関西電力

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関西電力株式会社
The Kansai Electric Power Company, Incorporated
関西電力本店がある関電ビルディング(奥の高層ビル)。手前のビルはダイビル本館(旧大阪ビルヂング:解体済み)。
種類 株式会社
市場情報
略称 関電、KEPCO
本社所在地 日本の旗 日本
530-8270
大阪府大阪市北区中之島三丁目6番16号
設立 1951年5月1日
業種 電気・ガス業
法人番号 3120001059632 ウィキデータを編集
事業内容 電気事業、電気機械器具の製造・販売、熱供給事業他
代表者 取締役会長 森詳介
取締役社長 八木誠
資本金 4893億2000万円
(2011年3月31日現在)
売上高 連結 2兆7697億円
単体 2兆4759億円
営業利益 連結 2738億円
単体 2251億円
純利益 連結 1231億円
単体 1033億円
純資産 連結 1兆8324億円
単体 1兆4948億円
総資産 連結 7兆3101億円
単体 6兆4575億円
従業員数 連結 3万2418人、単体 2万277人
(2011年3月31日時点)
決算期 3月31日
主要株主 大阪市 8.92%、日本生命 4.57%、日本トラスティ・サービス信託銀行(信託口)3.84%、神戸市 2.91%、日本マスタートラスト信託銀行(信託口)2.46%(2011年9月30日現在)
主要子会社 きんでんケイ・オプティコム
関係する人物 福澤桃介太田垣士郎芦原義重
外部リンク http://www.kepco.co.jp/
特記事項:指標は2011年3月期、資産額は2011年3月31日時点。
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関西電力株式会社(かんさいでんりょく)は、近畿地方2府4県(京都府大阪府滋賀県兵庫県赤穂市福浦を除く)、奈良県和歌山県)および福井県三方郡美浜町以西)、三重県熊野市[1]以南)、さらには岐阜県不破郡関ケ原町の一部を営業区域とする電力会社

略称として関電(かんでん)や、KEPCOKansai Electric Power Co., Inc.=ケプコ[2]が使われる。

概要

1951年5月1日松永安左エ門(電気事業再編成審議会委員長)のGHQへの説得による、国会決議より効力が強いGHQポツダム政令を元に、戦時における企業統廃合などによって発足した関西配電日本発送電を再編する形で設立された(このため、現在も一部の年配者には関西電力を「関配(カンパイ)」と呼ぶ人もいる)。後述のとおり、戦前まで近畿地方を拠点に全国展開していた大同電力宇治川電気日本電力東邦電力の流れを組み、資産を継承している関係上[3]近畿地方以外の発電所などの設備を多く持つ。

発電能力と比べ、実際の発電は原子力による比重が約55%となっている(他社からの買電、融通、揚水発電を除いた発電量における、設備別比重)。

その一方、富山県黒部川流域などに、最大出力30万kw超の大型の水力発電所も所有する。

沿革

発電施設

合計 164箇所、3,486.5万kW

  • 総出力には長期計画停止中、定期点検中の号機を含む。廃止された号機、建設中の号機は含まない。

水力発電所

148箇所、818万kW(23.5%) - 近畿地方各府県(大阪府を除く)、富山県、福井県、長野県、岐阜県に発電所を有する。

  • 主な水力発電所(10万kW以上の発電所)
発電所名 水系名 方式 総出力 所在地
読書発電所 木曽川 ダム水路式 11.71万kW 長野県木曽郡南木曽町
丸山発電所 ダム水路式 12.5万kW 岐阜県加茂郡八百津町
木曽発電所 ダム水路式 11.6万kW 長野県木曽郡木曽町
下小鳥発電所 神通川 ダム水路式 14.2万kW 岐阜県飛騨市
黒部第三発電所 黒部川 ダム水路式 10.7万kW 富山県黒部市
黒部第四発電所 ダム水路式 33.5万kW 富山県黒部市
音沢発電所 ダム水路式 12.4万kW 富山県黒部市
奥吉野発電所 新宮川 ダム式(揚水式 120.6万kW 奈良県吉野郡十津川村
喜撰山発電所 淀川 ダム式(揚水式) 46.6万kW 京都府宇治市
大河内発電所 市川 ダム式(揚水式) 128万kW 兵庫県神崎郡神河町
奥多々良木発電所 円山川 ダム式(揚水式) 193.2万kW 兵庫県朝来市

火力発電所

12箇所、1,690.7万kW(関連会社経営の発電所を除く)[4](48.5%)

