ハート・ロッカー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ハート・ロッカー
The Hurt Locker
監督 キャスリン・ビグロー
脚本 マーク・ボール
製作 キャスリン・ビグロー
マーク・ボール
ニコラ・シャルティエ
グレッグ・シャピロ
マルコ・ベルトラミ
バック・サンダース
製作総指揮 トニー・マーク
出演者 ジェレミー・レナー
アンソニー・マッキー
音楽 マルコ・ベルトラミ
バック・サンダース
撮影 バリー・アクロイド
編集 ボブ・ムラウスキー
クリス・イニス
配給 アメリカ合衆国の旗 サミット・エンターテインメント
日本の旗 ブロードメディア・スタジオ
公開 アメリカ合衆国の旗 2009年6月26日
日本の旗 2010年3月6日
上映時間 131分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $15,000,000[1]
興行収入 $49,230,772[1]
テンプレートを表示

ハート・ロッカー』(The Hurt Locker)は、キャスリン・ビグロー監督による2008年アメリカ映画イラクを舞台としたアメリカ軍爆弾処理班を描いた戦争アクション。

2008年のヴェネツィア国際映画祭トロント国際映画祭で上映。第82回アカデミー賞では9部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞、編集賞、音響効果賞、録音賞の6部門で受賞した。

タイトルはアメリカ軍のスラングで「苦痛の極限地帯」、「棺桶」を意味する。

ストーリー[編集]

イラク戦争中の2004年、バグダッド郊外。アメリカ軍の危険物処理班は、路上に仕掛けられた「即席爆発装置(IED)」と呼ばれる爆弾の解体、爆破の作業を進めていた。だが、準備が完了し、彼らが退避しようとしたその時、突如爆発した。

罠にかかり殉職した隊員に代わり、また新たな「命知らず」が送り込まれてきた。地獄の炎天下、処理班と姿なき爆弾魔との壮絶な死闘が始まる。

登場人物[編集]

Army-USA-OR-07.svg
ウィリアム・ジェームズ一等軍曹
トンプソンの後任としてブラボー中隊に赴任した爆弾処理班班長。EOD(爆発物処理)の専門家であり、解体した爆弾は873個以上のベテランだが、危険を顧みないスタンドプレーが目立ち班に波紋をおこす。
第75レンジャー連隊第3大隊出身。アフガニスタンでの任務経験がある。左半身の腹から胸にかけて爆発物によるとおぼしき傷痕が残っている。本国では離婚した妻と幼い息子と同居。
Army-USA-OR-05.svg
J.T.サンボーン軍曹
爆弾処理班の上級隊員。チームワークや危険を顧みないジェームズと反発する。砂漠で襲撃を受けた際、ジェームズを観測手にバレットで正確な射撃をした。EODの前は諜報部に7年所属。本国の彼女は子供を欲しがっているがサンボーン自身は踏みきれないでいる。
Army-USA-OR-04b.svg
オーウェン・エルドリッジ技術兵
爆弾処理班の下級隊員。トンプソンの死に責任と恐怖を感じており、軍医ケンブリッジがカウンセリングに来るとしばしば否定的な発言をする。砂漠の襲撃ではジェームズに励まされサポートをこなし、自身で初めて敵を殺した。ジェームズの誤射により大腿部を負傷し帰国。
Army-USA-OR-06.svg
マシュー・マット・トンプソン二等軍曹
爆弾処理班の班長。任務中にIED(即席爆発装置)で死亡した。
US-O5 insignia.svg
ジョン・ケンブリッジ中佐
軍の精神分析医。トンプソンの死で士気の落ちたエルドリッジにカウンセリングを行い助言する。エルドリッジの発言を発端に、ジェームズ班の任務に同行した際IEDにより死亡。
ベッカム
ビクトリー基地の前で兵士達を相手にDVDを売るサッカー好きの少年。ジェームズと親交を深めるが、ある事件を期に避けられる。

キャスト[編集]

役名 俳優 日本語吹替
ウィリアム・ジェームズ一等軍曹 ジェレミー・レナー 加瀬康之
J・T・サンボーン軍曹 アンソニー・マッキー 坂詰貴之
オーウェン・エルドリッジ技術兵 ブライアン・ジェラティ 土田大
マシュー・“マット”・トンプソン二等軍曹 ガイ・ピアース 東地宏樹
ジョン・ケンブリッジ軍医中佐 クリスチャン・カマルゴ 入江崇史
PMC分隊長 レイフ・ファインズ 原康義
リード大佐 デヴィッド・モース 楠見尚己
コニー・ジェームズ エヴァンジェリン・リリー 北西純子

