ゴッドファーザー (映画)

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ゴッドファーザー
The Godfather
監督 フランシス・フォード・コッポラ
脚本 マリオ・プーゾ
フランシス・フォード・コッポラ
原作 マリオ・プーゾ
製作 アルバート・S・ラディ
ロバート・エヴァンス
出演者 マーロン・ブランド
アル・パチーノ
ジェームズ・カーン
ロバート・デュヴァル
音楽 ニーノ・ロータ
撮影 ゴードン・ウィリス
編集 ウィリアム・レイノルズ
ピーター・ジンナー
配給 パラマウント映画
公開 アメリカ合衆国の旗 1972年3月15日
日本の旗 1972年7月15日
上映時間 177分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
イタリア語
ラテン語
製作費 $6,000,000[1]
興行収入 $245,066,411[1]
次作 ゴッドファーザー PART II
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ゴッドファーザー』(原題: The Godfather)は、1972年に公開されたアメリカ映画。監督はフランシス・フォード・コッポラマリオ・プーゾの小説『ゴッドファーザー』の映画化作品。

公開されると当時の興行記録を塗り替える大ヒットになり、同年度のアカデミー賞において作品賞主演男優賞脚色賞を受賞した。1990年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録された。

あらすじ[編集]

第二次世界大戦が終わった1945年。コルレオーネ家はニューヨーク市郊外の高級住宅街の一角を占める。屋敷では主人であるドン・コルレオーネ(マーロン・ブランド)の娘コニー(タリア・シャイア)の結婚祝賀宴が豪勢にとり行われていた。ガソリン配給優遇措置を受けるためのステッカーが貼られた高級車が敷地外に並び、太陽の下では故郷を同じくするイタリア人が老いも若きも陽気に唄い踊っている。

一方、邸の隅にある書斎では昼にもかかわらずブラインドが降ろされている。花嫁の父はかすかに寂しげな表情を浮かべ古い友人たちを迎え入れる。

アメリゴ・ボナセーラは、ドンに代理の復讐を求めてきた。ドンはアメリゴに「自分は殺し屋ではない」と説明し、かつ長年自分のところに寄り付かなかったことを責める。だが「(マフィアであるドンに)借りを作ることが怖かった」と心情を吐露するアメリゴを寛大に許し、友情に従い誠実に対応した。

この謁見を、ドンのコンシリエーリ(相談役)であるトム・ヘイゲン(ロバート・デュヴァル)は部屋の隅で無表情のまま見つめている。

宴の中、陸軍の制服に身を包んだ三男のマイケル(アル・パチーノ)が恋人のケイ(ダイアン・キートン)を伴い久しぶりに帰宅する。

初めてマイケルの家を訪れたケイは彼の兄弟たち、大柄で快濶な長兄ソニー(ジェームズ・カーン)、大人しい次兄のフレド(ジョン・カザール)、それに血は繋がらないが兄弟同然に育った弁護士のトムを紹介される。突如現れた人気歌手ジョニー・フォンテーン(アル・マルティーノ)に目を丸くしてマイケルに種明かしをせがむ。マイケルはドンが非合法な手段によりこの歌手を救った過去を明かした。ドン・コルレオーネ、即ち彼の父が組織暴力のトップ「ゴッドファーザー」である事を率直に伝える。ソニーもフレドも組織の幹部でありトムはコンシリオーリとして官房に携わっていたのだ。

驚くケイに対しマイケルは、彼らは家族として重要な存在だが、自分はその家業には無縁であると誓う。ドンもまたマイケルが堅気の生活を送ることを望んでいた。自分の道を歩こうとするマイケルはケイと恋人同士の時間を過ごす。賑やかなマンハッタンの街中をデートする2人。ラジオシティ・ミュージックホールを過ぎようとした時スタンドで売られている新聞を見たマイケルは驚愕する。そこにはドン・コルレオーネが襲撃され重傷を負った記事が載っていた。この瞬間からニューヨーク五大ファミリーの一つとして地下帝国で栄華を誇ったコルレオーネ家の運命は悲劇の暗転を繰り返すこととなる。

キャスト[編集]

主な登場人物[編集]

