SN44 V型8気筒 直噴4,400ccターボ 407PS/5,500rpm 600Nm/1,750-4,500rpm 1114万円
550i xDrive Gran Turismo ABA-SP44 1132万円

M5[編集]

BMW M5
BMW M5 F10.jpg
製造国 ドイツ
販売期間 2012年
ボディタイプ セダン
エンジン 直噴V型8気筒DOHCツインスクロールツインターボ
最高出力 412kW(560PS)/6,000rpm-7,000rpm
最大トルク 680Nm(69.3mkg)/1,500rpm-5,750rpm
変速機 7速DCT
駆動方式 FR
全長 4910mm
全幅 1891mm
全高 1456mm
ホイールベース 2964mm
車両重量 1980kg
-自動車のスペック表-

2011年、F10型のM5を発表した。4.4LのV8気筒にツインスクロールツインターボを搭載。M5専用のフロントエアインテーク、ディフューザー、4本だしマフラーを装備し、変速機はDCTとなる。最高出力は560PSを発揮しパワーウエイトレシオは3.3kg/PS。0-100km/h加速性能は4.3秒。

グレード 型式 エンジン 排気量 最高出力 最大トルク 変速機 価格
M5 ABA-FV44M V型8気筒DOHC 4,395cc 560PS/5,750-7,000rpm 69.3kgm/1,500-5,750rpm 7速 M DCT Drivelogic 1495万円


アルピナ[編集]

アルピナ B5ツーリング リヤ

2010年からB5 Biturboが発売された。ベースモデルのターボ化に伴い、こちらも過給器をターボチャージャーに変更。

ActiveHybrid5[編集]

2011年9月、欧州市場にてハイブリッドカーとなる「ActiveHybrid5」を発売。535iをベースにしている。日本国内では2012年3月に正式導入を発表し、4月より納入する。同社のハイブリッド車としては初めて右ハンドル仕様車が導入された。

グレード エンジン 排気量 最高出力 最大トルク 変速機 ハンドル 価格
ActiveHybrid5 直列6気筒DOHC+モーター 2,979cc+40kw 340PS(システム合計) 45.9kgm(システム合計) 8速AT 850万円

出典[編集]

  1. ^ BMW Japan (2009年4月16日). “BMW 5 シリーズ500万台記念キャンペーン開始。” (日本語). 2009年6月5日閲覧。
  2. ^ 80年代輸入車のすべて- 魅惑の先鋭 輸入車の大攻勢時代. 三栄書房. (2013). pp. 44. ISBN 9784779617232. 
  3. ^ 前期型525iは先代525i(E34)と比べて出力が192馬力→170馬力とダウンしていたため、欧州では523iとして販売されていたが、日本では525iを名乗っていた。
  4. ^ a b c Design -The new BMW 5 Series Michael Frank, Forbes.com, 2003-6-2 平成23年10月16日閲覧

外部リンク[編集]