実相寺昭雄
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| 実相寺昭雄 じっそうじあきお |
|
| 別名 | 万福寺百合、川崎高 |
|---|---|
| 生年月日 | 1937年3月29日 |
| 没年月日 | 2006年11月29日(満69歳没) |
| 出生地 | |
| 民族 | 日本人 |
| ジャンル | 映画監督、演出家、脚本家、小説家 |
| 活動期間 | 1959年 -2006年 |
実相寺 昭雄(じっそうじ あきお、1937年3月29日 - 2006年11月29日)は、映画監督、演出家、脚本家、小説家。東京藝術大学名誉教授。
目次 |
[編集] 来歴
1959年(昭和34年)、早稲田大学第二文学部(在学中に第一文学部から転籍)仏文科卒業後、KRT(現TBS)に入社、「演出部」に配属され、テレビ演出家として活動。
1961年(昭和36年)、『佐川ミツオ・ショー』の中継演出でデビュー。以後、スタジオドラマや中継で演出に腕を振るう。しかし、実相寺のイメージ優先のシュールな演出は局の理解を得られず、テレビドラマでラストシーンに唐突に暗転させ雪を降らせたところ、「なぜいきなり雪を降らすんだ」と大目玉を喰った。このとき、「なかなかいい演出だったね、でももっと雪は多いほうが良かったな」と誉めてくれたのが円谷英二監督だった。
1964年(昭和39年)、前年暮れの中継番組と、この年初めのスタジオドラマ『でっかく生きろ!』(大島渚脚本)が不評を浴び、半ば干された形で「局でぶらぶらしていて、フランスあたりで映画の勉強でもするかなと漠然と考えていた」ところ、これを見かねたTBSの先輩円谷一に「映画部へ来いよ、その前に暇だろうから特撮の脚本でも書かないか」と誘われ、テレビ映画畑に転身。当時TBSはフィルムによる劇映画の監督を局内「映画部」で養成するスタンスを採っており、局員助監督、監督として円谷プロや京都映画に出向しながら作品を発表していた。円谷プロを初訪問したのは同年秋だったという。
1965年(昭和40年)、TBS「映画部」に移籍する。『ウルトラQ』の脚本を執筆するが没となる。円谷一監督のスパイドラマ『平行線の世界』のチーフ助監督を務め、フィルム作品デビューとなる。
1966年(昭和41年)、初夏に『現代の主役 ウルトラQのおやじ』で、円谷英二をドキュメント・ルポする。以後円谷プロに出向しての『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』の演出で名を高める。なお、話の内容が現実味を含んだ夢幻なのか、幻想のような現実なのかよくわからない世界を舞台にした話が多く、映像効果も非常にマッチしたものが多いために、その演出スタイルは実相寺マジックと呼ばれていた。
1969年(昭和44年)、映画『宵闇せまれば』(大島渚脚本)を自主製作、映画監督デビュー。
1970年(昭和45年)、TBSを退社、フリーの監督として活動を開始。映画『無常』でロカルノ国際映画祭グランプリ受賞。
1971年(昭和46年)、映像制作会社「コダイグループ」を設立。同じ円谷プロ出身スタッフで興した「日本現代企画」とは提携関係にあった。
1981年(昭和56年)、小説『怪盗ルパンパン』(徳間ノベルズ)を上梓。著述家としても活躍する。
1983年(昭和58年)、テレビドラマ『波の盆』で芸術祭大賞受賞。他にカンヌCM映画祭グランプリも受賞している。
