東野圭吾

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東野 圭吾
(ひがしの けいご)
誕生 1958年2月4日(56歳)
日本の旗 日本大阪府大阪市生野区
職業 小説家
国籍 日本の旗 日本
活動期間 1985年 -
ジャンル ミステリーサスペンス
代表作 秘密』(1998年)
白夜行』(1999年)
容疑者Xの献身』(2006年)
流星の絆』(2008年)
主な受賞歴 江戸川乱歩賞(1985年)[1]
日本推理作家協会賞長編部門(1999年)
直木三十五賞(2006年)
本格ミステリ大賞小説部門(2006年)
中央公論文芸賞(2012年)
処女作 放課後[1]
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東野 圭吾(ひがしの けいご、1958年2月4日 - )は、日本小説家大阪府大阪市生野区生まれ(本籍東区玉造・現中央区)。本名同じ。

略歴

学生時代

1958年大阪市生野区に生まれる。当時の街が1999年に刊行された『白夜行』や『浪花少年探偵団』シリーズの舞台となっているなど、作品には自身の体験が幅広く取り入れられている。また、東野という名字は、最初は「とうの」と読んでいたが、圭吾の父親が「ひがしの」と読み方を変えたらしい。以来その地で育ち、大阪市立小路小学校大阪市立東生野中学校に進学。この頃の体験などを綴った自身のエッセイあの頃僕らはアホでした』などによると、成績は「オール3」であり、また読書少年でもなかった。

その後大阪府立阪南高等学校に入学し、2年生になった1974年、偶然手に取った小峰元『アルキメデスは手を汚さない』を読み、推理小説に初めて嵌る。同時に江戸川乱歩賞の存在を知り、さらに松本清張の著作を読み漁るようになり、やがて推理小説を書き始める。処女作は『アンドロイドは警告する』だが、現在まで内容は公開されていない。

また、『アンドロイドは警告する』を書き終えた後、『スフィンクスの積木』という犯人当て小説を書き始めるが、さほど熱中できず、1978年にやっと完成した。しかし友人などに見せ、不評を買った、と語っている。

卒業後は1年間の浪人を経て、大阪府立大学工学部電気工学科に進学。大学在学中はアーチェリー部の主将を務め、デビュー作『放課後』では題材として使われている。

大学卒業後

その後、1981年に日本電装株式会社(現デンソー)に技術者として入社する。勤務の傍ら推理小説を書き、1983年に『人形たちの家』を第29回江戸川乱歩賞に応募する。結果は二次予選通過であった。この頃結婚するが、当時の妻の職業が女子高の非常勤教師であったため、『放課後』の主人公・前島を女子高勤務にすることを思いつく。

1984年の第30回乱歩賞では、『魔球』が最終候補作にまで残るも落選する。翌1985年に『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタートさせる[1]1986年には退職し、3月に上京、以後は専業作家としての道を歩むこととなる。

専業作家後

作家となってからは、著作が増刷されずに終わることも珍しくないなど、なかなかヒットに恵まれず、また文学賞に15回も落選するなど、厳しい時代が続いたが、1996年に『名探偵の掟』で『このミステリーがすごい!1997』の3位になるなど、にわかに注目を集め、1998年に『秘密』を刊行すると、一気に大ブレイクする。同書は映画・ドラマ化されたほか、第52回日本推理作家協会賞(長編部門)を受賞する。

以後、2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞(小説部門)を受賞するなど着実に評価を高めてゆく一方で、作家版の長者番付でも上位に顔を出すようになるなど、人気作家の仲間入りを果たした。エッセイ『たぶん最後の御挨拶』で離婚しているとの記述がある。そのほか「たぶん僕のなかで変わったものがあるとすれば、力が抜けたんだと思います。夫として、妻の気持ちをわかろうというのは必要だと思うんです。でも、難しいですよね。夫婦という関係を解消してしまったあとのほうが、相手の気持ちが見えてくるというか。一歩下がって見られるようになったというか……。」と記した。

2009年5月に行われた日本推理作家協会の特別理事会で、大沢在昌の後任の理事長として選出され、同年6月1日付で就任した。2014年より、直木賞の選考委員となる[2]