発電所名 使用燃料 総出力 所在地 備考
宮津エネルギー研究所 重油原油 75万kW 京都府宮津市 1・2号機とも長期計画停止中。
舞鶴発電所 石炭、木質バイオマス 180万kW 京都府舞鶴市
南港発電所 LNG 180万kW 大阪府大阪市住之江区
堺港発電所 LNG 200万kW 大阪府堺市西区 CC方式採用。旧設備は全廃。
多奈川第二発電所 重油、原油 120万kW 大阪府泉南郡岬町 1・2号機とも長期計画停止中。
関西国際空港エネルギーセンター 都市ガス灯油 4万kW 大阪府泉南郡田尻町 ガスタービン発電方式。
姫路第一発電所 LNG 144.2万kW 兵庫県姫路市飾磨区 5・6号機はCC方式採用。1~4号機は廃止。小型電源建設中(6.54万kW)。
姫路第二発電所 LNG 165万kW 兵庫県姫路市飾磨区 CC方式採用の新1~新6号機(291.9万kW)建設中。旧1~旧3号機は廃止。
相生発電所 重油、原油 112.5万kW 兵庫県相生市
赤穂発電所 重油、原油 120万kW 兵庫県赤穂市
海南発電所 重油、原油 210万kW 和歌山県海南市 2号機は長期計画停止中。
御坊発電所 重油、原油 180万kW 和歌山県御坊市

関連会社運営

発電所名 使用燃料 総出力 所在地 運営会社 備考
和歌山共同発電所 副生ガス、重油 30.6万kW 和歌山県和歌山市 和歌山共同火力 CC方式採用の新1号機(14.7万kW)計画中。

原子力発電所

3箇所、976.8万kW[5](28%)

発電所名 原子炉型式 総出力 所在地 備考
美浜発電所 加圧水型軽水炉 166.6万kW 福井県三方郡美浜町 1~3号機全機定期検査中。
大飯発電所 加圧水型軽水炉 471万kW 福井県大飯郡おおい町 1~4号機全機定期検査中。
高浜発電所 加圧水型軽水炉 339.2万kW 福井県大飯郡高浜町 1~4号機全機定期検査中。

新エネルギー

1箇所、1万kW

発電所名 方式 総出力 所在地
堺太陽光発電所 太陽光発電 1万kW 大阪府堺市西区

過去および建設中止された発電施設

火力発電所

発電所名 使用燃料 総出力 所在地 備考
春日出発電所 重油 31.2万kW 大阪府大阪市此花区 2001年廃止。
大阪発電所 重油、LNG 62.4万kW 大阪府大阪市住之江区 2003年廃止。
三宝発電所 重油 15.6万kW 大阪府堺市堺区 関連会社の堺共同火力が運営していたが2003年に解散、廃止。
多奈川発電所 重油 46.2万kW 大阪府泉南郡岬町 2001年廃止。
尼崎第一発電所 石炭 31.8万kW 兵庫県尼崎市 1974年廃止。
尼崎第二発電所 石炭 30万kW 兵庫県尼崎市 1976年廃止。
尼崎第三発電所 原油 46.8万kW 兵庫県尼崎市 2001年廃止。
尼崎東発電所 石炭、重油 31.2万kW 兵庫県尼崎市 2001年廃止。
高砂発電所 重油、原油 90万kW 兵庫県高砂市 2006年廃止。

原子力発電所

発電所名 原子炉型式 総出力 所在地 備考
珠洲原子力発電所 kW 石川県珠洲市 2003年計画凍結。北陸電力および中部電力との共同運営が予定されていた。
久美浜原子力発電所 kW 京都府熊野郡久美浜町(現・京丹後市久美浜町) 2006年計画中止。
日置川原子力発電所 kW 和歌山県西牟婁郡日置川町(現・白浜町 2005年、電源開発促進重要地点の指定より除外。

事業所

関西電力のサービスカー

2004年6月30日、近畿2府4県で一部の営業所が再編された。近畿で大幅な再編が行われたのに対して、福井県では全く再編が実施されなかったのは、原子力発電所立地地域に対する「配慮」があるものと見られる。

