伊集院静

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伊集院 静
(いじゅういん しずか)
ペンネーム 伊集院 静(いじゅういん しずか)
作詞家としての筆名は
伊達 歩(だて あゆみ)
誕生 チョ・チュンレ(조 충래
1950年2月9日(64歳)
職業 作家作詞家
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
教育 文学士
最終学歴 立教大学文学部日本文学科
活動期間 1981年 -
ジャンル 小説随筆作詞
代表作 『受け月』(1992年)
機関車先生』(1994年)
『ごろごろ』(2001年)
主な受賞歴 吉川英治文学新人賞(1991年)
直木三十五賞(1992年)
柴田錬三郎賞(1994年)
吉川英治文学賞(2001年)
処女作 『皐月』(1981年)
配偶者 一般人(: - 1980年)
夏目雅子:1984年 - 1985年)
篠ひろ子(妻:1992年 - )
子供 西山繭子二女
親族 西山栄子
沼澤聖一義兄
小達敏昭義弟
青山隼義甥
楯真由子義姪
公式サイト 作家・伊集院静の公式サイト
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伊達 歩
(だて あゆみ)
基本情報
出生名 チョ・チュンレ(조 충래
別名 伊集院 静(いじゅういん しずか)
西山 忠来(本名、読みはにしやま ただき)
出生 1950年2月9日(64歳)
山口県防府市
学歴 立教大学文学部卒業
職業 作家作詞家
担当楽器 作詞
公式サイト 作家・伊集院静の公式サイト

伊集院 静(いじゅういん しずか、1950年2月9日 - )は、日本作家作詞家

伊集院 静は作家としてのペンネームである。作詞家としての筆名は伊達 歩(だて あゆみ)。

本名(戸籍名・日本名)は、西山 忠来(にしやま ただき)。日本に帰化前の氏名(旧名・出生名・韓国名)は、チョ・チュンレ朝鮮語조 충래漢字表記趙 忠來)。男性

来歴[編集]

生い立ち[編集]

1950年生まれ、山口県防府市出身の在日韓国人2世である。出生当時の氏名は「趙 忠來」(チョ・チュンレ、ハングル表記では조충래)であったが、のち日本帰化した際、西山 忠来(にしやま ただき)に変えた。

山口県立防府高等学校を経て、立教大学文学部日本文学科を卒業した。当初、立教大学ではなく美術大学に進学するつもりでいたが、当時義兄の高橋明読売ジャイアンツの野球選手だった影響で高校の夏休みを利用して東京に行った折、長嶋茂雄本人から「野球をするのなら立教に行きなさい」と言われた。その長嶋の一言で立教大学に進学を決めた[1]。野球部の寮に文学全集を持ち込んで入寮したため、変わった新入部員として注目の的になった[2]。肘を壊したため野球部は途中で退部した。

ディレクターとして[編集]

広告代理店勤務を経てCMディレクターになる。広告代理店時代に最初の夫人と結婚、二児[3]をもうけるが、1980年に離婚。1980年松原みきからコンサートツアーの演出を始め、以後松任谷由実松田聖子薬師丸ひろ子和田アキ子らのツアーのほかファッションショーも手がける。

作家として[編集]

1981年、『小説現代』に『皐月』を発表し作家デビュー。代表作に『機関車先生』山口県防府市を舞台とした自伝性の強い『海峡』三部作などがある。1984年8月27日にかつてカネボウ化粧品の「クッキーフェイス」のCMキャンペーンガールで一緒に仕事をした女優の夏目雅子と7年の交際の後再婚したが、夏目は1985年9月11日に27歳の若さで急性骨髄性白血病で死去した。

伊達歩(だて あゆみ)の名で作詞家としても活躍。近藤真彦に提供した『愚か者』で、1987年第29回日本レコード大賞を受賞した。その他『ギンギラギンにさりげなく』などのヒット曲がある。1992年7月15日、『受け月』で直木賞を受賞。同年8月7日に現在の夫人女優篠ひろ子と再々婚。

1993年、『乳房』が映画化、1997年、『機関車先生』がアニメ映画化し声優として参加している。更に2004年には実写映画化された。その他、テレビ化されたのは「夕空晴れて」「海峡」「あづま橋(橋の雨)」など。 また、2005年「ツキコの月」が帝国劇場中日劇場にて舞台化された。

作風[編集]