受賞歴・候補歴

太字が受賞。

  • 1983年『人形たちの家』第29回江戸川乱歩賞二次予選通過
  • 1984年『魔球』第30回江戸川乱歩賞最終候補
  • 1985年『放課後』第31回江戸川乱歩賞受賞[1]
  • 1988年『学生街の殺人』第9回吉川英治文学新人賞候補・第41回日本推理作家協会賞(長編部門)候補
  • 1990年『鳥人計画』第11回吉川英治文学新人賞候補
  • 1991年「天使の耳」第44回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)候補
  • 1992年「鏡の中で」第45回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)候補
  • 1993年『ある閉ざされた雪の山荘で』第46回日本推理作家協会賞(長編部門)候補
  • 1993年『交通警察の夜』第46回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)候補
  • 1996年『天空の蜂』第17回吉川英治文学新人賞候補
  • 1997年『名探偵の掟』第18回吉川英治文学新人賞候補
  • 1999年『秘密』第120回直木三十五賞候補・第20回吉川英治文学新人賞候補・第52回日本推理作家協会賞(長編部門)受賞
  • 2000年『白夜行』第122回直木三十五賞候補
  • 2001年『片想い』第125回直木三十五賞候補
  • 2003年『手紙』第129回直木三十五賞候補
  • 2004年『幻夜』第131回直木三十五賞候補
  • 2006年『容疑者Xの献身』第134回直木三十五賞受賞・第3回本屋大賞4位・第6回本格ミステリ大賞(小説部門)受賞
  • 2008年『流星の絆』第43回新風賞受賞
  • 2012年『容疑者Xの献身』アメリカ図書館協会最高推薦図書(ミステリー部門)[3]エドガー賞最優秀長編賞候補、バリー賞新人賞候補
  • 2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』第7回中央公論文芸賞受賞
  • 2013年『夢幻花』第26回柴田錬三郎賞受賞
  • 2014年『祈りの幕が降りる時』第48回吉川英治文学賞受賞[4]

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作風

  • 初期の作風は、学園物・本格推理・サスペンス・パロディ・エンターテイメントなど多彩である。エンジニア出身であるためか、原子力発電や脳移植などの科学を扱った作品も多い。
  • その一方でスポーツにも関心があり、大学時代には部の主将を務めていたアーチェリーや中学時代にやっていた剣道、野球、スキージャンプ、スノーボード等を題材にした作品もある。
  • 『秘密』がベストセラーになる前は、レベルの高い佳作を数多く執筆しながらも爆発的な話題作には恵まれず、特定のセールスポイントを打ちだすこともなかったため、一般的には地味な存在であった。ただし、ひそかな愛読者は少なくなく、子供時代の東野を熱中させたウルトラシリーズを手がけた一人でもある映画監督の実相寺昭雄は、1993年にパソコン誌の連載エッセイで、私にとって大切な作家と言い切っている。
  • エッセイ『あの頃僕らはアホでした』で、ほとんど読書と無縁の青少年期を送ったことを記している(マンガすらさほど読まなかったという)。高校時代まで江戸川乱歩の存在も知らず、姉に「帰化人で、本名はエドガー・アラン・ポーという」とデタラメな説明をされてそのまま信じたという。ちなみに、同書で触れられる創作物はほとんどが東宝円谷の特撮ものであり、これ以外にはブルース・リー関連映画が若干挙げられている程度である。
  • シリーズキャラクターを必要最低限しか使わないことでも知られていて、『赤い指』『卒業』『私が彼を殺した』『悪意』『眠りの森』などの加賀恭一郎、『探偵ガリレオ』『予知夢』『容疑者Xの献身』の湯川学など数えるほどしかいない。また、同じ主人公でもストーリーはそれぞれ独立しているので、刊行順に読む必要はない。
  • 推理小説というジャンルそのものや出版業界に対する批判・皮肉をユーモアを交えて描いた『名探偵の掟』『名探偵の呪縛』『超・殺人事件』などを発表している。
  • 推理小説に関しては、作品を重ねるごとに徐々に作風が変化している。初期の本格推理のような意外性に重きを置いた作品が減少し、社会派推理小説のような現実的な設定にこだわるようになる。1986年の『白馬山荘殺人事件』では「密室だとか暗号だとかの、いわゆる古典的な小道具が大好きで、たとえ時代遅れだといわれようとも、こだわり続けたい」と語り、本格推理小説の「お約束事」を好む発言をしていた。ところがその4年後には『名探偵の掟』のプロローグとエピローグに当たる『脇役の憂鬱』を発表、そのような「お約束事」に疑問を抱くようになる。1990年の『宿命』で「犯人は誰か、どういうトリックかといった手品を駆使したそういう謎もいいが、もっと別のタイプの意外性も想像したい」と語り、2人に課せられた宿命という意外性を読者に示した。それ以降東野の推理小説は『どちらかが彼女を殺した』『私が彼を殺した』などのフーダニット(Who had done it)を重視した作品や、『探偵ガリレオ』『予知夢』などのハウダニット(How done it)を重視した作品などスタイルを大きく転換することとなり、ミステリーの枠を広げる試みを続けている。近年は、社会性に重きを置いた作品が多い。『容疑者Xの献身』は高い評価と同時に、一部から強い批判も浴び、議論を巻き起こした。