マーロン・ブランド(1963年)
マーロン・ブランド - ドン・ヴィトー・コルレオーネ
1891年、シチリア生まれ。コルレオーネ家の家長。「コルレオーネ」という名字はもともとヴィトーの生まれ故郷の町の名である。9歳の時に両親と兄をマフィアに殺されて、直後にアメリカに亡命したとき、入国審査官が間違って苗字として書類に記してしまったものであるが、コルレオーネ家にとっては名誉ある名前となっている。家族(広義のファミリー)にとっては良き夫、良き父、良き隣人であり深い愛情を子供たちに注ぐ。しかし渡世では違法なことも数多く行って現在の地位を確立した。表向きはオリーブ油の輸入会社を経営する実業家であり、義理堅く、同時にニューヨーク・マフィアの頂点に座り政治家を買収し、判事にコネをつなぎ、労働組合に影響力を持ち、殺し屋達からも心から崇敬されている。
アル・パチーノ - マイケル・“マイク”・コルレオーネ
コルレオーネ家の三男。1920年、アメリカ生まれ。大学を中退して従軍、第二次世界大戦の英雄として復員した。小柄で無口なインテリで伏目がちな表情を見せるが強い意志の持ち主。父を救う為に殺人を犯し海外へ逃亡する。警察の暴力により鼻の機能を損傷した為にハンカチを常用。ケイと恋仲でありながらイタリアに逃亡中にすぐに見初めたアポロニアと結婚するなど信義にもとる面もある。
ジェームズ・カーン - サンティノ・“ソニー”・コルレオーネ
コルレオーネ家の長男でアンダーボス。1916年生まれ。良くも悪くも真っ直ぐで少々短気な性格故に暴力沙汰が絶えず、女癖が悪いので周囲から白い目で見られることもあるが、裏表のない人柄ゆえに町の英雄でもある。少年時代にトムを一家に連れてきた。時代の趨勢が麻薬ビジネスに移っていることでファミリーの衰退を危惧するが、誰よりも父を尊敬している。家族からはヴィトーからのみ「サンティノ」と呼ばれている。コニーの夫であるカルロの裏切りを受けてハイウェイの料金所でマシンガンの一斉射をうけ殺される。
ジョン・カザール - フレデリコ・“フレド”・コルレオーネ
ドン・コルレオーネの次男。1917年生まれ。純粋で優しいが気が弱い。後半ラスベガスでビジネスを学ぼうとしたが、モー・グリーンに良いように手玉に取られるなどマフィアには向いていない(一方小説では接客の才覚があったためしばしば来客の接待を任されていた)。兄妹唯一の未婚(1947年に女優のディアナ・ダンと結婚しているが、PART IIでは破綻している)。
タリア・シャイア - コンスタンツァ・“コニー”・コルレオーネ・リッツィ
ドン・コルレオーネの末娘。兄ソニーの紹介でカルロ・リッツィと知り合い、彼と恋仲になる。第二次世界大戦が終わった1945年にカルロと結婚するが、父親であるドンは娘がチンピラと結婚したことに失望している。劇中終盤にカルロを殺した兄のマイケルを憎むが、後によき理解者となる。
ロバート・デュヴァル - トム・ヘイゲン
ドイツ系およびアイルランド系だが少年時代にソニーに連れて来られ以来コルレオーネ家で成長した。ドンに学費を出してもらい大学を出て弁護士となった現在もファミリーに忠誠を誓いドンはシチリア人ではない彼をコンシリオーリ(相談役)の地位につけた。判断力の優れた師匠ジェンコ・アッバンダンド(劇中では名前のみ登場)より多くを学ぶが、やがてマイケルにドンとしての片鱗を見る。
ダイアン・キートン - ケイ・アダムス・コルレオーネ
マイケルのガールフレンド。誠実で真面目な青年だったはずの恋人が殺人を犯して逃亡するという悲劇に見舞われる。彼の帰国後に再会して結婚するが、マフィアの一員となり権力を得ると同時に徐々に変容していくマイケルの姿を目の当たりにすることになる。マイケルを愛することで困難を乗り越えられると考えるが、耐え難い不安に苦しめられる。

コルレオーネ・ファミリー[編集]

