観光バス

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日本の観光バス車両の一例
いすゞ・ガーラ
東都自動車交通「東都観光バス」相模営業所所属

観光バス(かんこうバス)は、「観光を主目的としたバスの運行形態」、あるいは「観光を主目的としたバスそのもの」のこと。貸切バスの中でも観光を主目的としたバスの総称。

なお、乗合バスによる定期観光バスもある[1]。これについては定期観光バスの記事を参照。

日本の観光バス[編集]

観光バスとは、一般的に路線バス高速バスと異なる車体の車両を用い、日数・時間・距離などに応じて1台ごとに貸切料金を得る方式で顧客や主催者の依頼に応じた行程で運行するものをいう。ここでは特記ない限り、観光バス(道路運送法に規定される「一般貸切旅客自動車運送事業」の形態として運行されるバス)について記述する。


運用[編集]

乗務員[編集]

中型車以下の場合は運転士1名の場合や、夜行運転の場合は運転士2名だけの場合があるが、一般的に運転士1名と車掌(バスガイド)1名の構成で運行され、ガイドは車内サービス、観光案内を行い、後退誘導や車内清掃も行う。「バスガイド」という呼び名から案内者としての印象が強いが保安要員としての要素もあり、後退時の誘導などで運転士を補助している。貸し切りの場合、団体によっては運転士のみでガイドが乗務しない場合もある。運転士は必ず大型か中型(またはマイクロ限定条件つき)の二種運転免許を所持し、道路状況の判断や渋滞回避、大きな車体を観光地の駐車場へ入れ込むなど運転者として最高レベルの技能を要求される。但し、2000年の道路運送法改正以降は原則として車掌乗務が不要となっており、近年は観光目的の運行でも運転士1名のみで運行されるケースが増えはじめ、車体後部モニターカメラ、ワンマン運行支援システム、GPSと連動した自動ガイドシステムなどのサポート設備も次第に普及してきている。

台湾の観光バス[編集]

台湾では台湾観光局が各地の旅行会社と提携する観光バスサービス「台湾観巴(Taiwan Tour Bus)」が運営されている[2]。これらの観光バス(ガイド付)は事前予約制で、台湾高速鉄道(台湾新幹線)や台湾鉄道の駅、空港、ホテルまでの送迎サービスがあり、各観光地との間で半日または1日のコースが設定されている[2]

なお、台湾では鉄道主要駅等と観光地をつなぐ交通機関にシャトルバス「台湾好行」があり、エリアごとに観光地を巡回する乗降自由のバスとなっている[2]

観光バスの車両[編集]

日本の観光バス車両[編集]

仕様[編集]

乗降口が前方の一箇所で、座席が進行方向を向いているものが多い。バリアフリー対策として車椅子などを収容するために中間部や後部に別の出入口やリフトを備えるものもある。非常口は出入口と反対側側面の後方(日本では右後方)についているものが多い。乗降口ドアは近年、自動ドアが一般的で、折戸は少なく、外側へせり出すスイングドアが多い。高速走行や長距離走行を想定しているため、車両の足回りや座席は一般的な路線バスなどと比べてグレードが高く作られており、疲労がなるべく少なくなるようにされている。ただし、独立座席の夜行高速バスよりは狭いものが多い。

内装はかつて、豪華なシャンデリアやモケット生地などを多用して華やかに仕上げ、各事業者が趣向を凝らした内装を特注するといったこともあったが、近年は華やかさよりもコストや実用性が優先される傾向が強く、メーカー標準仕様の内装をそのまま採用する事業者も多くなった。とはいえ、伝統的な内装を重視する事業者や車両サービスに力を入れる事業者では、新規納入車両であっても豪華な内装に仕上げられていることがある。バブル時代にはマーカーランプの一部を屋根上にロケット状の形のもので設置したものがあった。

車両の後部(あるいはすべての座席)をサロンとして座席を回転させ、向き合える空間にしてある「サロンカー」がある。飲み物などが置けるテーブルが設置されているものもあり、麻雀卓を設置し、走行中に麻雀ができるものもあった。畳敷きのものもあり、キャンピングカーのような車もある。なお日本では法規上、バスに寝台を設置することができないので、交代乗務員の仮眠室を除き寝台付きの営業用観光バスは存在しない。ただし一時期、大阪の中央交通がヨーロッパで採用されていたフランス製の二段ベッドにコンバート出来る座席を備えたネオプラン車を導入し、自社ツアーで運行したことがある。