プライベート

  • 客室乗務員をしている姉と、教師をしている姉がいる。彼女たちの職業を参考にして『殺人現場は雲の上』、『浪花少年探偵団』シリーズを執筆した(自作解説より)。
  • 遠い血縁者に萩原智子がおり、彼女の結婚式に招待された。
  • 猫を飼っている。名前は「夢吉」。捨て猫であったのを拾ったとのこと。また、その猫の写真は一時期公式サイトの背景として使用されていたほか、エッセイ『夢はトリノをかけめぐる』では人間に変身してスポーツに挑戦したり(もちろんフィクション)、『たぶん最後の御挨拶』のカバーにもなっている。がっかりするくらいつかえない猫だと同書で語っている。
  • 近年は銀座の文壇バーによく行く。大沢在昌奥田英朗らはそこでの飲み仲間でもある(『野性時代』2006年2月号)。
  • 怪獣が好き。

エピソード

  • 映画好きで映画監督になりたかったこともあり、学生時代には自分で映画を撮ったことがある。また、『あの頃僕らはアホでした』には、「いまでも映画監督を夢みている。だが、小説家で我慢している」といった趣旨の文がある。自作の映像化に関しては大幅な脚色にも寛容であり、そのために映像化作品の多い作家となっている。なお自作を原作とした映画『秘密』と『g@me.』に一場面だけ出演している。
  • 受賞直後の記者会見では、「落ちるたんびにやけ酒飲んで、みんなで選考委員の悪口言って、普通の人はできない面白いゲームやったな。今日は勝てて良かった」と発言した。
  • サイン会なども滅多に開かない作家として知られるが、かつて1996年11月に早稲田大学で講演会を開催したことがある。その際に今後構想のある小説の予定として、『同級生』以来となる青春学園推理、航空サスペンス『トリプル・ジャック』、天下一大五郎シリーズで捕物帖が発表できればと語った。2013年現在、それらはいずれも発表されていない。
  • かつては双葉社とは「小説推理」誌上で『むかし僕が死んだ家』『悪意』を連載するなど良好な関係にあった。しかし長編『ゼブラの夏』連載途中に編集者と衝突し(掲載誌目次に『ジラフの夏』と誤記されるなどコミュニケーション不足が遠因とされる)、結局東野の意向により未完のまま連載打ち切りとなった。東野の作家人生において唯一の未完成長編とされ、それ以降、東野と双葉社とは疎遠になっている。
  • 2011年の東日本大震災に際して、『麒麟の翼』の増刷分10万部分の印税を救援金として寄付した。[5]
  • 祈りの幕が下りる時』や『虚ろな十字架』などは、発売まであらすじなどの内容が全くあるいはほとんど明かされない、いわゆるハングリーマーケティングという手法が採られている。

作品一覧

★=書下ろし

小説

シリーズ作品

加賀恭一郎シリーズ
ガリレオシリーズ
天下一大五郎シリーズ
浪花少年探偵団シリーズ
  • 浪花少年探偵団(1988年 講談社 / 1991年 講談社文庫)
  • 浪花少年探偵団2(1993年 講談社)
    • 【改題】しのぶセンセにサヨナラ―浪花少年探偵団・独立篇(1996年 講談社文庫)
○笑小説シリーズ