1987年(昭和62年)、『星の林に月の舟 怪獣に夢見た男たち』(大和書房)を上梓。円谷プロ時代を熱く綴る。
1988年(昭和63年)、『帝都物語』(荒俣宏原作)でハイビジョン映像を演出。大ヒット作となる。
2003年(平成15年)、「昭和情景博物館」というストラクチャー食玩の監修も手がけた。
2005年(平成17年)、実相寺の作風とマッチする雰囲気を持つ、京極夏彦の『京極堂シリーズ』第一作『姑獲鳥の夏』を監督。以降もシリーズ続けての演出担当を期待させたが、実相寺の死によりコンビは一作のみで終わった。
2006年(平成18年)、11月29日午後11時45分、胃癌のため東京都文京区の病院で死去。享年69。戒名は「龍徳院禅徹定昭居士」。
[編集] 人物
映画監督としては日本人特有の民族性・風土をテーマにした作品で有名。大島渚グループとの親交が深く、劇場用デビュー中篇『宵闇せまれば』の脚本を大島が執筆したほか、田村孟、佐々木守、石堂淑郎らの脚本が多い。とりわけ、現在からは信じがたいほど左翼色濃厚な作家だった石堂とはデビュー長編『無常』以下、『曼陀羅』『哥』のATG三部作でタッグを組み、京都・滋賀・福井にかけての陰鬱な景色を切り取りながらの強烈なディスカッションは当時の日本映画に大きな衝撃を与えた。容赦ない性描写も話題を呼び、「膣掃除」の異名を奉られたこともある。
多くの作品でタッグを組んだ美術・池谷仙克、撮影監督・中堀正夫、照明監督・牛場賢治らとともに独特な構図・照明を行い(いずれも三十年来のチームであり、初参加する俳優はその一糸乱れぬ映像作りに驚嘆するという)また、個性の強い「実相寺組」の俳優陣(岸田森、寺田農、田村亮、小林昭二、堀内正美、清水紘治、東野英心、嶋田久作、佐野史郎、桜井浩子、加賀恵子、吉行由実、大家由祐子、三輪ひとみなど)の魅力と相俟って何とも言えない陰翳・情感を醸し出している作品が多い。
書道をたしなみ、彼が題字を揮毫した漫画作品なども複数存在する。以前書道雑誌「墨」にインタビューを受けたこともあり、自らの書道は唐の顔真卿の影響があると述べたこともあった。
実相寺のクラシック音楽への傾倒ぶりは、早くから演出作品のBGMに反映されていたが、やがて『オーケストラがやってきた』の演出、音楽雑誌への寄稿と徐々に仕事の一角を占めるようになり、ついにはオペラ演出にも進出。『イドメネオ』『カルメン』『魔笛』と多くの舞台を手がけ、東京藝術大学演奏芸術センター教授として教壇にも立った。
妻は女優の原知佐子。娘の実相寺吾子も女優。また、一家の「長男」とされる愛用のアライグマのぬいぐるみ、ちな坊も度々自らの作品に登場させている。祖父は海軍大将・台湾総督の長谷川清。
仏文科出身ということでカンヌなどでも通訳なしでフランス語で臨み、ドイツ語にも通じていたが英語は中学レベルの間違いを連発して友人を呆れさせたことがあるといわれる。鉄道ファン、特に路面電車ファンとしても知られ、雑誌「東京人」などにコラムなどを度々執筆。
脚本執筆時には「万福寺百合(まんぷくじ ゆり)」、「川崎高」のペンネームも使用していた。「川崎高」は、貴族的な名をイメージして「川崎高氏」の筆名で脚本に署名していたのだが、タイトルクレジットに起こす際に「氏」を尊称の氏と勘違いされて省かれてしまい、この名になってしまったと語っている。