お盆や年末年始などの多客時に、高速路線バスの続行便として観光バス用車両を使用することがある。この場合、車両内にトイレがないため、途中のパーキングエリアサービスエリアなどの休憩所でのトイレ休憩の時間が必要となる。また、夜行バスの場合は座席が狭いことから、本来の車両とのバランスを取るため運賃を割り引く場合もある。

日本国内では観光バス・高速バスに対しても、2009年7月からETC大幅割引が適用されるようになった[3]

車内設備[編集]

通常、冷暖房マイク放送設備、テレビビデオデッキDVDプレイヤーなどの音響・映像装置が装備され、車両によってはトイレカラオケ通信カラオケ)、冷蔵庫、湯沸かし器なども装備されている。また少数ながら、電子レンジ酒燗器、ビールサーバー、を装備する例もある[注釈 1]

携帯電話・携帯情報端末の普及に伴い、座席に充電用のコンセントUSBポート[4]を設置したり、車両に公衆無線LANのアクセスポイント[5]を設置した例がある

その他[編集]

  • 特定の観光地へ乗り入れるための専用車が用意されることがある。例えば長野県上高地へ向かう途中の釜トンネル2006年に新トンネルが完成するまで道路幅・高さともに狭かったため、通常の大型ハイデッカーの乗り入れが不可能であった。このため全長・全高を抑えてショートホイールベースとした「上高地仕様」と呼ばれる仕様が存在し、上高地へのツアー輸送を多く受注するバス事業者で導入されていた[注釈 2]
  • 2台口以上の台数で走る場合は号車番号が付くことが多い。関東などでは頭から1号車、2号車、3号車となるが、近畿地方東海3県愛知県岐阜県三重県)では最後が1号車、その前に2号車・3号車という風に号車番号が付く(したがって先頭車に最大の号車番号がつけられる)ことが多い。これは対向車が何台のバスがつながって走っているかを早く認識できるようにするためと言われる[7]。一部には1/8と「号車番号/総号車」の表記や「8終」と表記するケースもある。この傾向は関西で顕著だが、東海の一部の事業者でも見受けられる。婦人会旅行、老人団体など4号車が忌み番として嫌われる場合「寿号車」などと表記する場合がある。修学旅行遠足などの場合には直接的に「○組」と表記することもある。会社によってはバス毎に愛称を付けることもある。
    • 近畿地方・東海3県以外 【先頭】 1号車、2号車、3号車 【最後】
    • 近畿地方・東海3県 【先頭】 3号車、2号車、1号車 【最後】
  • 手配の関係で別の会社からの応援の車で編成する場合、会社とカラーリングがばらばらで統一されない状態になる場合がある。この場合先頭車両がもともとの手配会社で、次の位置が最後尾車両、残りを応援会社で編成することが多い。会社によって車体のカラーリングがばらばらになることを避けるため、グループ内で統一したカラーを設定したり、資本関係のない会社同士では協同組合方式でカラーリングを統一する例がある(ひがし北海道貸切バス事業協同組合ホープバス協同組合)。
  • インバウンド輸送を主力とする事業者では希望番号制度を利用し、保有車両の登録番号中華圏で縁起が良いとされる「8888」「168」など8を含む数字で登録していることがある。
  • 旅行会社、鉄道会社、航空会社などと契約して、車体デザインをオリジナルカラーで揃える場合もある。

ギャラリー[編集]

車種・メーカー[編集]

主に大型車、中型車、小型車の3タイプで、それぞれにスタンダードデッカー、ハイデッカーがある。さらに大型車にはスーパーハイデッカーダブルデッカーもある。

大型車は、車体幅2.5mで全長11mから12m、40~60人乗り程度が多い。座席は最大で12列になるが、同じ車体で11~9列の座席を配置してシートピッチを広げ、足元をゆったりさせた車もある(定員40~50名程度)。補助席をなくし、座席が左右にスライドするものもある。また、高速バスに多い3列シートのものもある(定員28~36名程度)。車種は三菱ふそう・エアロエース日野・セレガいすゞ・ガーラ日産ディーゼル・スペースアロー等がある。

