鉄道員 (小説)

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鉄道員(ぽっぽや)
著者 浅田次郎
発行日 1997年4月28日
発行元 集英社
日本の旗 日本
言語 日本語
形態 上製本
ページ数 288
コード ISBN 978-4-08-774262-6
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鉄道員』(ぽっぽや)は、浅田次郎短編小説。『小説すばる』平成7年(1995年)11月号に掲載され、後に同名の短編集にまとめられ、1997年4月に集英社から刊行された。

本項では映画版やドラマ版、漫画版についても記述する。

概要[編集]

廃線を間近にした、北海道の元運炭路線であるローカル線の駅長に訪れる幸福を描いた作品。第16回日本冒険小説協会大賞特別賞。短編集は第117回直木賞受賞作で、140万部を売り上げるベストセラーとなった。

また、1999年降旗康男監督、高倉健主演により映画化され、第23回日本アカデミー賞2000年3月)の最優秀作品賞、最優秀主演男優賞など主要部門をほぼ独占した。

浅田次郎は、「散歩しているときに、あの(鉄道員の)ストーリー全部が一瞬にして頭の中に降って来た」と語っている。

収録作品[編集]

  • 鉄道員(ぽっぽや)(『小説すばる』1995年11月号)
  • ラブ・レター(『オール讀物』1996年3月号)
  • 悪魔(『オール讀物』1995年11月号)
  • 角筈にて(『小説すばる』1996年9月号)
  • 伽羅(『小説すばる』1996年11月号)
  • うらぼんえ(『小説すばる』1996年5月号)
  • ろくでなしのサンタ(『小説新潮』1997年1月号)
  • オリヲン座からの招待状(『小説すばる』1997年1月号)

あらすじ[編集]

主人公の佐藤乙松(おとまつ)は、北海道の道央(十勝空知と推測されるが、あくまで架空)にある廃止寸前のローカル線「幌舞線(ほろまいせん)」の終着駅・幌舞駅の駅長である。鉄道員一筋に生きてきた彼も定年退職の年を迎え、また同時に彼の勤める幌舞駅も路線とともに廃止の時を迎えようとしていた。彼は生まれたばかりの一人娘を病気で失い、また妻にも先立たれ、孤独な生活を送っていた。

ある雪の日、ホームの雪掻きをする彼のもとに、忘れ物をしたと一人の鉄道ファンの少女が現れる。乙松が近所にある寺の住職の孫だと思い込んだ彼女の来訪は、彼に訪れた優しい奇蹟の始まりだった。

書籍[編集]

映画[編集]

鉄道員
監督 降旗康男
脚本 岩間芳樹
降旗康男
原作 浅田次郎
製作 「鉄道員」製作委員会
出演者 高倉健
大竹しのぶ
広末涼子
小林稔侍
音楽 国吉良一
主題歌 坂本美雨『鉄道員』
撮影 木村大作
編集 西東清明
製作会社 東映東京撮影所
配給 東映
公開 日本の旗 1999年6月5日
上映時間 112分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 20.5億円(配給収入[1]
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「鉄道員(ぽっぽや)」の撮影に使用されたキハ40 764 2005年1月9日 石北本線金華駅にて
「鉄道員(ぽっぽや)」の撮影に使用されただるま食堂の建物と、キハ40 764の保存車体 2007年5月4日 根室本線幾寅駅前にて

高倉健が『動乱』以来19年ぶりに東映映画に出演した作品であり、広末涼子との共演や坂本龍一の起用なども話題を集めた。

さらに公開時期に放送されていた北海道の駅を舞台とした連続テレビ小説すずらん』と併せて、JR北海道JR東日本によるオレンジカードなどの販売、両作の撮影協力を発端にSLすずらん号運転開始という形で北海道で蒸気機関車が復活するといったタイアップも実現した。

映画版は原作をより大きく膨らませている。本編上の時間軸は、幌舞線の廃止と乙松が退職を迎える寸前の現代の歳末から正月明けにかけてで、加えて乙松が回想する形式で、かつて炭坑の町だった幌舞に暮らしてきた人々にもスポットを当てている。