ノンシリーズ作品

長編
短編集
  • 依頼人の娘(1990年 祥伝社ノン・ノベル)
    • 【改題】探偵倶楽部(1996年 祥伝社文庫 / 2005年 角川文庫)
      • 収録作品:偽装の夜 / 罠の中 / 依頼人の娘 / 探偵の使い方 / 薔薇とナイフ
  • 犯人のいない殺人の夜(1990年 光文社 / 1994年 光文社文庫)
    • 収録作品:小さな故意の物語 / 闇の中の二人 / 踊り子 / エンドレス・ナイト / 白い凶器 / さよならコーチ / 犯人のいない殺人の夜
  • 交通警察の夜(1991年 実業之日本社)
    • 【改題】天使の耳(1995年 講談社文庫)
      • 収録作品:天使の耳 / 分離帯 / 危険な若葉 / 通りゃんせ / 捨てないで / 鏡の中で
  • 怪しい人びと(1994年 光文社 / 1998年 光文社文庫)
    • 収録作品:寝ていた女 / もう一度コールしてくれ / 死んだら働けない / 甘いはずなのに / 結婚報告 / 灯台にて / コスタリカの雨は冷たい
  • 超・殺人事件 推理作家の苦悩(2001年 新潮社新潮エンターテイメント倶楽部SS / 2004年 新潮文庫)
    • 収録作品:超税金対策殺人事件 / 超理系殺人事件 / 超犯人当て小説殺人事件(問題篇・解決篇) / 超高齢化社会殺人事件 / 超予告小説殺人事件 / 超長編小説殺人事件 / 魔風館殺人事件(超最終回・ラスト五枚) / 超読書機械殺人事件
  • あの頃の誰か(2011年 光文社文庫)
    • 収録作品:シャレードがいっぱい / 玲子とレイコ / 再生魔術の女 / さよなら『お父さん』 / 名探偵退場 / 眠りたい死にたくない / 二十年目の約束

エッセイ

児童書

  • サンタのおばさん(絵本)(2001年 文藝春秋)★ ※絵は杉田比呂美

メディア・ミックス

テレビドラマ

フジテレビ
日本テレビ
テレビ朝日
NHK教育テレビNHK総合テレビ
テレビ東京BSジャパン
  • 女と愛とミステリー
    • 多摩南署たたき上げ刑事・近松丙吉シリーズ(主演:伊東四朗
      • 第1話・冷たい灼熱〜白昼主婦殺人事件!〜(2001年8月5日、原作:冷たい灼熱『嘘をもうひとつだけ』所収)
      • 第2話・狂った計算〜灼熱のニュータウン殺人事件(2002年9月15日、原作:狂った計算『嘘をもうひとつだけ』所収)
      • 第3話・依頼人の娘(2003年11月23日、原作:依頼人の娘『探偵倶楽部』所収)
WOWOW
TBS

配信ドラマ

  • ドラマJOKER 東野圭吾ドラマシリーズ”笑”(J:COMオンデマンド / auスマートフォン ビデオパス・スマートパス)
    • 第1笑・モテモテ・スプレー(2012年8月1日-配信、主演:濱田岳、原作:モテモテ・スプレー『黒笑小説』所収)
    • 第2笑・あるジーサンに線香を(2012年9月1日-配信、主演:笹野高史、原作:あるジーサンに線香を『怪笑小説』所収)
    • 第3笑・誘拐電話網(2012年10月1日-配信予定、主演:三上博史、原作:誘拐電話網『毒笑小説』所収)

映画

舞台劇

脚注

  1. ^ a b c d 三橋暁(小説本編は東野圭吾) 「解説」『予知夢』 株式会社文藝春秋〈文春文庫〉、2008年8月25日、第33刷、265頁。ISBN 9784167110086
  2. ^ 直木賞選考委員に高村薫氏と東野圭吾氏 来年選考会から”. BOOKasahi.com (2013年10月24日). 2014年3月21日閲覧。
  3. ^ The Reading List | Reference & User Services Association (RUSA)
  4. ^ 中村真理子 (2014年3月11日). “「ダブル受賞」に大沢・東野両氏語る 吉川英治文学賞”. BOOKasahi.com. 2014年3月21日閲覧。
  5. ^ 東野圭吾さん「麒麟の翼」増刷分の印税を寄付
  6. ^ 東日本大震災の影響で公演中止が決定するも2012年4月に公演が行われた『あるジーサンに線香を』公演中止のお知らせ”. ワンワークス (2011年3月18日). 2011年3月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年4月24日閲覧。三越劇場「あるジーサンに線香を」復活4月公演先行予約について”. 2014年4月24日閲覧。
  7. ^ サンシャイン劇場35周年記念公演キャラメルボックス2013スプリングツアー『ナミヤ雑貨店の奇蹟』”. 演劇集団キャラメルボックス. 2013年2月5日閲覧。