作風はとにかく「エキセントリック」の一語に尽きる。特にアリフレックスなどの16mmキャメラの軽さを生かし、斜めからのアングル、「なめ」、逆光を浴びる登場人物、ワイドレンズを使っての画面が歪むほどの接写といった特異なカットを多用した。『現代の主役 ウルトラQのおやじ』での対談シーンでは、部屋の隅や鳥籠など物越しに撮る「なめの手法」に拘り、円谷監督に「ずいぶん変なところから撮るね。鳥籠どけたげようか?」と言われ、森岩雄にも「窮屈なところにカメラが入ってて大丈夫ですか?」と声をかけられたと述懐している。円谷監督には「ミッチェルキャメラで撮らせてあげたいな」と言われたといい、後年『宵闇せまれば』で35mmのミッチェルを使用し、初めて円谷監督の言葉の意味がわかった、小賢しいポジション撮影が馬鹿らしくなったと語っている。 実相寺は円谷特撮の醍醐味は「ミニチュアや物への質感の拘り、フェティシズムである」と論じ、CGで暴れるゴジラなど見たくもない、とも述べている。
[編集] 『ウルトラシリーズ』でのエピソード
『ウルトラシリーズ』の監督、または脚本を担当する際は、ウルトラ戦士の光線技を使って怪獣を倒させるといった行為を嫌っていた傾向があり、実相寺が担当する話でウルトラマンたちが敵を倒す時、ほとんど光線技を使っていない。ただし全くなかったというわけでもなく、『帰ってきたウルトラマン』や1997年(平成9年)に30年ぶりに『ウルトラシリーズ』のメガホンをとった『ウルトラマンティガ』では光線技を使用している。
ストーリーをまとめるために、手間をかけた特撮カットを編集で割愛することも多く、特撮スタッフと揉めることも多かった。合成が苦手で、よく合成技術者の中野稔に「少しは飯島敏宏監督を見習ったらどうだ」と言われたといい、光学合成部での打ち合わせが次第に億劫になり、作中で合成をあまり使わなくなったと語っている。
「ガマクジラ」の登場する回では、怪獣のデザインコンセプトで「ゴールデンタイムで食事中に不愉快になった視聴者から苦情が殺到するような、この世のものと思えないほどグロテスクな容姿の怪獣を描きたかった(本人談)」そうであるが、まさにその理由で却下されてしまった。
『ウルトラシリーズ』で組んだ金城哲夫氏について「金ちゃん(金城の愛称)が直球をビシビシ決めてくれていたからこそ僕(と佐々木守)は安心して変化球狙いで行くことが出来た」と後に述懐していた。実相寺は「怪獣墓場」では怪獣を仏式で供養し、戒名までつけさせている。
[編集] 演出作品
[編集] テレビ(含脚本)
- でっかく生きろ
- 現代の主役 ウルトラQのおやじ(1966年)
- ウルトラマン(1966年 第14話『真珠貝防衛指令』、第15話『恐怖の宇宙線』、第22話『地上破壊工作』、第23話『故郷は地球』、第34話『空の贈り物』、第35話『怪獣墓場』)
- レモンのような女(1967年)
- ウルトラセブン(1967年 第8話『狙われた街』、第12話『遊星より愛をこめて』<現在欠番>、第43話『第四惑星の悪夢』、第45話『円盤が来た』)
- 風(演出の他、主題歌の作詞も川崎高名義で担当)
- 怪奇大作戦(1968年 第4話『恐怖の電話』、第5話『死神の子守唄』、第23話『呪いの壷』、第25話『京都買います』)
- Oh!それ見よ
- 帰ってきたウルトラマン(1971年 第28話『ウルトラ特攻大作戦』の脚本)
- シルバー仮面(1971年 第1話『ふるさとは地球』、第2話『地球人は宇宙の敵』)
- 子連れ狼(オープニング及びタイトルバックの演出)
- 長崎犯科帳(同上)
- 二十四の瞳(1980年、アニメ作品)
- 波の盆(1983年)
- 火曜サスペンス劇場『青い沼の女』(1986年)出演:田村亮、中山仁、堀内正美、原知佐子、寺田農、原保美、岡村春彦