乙松が駅長を務める「幌舞駅」は、根室本線幾寅駅を改造して撮影された。ただし、該当駅は終着駅ではなく途中駅であるため、模擬の腕木式信号機車止めを設置するなど、いくらかの細工が施されていた。本線と幌舞線が分岐するターミナル駅として登場する美寄駅滝川駅で撮影された。

ゴシップ誌『噂の眞相』での映画会社社員による覆面座談会形式の取材を基にするとした記事[2]では、本作のヒットにより、1997年の東映作品『北京原人 Who are you?』の損失をカバーできたという記述がある。

キャッチコピーは「男が守り抜いたのは、小さな駅と、娘への想い。」「1人娘を亡くした日も、愛する妻を亡くした日も、男は駅に立ち続けた…

キャスト[編集]

佐藤乙松:高倉健
幌舞線とともに生きてきた鉄道員。蒸気機関車カマ焚き機関士を経て1976年(昭和51年)より幌舞駅長を任じられ、退職を迎える。おっかない性格を自認している。
佐藤雪子
乙松と静枝が結婚後17年を経て授かった一人娘。両親から可愛がられたが、わずか生後数ヶ月で病死してしまう。乙松は仕事から離れられずに最期を看取れなかった。
佐藤静枝:大竹しのぶ
乙松の妻。乙松とともに駅を支える存在である。しかし体が弱く、暫く子供に恵まれなかった。雪子の没後しばらく経過した現在から2年前に病死するが、乙松は雪子の時と同じく、仕事から離れられずに最期を看取れなかった。
3人の少女(佐藤雪子):山田さくや(幼少時)・谷口紗耶香(小学校6年生)・広末涼子(高校生)
現代の乙松の許へ、見覚えがある人形を抱えて現れた少女。乙松と同じく「佐藤」と名乗る。正月休みで遊びに来たと話し、乙松は近所にある寺の住職の孫だと思い込んでいたが、住職からの電話で「娘も孫も帰ってきていない」と告げられ、少女が誰であるかを知ることになる。
杉浦仙次:小林稔侍
乙松の同僚。互いに"乙さん"、"仙ちゃん"と呼び合う仲であり、幌舞線の機関士を経て、幌舞線のターミナル駅である美寄駅長に昇進。退職後はトマムホテル(小説では美寄駅に東京のデパートとJRの合弁でできる駅ビル)へJRのコネ天下りすることになっており、乙松にも勇退後の再就職先として誘いに、正月に幌舞駅を訪れる。
杉浦明子:田中好子
仙次の妻。乙松に代わって夫婦で静枝の最期を看取り、乙松を強く責める。
杉浦秀男:吉岡秀隆
仙次と明子の長男。乙松から”秀坊”と呼ばれる。幌舞線で高校へ通ったことから乙松に感謝している。JR北海道の札幌本社(鉄道事業本部)で事務職を務めている。内示より早く、乙松へ幌舞線の廃止を電話で伝えた。
杉浦由美:大沢さやか
秀男の妻。
吉岡肇:志村けん
閉山した筑豊福岡県)の炭鉱から、石炭が掘れるからと幌舞へ移住してきた期間工の炭坑夫。酒癖が悪く、妻と別れており、敏行を満足に育てられなかった。幌舞炭鉱の事故に巻き込まれ帰らぬ人となる。
吉岡敏行:松崎駿司(小学生)→加藤敏行:安藤政信
肇の長男。母親が娘(敏行の妹)を連れて逃げたため、父親と二人暮らし。父親の死後はムネに育てられ、養子縁組したため改姓した。イタリアへ数年間料理修行をする。
加藤ムネ:奈良岡朋子
幌舞駅前で「だるま食堂」を長く営んでいた店主。肇が死去したため敏行を引き取り、育ての母となる。近年の過疎化の影響で客が減ったため、「だるま食堂」を畳む。
飯田:中本賢
幌舞線の運転士。幌舞の出身。幌舞線廃止後の自分の身に不安を感じていた。
その他の出演者

