黒部峡谷鉄道

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黒部峡谷鉄道株式会社
THE KUROBE GORGE RAILWAY CO., LTD
種類 株式会社
略称 黒部、黒鉄(くろてつ)
本社所在地 日本の旗 日本
938-0293
富山県黒部市黒部峡谷口11番地
設立 1971年5月4日
業種 陸運業
事業内容 旅客鉄道事業
構内売店事業
受託事業(関西電力専用鉄道運輸施設の運転保全、黒部川電気記念館の管理運営)
代表者 代表取締役社長 加藤 和彦
資本金 2億5千万円
決算期 3月31日
主要株主 関西電力(100%出資、同社の連結子会社
外部リンク www.kurotetu.co.jp/
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黒部峡谷鉄道株式会社(くろべきょうこくてつどう、THE KUROBE GORGE RAILWAY CO., LTD.)は、富山県黒部市に本社を置き、同県の黒部川沿いを走る黒部峡谷鉄道本線を運営する鉄道会社である。略称は黒鉄(くろてつ)。

概要[編集]

もともとは日本電力日本発送電による黒部川電源開発のための資材運搬用鉄道であり、かつては便宜的に旅客を扱っていた(当時の切符には生命の保障はしない旨の注意書きがあった)。日本国内では数少ない軌間762mmの特殊狭軌(ナローゲージ)での鉄道路線[1]で、トロッコ列車(オフィシャルな愛称は「トロッコ電車」)を運行している。

1971年7月に関西電力から分社化され、地方鉄道事業の譲渡を受けたもので、現在でも関西電力の100%子会社である。社紋は関西電力の社紋の中にレールの断面を入れたものになっている(欅平駅の画像と公式ページを参照)。

鉄道事業のほか、宇奈月駅欅平駅などでのレストラン・売店の経営なども行う。

沿革[編集]

  • 1923年(大正12年) 日本電力(株)が発電所建設のための資材運搬用の専用鉄道として、宇奈月 - 猫又間(11.8km)の軌道敷設工事に着手。路線は、元は主に黒薙温泉などに通じる林道であった。
  • 1926年(大正15年)10月23日 宇奈月 - 猫又間 運転を開始[2]
  • 1929年(昭和4年)12月26日 猫又 - 小屋平間 運転を開始[2][3]
  • 1931年(昭和6年)7月30日 小屋平 - 小黒部間 運転を開始[2][4]
  • 1937年(昭和12年)6月30日 小黒部 - 欅平間 運転を開始[2][5]
  • 1941年(昭和16年)
    • 1月23日 欅平 - 欅谷間の上部軌道開通[2]
    • 9月3日 欅谷 - 仙人谷間の上部軌道開通[2]
    • 10月1日 日本電力が日本発送電に発送電設備などを現物出資、宇奈月 - 欅平間、欅平 - 仙人谷間の専用鉄道を譲渡。
  • 1951年(昭和26年)5月1日 日本発送電が関西電力に発送電設備のほか、宇奈月 - 欅平間、欅平 - 仙人谷間の専用鉄道を譲渡。
  • 1953年(昭和28年)
    • 11月5日 関西電力が宇奈月 - 欅平間について地方鉄道法の免許取得。
    • 11月16日 関西電力が宇奈月 - 欅平間を黒部鉄道として営業開始。
  • 1971年(昭和46年)
    • 5月4日 関西電力が鉄道専業の子会社として黒部峡谷鉄道を設立。
    • 7月1日 関西電力から黒部峡谷鉄道が宇奈月 - 欅平間を譲り受け営業開始。

路線[編集]

  • 本線 宇奈月 - 欅平 20.1km
    • 関西電力黒部専用鉄道(上部軌道)とは欅平駅で繋がっているほか、黒薙駅で分岐する支線がある。欅平からはエレベータで200mほど上昇して、上部軌道に移る。そこから先は、一般観光客や登山者向けではなく関西電力の関係者と工事関係者のための鉄道となる。

運賃[編集]

大人旅客運賃 - 2014年4月1日改定[6]

宇奈月 570 1210 1710
290 黒薙 650 1140
610 330 鐘釣 490
860 570 250 欅平

※上段…大人 下段…小人

車両[編集]

電気機関車[編集]