- ウルトラマンティガ(1997年 第37話『花』、第40話『夢』)
- ウルトラマンダイナ(1998年 第38話『怪獣戯曲』)
- ウルトラQ dark fantasy(2004年 第24話『ヒトガタ』、第25話『闇』、サウンドトラックCDの題字)
- ウルトラマンマックス(2005年 第22話『胡蝶の夢』、第24話『狙われない街』)
- 怪奇大作戦 セカンドファイル(2007年 シリーズ構成、脚本、題字)
[編集] 未使用シナリオ
- ウルトラQ(すべて、万福寺百合での名義。)
- キリがない(予算等の問題で製作中止)
- バクたる(脚本化されていない)
- ウルトラセブン
- 帰ってきたウルトラマン
- 月のメルヘン
- ウルトラマンタロウ
- 昇る朝日に跪く
[編集] 映画
- 宵闇せまれば(1969年)出演:斎藤憐、清水紘治、樋浦勉、三留由美子
- 無常(1970年、ATG)出演:田村亮、司美智子、岡田英次、佐々木功、寺田農、小林昭二
- 曼陀羅(1971年、ATG)出演:岸田森、田村亮、清水紘治、桜井浩子、草野大悟、小林昭二、原保美
- 哥(うた)(1972年、ATG)出演:篠田三郎、八並映子、桜井浩子、田村亮、岸田森、東野孝彦、内田良平、嵐寛寿郎
- あさき夢みし(1974年、ATG)出演:ジャネット八田、花ノ本寿、寺田農、原知佐子、岸田森、篠田三郎、天田俊明、毒蝮三太夫
- 歌麿 夢と知りせば(1977年)出演:岸田森、山城新伍、成田三樹夫、岡田英次、東野英心、緑魔子、岸田今日子、桜井浩子、平幹二朗
- 実相寺昭雄監督作品ウルトラマン(1979年)出演:小林昭二、黒部進、毒蝮三太夫、二瓶正也、桜井浩子
- 帝都物語(1988年)出演:勝新太郎、嶋田久作、西村晃、高橋幸治、佐野史郎、寺田農、平幹二朗
- 悪徳の栄え(1988年)出演:清水紘治、李星蘭、石橋蓮司、寺田農、前原祐子、佐野史郎、原保美
- ウルトラQ ザ・ムービー 星の伝説(1990年)出演:柴俊夫、荻野目慶子、風見しんご、中山仁、高樹澪、堀内正美、加賀恵子、佐野史郎、小林昭二、毒蝮三太夫、黒部進、寺田農
- 屋根裏の散歩者(1992年)出演:三上博史、宮崎ますみ、六平直政、加賀恵子、嶋田久作、鈴木奈緒、寺田農、堀内正美
- D坂の殺人事件(1998年)出演:真田広之、岸部一徳、嶋田久作、大家由祐子、六平直政、三輪ひとみ、寺田農、堀内正美、東野英心、岡野進一郎、原知佐子
- 姑獲鳥の夏(2005年)出演:堤真一、永瀬正敏、阿部寛、原田知世、田中麗奈、いしだあゆみ
- 乱歩地獄『鏡地獄』(2005年)出演:浅野忠信、成宮寛貴、市川実日子、寺島進、原知佐子、堀内正美、寺田農
- シルバー假面(2006年)出演:ニーナ、渡辺大、水橋研二、石橋蓮司、嶋田久作、ひし美ゆり子、堀内正美、寺田農
- ユメ十夜『第一夜』(2007年)出演:小泉今日子、松尾スズキ、堀内正美、寺田農
[編集] オリジナルビデオ演出
- アリエッタ(1989年、KUKI)出演:加賀恵子、清水大敬
- ラ・ヴァルス(1990年、KUKI)出演:樹まり子、加賀恵子、前原祐子、寺田農、堀内正美、小林ひとみ
- 実相寺昭雄の不思議館『受胎告知』(1992年)出演:加賀恵子、豊川悦司、嶋田久作、佐野史郎
- 堕落(1992年)出演:加賀恵子、堀内正美、高樹澪、奥村公延、豊川悦司
- 私、なんでもします!(1993年)出演:加賀恵子、堀内正美
[編集] ラジオドラマ
[編集] CM