発電施設に関する特記事項

関西電力は、水力発電及び原子力発電の領域において、他の電力会社と比較して特殊な点がある。

黒部川流域の電源開発

黒部ダム

第二次世界大戦前の日本電力(後の日本発送電)は、近畿地方への配電を目的として富山県黒部川水系に多くの水力発電施設を築いた。戦後、日本発送電を解体した際、配電地主義の観点からこれらは関西電力に引き継がれており、さらに、関西電力自身の手によって黒部川第四発電所が建設された。 このような事情から、配電地域外となる同県富山市に北陸支社が置かれているほか、特に黒部川第四発電所及び黒部ダムなどのいわゆる黒四関連施設の管理のため、長野県大町市に黒四管理事務所がある。

これらの発電施設の建設のため、日本電力時代までに、現JR黒部駅から黒部川沿いに鉄道や専用軌道および歩道(日電歩道)が建設され、加えて黒四関連施設建設の際には、長野県側からの工事用道路(後に大町有料道路及び関電トンネル)も建設された。これらの鉄道・軌道・道路は、本来の発電施設の維持管理目的のほか、地元鉄道会社へ移管されたり、観光目的に活用されたりしている。 現在、関西電力では、扇沢駅から黒部ダム駅までの関電トンネルトロリーバス鉄道事業者として運行している(ただし送電は中部電力が担当している)ほか、黒部峡谷鉄道欅平駅から先のいわゆる上部軌道専用鉄道として運行している。 なお、下部軌道(宇奈月~欅平)は子会社の黒部峡谷鉄道が運営している。

原子力と関西電力

美浜発電所

関西電力は、電力構成に占める原子力発電の割合が他社よりも高い。同社のCMなどでも、「関西の電気の約半分は原子力」と言うキャッチフレーズが流れていた。

同社の原子力発電所は、福井県若狭地方に集中立地している。内訳は美浜町美浜発電所に3基、おおい町大飯発電所高浜町高浜発電所に各4基の、計11基である。すべて加圧水型原子炉(PWR)が採用されている。いずれもギリギリの範囲で同社の供給エリアではあるが、同県の敦賀市以東は北陸電力の管轄である。

この地域は福島県太平洋岸と並んで原子力発電所が集中している地域であり、前述の3発電所に加え、敦賀市には日本原子力発電敦賀発電所日本原子力研究開発機構の有する高速増殖炉もんじゅや、新型転換炉ふげん(現在は運転停止・廃炉作業中)、株式会社原子力発電訓練センター(三菱重工業の関連会社)なども立地しており、別名「原発銀座」とも言われている。

東日本大震災の影響

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震東日本大震災)の発生により、東京電力福島第一原子力発電所放射能漏れ事故が発生したことを受けて同社は、管理下の原子力発電所の非常用ディーゼル発電機以外に、移動可能な電源装置を別途高台等に設置すると各マスコミに向けてアナウンスした[6]

全需要家への節電協力要請

さらに2011年6月10日に同社は、原子力発電所の運転停止・定期点検後の再稼動延期に伴う電力の供給不足による停電を回避することを目的として、同年7月1日から9月22日の平日9時から20時までの間(お盆の期間を除く)、個人・法人の全需要家に対し、前年比15%程度の節電の協力を要請する、との報道発表を行った。そして7月1日から9月22日まで、「でんき予報」の発表(6月29日~9月22日)を含めた、同社からの節電への協力要請が実施された。特に個人の需要家に対しては、平日13時から16時までの節電を呼びかけていた。

その後も同社は、2011年12月19日から翌2012年3月23日までの期間において、平日9時から21時までの間(年末年始を除く)全需要家に対し、前年比10%程度の節電協力要請を行っていた。特に個人の需要家に対しては、平日18時から21時までの節電を呼びかけていた。なお「でんき予報」は2011年11月30日より、また「週間でんき予報」は2011年12月16日より、いずれも2012年3月23日まで発表された。

2012年3月24日以降も、数値目標を掲げないものの、全需要家への節電の協力要請は引き続き行われている。

オール電化住宅の促進

東京電力福島第1原発事故以後、オール電化のテレビCMは自粛していたがオール電化住宅の販売促進は継続して行っていた。[7]

不祥事・トラブル

美浜原発事故(2004年8月)

2004年8月9日美浜発電所3号機で発生した配管破損事故。 2次冷却系のタービン発電機付近の配管破損により高温高圧の水蒸気が多量に噴出、逃げ遅れた5名が熱傷で死亡。 事故を公表せずに隠蔽していた事でマスコミが必要以上に騒ぎ立てた為に重大事故と誤解を受けがちだが、国際原子力事象評価尺度(INES)による判定はレベル1(安全上重要ではない事象であるレベル0から、後に「作業員には危険があった」ということで修正)で、他の原子力関連事故に比べると危険性は殆ど無い事故であった。