過去に『週刊文春』で掲載されていた「二日酔い主義」、堂本剛と共著の「きみとあるけば」「ずーっといっしょ」、角川文庫等エッセイも数多く出しており、その小説やエッセイの随所に様々な花が登場するほどの花好きな作家としても知られる。

毎年、サントリーから各新聞社に掲載される広告のコラムとして、4月1日には『新社会人おめでとう』を、成人の日には『新成人おめでとう』を執筆している。

人物[編集]

筆名
「伊集院静」というペンネームは実は自身に付けられたものではなく、とある小さな広告代理店に入社予定になっていた女性のコピーライターにつけられるはずの名前であった。[4]本人は仕事は「趙」で行うつもりであったが、そこの社長が人が入ってくると本名で仕事をさせないと云う趣向の持ち主だったこともあり、ある時、スポンサーへのプレゼンテーション時にある程度知られていた「趙」を使うのがあまり良くないと判断され、「今日はこれでやってください」と渡された名刺に印刷してあったのが「伊集院静」であった。元ネタは漫画「はいからさんが通る」(大和和紀作)の登場人物だと認識している。[5]
趣味・嗜好
趣味は野球観戦、麻雀競馬競輪ボクシング美術鑑賞、ゴルフ。高校、大学と野球部所属。
競輪と麻雀を中心にギャンブルにも造詣が深く、『週刊大衆』で『静と理恵子の血みどろ絵日記』を共筆している西原理恵子おけら先生と呼ばれたりもする。
住居
仙台市に同市出身の妻・篠ひろ子と共に在住。東京でのホテル住まいや、取材での国外滞在も多く、仙台に居るのは1年のうち1ヶ月位の年もあった[いつ?]
東京については、生涯のほとんどを過ごしているにも拘らず未だなじめず、故郷・防府に対しても「安堵はない」、仙台に至っては、犬が中心の家の片隅で仕事と競輪をやっているだけとエッセイで書いたことがある[6]2011年平成23年)3月の東日本大震災には、主な被災地のひとつであった仙台で遭遇、家族や犬らとともに暫くのあいだ被災地生活を経験した[7]
神奈川県の逗子なぎさホテルは、結婚前の7年間を過ごした下宿先であり、後の妻・夏目雅子との愛をはぐくんだ場所でもある。
交友
芸能界、スポーツ界ともに人脈が広く長嶋茂雄松井秀喜武豊とも親交が深い。特に松井秀喜に対する傾倒ぶりは尋常でなく、2007年には松井を題材にした著書を出版している。立教大学野球部の同期には、読売ジャイアンツにドラフト1位指名された横山忠夫がいる。
大和和紀の夫(雑誌編集者)とは長年親交があり、大和は『天使の果実2』の付録漫画、文庫版『瑠璃を見たひと』の解説の中で伊集院の意外な一面を暴露している。また、作詞家の阿木燿子は伊集院を「酒場ではいつもニコニコしてて、罪作りな程女性には優しい」と文庫版『白秋』の解説で評している。

家族[編集]

女優で作家の西山繭子は実娘、ファッションコーディネーターの西山栄子は実姉にあたる。かつて読売ジャイアンツに在籍した高橋明投手は元義兄。また、小達敏昭は2人目の妻である夏目雅子の実弟、沼澤聖一は3人目の妻である篠ひろ子の兄、青山隼は篠の甥にあたる。楯真由子は夏目の実姪、田中好子の継子にあたり、篠との交流から女優を志したという。

夏目雅子
妻子がいた頃からの長い不倫関係だった。結婚前、伊集院との間の子を、夏目は複数回堕胎している[8]
長編小説『潮流』は、広告業界を舞台に、夏目雅子との出会いと共に仕事をしたCF、「アラビアのフロレンス」さながらの「日に焼けない小麦色」を制作していたディレクター時代に材を取って書かれた。後に大和和紀によって『天使の果実』というタイトルで漫画化された(現在は絶版)。
エッセイ、小説を含め、夏目雅子をモデルに書かれたものは少ない。夏目の没後25年目に『真っ白な壁』[9]と題した彼女の思い出についての手記を執筆している。執筆にいたった経緯として「今の妻の両親が亡くなって3年経った。両親が生きている間は書かないと約束をしていた」[10]と語っている。
夏目が闘病中、1億円程の治療費があれば米国での手術も受けさせる事が出来た。しかし当時の伊集院にはその金額が用意できず、それから「二度と金で揺さぶられる人生はしない、どれだけ金を積んできてもビクとも動かない生き方をしていこう」と誓ったという。夏目の死後、伊集院はしばらく表舞台から姿を消し、喧嘩やギャンブル、酒におぼれる生活を送った。
西山繭子
娘の西山繭子が小説を出版した際に連絡を取ったが「ああ、そうですか」とそっけない反応だったと語っていた。