- 資生堂CM『初恋編』(カンヌ国際広告祭でグランプリ受賞/17歳時の薬師丸ひろ子が主演)
- エスビー食品CM『ゴールデンレインボーカレー』「にわとり篇」「牛篇」「パッケージ篇」出演/水谷豊 、演出補助/岸田森
- エスビー食品CM『スナックチップ』「インタビュー篇」「階段篇」「コロコロ(寄り)」「寄席篇」「ポスター篇」「影篇」「待ち人」「和歌」「新聞」「カラッポ」 「タイコ」「浜辺」「ジャングル」「少女(語らい)」「少女(散歩)」「人形」「人形 A型」「人形 B型」「どうぞ」 「人気絶頂」「御本家」出演/水谷豊、演出補助/岸田森
- エスビー食品CM『スナックトースト』「野球」「外野フライ」「キャッチャーフライ」「ご一緒に」「カリカリ」「まざっちゃった」「パターン」「飲み物」「八木節」出演/水谷豊、演出補助/岸田森
[編集] 監修
- 地球防衛少女イコちゃん 2(監督:河崎実)
- 超高層ハンティング(監督:服部光則)
- ミカドロイド(監督:原口智生)
- オリジナルビデオ実相寺昭雄の不思議館(実相寺昭雄のミステリーファイル)シリーズ(「受胎告知」と、各エピソード繋ぎにある寺田農の出演シーンは演出)
- マイ・ブルー・ヘヴン わたし調教されました(監督:寺田農)音楽監修
- 東京デカメロン(監督:小林浩一)
- いかレスラー(監督:河崎実)
- 日本以外全部沈没(監督:河崎実)
- ヅラ刑事(監督:河崎実)
- プレイステーション用ソフト有限会社地球防衛隊(監修・演出・タイトル文字)
- 昭和情景博物館/都電の風景(企画監修・玩具菓子/ハピネット)
- 昭和情景博物館/金魚鉢の光(企画監修・玩具菓子/ハピネット)
[編集] 出演作品
いずれもドキュメンタリー
- 12月8日、晴れ-路面電車考-
- 怪獣のあけぼの
[編集] 著書
[編集] 小説
- 星の林に月の舟
- 怪盗ルパンパン(1981年、徳間ノベルズ)
- ウルトラマン・ゴールドラッシュ作戦(1993年、小学館)スーパークエスト文庫
- ウルトラセブン・狙われた星(1993年、小学館)スーパークエスト文庫)
[編集] エッセイ
- 闇への憧れ 所詮、死ぬまでのヒマツブシ
- ウルトラマンのできるまで(1988年、筑摩書房)ちくまプリマーブックス13
- 夜ごとの円盤 怪獣夢幻館
- ウルトラマンに夢見た男たち(筑摩書房)ちくまプリマーブックス37
- 旅の軽さ
- ウルトラマンの東京
- チェレスタは星のまたたき
- ナメてかかれ
- 怪獣な日々 私の円谷英二100年
- 昭和電車少年
[編集] 実相寺昭雄を演じた俳優
- 三上博史(吉良平治)『ウルトラマンをつくった男たち 星の林に月の舟』
[編集] 『ウルトラシリーズ』における裏話
[編集] 『ウルトラマン』
佐々木守とのコンビで活躍。ウルトラマンがスペシウム光線や八つ裂き光輪を使わない、地球人の一方的な都合だけで怪獣を倒すことの是非をテーマに掲げる等、他の監督の演出とは一線を画す内容となっている。
[編集] 第14話「真珠貝防衛指令」
ガマクジラに襲われる男に寺田農が出演しているが、実相寺はこの時襲われる演技の動きをミリ単位で要求し、寺田を困惑させた。
[編集] 第15話「恐怖の宇宙線」
劇中でガヴァドンAが姿を消す場面は、特撮パートでは夕焼けになっているのに実写パートでは白昼になっている。これは完全に演出ミスだったと実相寺は後に述べている。
[編集] 第22話「地上破壊工作」
本作品の脚本は、クレジット上では佐々木守となっているが、実際は実相寺の脚本。
