ネオジム磁石

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ネオジム磁石
HDDのヘッド駆動に使用されているネオジム磁石

ネオジム磁石(ネオジムじしゃく、英語: Neodymium magnet)とは、ネオジムホウ素(ボロン)を主成分とする希土類磁石(レアアース磁石)の一つ。開発以前に存在していたサマリウム-コバルト合金を超え、永久磁石のうちで最も強力で更には素材が安価で大量製造可能だったため、個人用コンピューター(パソコン)時代の幕開けにも決定的な役割を果たし、風力発電機電気自動車など、エコエネルギー技術の具現にも中核的な材料として使われている[1]1984年日本の住友特殊金属(現、日立金属)の佐川眞人によって発明された(ほぼ同時期にアメリカのゼネラル・モーターズも開発だが、佐川が粉末焼結製法と共に最初に開発したことが認められている[1][2][3]。主相はNd2Fe14B。「ネオジウム磁石」と表記されることもあるが間違いである。

歴史[編集]

この永久磁石以前は存在していたのは、サマリウム-コバルト合金が最も強力な永久磁石であったが、二つの物質とも高価なために普及が難しかった。そこで1983年に住友金属に在職していた佐川は、アメリカ合衆国で開催された国際学会で初めて、鉄にレアアースの中で3番目に資源量の多いネオジムを加えた新たな永久磁石の焼結工程を発表した。最後に、ボロンを加えることて磁性が維持される限界温度を高めたことて、自動車のエンジンのように高温で作動するところにも使えるようになった[1]。アメリカ合衆国の科学者も同時期にネオジム永久磁石を開発したが、佐川博士は生産工程まで開発したため、て単独受賞者に決まったと工学賞財団は明らかにした。 佐川博士は住友金属を退職し、インターメタリックスという会社を自ら設立し、ネオジム磁石の改良を続けた。1990年代に高温でネオジム-鉄-ボロン永久磁石の性能急減問題をディスプロシウムを加えて解決した、2012年にNDFEB株式会社を設立した。ディスプロシウムなしでネオジム-鉄-ボロン永久磁石の性能を維持する研究をしている[1]。安価な永久磁石の開発によって、携帯電話やコンピューター、自動車、風力タービンなど現代文明のいたるところで情報と動力を作り出した。2022年に佐川は「ネオジム-鉄-ボロン(Nd-Fe-B)永久磁石の粉末焼結製法を開発した功労」でエリザベス女王工学賞を生産工程まで開発したことで単独受賞した[1]。エリザベス工学賞財団は、全世界850万台以上の電気自動車、ハイブリッド自動車にネオジム永久磁石が入っていると発表し、工学賞財団は、ネオジム磁石の市場が2026年までに193億ドルに達する見通しだと明らかにしている[1]

特徴[編集]

磁束密度が高く、非常に強い磁力を持っている。磁気の強さにはN24からN54まで(理論上はN64まで)の等級付けがされる。Nの後の数字は磁気の強さを表している。

2021年(令和3年)、物質・材料研究機構人工知能の学習を利用して、従来の1.5倍の磁力を持つネオジム磁石を製造する事に成功した[4]

利用[編集]

利用される製品の範囲は小型から大型まで幅広い。大型の製品の例としては、電車電気自動車ハイブリッドカーエレベーター駆動用の永久磁石同期電動機界磁などがある。

小型の製品の例としては、ハードディスクドライブCDプレーヤー携帯電話などが挙げられる。ハードディスクドライブでは、ヘッドと呼ばれる読み書きする装置を移動させるためのアクチュエータに用いられる。

音響機器においては、より固いダンパーを採用可能であることから締まった低音が出るとされ、近年のヘッドフォンドライバーの多くに用いられている。サイズを小さくしても強磁界が得られることから特に小型のインナーイヤー型・カナル型ヘッドフォンには欠かせない。

欠点と対策[編集]

機械的に壊れやすいほか、加熱すると熱減磁を生じやすい(キュリー温度は約315℃)という欠点がある。対策として、ジスプロシウムを添加し保磁力を向上させる手法が存在する。1%のジスプロシウムの添加で熱減磁が15℃改善するといわれている。ジスプロシウムは希少な資源であるため、最近ではジスプロシウムを使わずに、ネオジム磁石の結晶粒径を小さくすることにより、熱減磁を改善する研究が行われている[5]

しかし、ネオジムは酸素との反応性が強く、磁石の結晶粒を小さくすると、空気と触れる表面積が増えるため、自然発火することがある。このため、酸素を除外した環境で製造する必要がある。また、非常に錆びやすく、製品として用いられる際にはニッケルめっきされていることが多い。

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d e f 하드디스크 속 영구 자석 개발 日 과학자, 공학계 노벨상 수상” (朝鮮語). n.news.naver.com. 2022年2月5日閲覧。
  2. ^ M. Sagawa; et al. (1984). “Permanent Magnet Materials based on the Rare Earth-Iron-Boron Tetragonal Compounds (Invited)”. IEEE Transactions on Magneticsw MAG-20 (5): 1584-1589. NAID 80002298568. 
  3. ^ 佐川眞人・浜野正昭・平林眞編 『永久磁石 : 材料科学と応用』アグネ技術センター、2007年。ISBN 978-4-901496-38-4 
  4. ^ 「ネオジム磁石」AIで約1.5倍の強化に成功 物質・材料研究機構
  5. ^ “TDKがネオジム含有量を半減した高性能磁石開発”. 日本経済新聞. (2014年10月4日). http://www.nikkei.com/article/DGXMZO77909700T01C14A0000000/ 2015年10月20日閲覧。 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • 佐川眞人 (公益財団法人 国際科学技術財団)