鬼平犯科帳 (中村吉右衛門)

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二代目中村吉右衛門主演・『鬼平犯科帳』(おにへいはんかちょう)は、フジテレビ系列で1989年7月より放映されていたテレビ時代劇である。

概要[編集]

火付盗賊改方長官・長谷川平蔵を主人公とする捕物帳で、あらゆる難事件を鬼の平蔵こと長谷川平蔵を中心に火付盗賊改方の役人と密偵たちが解決していくというものである。かつて、吉右衛門の実父である八世松本幸四郎の当たり役であり、父子二代で演じ継がれることとなった [注 1]

放送期間[編集]

  • 第1シリーズから第8シリーズまで毎週水曜20:00 - 20:54に放送。
  • 第9シリーズが毎週火曜19:59 - 20:54に放送。同シリーズを最後にレギュラー放送は終了。
  • 平成元年から平成13年までの13年間の第9シリーズまで全138話放送。
  • 第1シリーズから第6シリーズ第5話まで放送原版(本放送時のマザーVTR)は1吋CタイプアナログVTR、第6シリーズ第6話から第9シリーズの放送原版はD-2デジタルVTR。BSフジに於ける再放送時のマザーVTRは全てHDCAM-VTRに統一。地方向け・再放送時の番組販売用マザーは放送原版(1吋CタイプVTR、D-2デジタルVTR)からダビングしたデジタルベータカムとHDCAM-VTRに統一されている。
  • 1995年に「鬼平犯科帳 劇場版」が公開。
  • スペシャルドラマが2005年から2016年まで、『金曜エンタテイメント』→『金曜プレステージ』→『赤と黒のゲキジョー』→『金曜プレミアム』→『土曜プレミアム』で定期的に放送されていた。
  • 2016年12月2日、3日に前後編2本で放送の『鬼平犯科帳スペシャル』(シリーズ150本目)をもってシリーズ終了となった[1]

主なスタッフ[編集]

レギュラー出演者[編集]

火付盗賊改方[編集]

  • 長谷川平蔵:二代目中村吉右衛門
与力
  • 佐嶋忠介:高橋悦史(第1シリーズ〜第6シリーズ、劇場版、以後代役なし)
  • 天野甚造:御木本伸介(第1シリーズ〜第6シリーズ、劇場版、以後代役なし/萬屋版でも同じ役を務めている)
  • 小林金弥:三代目中村歌昇(現・三代目中村又五郎)(第7シリーズ〜)
同心
  • 酒井祐助:篠田三郎(第1シリーズ)→柴俊夫(第2シリーズ第2話から登場)→勝野洋(第3シリーズ〜)
  • 木村忠吾:尾美としのり
  • 小柳安五郎:香川照之(第1シリーズ〜第2シリーズ)→谷口高史(スペシャル版 『雨引の文五郎』〜)
  • 沢田小平次:真田健一郎(第1シリーズ〜スペシャル版 『引き込み女』、以後代役なし)
  • 山田市太郎:小野田真之(三ツ矢真之→辻政宏と改名)
  • 竹内孫四郎:中村吉三郎
  • 山崎国之進:中村吉次(現・二代目中村吉五郎
  • 村松忠之進:沼田爆(第1シリーズ第3話から登場、劇場版には未出演)
  • 松永弥四郎:宮川不二夫(不破三四郎→不破龍彦と改名)(第2シリーズ〜)
  • 原田一之進:木村栄(第5シリーズ〜)
  • 三井忠次郎:中村吉之助(現・三代目中村吉之丞)(第7シリーズ〜)
  • 同心:中村吉弥(第7シリーズ〜)
  • 同心:中村吉六(第7シリーズ〜)

密偵[編集]

  • 伊三次:三浦浩一(劇場版には未出演)
  • 相模の彦十:三代目江戸家猫八(第1シリーズ第2話〜第9シリーズ)→長門裕之(スペシャル版 『一本眉』〜スペシャル版 『高萩の捨五郎』、以後代役なし)
  • 小房の粂八:蟹江敬三(第1シリーズ第4話〜スペシャル版『見張りの糸』、以後代役なし)
  • おまさ:梶芽衣子(第1シリーズ第5話〜)
  • 大滝の五郎蔵:綿引勝彦(第1シリーズ第21話〜)

親族・知人[編集]