リチャード・カステラーノ - ピーター・クレメンザ
ファミリー古参の幹部で忠臣。肥満体で武闘派、ヴィトからは暴力はやりすぎることがないと言われている。ファミリー内では世話好きで面倒見がいい。
エイブ・ヴィゴダ - サルバトーレ・“サル”・テッシオ
ファミリー古参の幹部。細身で冷静沈着。独立して自分の組織を持つことを望んでいる。
レニー・モンタナ - ルカ・ブラージ
ヴィトーに忠義する殺し屋。大柄で肥満体、脅しや仕事には容赦はないが、知恵足らず(劇中で呂律のまわらない独特の喋り方をしているが、演じたレニー・モンタナはプロレスラーであり、俳優業が本職ではないため)。原作小説ではコルレオーネファミリー最強の存在とされている。
ジャンニ・ルッソ - カルロ・リッツィ
コニーの夫。立派な体格で男前だが放蕩的な性格から信頼されておらず、ファミリーの仕事に関わることは許されておらず、コニーの夫であることから捨て扶持だけはあてがわれている。そのため苛立ちと孤立感を深め、次第にコニーに暴力を振るうようになる。
アル・マルティーノ - ジョニー・フォンテーン
歌手。名付け親はヴィトー。フランク・シナトラがモデルとされる。仕事で様々な問題を引き起こすがその都度ドンに尻拭いをしてもらっている。プロデューサのウォルツが大切に育て上げた女優に手を出し台無しにしたため干されるが、ヴィトーに助けを乞う。
ジョン・マルティーノ - ポーリー・ガットー
クレメンザの右腕の幹部候補。ヴィトーの専属運転手。小説ではマイケルの同級生であり、仕置人としてボナセーラの娘を辱めた若者達の制裁を行っていた。
ジョー・スピネル - ウィリー・チッチ
クレメンザの部下でボディガード 兼 殺し屋。
PART IIではニューヨークでフランク・ペンタンジェリのボディガードとして働く。後に公聴会で「沈黙の掟」を破り、マイケルがマフィアのドンであり彼から殺人の命令を受けていたことを証言する。
トム・ロスキー - ロッコ・ランポーネ
クレメンザの部下。PART IIではハイマン・ロスへの刺客の鉄砲玉として使われ、あえない最期を遂げる。
シモネッタ・ステファネッリ - アポロニア・ヴィテッリ・コルレオーネ
シチリアの旧家出身の女性で、マイケルと結婚する。容姿はラテン系というよりはギリシャ系。車に仕掛けられた爆弾により死亡。
リチャード・ブライト - アルベルト・“アル”・ネリ
元・警官で、マイケル直属の殺し屋。劇中では数少ないヴィトーの死後ファミリーに入った人物。本作のラストでは黒幕殺害の時 警官の制服を着用して臨んだ。以後ファミリーの幹部、殺し屋として重要な地位を占める。
ソフィア・コッポラ - マイケル・フランシス・リッツィ
コニーとカルロの息子。名付け親 (ゴッドファーザー) はマイケル・コルレオーネ。
モーガナ・キング - カルメラ・コルレオーネ
ヴィトーの妻でマイケル達の母親。ファミリーの仕事には決して口を出さない。夫を立て、家族に愛情を注ぐ古き良きイタリアの母。演じたモーガナ・キングは本職は女優ではなく歌手であり、劇中で歌唱も披露されている。

その他のマフィア[編集]

ビクター・レンディナ - ドン・フィリップ・タッタリア
タッタリア・ファミリーのドン。ニューヨーク五大ファミリーの一角ではあるが、ヴィトーからは「ソニーを殺せるタマではないポン引き」と酷評されている。
トニー・ジョルジオ - ブルーノ・タッタリア
フィリップの息子。ヴィトー襲撃の報復としてソニーに殺された。
アル・レッティエリ - バージル・ソロッツォ
麻薬密売人のトルコ人。タッタリアと結託している。ナイフ使いだが劇中では披露されない。
スターリング・ヘイドン - マール・マクラスキー警部
ニューヨーク市警の汚職警官。ソロッツォと結託している。アイルランド人だが酒を飲まない。
ジョン・マーリー - ジャック・ウォルツ
ハリウッドの映画プロデューサー。強い自己顕示欲と自意識の持ち主で、ジョニーに愛人にしていた新人女優を寝取られたことに腹を立て希望していた役から締め出そうとする。
リチャード・コンテ - ドン・エミリオ・バルジーニ
バルジーニ・ファミリーのドン。ニューヨーク五大ファミリーの一つ。
ルディ・ボンド - ドン・カーマイン・クネオ
クネオ・ファミリーのドン。ニューヨーク五大ファミリーの一つ。小説版ではドン・オッティリーオ・クネオ。
アレックス・ロッコ - モー・グリーン
ラスベガスでカジノ・ホテルを経営するユダヤ人ベンジャミン・シーゲルがモデル。フレドを匿う。バルジーニと結託している。