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

挿入歌[編集]

協力[編集]

受賞歴[編集]

ドラマ[編集]

2002年1月1日テレビ朝日系の新春スペシャルドラマとして「鉄道員/青春編」が放送された。内容は1964年、炭鉱が斜陽期に差し掛かっていた時代の幌舞を舞台としており、仙次と初代の結婚式に始まって、乙松が映画館窓口係を務めていた静枝と知り合い結ばれる所から、原作と同じ結末を迎えるまでを描いている。ドラマでは、原作のラストにあたる部分に独自の脚色も加えられた。

キャスト
スタッフ

漫画[編集]

映画公開後に講談社月刊アフタヌーン』1999年9月号にてながやす巧による長編コミカライズとして掲載され、同年に単行本化された。

「ながやす巧 作品集」巻末エッセイでのながやすの弁によれば、原作の単行本刊行時から取材・制作を行っていたものの、全ての原稿が完成してからの掲載となり、時期が映画化後になったとされている。このため、キャラクターデザインは映画版を踏襲しておらず、オリジナルのものである。シナリオは原作に忠実であるが、原作や映画版では端役だった現代の幌舞線の若手運転士である早川の役回りが多くなっている。漫画は原作本来のキハ12形をモデルとして描かれている。

収録本

関連項目[編集]

作品[編集]

  • 駅 STATION
    • 高倉健(主演)・降旗康男(監督)・木村大作(撮影)のコンビで、北海道各地の駅を舞台にした人間ドラマの日本映画(1981年東宝)。今作までこのコンビによる作品は『夜叉』、『あ・うん』など数作作られている。映画「鉄道員」は、この作品から18年余を経て同じコンビで製作された「北海道内の駅を舞台とした人間ドラマ」である点も注目された。
  • 新幹線大爆破
    • 高倉が東映を退社する前に出演した最後の作品。1976年に退社以降、高倉は、1980年の『動乱』や1981年の『野性の証明』など、東映が製作に関わっている作品にも出演しているものの、東宝松竹系映画を中心に活躍していた。企画プロデューサーに坂上順が携わっており、1999年1月発売されたに同作のLDライナーノーツに、「『鉄道員』という作品で再び高倉さんと仕事が出来ました―」とコメントしている。
  • すずらん
    • NHK連続テレビ小説として公開当時放送されていた。主人公の一生を炭坑で繁栄衰退した北海道の駅に絡めるという基本プロットが酷似していることから、しばしば「鉄道員」と対比される。
  • ホタル (映画)
    • 高倉の映画「鉄道員」の次回作(2001年、東映映画)。こちらも高倉(主演)・降旗(監督)・木村(撮影)のコンビで製作された。
  • GTO (1998年のテレビドラマ)#映画
    • 1999年12月公開の東映映画。映画「鉄道員」とは別編成で撮影・制作されているが、ふるさと銀河線をロケ地とし、出演者やスタッフの一部が「すずらん」と重複しており、「すずらん」と「鉄道員」の要素をより抜いた一面がある。
  • 水曜どうでしょう
    • 1999年の企画「ヨーロッパ・リベンジ」で、過酷な旅を終えて帰国する際に、日本航空の航空機内で「鉄道員」が上映されており、感動のあまり一同は号泣した。テレビでのOAでは上映したスクリーンは番組ロゴで潰されていたが、DVD化にあたり許諾を得て、ラストシーン近辺の上映中の機内の様子が収録された。

撮影[編集]

  • 幾寅駅:「幌舞駅」として使われた駅。
  • 大井川鐵道:撮影に使用された鉄道会社。家山駅C11 227が撮影に使用された。
  • 磐越西線:冒頭のシーンにて登場。D51 498が「SL磐梯・会津路号」として臨時運転された際に撮影された。

脚注[編集]

  1. ^ 1999年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
  2. ^ 噂の眞相』1999年12月号「断末魔の松竹と“怪文書の日活”日本映画界に立ち込める暗雲の元凶」

外部リンク[編集]