親族
  • 長谷川久栄(平蔵の妻):多岐川裕美
  • 長谷川辰蔵宣義(平蔵の嫡男):長尾豪二郎(第1シリーズ〜第5シリーズ)→東根作寿英(劇場版)
  • 三沢仙右衛門(従兄):北村和夫(第1シリーズ〜第4シリーズ)→橋爪功(スペシャル版『山吹屋お勝』)
知人ほか
  • 京極備前守高久仲谷昇(第1シリーズ〜第8シリーズ)→橋爪功(ファイナル『五年目の客/雲竜剣』)
  • 岸井左馬之助:江守徹(第1シリーズ第2話〜第2シリーズ)→竜雷太(第5シリーズ〜第6シリーズ)
  • 五鉄の亭主・三次郎:藤巻潤(藤巻は、萬屋版で小房の粂八を演じている)
  • 笹やのお熊:北林谷栄(第1シリーズ)→五月晴子(第4シリーズ〜第6シリーズ)
  • 井関録之助:夏八木勲(第2シリーズ第4話〜第7シリーズ)
  • およね:池波志乃(第2シリーズ第9話〜第7シリーズ)
  • おとき:江戸家まねき猫(第3シリーズ〜)

第1シリーズ[編集]

(1989年7月12日 - 1990年2月21日、1990年4月4日、フジテレビ系 水曜20時台時代劇枠)(平均視聴率16.5%)[2]

※BSフジでの放映時は各話「額縁放送」(16:9画角の中に4:3画角が存在する)であるのと、映像マスターがSD画質である。(電子番組表EPG上では16:9 1125iの表記があるが、実際は4:3 525i(480i)である)また「次回予告」は付属しなかったが、2020年の再放送では、次回予告も放送されるようになった。フジテレビ本放映当時と同じ提供バック(静止画)と音楽、「鬼平犯科帳 =終=」のエンド静止画もBSフジでは使われている。なお、BSフジ以外への地方局番販の場合は提供バックはカットされ、=終=のエンド静止画のみ放送されている。

第2シリーズ[編集]

(1990年4月4日 - 1991年3月27日、フジテレビ系 水曜20時台時代劇枠)(平均視聴率16.5%)[2]

※BSフジでの放映時は各話「額縁放送」(16:9画角の中に4:3画角が存在する)であるのと、映像マスターがSD画質である。(電子番組表EPG上では16:9 1125iの表記があるが、実際は4:3 525iである)また「次回予告」は付属しない。フジテレビ本放映当時と同じ提供バック(静止画)と音楽、「鬼平犯科帳 =終=」のエンド静止画もBSフジでは使われている。

第3シリーズ[編集]

(1991年11月20日 - 1992年5月13日、フジテレビ系 水曜20時台時代劇枠)(平均視聴率18.1%)[2]

※BSフジでの放映時は各話「額縁放送」(16:9画角の中に4:3画角が存在する)であるのと、映像マスターがSD画質である。(電子番組表EPG上では16:9 1125iの表記があるが、実際は4:3 525iである)また「次回予告」は付属しない。フジテレビ本放映当時と同じ提供バック(静止画)と音楽、「鬼平犯科帳 =終=」のエンド静止画もBSフジでは使われている。

第4シリーズ[編集]

(1992年12月2日 - 1993年5月12日、フジテレビ系 水曜20時台時代劇枠)(平均視聴率17.5%)[2]

※BSフジでの放映時は各話「額縁放送」(16:9画角の中に4:3画角が存在する)であるのと、映像マスターがSD画質である。(電子番組表EPG上では16:9 1125iの表記があるが、実際は4:3 525iである)また「次回予告」は付属しない。フジテレビ本放映当時と同じ提供バック(静止画)と音楽、「鬼平犯科帳 =終=」のエンド静止画もBSフジでは使われている。

第5シリーズ[編集]

(1994年3月9日 - 1994年7月13日、フジテレビ系 水曜20時台時代劇枠)(平均視聴率15.1%)[2]

※BSフジでの放映時は各話「額縁放送」(16:9画角の中に4:3画角が存在する)であるのと、映像マスターがSD画質である。(電子番組表EPG上では16:9 1125iの表記があるが、実際は4:3 525iである)また「次回予告」は付属しない。フジテレビ本放映当時と同じ提供バック(静止画)と音楽、「鬼平犯科帳 =終=」のエンド静止画もBSフジでは使われている。

第6シリーズ[編集]

(1995年7月19日 - 1995年11月1日、フジテレビ系 水曜20時台時代劇枠)(平均視聴率13.6%)[2]