なお、1991年2月9日に美浜発電所2号機にて蒸気発生器の伝熱管が破損し非常用炉心冷却装置(ECCS)が作動する事故が起きており、INESによる判定でレベル2とされた[8]

所得隠しの発覚

  • 同社所有の遊休地の取引に絡み、大阪国税局から、2008年3月期までの2年間で約6億円の所得隠しを指摘されていたことが、2009年4月17日の各新聞報道で発覚した。同社が所有権を持たない土地について、売却損益を架空計上したと判断された模様である。申告漏れの総額は約62億円に及ぶとされ、国税当局は重加算税を含め約21億円を追徴課税した[9][10]。なお、同社はこの件に関して、一切公式サイト上でコメントをしていない。
  • また、2011年にも、福井県美浜町などでの原子力発電所建設で生じた金属屑を、実勢価格よりも安い価格で地元業者に売却していたが、これについて、同国税局から「(課税対象となる)交際費である」とされ、2010年3月期までの5年間で約45億円の申告漏れを指摘された[11]

カラス巣作り訴訟

関連会社

関係会社

電気設備工事会社の関電工は、その名前から関西電力の関係会社と誤解されやすいが、関東地方を地盤とする東京電力系の会社(旧社名:関東電気工事)であり、関西電力グループにおいては、きんでん(旧社名:近畿電気工事)に相当する会社である。

PR施設

提供番組・コーナー

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震東日本大震災)に伴い、震災発生以降以下の番組での提供は行っていない。

加えて2011年6月10日に、原子力発電所の運転停止・定期点検後の再稼動延期に伴う電力の供給不足による停電を回避することを目的として、同年7月1日から9月22日の平日9時から20時までの間、個人・法人の全需要家に対し、前年比15%程度の節電の協力を要請したことにあわせて同年6月18日より、同社からの「節電のお願い」を伝える社告形式のCMが放映された。

その後、同年9月23日以降は、省エネルギーをテーマにした企業イメージCMが放映されていたが、同年12月19日より翌2012年3月23日まで、全需要家に対し前年比10%程度の節電協力要請を行ったことにより、再度「節電のお願い」を伝える社告形式のCMが放映された。

2012年3月24日以降は、再び省エネルギーをテーマにした企業イメージCMが放映されている。

なお福井県内では、原子力発電所での安全対策を伝えるなど独自のCMが放映されているが、東日本大震災の発生以降、関西2府4県と同様にACジャパンのCMへの差し替えが一時期行われていた。

テレビ

2012年5月現在(すべて提供クレジット表示なし)
過去

ラジオ

CM出演者

企業イメージキャラクター

その他

関電グループ企業

企業CMに使用された音楽

主な出資企業

関西電力が出資する主な企業は以下の通り。ここでは放送事業者を記載する(出資比率は2011年3月31日時点[12])。

天下り問題

  • 福島第一原子力発電所事故以降、経済産業省と電力会社の天下り問題が監督官庁である経産省の原子力発電所の安全基準のチェックを甘くさせる構造として批判が集まった。

脚注

  1. ^ 新鹿町、磯崎町、大泊町、須野町、二木島里町、二木島町、波田須町、甫母町、遊木町を除く
  2. ^ 韓国電力公社も英語社名としてKEPCOという名称が使われている。
  3. ^ ただし、事業すべて継承しているわけではなく、東邦ガス京福電気鉄道ダイビルなど、同じ起源を持つ企業は他にも存在する。
  4. ^ 関西電力 事業所一覧 火力発電について
  5. ^ 関西電力 原子力発電について
  6. ^ 今回の東北地方太平洋沖地震を受けて
  7. ^ 関西電力:オール電化住宅なお促進[1]
  8. ^ 電気事業連合会【電気の情報広場】. “美浜発電所2号機事故”. 2011年3月29日閲覧。
  9. ^ 関西電力が6億円所得隠し、土地取引巡り架空の損失計上 読売新聞 2009年4月17日
  10. ^ 関西電力、62億円申告漏れ 大阪国税局指摘 朝日新聞 2009年4月17日
  11. ^ 関電、原発内工事で45億円申告漏れ…国税指摘 読売新聞 2011年9月2日
  12. ^ 『日本民間放送年鑑2011』 - 日本民間放送連盟編(2011年)

関連項目

外部リンク