BMW・1シリーズ
BMW 1シリーズ(BMW 1 Series, BMW 1er)は、ドイツの自動車メーカー・BMWが製造・販売している自動車である。
概要[編集]
1シリーズはCセグメントに属し、BMWのエントリーモデルとなっていた3シリーズコンパクトの後継を担っている。
他社のCセグメント車は駆動方式に横置きFFを採用して室内容積などの実用面を重視しているのに対し、初代・2代目の1シリーズはFRを採用し、フロントアクスルとリヤアクスルへの荷重をほぼ50:50の均等に配分することにこだわり、走行性能を追求しているところが特徴である。また、これは同社全シリーズ一貫した姿勢であり、「駆けぬける歓び」を世界共通のキャッチフレーズとしている。
3代目は、MINIや2シリーズツアラー(F45/F46)で培われた技術を全て活用したFFで開発され[1]2019年に販売が開始された。
初代(2004年 - 2011年)E87型[編集]
BMW・1シリーズ(初代) E81/82/87/88 | |
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BMW 120i (E87) (2004年 - 2007年) BMW 118d (E87LCI) (2007年 - 2011年) BMW 120i (E87LCI) (2007年 - 2011年) リア | |
販売期間 |
2004年 - 2011年(E87) 2008年 - 2014年(E82/E88) |
乗車定員 | 5人 (E87)/4人 (E82/E88) |
ボディタイプ |
3 / 5ドア ハッチバック 2ドアクーペ、2ドアカブリオレ |
駆動方式 | 後輪駆動 |
変速機 | 6速AT、6速MT、7速DCT |
全長 |
4,240 mm (E87) 4,370 mm (E82/E88) |
全幅 | 1,750 mm |
全高 |
1,430 mm (E87) 1,410 mm (E82/E88) |
ホイールベース | 2,660 mm |
車両重量 | 1350 - 1530 kg |
先代 | BMW・E46 ti |
後継 |
BMW・F20/F21 (E87/E81の後継) BMW・F22/F23 (E82/E88の後継) |
-自動車のスペック表- |
ハッチバック(E87/E81)[編集]
- 2002年、後の1シリーズとなるデザイン開発コンセプトモデルの「BMW CS1 Concept」が公開された。スタイリングは下記の市販車とは異なるオープンエア・2ドア・4シーターで、直列4気筒1,796 ccのエンジンを搭載していた。
- 2004年に本国で発表。開発時のデザイン部長はクリス・バングル。基本プラットフォームをE90型3シリーズと共有する。当初は5ドアモデルのみで、モデルコードはE87である。同年9月22日に日本向けに発表され、10月9日から「120i」の販売を開始、「118i」「116i」は予約受付が開始された。「118i」「116i」は2005年3月ごろの納車と案内された。
- 「116i」は1.6 L直列4気筒エンジン、「118i」「120i」は2.0 L直列4気筒エンジンを搭載し、6速ATが組み合わされている。生産は、ドイツのレーゲンスブルク工場で、日本仕様は全て右ハンドル仕様のみ。
- 2005年10月4日、3.0 L直6エンジンを搭載したフラッグシップモデル「130i」が追加された。右ハンドル、6速MTのみの設定。日本では「M Sport」が標準で装着される。あわせて、「116i」「118i」「120i」にも「M Sport」パッケージがオプション設定された。
- 2006年4月20日、「130i」に6速ATモデルが追加された。ステアリングにはパドルシフトが装備され、変速時間を短縮した「スポーツAT」を採用。
- 2007年1月、本国でフェイスリフトモデル(E87LCI)が発表され、同時に3ドアモデル(E81)が追加された。
- 2007年5月24日、フェイスリフトモデルが日本で正式発表された[2]。日本仕様では「118i」は廃止され、「116i」「120i」は引き続き従来型のエンジンが搭載されている。
- 2010年5月25日、日本仕様車のエンジンを新型のものに切り替えることが発表された[3]。その際、130iにおいては当時の新型でリーンバーン直噴エンジンであるN53エンジンの搭載は見送られ、引き続きポート噴射のN52エンジンが若干のパワーダウン等の少変更を受けて採用された。
E87(2004年 - 2007年) / E87LCI(2007年 - 2011年) | |||||||
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グレード | 型式 | 排気量 (cc) | エンジン | 最高出力 (ps/rpm) | 最大トルク (kgm/rpm) | 変速機 | 駆動方式 |
116i (2004年 - 2010年) | N45B16A | 1,596 | 直列4気筒DOHC | 115/6,000 | 15.3/4,300 | 6速AT | 後輪駆動 |