※BSフジでの放映時は各話「額縁放送」(16:9画角の中に4:3画角が存在する)であるのと、映像マスターがSD画質である(電子番組表EPG上では16:9 1125iの表記があるが、実際は4:3 525iである)。また「次回予告」は付属しない。フジテレビ本放映当時と同じ提供バック(静止画)と音楽、「鬼平犯科帳 =終=」のエンド静止画もBSフジでは使われている。また、本シリーズの第6話から放送マザーが従来の1吋CタイプVTRからD-2デジタルVTRに変更された(※BSフジでの放送時はD-2からダビングしたHDCAM-VTRが引き続き使用されている)。

劇場版[編集]

(1995年11月18日公開)

※地上波(アナログ放送)とBSフジの初回放映時は映像マスターがSD画質で16:9の画角。(電子番組表EPG上では16:9 1125iの表記があるが、実際は16:9 525iである)
※2018年4月のBSフジ放映時から映像マスターがハイビジョン画質、16:9の画角となった。

第7シリーズ[編集]

(1996年8月21日 - 1996年9月4日、1997年4月16日 - 1997年7月16日、フジテレビ系 水曜20時台時代劇枠)(平均視聴率14.4%)[2]

※BSフジでの放映時は各話「額縁放送」(16:9画角の中に4:3画角が存在する)であるのと、映像マスターがSD画質である。(電子番組表EPG上では16:9 1125iの表記があるが、実際は4:3 525iである)また「次回予告」は付属しない。フジテレビ本放映当時と同じ提供バック(静止画)と音楽、「鬼平犯科帳 =終=」のエンド静止画もBSフジでは使われている。

第8シリーズ[編集]

(1998年4月15日 - 1998年6月10日、フジテレビ系 水曜20時台時代劇枠)(平均視聴率14.9%)[2]

  • 第4話「眼鏡師市兵衛」(原作:「二度ある事は」)(1998年5月6日)(視聴率13.9%)
  • 第7話「同門対決」(原作「高杉道場・三羽烏」)(1998年5月27日)(視聴率14.0%)

※BSフジでの放映時は各話「額縁放送」(16:9画角の中に4:3画角が存在する)であるのと、映像マスターがSD画質である。(電子番組表EPG上では16:9 1125iの表記があるが、実際は4:3 525iである)また「次回予告」は付属しない。フジテレビ本放映当時と同じ提供バック(静止画)と音楽、「鬼平犯科帳 =終=」のエンド静止画もBSフジでは使われている。

第9シリーズ[編集]

(2001年4月17日 - 2001年5月22日、フジテレビ系 火曜20時台時代劇枠)(平均視聴率13.6%)[2]

  • 第1話「大川の隠居」(スペシャル)(原作:「大川の隠居」「掻掘のおけい」「流星」)(2001年4月17日)(視聴率15.5%)

※このシリーズよりステレオ制作。BSフジでの放映時は各話「額縁放送」(16:9画角の中に4:3画角が存在する)であるのと、映像マスターがSD画質である。(電子番組表EPG上では16:9 1125iの表記があるが、実際は4:3 525iである)また「次回予告」は付属しない。フジテレビ本放映当時と同じ提供バック(静止画)と音楽、「鬼平犯科帳 =終=」のエンド静止画もBSフジでは使われている。

スペシャル[編集]

フジテレビ系『金曜エンタテイメント』→『金曜プレステージ』→『赤と黒のゲキジョー』→『金曜プレミアム』→『土曜プレミアム』枠での放送。

※地上デジタルとBSフジでの放映時 画角16:9、フィルム撮影(スーパー16mmを使用)、ハイビジョン製作。

※地上デジタルとBSフジでの放映時 画角16:9、フィルム撮影(スーパー16mmを使用)、ハイビジョン製作。

ナレーション[編集]

  • 中西龍(第1〜第8シリーズ、終盤はオープニングと予告のみで、クレジットは他のナレーターと併記)
  • 仁内建之(第7・第8シリーズ)
  • 能村太郎(=能村庸一、第8シリーズ〜THE FINAL)

テーマ音楽・オープニングとエンディング[編集]

オープニング[編集]

  • ナレーションは共通。映像は馬に乗った平蔵が市中を走り抜けるシーンや賊の群れや盗賊などを捕縛するシーンが続き、第二期からはオープニングの後半部に平蔵達盗賊改が船で川を進むシーンなどが追加された。オープニングの音楽は、勇ましいトランペットやトロンボーンなどの金管楽器を主体としつつも、電子ドラムなどの打楽器音も加えられたダイナミック感のある時代劇に即した音楽が奏でられている。なお、第1シリーズのオープニングに共通して使用されている「オープニング音楽」は第2シリーズから使用されているそれとアレンジの違いやテンポの違いなどが若干あり、第1シリーズのオープニングよりも第2シリーズからのオープニング音楽はテンポが速くなっている。