実相寺作品ならではの独特なカメラワークによるモノクロ撮影の地底世界(ロケ地は代々木体育館)、暗闇を生かした地底怪獣テレスドンとの夜戦シーンなど、後の実相寺作品の萌芽が見られる。
[編集] 第23話「故郷は地球」
大国の犠牲になる人間の悲劇を描いたテーマ性を考慮してか、奇てらった演出は抑えられている。国連から派遣された特使が科学特捜隊にジャミラ抹殺の指令を下す場面は、泊り込みの地方ロケまで敢行したが、暗くて何処で撮られたのか判別できず、近所の空き地で撮ったのではないかと誤解された。
[編集] 第34話「空の贈り物」
本作品では、作戦室を飛び出した時に持っていたカレースプーンのままで変身しようとしたハヤタ隊員のシーンが有名だが、これは撮影後に円谷プロ内部で問題になった。
この演出に噛み付いたのは、黒澤明の下で長年助監督を務めてきた、ベテラン監督の野長瀬三摩地。当時、TBSから出向という形で演出をしていた実相寺とはキャリア等の面で相当な開きがある。その野長瀬からすれば、「完全無欠の神にも等しい存在であるべきヒーロー・ウルトラマン(=ハヤタ隊員)にあんな間抜けな行動をとらせるとは、若造め何を考えていやがるんだ」という気持ちがあった。上原正三の著書『ウルトラマン島唄』によれば、金城哲夫に説得された野長瀬は渋々ながら、それを聞き入れたようである。
今でこそ、名監督のほまれ高い実相寺であるが、その自伝的小説『星の林に月の舟』やその映像化作品に見られるように、その演出はあちらこちらで問題を起こしていたようである。
スプーンでの変身シーンは、現在でも『ケロロ軍曹』や『おねがいマイメロディ』などのアニメでパロディ化されるなど、有名なシーンの一つとなっている。また、ハヤタのフィギュア化の際に、ベーターカプセルとスプーンが両方付属した事もある。
また後に『ウルトラシリーズ』そのものでハヤタ隊員役の黒部進氏によるセルフパロディも登場した。
[編集] 『ウルトラセブン』
[編集] 第8話「狙われた街」
本作は、モロボシ・ダン(=ウルトラセブン)とメトロン星人との宇宙人同士が卓袱台を挟んで会見するシーンが有名だが、当時のTBSは、『ウルトラシリーズ』については海外への作品の輸出を視野に入れたうえで番組製作を行っており、日本を思わせるものは極力入れない方針であった。故に製作開始の時の申し合わせに際しても、関係者に対してこのことは厳守するように伝えていた。しかし実相寺はこの事を敢えて無視し、劇中に卓袱台を登場させ、放送後にプロデューサーから怒号された(辰巳出版『ウルトラマンAGE』に於ける実相寺へのインタビュー記事より要約)。
この回及び同時に撮影された第12話「遊星より愛をこめて」(現在欠番・詳細はこちらを参照のこと)の放映後、実相寺はしばらく『ウルトラセブン』の演出を離れ、京都で時代劇の演出を担当することとなる。これはこの卓袱台事件に対しての懲罰人事であったとも言われるが、真相は不明である。
本作の脚本は金城哲夫が担当したが、ラストシーンに流れるナレーションは佐々木守によるもの(実相寺が自ら書き加えたという説もある)。
後に実相寺は、この話を元に『ウルトラセブン ねらわれた星』という小説を書いている。
『ウルトラマンマックス』という作品自体は旧作との関連性は無いが、実相寺が演出を担当した第24話「狙われない街」(2005年12月10日放送)は本作の続編的な内容となっている。
[編集] 第43話「第四惑星の悪夢」
