アパートの鍵貸します

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
アパートの鍵貸します
The Apartment
監督 ビリー・ワイルダー
脚本 ビリー・ワイルダー
I・A・L・ダイアモンド
製作 ビリー・ワイルダー
出演者 ジャック・レモン
シャーリー・マクレーン
フレッド・マクマレイ
音楽 アドルフ・ドイッチ
撮影 ジョセフ・ラシェル
編集 ダニエル・マンデル
配給 ユナイテッド・アーティスツ
公開 アメリカ合衆国の旗 1960年6月15日
日本の旗 1960年10月8日
上映時間 120分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $3,000,000
テンプレートを表示

アパートの鍵貸します』(アパートのかぎかします、原題: The Apartment)は、1960年制作のアメリカ映画。同年のアカデミー賞にて、作品賞監督賞など5部門受賞した。

ストーリー[編集]

ニューヨークの保険会社に勤めるさえない平社員のバクスター(バド)は、アッパー・ウエスト・サイドの安アパートに独り暮らし。バドは勤務中、4人の課長にせわしなく電話をかけて、スケジュールを調整している。というのも、自分の部屋を愛人との密会用に時間貸しして、勤務評価を上げて貰っているからだ。

ある日バドは、シェルドレイク部長のオフィスに呼び出される。社内での不審なメッセンジャーの動きや、バドが不自然に高評価を受けることについて詰問されるが、シェルドレイクも5人目に割り込み、そのうえ部長補佐への昇進を持ちかけてくる。気を良くしたバドは以前から気になっていたエレベーターガールのフランをデートに誘う。フランは快くOKするが、「ただし先約を済ませてからね。」と言い、会社を後にした。そして彼女が落ち合ったのは、シェルドレイク部長。彼の浮気相手というのはフランだったのだ。2人の仲は暗礁に乗り上げていたが、今でも会社の外で逢引きをする関係だった。そうとは知らないバドは約束をすっぽかされて、寒空の下で鼻をすすった。

クリスマス・イブ。社内を上へ下へのパーティーの最中、フランは部長秘書のオルスンからシェルドレイクとの仲について嫌味を言われ、ひどく落ち込む。バドは陽気に彼女に接するが、ふとしたことからフランとシェルドレイクの関係に勘付いてしまう。しかも、今夜アパートの鍵を貸せと命じられている。やるせない思いで、次々にマティーニのグラスをひとり空けていくバド。そのころバドの部屋では、フランとシェルドレイクの別れ話がこじれていた。そそくさと家庭へもどっていくシェルドレイクを見送った後、フランは部屋で睡眠薬自殺を図る。バーでのヤケ酒から帰宅したバドは、ベッドでぐったりしているフランを見つける。慌てて隣人のドレイファス医師を呼び出して介抱するが、医師からはバドの女ぐせの悪さが原因だと誤解され、お説教されるはめになるが、フランに悪評が立つことを恐れて、バドは甘んじて誤解を受け入れる。彼は弱気になったフランを励まし、食事や暇つぶしのトランプゲームまで、かいがいしく世話を焼く。彼の優しさにフランも、「どうしてあなたみたいな良い人と、私は恋できないのかしら…。」とつぶやいた。

クリスマスの夜。思いがけず、憧れのフランとディナーを囲むことになり、張り切ってスパゲティをゆでるバド。ところが、フランの義兄カールがアパートの部屋に乗り込んでくる。会社の課長たちに悪評を吹き込まれた彼は、バドがフランの自殺未遂の原因だと早合点し、彼の顔面に一発食らわせた。バドもフランの名誉のため、カールにやり返さなかった。そのまま、フランは連れられて帰っていく。「ありがとう。」とバドの額へのキスを残して。

翌日、腫れた目のバドは、シェルドレイクにフランから手を引くように言いつけるつもりでオフィスへ乗り込むが、あろうことかシェルドレイクから、フランとの一件から手を引くように言い渡される。秘書オルスンが彼の妻に事実を暴露し、離婚することになったからだ。何も言えないバドは、昇進のしるしである個人オフィスで途方に暮れる。