116i (2010年 - 2011年) | N43B16A | 1,597 | 122/6,000 | 16.3/4,250 | |||
118i (2004年 - 2010年) | N46B20B | 1,995 | 129/5,750 | 18.4/3,250 | |||
120i (2004年 - 2010年) | 156/6,400 | 20.4/3,600 | |||||
120i( 2010年 - 2011年) | N43B20A | 170/6,700 | 21.4/4,250 | ||||
130i (2006年 - 2010年) | N52B30A | 2,996 | 直列6気筒DOHC | 265/6,600 | 32.1/2,750 | 6速AT/6速MT | |
130i (2010年 - 2011年) | 258/6,600 | 31.6/2,600-3,000 |
クーペ(E82)/カブリオレ(E88)[編集]
- 2007年7月、2008年春にクーペモデル(E82)をアメリカ、欧州市場に投入することを発表。
- 2007年10月、カブリオレ(E88)が本国で発表された。4人乗りのオープンモデルで、ファブリック製の電動開閉式ソフトトップを採用している。
- 2008年2月26日、クーペモデルが日本向けに発表された[4]。3.0L直列6気筒ツインターボエンジンを搭載する「135i」が設定された。トランスミッションは6速MTが標準、6速ATは予約受注という形が採られた。Mスポーツパッケージが標準装備であった。
- 2008年3月26日、カブリオレが日本向けに発表された[5]。2.0L直列4気筒エンジンに6速ATが組み合わされる「120i」のみが用意された。
- 2010年5月25日、クーペモデルに「120i」が追加投入された[6]。また、「135i」はエンジンが変更されるとともに6速ATが7速DCTに変更された[7]。
- 2011年6月20日、フェイスリフトモデル(E82LCIおよびE88LCI)が日本で発表された[8]。
- 2014年、クーペ及びカブリオレの後継モデルは「2シリーズ」として発売された。
E82/E88(2008年 - 2011年) / E82LCI/E88LCI(2011年 - 2014年) | |||||||
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グレード | 型式 | 排気量 (cc) | エンジン | 最高出力 (ps/rpm) | 最大トルク (kgm/rpm) | 変速機 | 駆動方式 |
120iカブリオレ (2008年 - 2010年) | N46B20B | 1,995 | 直列4気筒DOHC | 156/6,400 | 20.4/3,600 | 6速AT | 後輪駆動 |
120iカブリオレ/クーペ (2010年 - 2014年) | N43B20A | 170/6,700 | 21.4/4,250 | ||||
135iクーペ (2008年 - 2010年) | N54B30A | 2,979 | 直列6気筒DOHCツインターボ | 306/5,800 | 40.8/1,300-5000 | 6速AT/6速MT | |
135iクーペ (2010年 - 2014年) | N55B30A | 直列6気筒DOHCターボ | 306/5,800 | 40.8/1,200-5000 | 7速DCT/6速MT |
2代目(2011年 - 2019年)F20型[編集]
BMW・1シリーズ(第2世代) F20 | |
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BMW 118i (F20) (2011年 - 2015年) BMW 116i (F20LCI) (2015年- ) | |
製造国 |
![]() (日本正規輸入車) |
販売期間 | 2011年9月 -(日本) |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 3ドア/5ドアハッチバック |
エンジン |
1.5L直列3気筒 1.5L直列3気筒ディーゼル 1.6-2.0L直列4気筒 1.6-2.0L直列4気筒ディーゼル 3.0L直列6気筒 |
駆動方式 | FR |
変速機 | 8速AT、6速MT |
サスペンション |
前:ダブルジョイントスプリングストラット式コイル 後:5リンク式コイル |
全長 | 4,335mm |
全幅 | 1,765mm |
全高 | 1,425 - 1,440mm |
ホイールベース | 2,690mm |
車両重量 | 1,400 - 1,420kg |
-自動車のスペック表- |
2011年6月5日に発表[9]。欧州市場では同年秋から販売を開始した[10]。
ボディは当初は5ドアのみで、ガソリン車は「116i」と「118i」、ディーゼル車は「116d」、「118d」、「120d」があり、それぞれに標準、Sport Line、Urban Lineの3タイプが用意される。2012年5月には3ドアバージョンと「114i」「M135i」を追加。3ドアのモデルコードはF21。