その他[編集]

サルヴァトーレ・コルシット - アメリゴ・ボナセーラ
葬儀屋。本作最初のセリフを担当する。
アンジェロ・インファンティ - ファブリツィオ
マイケルがシチリアに隠れてた際のボディガード。饒舌。
フランコ・チッティ - カーロ
同上。ファブリツィオと違って無口。続編にて再登場する。
コラード・ガイパ - ドン・リオネーレ・トマジーノ
シチリアのドンでヴィトーの友人。車椅子生活をしていて、マイケルを匿う。

日本語吹替[編集]

役名 日本語版1 日本語版2 日本語版3 日本語版4
ドン・ヴィトー・コルレオーネ 鈴木瑞穂 麦人
ミケーレ・“マイケル”・コルレオーネ 野沢那智 山寺宏一 山路和弘 森川智之
サンティノ・“ソニー”・コルレオーネ 穂積隆信 金尾哲夫 谷口節
フレデリコ・“フレド”・コルレオーネ 大塚国夫 牛山茂
ケイ・アダムス・コルレオーネ 鈴木弘子 堀越真己 山像かおり
トム・ヘイゲン 森川公也 菅生隆之 田原アルノ
クレメンザ 富田耕生 島香裕 辻親八 後藤哲夫
コンスタンツァ・“コニー”・コルレオーネ・リッジ 小谷野美智子 田中敦子 渡辺美佐
マクラスキー警部 北山年夫 北村弘一 糸博 仲野裕
ジャック・ウォルツ 加藤精三 大木民夫 水野龍司
ドン・エミリオ・バルジーニ 真木恭介 阪脩 水野龍司 仲野裕
ソロッツォ 小林清志 宝亀克寿 銀河万丈 楠大典
カルロ・リッジ 青野武 小形満 内田直哉 桐本琢也
モー・グリーン 家弓家正 小島敏彦 佐々木梅治 青山穣
テッシオ 上田敏也 加藤精三 水野龍司
ポーリー・ガットー 樫井笙人
ファブリツィオ 秋元羊介
カーロ 納谷六朗 星野充昭
ジョニー・フォンテーン 山内雅人 石塚運昇 大川透 内田直哉
ドン・フィリップ・タッタリア 島香裕 佐々木梅治
ルカ・ブラジ 今西正男 藤本譲
ブルーノ・タッタリア 寺島幹夫 宝亀克寿 木村雅史
ドン・トマシーノ
  • 日本語版1:1976年10月13日、20日放送 日本テレビ水曜ロードショー:世紀の超大作完全放送 ゴッドファーザー』版
  • 日本語版2:テレビ東京『ゴッドファーザー・サガ』版
    • 翻訳:木原たけし、演出:佐藤敏夫
  • 日本語版3:DVD版(2001年にBOXセットとして発売)※コッポラ・リストレーション版にも日本語版4と共に収録。
  • 日本語版4:コッポラ・リストレーション版(2008年にDVDとブルーレイで発売)

製作[編集]

映画『ゴッドファーザー』の歴史は、『マフィア』というタイトルのマリオ・プーゾの小作品の映画化権を、パラマウント映画が買い取ったことから始まった。プーゾは『マフィア』を大幅に加筆して小説『ゴッドファーザー』を書き上げ、パラマウント映画から脚本の執筆も依頼された。原作はベストセラーとなり、映画化への期待も高まっていた。

パラマウント映画は監督として、イタリア系のフランシス・フォード・コッポラを選んだ。当時のコッポラは批評家からの評価は高かったが、興行的にはまだ成功を体験していない、いわばマイナーな監督であった。コッポラは原作者のプーゾと組んで脚本を執筆していったが、その改稿が進む中で徐々に物語の中心が父ヴィトーから息子マイケルに移っていった。