中型車は、初めから中型観光バスとして設計された車種のほか、大型車の全長を9mに短縮した仕様もある。前者は車体幅2.3m程度で全長9m、30人乗り程度が中心である。かつてはハイデッカーも製造され、車種は日野・メルファ三菱ふそう・エアロミディMKいすゞ・ガーラミオがあるが、快適性・居住性などの理由から導入は少なくなっている。そのためハイデッカーの製造はなくなり、2013年時点では日野・メルファといすゞ・ガーラミオの統合車種しか生産されていない。一方で大型車のショートタイプについては、近年ではこれを中型車として取り扱う事業者が多くなってきている。こちらは車体幅2.5mで全長9m、30人乗り程度が多い。車種は三菱ふそう・エアロエースショートタイプMM、日野・セレガHD-S(ハイデッカーショート)等がある。

小型車(マイクロバスともいう)は、初めからマイクロバスとして設計された車種のほか、中型車の全長を7mに短縮した仕様もある。前者は車体幅2.1m程度で全長7m。25人乗り程度が多い。主な車種は日野・リエッセがあるが、2011年で生産中止となった。後者は車体幅2.3m程度で全長7m、25人乗り程度が多い。中型車と同様にハイデッカーもある。車種は日野・メルファ7、三菱ふそう・エアロミディMJ等があるが、客単価の下落によって定員の少ないバスは敬遠される傾向があり、導入が少なくなったことから2007年のエアロミディMJを最後に生産中止となった。そのため、小型観光バスについては2013年時点での国内生産はない。

また、観光バス用の車両を路線バスの続行便や代替車両として使用する場合や、乗合バス用の車両を観光目的で使用する場合もある。

以下、日本国内で販売されている・もしくは過去に販売されていた観光バス車両のメーカーおよび車種を列挙する。

国産車[編集]
三菱自動車工業三菱ふそうトラック・バス
日野自動車
いすゞ自動車
日産ディーゼル工業→UDトラックス
輸入車[編集]
現代自動車
大宇バス
  • BX212
ネオプラン
バンホール
揚州亜星客車

参考文献[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]

注釈[編集]

  1. ^ 特殊な装備品として、中央観光バス経由で下津井電鉄に導入されたネオプラン・スカイライナーのダブルデッカーの1階席にエレクトーンが設置されていた例がある。また四国の事業者ではダブルデッカー車両のフロント、1階席と2階席の間に、車外から見るように大きなアナログ時計を設置した例がある。
  2. ^ 神奈中観光の公式ページ内「バスタイプのご紹介」には、車内装備を示すマークに「上高地仕様」とあった[6]

出典[編集]

  1. ^ 徳光・木佐の知りたいニッポン!~安全・安心の運行を!進化する貸切バス 政府インターネットテレビ、内閣府、2015年3月26日
  2. ^ a b c 台湾まるごとガイド”. 台湾観光局. 2019年3月5日閲覧。
  3. ^ 高速道路料金の引下げの実施について 国土交通省、平成21年3月13日
  4. ^ ”新車”USBポート・コンセントを装備した大型観光バス6台を導入しました”. 関東自動車 (栃木県) (2017年5月9日). 2017年8月27日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2018年5月13日閲覧。
  5. ^ “菰野東部交通株式会社が運行する貸切バスにFree Wi-Fiの提供を開始” (PDF) (プレスリリース), ワイヤ・アンド・ワイヤレス, (2017年3月22日), https://wi2.co.jp/jp/assets/press/data/20170322_Komonotoubu_Bus_Wi2Free.pdf 2018年5月13日閲覧。 
  6. ^ バスタイプのご紹介”. 神奈中バス. 2004年10月10日時点のオリジナル[リンク切れ]よりアーカイブ。2022年5月8日閲覧。
  7. ^ 「関西の観光バス、号車番号『逆番』でGO!」朝日新聞大阪本社版夕刊、2004年5月28日「ほんま?関西伝説」

関連項目[編集]

外部リンク[編集]