また中国専売のセダンタイプも存在する。
2011年9月22日から日本での販売が始まる[11]。
ガソリン車の「116i」と「120i(欧州名:118i)」があり、それぞれ標準、Sport(欧州名:Sport Line)、Style(欧州名:Urban Line)の3タイプが用意される。これら3タイプは外観、内装、装備内容が異なる。
2012年8月1日から「M135i」の日本での販売が始まる[12]。
「M135i」は、M Performance Automobiles(M3やM5などの「BMW Mモデル」と標準モデルとの間に位置するモデル)の日本における最初のモデルとなる。
尚、先代にあったクーペ及びカブリオレは2シリーズとして登場することから用意されない。
2015年にはフェイスリフトが施され、フロント及びリヤの意匠が改良された他、新開発の直列3気筒エンジンを搭載したモデルが追加された。日本向けには2015年5月14日にフェイスリフトモデルの発表が行われた。「118i」「120i」「M135i」の3モデルが用意された[13]。当初「118i」はフェイスリフト前の「116i」と同じ4気筒エンジンを搭載していたが、2015年8月24日に「118i」のエンジンを3気筒エンジンに切り替えることが発表された[14]。
2016年5月、日本市場にディーゼルエンジン搭載モデル「118d」が追加投入された[15]。
2017年8月23日、日本仕様マイナーチェンジ。内装をよりモダンで洗練されたデザインに一新。ハイグロス・ブラックを使用した新デザインのセンター・コンソールや、新作のインスツルメント・パネルを採用し、トリムに上質なクロームメッキ加飾を追加している。新デザインのグローブ・ボックスやセンター・コンソールを採用して、その周辺パネルの継ぎ目を最小限に抑えることにより室内空間をより広くワイドな印象にし、素材も高品質なものへ変更し、質感も向上させている。
装備面においては、ユーザーの利便性を向上させるため、タッチ・パネルに対応したコントロール・ディスプレイを採用した。また、HDD ナビゲーション・システムのメニュー画面が、先行している他シリーズ同様により見やすく、操作しやすい表示へ改良されている。[16]
特徴・機構[編集]
- 日本仕様は全て右ハンドル仕様である。
- BMW車では初めてウインカーを内蔵したドアミラーを採用。この形式のドアミラーはメルセデス・ベンツが採用し世界中のメーカーが追従しているが、BMWはその追従の列には加わっていなかった。
- 当初「120i」と「116i(LCI後は118i)」は同じN13B16A型1.6L 直4ターボエンジンで出力のみ異なるものであった。「118i」は2015年に、「120i」は2016年に新型のエンジンに切り替えられた。トランスミッションは新開発の8速ATのみ。
- 「M135i」に搭載されているエンジンは初代と同形式のN55B30A型だが、BMW Mによる更なるチューニングがなされ14psアップの320psを発生。トランスミッションは8速スポーツATのみ(日本仕様の場合)。
- 全車アイドリングストップ機構を搭載。またブレーキ・エネルギー回生システムを採用し燃料消費量の低減をはかっている。
- 先代よりホイールベースを30mm延長し2,690mmとした。
- SportにMスポーツ・サスペンションをメーカーオプション設定。装着車は最低地上高が125mmとなる(非装着車は140mm)。
- 先代同様全車にランフラットタイヤを標準装備しているが、乗り心地は改善されている。
M135i M140iに関してはランフラットタイヤではない。
F20(2011年 - 2015年 ) | |||||||
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グレード | 型式 | 排気量(cc) | エンジン | 最高出力(ps/rpm) | 最大トルク(kgm/rpm) | 変速機 | 駆動方式 |
116i | N13B16A | 1,598 | 直列4気筒DOHCターボ | 136/4,400-6,450 | 22.4/1,350-4,300 | 8速AT | 後輪駆動 |
120i | 170/4,800-6,450 | 25.5/1,500-4,500 | |||||
M135i | N55B30A | 2,979 | 直列6気筒DOHCターボ | 320/5,800 | 45.9/1,300-4,500 |
F20LCI(2015年 - ) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
グレード | 型式 | 排気量(cc) | エンジン | 最高出力(ps/rpm) | 最大トルク(kgm/rpm) | 変速機 | 駆動方式 |
118i ( - 2015年8月) | N13B16A | 1,598 | 直列4気筒DOHCターボ | 136/4,400-6,450 | 22.4/1,350-4,300 | 8速AT | 後輪駆動 |