主人公であるヴィトー役には、プーゾが想定したマーロン・ブランドが起用された。ブランドは当時既に大物俳優であったが、落ち目と見られており、更にわがままで現場をかき乱す俳優だと思われていたので映画製作者たちは敬遠した。ブランドは同作品の企画を知り、ヴィトー役に自分を売り込むため、自分のイメージ・フィルムをコッポラに送った。このとき口に綿を含み、渋みの演技が行えることを強調した。この努力が功を奏し、彼は見事ヴィトー役を獲得することが出来た。この時ブランドが結んだ契約条件は、出演料ゼロ、ロイヤリティーとして興行収入の数%を上限150万ドル付で支払う、ブランドの撮影中に起きた損害は全て自腹で負担させる、というものであった。

更に製作者側はマイケル役に当時若手の売れっ子俳優ロバート・レッドフォードを起用しようとした。しかしコッポラは無名のアル・パチーノこそが適役と言って譲らず、もめにもめたすえにイタリア系(母方の先祖はシチリア島出身)のパチーノの起用にこぎつけた。この配役は結果的に成功だったと考えられている。

また、当時若手であったコッポラをサポートするために、スタッフにもトップクラスの人材が集められることとなった。コッポラは彼らとの綿密なミーティングを重ねた。撮影中はコッポラの作家主義によりトラブルも多かったが、結果的には最高の結果を残すこととなった。その中でも撮影監督であるゴードン・ウィリスと美術を担当したディーン・タラボリスの功績は大きかった。

当初、コッポラは映画を125分の作品として編集したが、パラマウントは「こんな作品は予告編にしかならない。もっと長くしろ」と要求。コッポラは「普通はもっと短くしろと言われるものなのに長くしろなんて普通じゃない」と反論したが、結局177分の大作として公開された。

コッポラは黒澤明監督作品である『悪い奴ほどよく眠る』(1960年9月公開)の、結婚披露宴から始まるという展開に感心して、本作でも採用した。

公開後[編集]

1972年3月15日に全米で映画が公開されると爆発的なヒットとなり、『ジョーズ』(1975年)に破られるまでのハリウッドの興行収入記録を打ち立てた。批評家たちからも映画の内容を絶賛され、同年度の第45回アカデミー賞で作品賞を獲得した。続編の『ゴッドファーザー PART II』もアカデミー作品賞を受賞したため、今日に至るまで正編と続編でアカデミー作品賞を獲得した唯一の例としても有名。

マーロン・ブランドはヴィトー役での年齢を重ねていく演技が絶賛され、アカデミー主演男優賞を獲得した(但し、受賞は拒否)。アル・パチーノやジェームズ・カーンロバート・デュヴァルなど共演した俳優たちも、この作品によって一気にスターダムにのし上がった。

2006年には『ゴッドファーザー』の世界観をモチーフにした同名のビデオゲームが、エレクトロニック・アーツより発売された。

コッポラは本作を製作中にヒット作『フレンチ・コネクション』を鑑賞しており、その出来栄えを高く評価し、「同じマフイア映画でも、『ゴッドファーザー』は暗くて悲しい映画だ。『フレンチ・コネクション』のようにヒットすることはないだろう」と語っていたという。その後「本作が成功したのは私の力ではない。多くの優秀なスタッフに恵まれたからだ」と謙虚なコメントをしている。

評価[編集]

カクテルのゴッドファーザー

評論家選定の映画ベスト100などのリストで、必ずと言っていいほど上位に名前が挙げられる作品である。1998年アメリカ映画協会が選んだ映画ベスト100中第3位、2007年に更新されたリストではベスト100中第2位にランクインした。2008年には同じくアメリカ映画協会によって、最も偉大なギャング映画第1位に選出された[2]

公開当時にはあまり知られていなかったマフィアの世界を一般に知らしめ、現在に至るまでそのステレオタイプを確立した映画である[3]。マフィアを題材にした作品として抜群の知名度を誇るため、他の映画やテレビドラマ、ゲームなどでパロディにされることも多い。作中でしばしば繰り返される印象的な台詞「奴が決して断れない申し出をする」(原文:I'm gonna make him an offer he can't refuse)は特に有名であり、ブランドの特徴的な話し方と共にしばしば物真似の対象となっている。2005年にはアメリカ映画協会選定の名台詞ランキングの第2位に選出された。また、カクテルゴッドファーザーはこの映画から名付けられたものである。