受賞歴[編集]

著書[編集]

  • あの子のカーネーション (文藝春秋 1989年 のち文庫)
  • 三年坂 (講談社 1989年 のち文庫)
  • 神様は風来坊 (文藝春秋 1990年 のち文庫)
  • 乳房 (講談社 1990年のち文庫、文春文庫)
  • 時計をはずして (文藝春秋 1991年 のち文庫)
  • 海峡 (新潮社 1991年 のち文庫(幼年篇))
  • 峠の声 (講談社 1992年 のち文庫)
  • 白秋 (講談社 1992年 のち文庫)
  • ともかく静かに (長友啓典画 講談社文庫 1992年)
  • 受け月 (文藝春秋 1992年 のち文庫、講談社文庫)
  • 瑠璃を見たひと (角川書店 1992年 のち文庫)
  • 遠い昨日 (講談社文庫 1993年)
  • あづま橋 (集英社 1993年 のち文庫、講談社文庫)
  • 潮流 (講談社 1993年 のち文庫)
  • 女神の日曜日 ぐうたら作家の困った毎日 (徳間書店 1993年 のち角川文庫)
  • 夢は枯野を 競輪躁鬱旅行 (講談社 1993年 のち文庫)
  • 機関車先生 (講談社 1994年 のち文庫、集英社文庫・文春文庫)
  • むかい風 (集英社 1994年 のち文庫)
  • アフリカの燕 (文藝春秋 1994年 のち文庫)
  • キャッチ・ボウル (井伊孝彦共著 読売新聞社(よみうりのpicture books) 1994年)
  • 暇なのに忙しかった一日 ぐうたら作家のギャンブル放蕩記 (徳間書店 1994年 のち角川文庫)
  • 花 (稲越功一写真 講談社 1994年)
  • 半人前が残されて (文藝春秋 1995年 のち文庫)
  • とんぼ (講談社 1995年)
  • ジゴロ (角川書店 1995年 のち文庫)
  • 水の手帳 (集英社 1995年 のち文庫)
  • 昨日スケッチ (講談社 1996年 のち文庫)
  • でく (文藝春秋 1996年)
  • 空の画廊 (集英社 1996年 のち文庫)
  • 兎が笑ってる (文藝春秋 1996年 のち文庫)
  • 水のうつわ (幻冬舎文庫 1997年)
  • ピンの一 (幻冬舎 1998年 のち文庫)
  • プレゼント (小学館文庫 1998年)
  • 冬の蜻蛉 (講談社文庫 1998年)
  • 春雷(海峡 少年篇)(新潮社 1999年 のち文庫)
  • グラスの底に (集英社 1999年)
  • オルゴール (講談社文庫 1999年)
  • ロビンソン・クルーソーダニエル・デフォー原作 講談社(痛快世界の冒険文学) 1999年)
  • アフリカの絵本 (講談社 2000年「アフリカの王」文庫)
  • 岬へ(海峡・青春篇)新潮社 2000年のち文庫)
  • 犬が西向きゃ尾は東 (角川文庫 2000年)
  • 可愛いピアス (文藝春秋 2000年 のち文庫)
  • ごろごろ (講談社 2001年)
  • 母の男言葉 (文藝春秋 2001年 のち文庫)
  • きみとあるけば (朝日新聞社 2002年 のち角川文庫)
  • 白い声 (新潮社 2002年 のち文庫)
  • 眠る鯉 (文藝春秋 2003年 のち文庫)
  • 冬のはなびら (文藝春秋 2003年 のち文庫)
  • ずーっといっしょ。 (朝日新聞社 2003年 のち角川文庫)
  • ねむりねこ (講談社 2003年 のち文庫)
  • ぼくのボールが君に届けば (講談社 2004年 のち文庫)
  • べっぴんの鯛 アートン (2004
  • 駅までの道をおしえて (講談社 2004年 のち文庫)
  • 美の旅人 (小学館 2005 「美の旅人 スペイン編」文庫) 
  • 旅行鞄にはなびら (文藝春秋 2005年 のち文庫)
  • ツキコの月 (角川書店 2005年 のち文庫)
  • 宙ぶらん (集英社 2006年)
  • 犬からひとこと (アートン 2007年)
  • 坂の上のμ (講談社文庫 2007年)
  • ヒデキ君に教わったこと 野球で学んだこと (講談社文庫 2007年)
  • Modesty (松井秀喜つつしみ深い生き方 ランダムハウス講談社 2007年)
  • 美の旅人 フランスへ (小学館 2007年 「美の旅人 フランス編」文庫)
  • 眺めのいい人 (ゴマ文庫 2007年)
  • ノボッチと木 (アシェット婦人画報社 2007年)
  • 峠の天使 (アシェット婦人画報社 2007年)
  • 羊の目 (文藝春秋 2008 のち文庫) 
  • タンタカとリンドン (西日本新聞社 2008年)
  • 少年譜 (文藝春秋 2009年)
  • 作家の愛したホテル (日経BP社 2009年11月)
  • 志賀越みち (光文社 2010年3月)
  • お父やんとオジさん (講談社 2010年6月)
  • 浅草のおんな (文藝春秋 2010年8月)
  • ホームオブゴルフ (宮沢正明写真 講談社文芸VISUAL 2010年12月)
  • なぎさホテル (デジタルブックファクトリー 2011年2月)
  • いねむり先生 (集英社 2011年4月 のち文庫)
  • 作家の遊び方 (双葉社 2011年5月)[11]
  • 男の流儀入門 (デジタルブックファクトリー 2011年9月)
  • 伊集院静の「贈る言葉」(集英社 2012年10月)
西原理恵子との「静と理恵子の血みどろ絵日誌」シリーズ
  • アホー鳥が行く (双葉社 2001年 のち角川文庫)
  • それがどうした (双葉社 2002年 のち角川文庫)
  • ぜんぜん大丈夫 (双葉社 2003年 のち角川文庫)
  • たまりませんな (双葉社 2005年 のち角川文庫)
  • どうにかなるか (双葉社 2006年 のち角川文庫)
  • なんでもありか (双葉社 2008年 のち角川文庫)
「夢のゴルフコースへ」宮本卓・写真シリーズ
  • 夢のゴルフコースへ 米国西海岸編 (学習研究社 2004年)
  • 美しきゴルフコースへの旅 (学習研究社 2004年)
  • 夢のゴルフコースへ 米国ハワイ編 (学習研究社 2005年)
  • 夢のゴルフコースへ 米国東海岸編 (学習研究社 2006年)
  • 夢のゴルフコースへ スコットランド編 (学習研究社 2008年)
「大人の流儀」シリーズ
  • 大人の流儀(2011年3月 講談社
  • 続・大人の流儀(2011年12月 講談社)
  • 別れる力 大人の流儀3(2012年12月 講談社)
  • 許す力 大人の流儀4(2014年3月 講談社)