118i (2015年8月 - ) | B38B15A | 1,498 | 直列3気筒DOHCターボ | 136/4,400 | 22.4/1,250-4,300 | ||
118d (2016年 - ) | B47D20A | 1,995 | 直列4気筒DOHCディーゼルターボ | 150/4,000 | 32.6/1,500-3,000 | ||
120i ( - 2016年) | N13B16A | 1,598 | 直列4気筒DOHCターボ | 177/5,000 | 25.5/1,500-4,500 | ||
120i (2016年 - ) | B48B20A | 1,998 | 184/5,000 | 27.5/1,350-4,600 | |||
M135i ( - 2016年) | N55B30A | 2,979 | 直列6気筒DOHCターボ | 326/5,800 | 45.9/1,300-4,500 | ||
M140i (2016年 - ) | B58B30A | 2,977 | 340/5,500 | 51.0/1,520-4,500 |
3代目(2019年 -)F40型[編集]
BMW・1シリーズ(第3世代) F40 | |
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F40 フロント F40 リア | |
販売期間 | 2019年5月 - |
乗車定員 | 5人 |
ボディタイプ | 5ドアハッチバック |
エンジン |
1.5L直列3気筒 1.5L直列3気筒ディーゼル 2.0L直列4気筒 2.0L直列4気筒ディーゼル |
駆動方式 | FF |
変速機 | 6速MT、8速AT、7速DCT |
全長 | 4,319 mm |
全幅 | 1,799 mm |
全高 | 1,434 mm |
ホイールベース | 2,670 mm |
車両重量 | 1,290–1,525 kg |
-自動車のスペック表- |
2019年5月27日、ミュンヘンで開催された「BMW Group #NEXTGen presentation platform」にてワールドプレミア。同年9月に日本を含めた複数の市場で発売を開始すると発表された。
当代では走りと空間効率を高次元で両立させるため、2代目まで採用されたFRから一転してシリーズ初となるFFを採用した。 同時に、プラットフォームはMINIや2シリーズアクティブツアラー/グランツアラー等で採用済の「UKL」をさらに昇華させた新開発の「FAAR」を採用。
サイズは全長x全幅x全高=4,355x1,800x1,465㎜と先代比でそれぞれ-5㎜、+35㎜、+25㎜変更されている(日本仕様の場合)。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- BMW Japan公式サイト
参考文献[編集]
- ^ “前輪駆動化「新型 BMW 1シリーズ」、フランス・ミラマスでテスト続く”. GENROQ (2019年3月30日). 2019年4月8日閲覧。
- ^ “BMW JAPAN : ニュー BMW 1シリーズ 発売開始”. 2016年3月28日閲覧。
- ^ “BMW JAPAN : BMW 1 シリーズ全車の燃費を大幅に改善”. 2016年3月28日閲覧。
- ^ “BMW JAPAN : ビー・エム・ダブリュー株式会社、ニューBMW 1シリーズ・クーペを新規投入”. 2016年3月28日閲覧。
- ^ “BMW JAPAN : BMWジャパンがニューBMW 1シリーズ カブリオレを新発売”. 2016年3月28日閲覧。
- ^ “BMW JAPAN : BMW 1 シリーズ クーペに「ニューBMW 120i クーペ」を追加”. 2016年3月28日閲覧。
- ^ “BMW JAPAN : BMW 1 シリーズ全車の燃費を大幅に改善”. 2016年3月28日閲覧。
- ^ “BMW JAPAN : さらに洗練されたデザインを採用したニューBMW 1 シリーズ クーペおよびカブリオレが誕生”. 2016年3月28日閲覧。
- ^ “独BMW、新型1シリーズを発表”. 2011年6月7日閲覧。
- ^ “BMW 1シリーズ 新型、公式発表”. 2011年6月7日閲覧。
- ^ “BMW Japan 30周年を祝う、新型「1シリーズ」発表会”. 2011年9月22日閲覧。
- ^ “最もスポーティなBMW 1 シリーズ、ニュー BMW M135iを発表”. 2012年11月18日閲覧。
- ^ “BMW JAPAN : ニューBMW 1 シリーズを発表”. 2016年3月11日閲覧。
- ^ “BMW JAPAN : 新開発の直列3気筒エンジンを搭載した「ニューBMW 118i」発表”. 2016年3月11日閲覧。
- ^ “BMW、「1シリーズ」に直列4気筒2.0リッターターボディーゼル搭載の「118d」 - Car Watch”. 2016年5月9日閲覧。
- ^ “新型BMW 1 シリーズを発表” (日本語). www.bmw.co.jp. 2020年4月23日閲覧。
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