作品解説[編集]

カメラは低予算のため、スーパー16ミリカメラが使用され、同時に4台以上のカメラで撮影するスタイルを取り、その結果、撮影されたフィルムは200時間に及んだという。俳優達は、実際にアメリカ軍の軍事訓練を受けて撮影に臨んでいる。また、通常のハリウッドの撮影条件とは違い、誰一人個人用のバスルームや空調の整ったトレーラーは与えられなかったという。製作費は約16億円。

ロケ地[編集]

撮影は2007年クウェートヨルダンアンマンで行われた。治安面から当初はモロッコで撮影する段取りもされていたが、監督の判断で物語の舞台に近い中東で撮影された。

撮影場所によっては、イラク国境からわずか3マイルの場所だった時もある。

音楽[編集]

音楽に、反ブッシュで知られるインダストリアル・ロックバンド、ミニストリーが3曲提供している。

トラブル[編集]

製作者の一人・ニコラ・シャルティエが、アカデミー賞の投票権を持つ映画芸術科学アカデミーの会員に電子メールで投票を呼び掛けるなどの不正行為を行い同氏のアカデミー賞授賞式への出席は禁止された[2]

アカデミー賞授賞式直前にはイラク戦争アメリカ陸軍の爆破物処理班に所属していた曹長がモデルは自分であるとして訴えを起こした。弁護士によれば作中で主人公が使うコールサイン、「ブラスター・ワン」や映画のタイトルは曹長が考えた言葉だと主張している[3]

評価[編集]

ポール・リークホフ(全米イラク・アフガニスタン帰還兵協会会長)は、「戦争を分かりやすく伝えようとしているが、経験者の私たちはあまりの不正確さにうんざりしてしまう。調査不足というだけでなく、端的に言えば米軍への敬意に欠けている」と、この映画に対して不満を述べている[4]

ゲイツ元国防長官は好評したが、2010年時点で現役のEODチーム兵士の意見は異なる。また、国防総省は当初、撮影に協力し現場にトッド・ブレスシール中佐(Todd Breasseale)を送ることになっていたが問題が発覚したという[5]

主な受賞[編集]

その他[編集]

  • 劇中にXbox 360のゲームソフト『Gears of War』が登場するが、このゲームの発売は2006年であり、本作の時代設定である2004年には存在しない。そもそもXbox 360本体自体が発売されていない(2005年発売)。
  • 劇中でジェームズが首から下げているドッグタグは1枚だが、これは実際の爆弾処理班が爆弾被害を想定してもう一枚をブーツに入れていることに基づく。[6]
  • エリドリッジは左胸にタバスコ瓶をつけている。これはトレーニングを担当した兵士の一人がタバスコ瓶を胸につけていたことに発想を得ている。ビグロー監督は、MREの不味さをマシにする為のものだろうとコメント。[7]
  • 劇中装備しているヘルメットの紐後部の表記から血液型がわかる。ジェームズ A NEG(A型RH-)、サンボーンA POS(A型RH+)、エリドリッジO POS(O型RH+)

脚注[編集]

  1. ^ a b The Hurt Locker (2009)”. Box Office Mojo. 2011年6月1日閲覧。
  2. ^ 'Hurt どうなる?アカデミー賞、最有力候補が規定違反”. AFP (2010年3月1日). 2010年6月20日閲覧。
  3. ^ アカデミー賞直前『ハート・ロッカー』は僕がモデル!と陸軍曹長が訴訟”. シネマトゥデイ (2010年3月4日). 2010年6月20日閲覧。
  4. ^ 間違いだらけの戦争描写 アカデミー賞に輝いた『ハート・ロッカー』は米軍への敬意に欠ける ニューズウィーク日本語版 2010年3月24日
  5. ^ 'The Hurt Locker' sets off conflict Los Angeles Times
  6. ^ A Few Words With 'Hurt Locker' Star Jeremy Renner”. NPR movie interview (2009年7月29日). 2013年7月1日閲覧。
  7. ^ Kathryn Bigelow talks about 'The Hurt Locker'”. SFBG A blast By Kimberly Chun (2009年6月29日). 2013年7月1日閲覧。

外部リンク[編集]