作詞[編集]

脚注[編集]

  1. ^ (「野球で学んだこと ヒデキ君に教わったこと」講談社より出典)
  2. ^ 伊集院静さんが講演~立教大で活字文化公開講座
  3. ^ この姉妹のうち妹の方が西山繭子
  4. ^ (『あの子のカーネーション』文集文庫より)
  5. ^ ボクらの時代 (フジテレビ) 2011年5月22日放映分にて本人談。なお、「はいからさんが通る」の登場人物の名前は本当は「伊集院忍」である。
  6. ^ 『たまりませんな』角川文庫より
  7. ^ 旅先でこころに残った言葉 「第43回 日本・東北の或る町」 シグネチャー2011年6月号 シティカードジャパン株式会社
  8. ^ 伊集院静『乳房』、小達スエ『ふたりの雅子』より
  9. ^ 週刊現代2010年9月18日号
  10. ^ 『大竹まことゴールデンラジオ』(2011年04月22日 文化放送)出演時に発言
  11. ^ 週刊大衆に連載しているコラムの総集編で、「静と理恵子の血みどろ絵日誌」シリーズの続編にあたる(西原理恵子『サイバラ絵日記』P73‐74 2012年 双葉社)。連載時に付いていた西原の絵はカットされ、2012年に発売された西原の著書『サイバラ絵日記』に収録されている。

外部リンク[編集]