佐川眞人

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佐川眞人
(さがわ まさと)
Masato Sagawa March 3, 2014-.png
生誕 (1943-08-03) 1943年8月3日(74歳)
徳島県徳島市
国籍 日本の旗 日本
研究分野 金属工学(磁性体)
出身校 尼崎市立尼崎高等学校
神戸大学工学部
神戸大学大学院工学研究科修士課程
東北大学大学院工学研究科(工学博士
主な業績 ネオジム磁石の発明
主な受賞歴 朝日賞1990年
日本国際賞2012年
プロジェクト:人物伝

佐川 眞人(さがわ まさと、1943年8月3日 - )は日本の研究者実業家ネオジム磁石の発明者として知られている。2016年現在はインターメタリックス株式会社最高技術顧問。大同特殊鋼顧問[1]。眞は真の旧字であるため「佐川真人」と書かれることもある。 徳島県徳島市出身。

略歴[編集]

1966年神戸大学を卒業、1968年神戸大学大学院で修士、1972年東北大学大学院で金属材料工学を研究し工学博士。博士論文が『金属表面皮膜のエピタクシャル歪に関する研究 』であるように、もともとは磁石を研究していたわけではなかったが、1972年富士通に入社し磁性材料の研究を命じられる。研究を重ねる中で従来の「強い磁石はコバルトを主成分にしないとできないという常識」に疑問を持ち、鉄とレアアースの組み合わせでの磁石開発に取り組む。ネオジム磁石のアイデアを見出し研究中の1982年に富士通を退社、住友特殊金属(現、日立金属)に移籍し1982年5月ネオジム磁石を作り上げた。1988年住友特殊金属を退社し永久磁石に関する研究開発を専門にするインターメタリックス株式会社を設立し代表取締役社長。2012年同社最高技術顧問[2][3]

ネオジム磁石の開発[編集]

佐川が富士通時代に磁石の研究に取り組んでいたときには、鉄が主成分の磁石では強い磁石は作れず、強い磁石はコバルトを主成分としたものであることが常識とされていた。しかしコバルトは希少で高価であり、資源も偏っていた。そこで佐川は鉄とレアアースの組み合わせで強い磁石を作ることができれば安く安定した磁石が提供できるものと考えた。鉄を主成分にした磁石が強い磁性を持つことができないのは鉄の原子と原子の距離が近すぎるためと知った佐川は「ならばホウ素など原子半径の小さい元素を加えれば、鉄の原子間距離を広げられるのではないか[2]」と考え、この考えをもとに試行錯誤のすえネオジム磁石を完成させた[2]

佐川が発明したネオジム磁石はネオジム、鉄、ホウ素を主成分とするが温度が上がると保磁力が落ちるため、その欠点をカバーする目的でジスプロシウムを添加する。しかしジスプロシウムは資源が中国に偏り、また磁石のエネルギーを相殺する作用がある。佐川は自分が設立したインターメタリックスにおいてジスプロシウム無しでも高温に耐えるネオジム磁石の開発に取り組んでいる[2]

受賞[編集]

主要論文[編集]

  • M. Sagawa, S. Fujimura, N. Togawa, H. Yamamoto and Y. Matsuura, "New Material for Permanent Magnets on a Base of Nd and Fe", J.Appl.Phys.55, pp.2083-2087, 1984.
  • M. Sagawa, S. Fujimura, H. Yamamoto and Y. Matsuura and K. Hiraga, "Permanent Magnet Materials Based on the Rare-Earth-Iron-Boron Tetragonal Compounds", IEEE Trans.Magn.MAG-20, pp.1584-1589, 1984.
  • M. Sagawa, S. Hirosawa, Y. Otani, H. Miyajima and S. Chikazumi, "Temperature Dependence of the Coercivity of Sintered R17Fe83-xBx Magnets(R=Pr, Nd)", J. Magn. Magn. Mat.70, pp.316-318, 1987.
  • M. Sagawa, S. Hirosawa, K. Tokuhara, H. Yamamoto and S. Fujimura, "Dependence of Coercivity on the Anisotropy Field in the Nd-Fe-B type Sintered Magnets", J. Appl. Phys.61, pp.3559-3561, 1987.
  • M. Sagawa, P. Tenaud, F. Vial and K. Hiraga, "High Coercivity Nd-Fe-B Sintered Magnet Containing Vanadium with New Microstructure", IEEE Trans. Magn. 26, pp.1957-1959, 1990.[4]

著書/監修[編集]

書籍[編集]

  • 佐川眞人, 浜野正昭, 平林眞 編『永久磁石 : 材料科学と応用』2007年、アグネ技術センター、ISBN 978-4-901496-38-4
  • 佐川眞人 監修『ネオジム磁石のすべて : レアアースで地球を守ろう』2011年、アグネ技術センター、ISBN 978-4-901496-58-2
  • 佐川眞人, 浜野正昭 編著『図解希土類磁石』2012年、日刊工業新聞社、ISBN 978-4-526-06911-6
  • 豊橋技術科学大学編集、佐川眞人 他 述『理工系のための明日への教科書 : 時代を担うトップからのメッセージ 』2012年、講談社、ISBN 978-4-06-217563-0
  • 中村修二,佐川眞人『最強エンジニアの仕事術 』 実務教育出版、2016年、ISBN 978-4-788911-95-6

記事[編集]

  • 佐川眞人「磁気研究よもやま話 ネオジム磁石の発明 : なぜ世界一になれたのか」『まぐね』10巻3号、日本応用磁気学会、2015年
  • 佐川眞人「永久磁石材料の高性能化を極める」『学術の動向』19巻12号、日本学術協力財団、2014年12月
  • 佐川眞人「永久磁石の発展と日本の役割」『公益社団法人 日本磁気学会 第178回研究会資料 磁気の歴史と新展開』社団法人日本磁気学会研究会資料、2011年5月

他 多数

出典[編集]