大みそか。フランへの恋心を振り切るかのように仕事に打ち込むバドをよそに、シェルドレイクは再びアパートの鍵を貸すように命令してくる。ついに堪忍袋の緒が切れたバドは、鍵は貸さないとはねつける。シェルドレイクはクビきりをちらつかせるが、バドは「私はひとかどの人間になりたいんです。」と啖呵を切り、自分から会社を飛び出した。その晩、レストランでの年越しパーティの席で、シェルドレイクはフランにバドが会社を辞めたことを教える。そして、「フランを連れ込むのなら、なおさら鍵は貸せない」と彼が拒否したことも…。“蛍の光”の合唱が聞こえるなか、フランは、自分を本当に気遣い、愛してくれていたのは、他ならぬバドであると確信した。そして、シェルドレイクの目を盗んでパーティを抜け出し、バドのアパートへと駆けていく。

笑顔で部屋への階段を駆け上がるフランの耳に、しかし一発の銃声めいた音が聞こえた。不吉な予感がしたフランが戸をノックすると、栓を抜いたばかりのシャンパンを持ったバドが驚いた顔で出迎えた。彼は新年早々に引越しの準備をしていたのだ。「新しい町で、新しい仕事を見つけて、新しい人生を始めたいんだ。」と言うバドに、「偶然ね。私もそのつもりよ。」と返すフラン。そして、トランプゲームを再び始めようと提案する。ソファに座ってカードを切るフランに、バドは「愛してる。」とささやくが、フランはにっこり微笑んで「黙って、カード配って。」2人は、また新しくトランプゲームを始めるのだった。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹き替え
C・C・バクスター(バド) ジャック・レモン 愛川欽也
フラン・キューブリック シャーリー・マクレーン 市川和子
ジェフ・D・シェルドレイク フレッド・マクマレイ 近藤洋介
ジョー レイ・ウォルストン
ドレイファス医師 ジャック・クラッシェン

主な受賞歴[編集]

アカデミー賞[編集]

受賞
アカデミー作品賞
アカデミー監督賞:ビリー・ワイルダー
アカデミー脚本賞:ビリー・ワイルダー、I・A・L・ダイアモンド
アカデミー美術賞 (白黒部門):アレクサンドル・トローネエドワード・G・ボイル
アカデミー編集賞:ダニエル・マンデル
ノミネート
アカデミー主演男優賞:ジャック・レモン
アカデミー主演女優賞:シャーリー・マクレーン
アカデミー助演男優賞:ジャック・クラッシェン
アカデミー撮影賞 (白黒部門):ジョセフ・ラシェル
アカデミー録音賞:ゴードン・E・ソーヤー

ゴールデングローブ賞[編集]

受賞
作品賞(ミュージカル・コメディ部門)
主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門):ジャック・レモン
主演女優賞(ミュージカル・コメディ部門):シャーリー・マクレーン
ノミネート
監督賞:ビリー・ワイルダー

ニューヨーク映画批評家協会賞[編集]

受賞
作品賞
監督賞:ビリー・ワイルダー

トリビア[編集]

  • バクスターが自宅でテレビをつけた際、ジョン・ウェイン主演の『駅馬車』や『拳銃無宿』、グレタ・ガルボ主演の『グランド・ホテル』が流れている。
  • この作品が大ヒットした記念における披露宴で、ワイルダーは偶然出席していたマリリン・モンローと再会し、和解したという。モンローとは、『お熱いのがお好き』の撮影時におけるトラブルから、一時期、関係が険悪になり決別していた。この事から、次回作『あなただけ今晩は』のヒロインにモンローを起用しようと考えていたが、モンローの突然の急逝によりそれは叶わぬものとなった。
  • 明石家さんまがこの映画のジャック・レモンを意識しながらテレビドラマ『男女7人夏物語』の今井良介を演じていたと、自らDJを務めるラジオ番組『ヤングタウン』の中で語っていたことがある。テニスのラケットでスパゲティの湯を切るシーンはそのまま引用して演じていた。
  • 2001年に放送された日本の特撮作品『仮面ライダーアギト』の第29話で、主人公の津上翔一が居候先の美杉家に預けられてる風谷真魚が、高校のテニス部に入部した時に台所のシンクで、彼女のラケットを持ちながら「スパゲッティをゆでるのにいいかも…」と呟くなど、本作のオマージュのようなシーンがある。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]