EDR 33
EDV 34

現用車両

過去の車両

  • EB形 (1 - 3, 5 - 7,12)
    • 1925年から走っていた機関車である。凸形機だったEB3以外はL字型の車体で、登場当初は集電用のトロリーポールを人力で操作して運転していた。1984年廃形式。EB5は登場当初の姿に復元の上、宇奈月駅前の黒部川電気記念館の正面入口前に保存されている。

蓄電池機関車[編集]

  • BB形 (1, 2)
    • 1937年製造。凸型の車体を持ち、登場以来ほとんどそのままの姿で使用されている。主に春の営業開始前の線路敷設の際に使用され、営業期間中に利用客が目にすることはまずない。

ディーゼル機関車[編集]

現用車両

  • DD形 (22,24,25)
    • 箱型(台形)の車体を持つ。22が1979年、23が1985年にそれぞれ協三工業で製造された。23は転落事故で大破したため2000年5月に廃車となり、代替として24が翌2001年日本除雪機製作所で製造された。25は22を置き換えるため、2012年に再び協三工業で製造された[7]。主に冬季、営業終了時の設備撤去の際に使用されるが、営業期間中には黒薙駅から分岐する関西電力黒部専用鉄道の黒薙支線(非電化)への資材運搬用として走ることがある。

過去の車両

  • DB形 (11)
    • 1958年製造。動軸2本の「DB」である。除雪車でもあり除雪用ロータリーヘッドには別途従輪を持っていた。1985年廃車。
  • DD形 (21) - 1979年廃車

客車[編集]

客車トロッコらしく無蓋車に簡便な雨除けの付いたものもあるが、屋根とガラス窓がついている豪華な車両も多い。以下において特別料金は現用車両が2014年4月1日現在、過去の車両が最終営業時点のもの。

現用車両

  • ハ形 - 2軸車(開放型・密閉型)。民鉄の旅客車の中では「現役長寿」「全長最小」「最軽量」「最小定員」の4部門で日本一となっている(黒部峡谷鉄道公式サイトより)。もともとは1925年に貨車として製造されたものが戦後旅客車に改造されている。なお、ハ形客車は前述の収容能力の関係で、旅客列車ではなく関西電力職員の専用列車として使用されている。
    • 開放型車両(ハフ3 - 11・13・15 - 20)オープンデッキの客車。10は車両の外周にアルミサッシを取り付けて密閉型に改造されている。また一部には座席をすべて撤去しているものもある。関西電力職員専用列車用。
    • 密閉型車両(ハフ51 - 54) - 定員16名。座席はロングシートで、点対称の座席配置となっている。関西電力職員専用列車用。
  • 1000形(ボハフ1000・ボハ1000)
    • B型(普通客車)と呼ばれる開放型ボギー車で、56両が在籍している。
  • 2000形(ボハフ2000・ボハ2000・ボハ2100)
    • A型(特別客車)と呼ばれる密閉型ボギー車で、13両在籍している。座席は補助席付の固定クロスシート。乗車には特別料金370円が必要。2011年以降、3100形への置き換えが進んでいる。
      • ボハ2100は関西電力専用車で、3000形の導入で編成から外されたボハ2033を改造した車両。乗降ドアを自動式引戸から手動式折戸に、座席を1+2配置の転換クロスシートに交換するなどの改造が行われている
  • 2500形(ボハフ2500・ボハ2500・ボハフ2550・ボハ2550)
    • R型(リラックス客車)と呼ばれる密閉型ボギー車で、22両在籍している。座席は転換クロスシート。乗車には特別料金530円が必要。
      • ボハフ2550・ボハ2550は関西電力職員の専用車両である。
  • 2800形(ボハフ2800・ボハ2800)
    • 2500形の改良型で、側窓が大型化されたほか、屋根の肩部に斜め上を向いた天窓を設けられているのが、2500形との違いである。天窓の清掃に難があるなどの理由から6両1編成のみ製造された。
  • 3100形(ボハフ3100・ボハフ3000)
    • 2011年登場。2500形・2800形と同じくR型(リラックス客車)と呼ばれる密閉型ボギー車で、12両在籍している。在来車からの改良点として、新たに転落防止柵と、非常用の貫通扉が設けられた。また、編成中の1両には車椅子スペースも設けられ、バリアフリーにも対応した車両となった。塗装も白を基調に緑と赤のラインが配されたものとなり、2500形・2800形・3000形とは異なる。座席は転換クロスシートで、2500形からの改善点として転倒防止用に掴み手が取り付けられている。乗車には2500・2800形と同じく特別料金530円が必要。