視聴率と予算の関係で、「金をかけずにそれなりの画が撮れる」と呼び戻された実相寺が撮った作品。放映当時の評判は芳しくなかったが、今日では「セブン最大の異色作」と好評。
脚本の上原正三は「準備稿にろくに目も通さないので怒ったが、できてみると脚本の穴が画で埋められ、不思議な名作になっていた。これが天才の技かと思った」と後に語っている。
ロボット長官がダンとソガに面会する場面は、長い廊下に見える錯覚を用いたセットをわざわざ造って撮影したのだが、安上がりにTBSの廊下で撮影したのではないかと勘違いされて歯がゆい思いをしたと述べている。
ジャン=リュック・ゴダール監督の『アルファヴィル』を演出する際に意識し、結局上手くいかなかった、と後に自著に記している。
[編集] 第45話「円盤が来た」
「狙われた街」であれほど問題になった(前述)にもかかわらず、当時の下町を舞台としたドラマ部分と、実相寺自ら「サイケな戦闘シーン」と明記した幻想的な戦闘シーンとが評判を博し、上層部の怒りを買った。
大島渚との交友関係からか、星人と出会う青年の部屋の下に住む工員役に渡辺文雄が出演している。
[編集] 『ウルトラマンティガ』
[編集] 第37話「花」
本作のクライマックス、桧舞台でのマノン星人との一騎打ちでは、客席からGUTS隊員たちが見つめているという案もあったという。マノン星人(人間体)に原知佐子、三輪ひとみ。
[編集] 第40話「夢」
本作品の撮影時期は、自ら監督の映画『D坂の殺人事件』クランクアップの頃であり、同作品から嶋田久作を始めとする出演者が大挙カメオ出演している。基本的にテレビドラマに出ない浅野忠信の出演もレアである。
[編集] 『ウルトラマンダイナ』
[編集] 第38話「怪獣戯曲」
ダイナのメイン特技監督だった佐川和夫と組んだ作品。長年の希望だった怪獣のメタモルファーゼや舞台と現実の融合を題目に据え、屈指のカオス映像となっている。この回は特撮パートも実相寺の着想に極力近づけようとしたため、スーツアクターもミラーやシルエットを多用した表現方法に若干の戸惑いを覚えたと言う。
また、この回だけに佐川が試した「着地してから土砂が舞い上がる」演出が好評だったので、次回作の『ウルトラマンガイア』で多用される事となる。
[編集] 『ウルトラマンマックス』
[編集] 第22話「胡蝶の夢」
「現実」の脚本家蓮沼と、彼の台本の中のカイトが夢の中で同一化する」という難解な設定を、「蓮沼の部屋とDASH司令室をつなげる」「カイトに扮した蓮沼がマックスに変身する」という画的演出で見事に説得力を持たせている。 また、最新CGを駆使して造形されたはずの怪獣魔デウスが、一目で吊りとわかる動きで、一目でセットとわかる街並みの中でマックスと戦うという演出も、虚構と真実が交錯する本エピソードを見事に表現していた。
[編集] 第24話「狙われない街」
『ウルトラシリーズ』ファンからは、事実上実相寺の遺作と見なされている。 ストーリーは「前作」である「狙われた街」とは一転して淡々と展開され、作品全体を覆う静けさは老いと死をすら連想させる。
ただし、再現された「チャブ台をはさんでの対話」など実相寺節は健在。また、老いてなお矍鑠たるメトロン星人を寺田農が怪演。人間時も星人姿の吹き替えでも完全にマックスを喰っていた。
[編集] 関連項目
- 円谷プロダクション
- 成田亨
- 日本アート・シアター・ギルド公開作品の一覧
- 九鬼
- 宇宙家族カールビンソン
- 庵野秀明(実相寺の影響を多大に受けたアニメーション監督。庵野作品にも実相寺と酷似したアングルや描写が多用されている)