『ゴッドファーザー』の第一作と第二作で「マフィアの暴力を間接的に礼賛している」として、映画の人気とは対照的に知識人たちから批判を受けた事をコッポラは告白している[4]

2008年には、イギリスの映画雑誌『エンパイア』で行われた「歴代最高の映画ランキング500 (The 500 Greatest Movies of All Time)」にて第1位に選ばれた(PartIIは19位、PartIIIは282位)。

主な受賞歴[編集]

部門 候補者 結果
アカデミー賞 作品賞 アルバート・S・ラディ 受賞
主演男優賞 マーロン・ブランド[5] 受賞
助演男優賞 ジェームズ・カーン ノミネート
ロバート・デュヴァル ノミネート
アル・パチーノ ノミネート
監督賞 フランシス・フォード・コッポラ ノミネート
脚色賞 マリオ・プーゾ[6]フランシス・フォード・コッポラ 受賞
作曲賞 ニーノ・ロータ ノミネート
編集賞 ピーター・ツィンナーウィリアム・H・レイノルズ ノミネート
録音賞 クリストファー・ニューマンリチャード・ポートマンバド・グレンツバック ノミネート
衣裳デザイン賞 アンナ・ヒル・ジョンストン ノミネート
英国アカデミー賞 主演男優賞 マーロン・ブランド ノミネート
助演男優賞 ロバート・デュヴァル ノミネート
アンソニー・アスキス賞 ニーノ・ロータ 受賞
衣裳デザイン賞 アンナ・ヒル・ジョンストン ノミネート
有望若手男優賞 アル・パチーノ ノミネート
ゴールデングローブ賞
作品賞 (ドラマ部門) 受賞
監督賞 フランシス・フォード・コッポラ 受賞
主演男優賞 (ドラマ部門) マーロン・ブランド 受賞
アル・パチーノ ノミネート
助演男優賞 ジェームズ・カーン ノミネート
脚本賞 フランシス・フォード・コッポラ、マリオ・プーゾ 受賞
作曲賞 ニーノ・ロータ 受賞
ニューヨーク映画批評家協会賞 助演男優賞 ロバート・デュヴァル 受賞

エピソード[編集]

  • 劇中に出てくる「馬の生首(血も含む)」は本物である。ただし、劇中の馬を殺したわけではなく撮影現場の近くにあった、馬肉で製造されるドッグフードの製造工場から、死骸を拝借したものである。
  • ラストの洗礼式で洗礼を受けているコニーとカルロの子役はコッポラの娘であるソフィア・コッポラであり、彼女は男子として洗礼を受けることになった。劇中ではマイケルが名付け親であり、マイケル・フランシス・リッチと名付けられている。
  • ロバート・デ・ニーロがソニーの役のオーディションを受けているが、ふさわしくないとして落選している。しかしその際の演技に目をつけたコッポラが、続編で若きヴィトーに彼を選んだ。
  • 映画の中で出てくる「ルイズN.Y.ピザパーラー」はユニバーサル・スタジオ・ジャパンで再現され、イタリアン・レストランとして営業している。
  • ロバート・デュヴァルは当時からかなり頭が禿げてきていて、年齢に真実味を与えるため鬘をつけて役作りをした。

脚注[編集]

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  1. ^ a b The Godfather”. Box Office Mojo. Amazon.com. 2012年5月7日閲覧。
  2. ^ American Film Institute、“AFI Crowns Top 10 Films in 10 Classic Genres”、2008年6月17日。(参照:2009年6月26日)
  3. ^ Roger Ebert、“Great Movies – The Godfather”、1997年3月16日。(参照:2009年6月26日)
  4. ^ 『ゴッドファーザー PART III』に付随するコッポラ監督へのインタビューより
  5. ^ ただし、ハリウッドのネイティヴ・アメリカンへの扱いが不当だという事を理由に、受賞を拒否。第45回アカデミー賞式典にも出席していない。
  6. ^ ただし、この第45回アカデミー賞の式典にプーゾ本人は出席しておらず、代理人としてプーゾの娘であるドロシー・アン・プーゾが受賞した。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]