過去の車両

  • 3000形(ボハ3000)
    • P型(パノラマ客車)と呼ばれる密閉型ボギー車で、1986年に登場し、1両のみ在籍していた。乗車には特別料金630円が必要であった。2000形をベースにした車両だが、従来と異なる塗装を採用、後に2500形に引き継がれた。側窓が2000形に比べて位置が低くなり大型化されたほか、大型のサンルーフも追加された。車内は当初は2000形と同じボックスシートであったが、後に2500形と同じ転換クロスシートとなる。整備上の取扱いに難儀したことから増備は見送られ、さらに運賃上の取り扱いも煩雑になることから、2012年をもって廃車、除籍された。

貨車[編集]

  • ワ形(有蓋車) - 1958年製造。当初は火薬運搬用だったが、現在は営業期間中は宇奈月から生鮮食料品や新聞を関西電力黒部専用鉄道(上部軌道)へ向けて搬入するのに使用されている。
  • オシ形(大物車) - 1925年製造。積載量20tは黒部峡谷鉄道の貨車の中では最大。通常は出平駅に留置されている。
  • シ形(大物車) - 1958年製造。
  • ムチ形(長物車) - 本線のみで使用される。
  • ナチ形(長物車) - ムチ形同様、本線のみで使用される。
  • オチ形(長物車) - チ形と共にレール輸送用として使用されている。本線のみで使用される。
  • チ形(長物車) - レール輸送用として使用されている。チ形は関西電力黒部専用鉄道(上部軌道)にも乗り入れできる。
  • オト形(無蓋車) - 本線のみで使用される。
  • ト形(無蓋車) - チ形同様、関西電力黒部専用鉄道(上部軌道)にも乗り入れできる。現在の貨車の最大勢力でもある。一部の車両はごみ運搬用のコンテナを積み、「峡谷美人号」と名付けられている。また一部の車両にはタンクを積んでタンク車のような形態になっているものもある。

特殊車[編集]

現用車両

  • 保線車 (2,3)
    • 保線車2は1999年に従来使用されていた保線車の代替として協三工業で、保線車3は保線車1の代替として2009年に製造された。毎日の営業運転開始前のパトロールや夜間の沿線点検作業で使用している。車籍を有するため、列車後部に連結され本線を走る姿を見ることもできる。
  • SP1
    • 春の営業開始前に除雪作業を行うロータリー式除雪車で、日本除雪機製作所にて製造された。車体が360度旋回する機能を持ち、往復除雪だけでなく、車体を斜めにスイングした状態での走行及び除雪作業が可能。車籍はない。

過去の車両

  • 保線車(1)
    • 1986年に従来使用されていた保線車の代替として協三工業で製造された。保線車3の登場以上により廃車となった。

車内放送[編集]

2009年の全線開通日より富山県滑川市出身の女優室井滋が沿線の名所案内をするナレーションに変更された。

CM[編集]

2009年になってからCMが放送されており、関西テレビでもスポットCMが放送されている。現在はTBS系で放送されている『月曜ゴールデン』のスポンサーとなっている(ただし提供表示は無し)。中京広域圏の民放でもスポットCMが放送されている。

映画[編集]

以下の作品に黒部峡谷鉄道が登場する。

脚注[編集]

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  1. ^ 当線以外の営業線で特殊狭軌は、近鉄内部線八王子線三岐鉄道北勢線のみ。
  2. ^ a b c d e f 『地方鉄道及軌道一覧 : 昭和18年4月1日現在』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
  3. ^ 猫又 - 小屋平間の運転開始は公式サイトでは1930年8月、『地方鉄道及軌道一覧.昭和15年11月1日現在』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)では1930年8月15日。
  4. ^ 小屋平 - 小黒部間の運転開始は『地方鉄道及軌道一覧.昭和15年11月1日現在』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)では1931年8月1日。
  5. ^ 小黒部 - 欅平間の運転開始は『地方鉄道及軌道一覧.昭和15年11月1日現在』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)では1937年7月1日。
  6. ^ 消費税率改定に伴う運賃・料金変更のご案内について - 黒部峡谷鉄道、2014年3月11日(2014年4月4日閲覧)
  7. ^ ディーゼル機関車製造 福島の協三工業 復興へ出発進行 2012年4月18日 福島民報

関連項目[編集]

外部リンク[編集]