エンディング[編集]

  • 吉右衛門主演の鬼平犯科帳において印象深いものの1つに、「日本の四季折々に彩られた」中で営まれる『人々の生活の風景』をちりばめたエンディングがある。ジプシー・キングス『インスピレイション』をテーマ音楽に用い、春(桜)、夏(花火)、秋(紅葉)、冬(雪)といった日本の四季に代表されるシーンに加え、菖蒲や紫陽花等といった季節相応の花を主体とした風景、梅雨時期に見られるにわか雨模様や夏の風鈴売りや冬のそば屋台等に見られる人々の生きる営みを映像化するなど、町人文化の彩りを活き活きと表現している。このコンセプトは後に「剣客商売」のオープニングなどにも形を変えながら引き継がれた。
  • また本作品では、画面中心に配されるのが主流であったエンドロール表示が、画面下部、あるいはその左右にオフセットされる形で表示される形態が採られた事が特徴である。これは、エンディングにおけるそれぞれのシーンが印象的になる効果を与えるものとなっている。盗賊改方、密偵などレギュラー出演者は画面右下、盗賊などでのゲスト出演者およびその他の出演者は画面左下にそれぞれオフセットされた形で、スタッフ他、制作者側は画面下半分を使う形で表示されるのが主となっている。
  • なお通常フジテレビの社名ロゴマークは濁点が上下に連なって表記されているが、本作品に関しては左右に連なっている。
ロケ地

受賞歴[編集]

備考[編集]

山形県では、かつて山形テレビ(YTS)がフジテレビ系列局であった時代、YTSでも同時ネットで放送されていたが、1993年4月1日に、YTSがテレビ朝日系列ネットチェンジしたことに伴い、ネットチェンジ前日(1993年3月31日)に放送された第4シリーズの第14話の「ふたり五郎蔵(スペシャル)」をもって打ち切られ、山形県では水曜20時台時代劇が一時途絶えることになった。なお、山形県では、YTSのネットチェンジ後、フジテレビ系番組の引き受け先となったTBS系列局テレビユー山形に移行されたかどうかは不明である。また、日本テレビ系列局に一本化した山形放送(YBC)にはフジテレビの意向でネット[注 3]されなかった。

その後、1997年4月1日に、さくらんぼテレビが開局したことにより、山形県でも4年ぶりに同時ネットで放送が再開されることになった。ちなみに、さくらんぼテレビ開局後に初めて放送された話は、第7シリーズ放映期間(1996年10月から翌年3月まで休止期間があった)の1997年4月16日に放送された第4話の「木の実鳥の宗八」である。

鹿児島テレビ1994年3月31日まで日本テレビ系列とフジテレビ系列のクロスネット局だったため、当枠は『クイズ世界はSHOW by ショーバイ!!』を同時ネットしていた。その後同年4月1日鹿児島讀賣テレビの開局によりフジテレビ系列フルネット局になったため、第5シリーズの3話からネット開始。

おとき役の江戸家まねき猫は、Youtubeの小林まどか氏の対談「言霊インタビュー」(2016年)にて、鬼平の撮影現場での裏話を披露している。

映像ソフト[編集]

第1 - 第9シリーズ、スペシャル版などのDVDが松竹ホームビデオから発売されている。また、デアゴスティーニ・ジャパンからDVDつきマガジン「隔週刊 鬼平犯科帳 DVDコレクション」が、新潟県において先行販売を2010年5月24日に開始、全国販売が2010年9月14日に開始された。

脚注[編集]

注釈
  1. ^ 1980年から1982年にかけ、テレビ朝日鬼平犯科帳で長谷川平蔵を演じた萬屋錦之介も萬屋の父である三代目中村時蔵が吉右衛門の大叔父にあたるため、血縁関係にある。
  2. ^ エンディングでは「村上晃」と記されている。
  3. ^ YBCは、YTSのネットチェンジに協力したとフジテレビがみなしたことから、YTSのネットチェンジ以降、権利切れの再放送といった例外を除いて、本番組(1993年4月14日に放映された第4シリーズの第15話の「女密偵・女賊」以降)を含めて、番組販売によるフジテレビ系の番組の買い付けと放送が拒否されていた。
出典

外部リンク[編集]

フジテレビ系 火曜20時台
前番組 番組名 次番組
火曜ワイドスペシャル(第3期)
※19:00-20:54
鬼平犯科帳(第9シリーズ)
(ここから火曜時代劇
剣客商売(第3シリーズ)