メランコリア (映画)

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メランコリア
Melancholia
監督 ラース・フォン・トリアー
脚本 ラース・フォン・トリアー
製作 ミタ・ルイーズ・フォルデイガー
ルイーズ・ヴェス
製作総指揮 ペーター・ガルデ
ピーター・アールベーク・ジェンセン
出演者 キルスティン・ダンスト
シャルロット・ゲンズブール
キーファー・サザーランド
撮影 マヌエル・アルベルト・クラロ
編集 モリー・マーリーン・ステンスガード
製作会社 Zentropa
配給 デンマークの旗 Nordisk Film
日本の旗 ブロードメディア・スタジオ
公開 フランスの旗 2011年5月18日CIFF
デンマークの旗 2011年5月26日
日本の旗 2012年2月17日
上映時間 130分
製作国 デンマークの旗 デンマーク
言語 英語
製作費 52,500,000 kr[1]
興行収入 $15,935,899[2]
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メランコリア』(Melancholia)は、ラース・フォン・トリアー監督・脚本、キルスティン・ダンストシャルロット・ゲンズブールキーファー・サザーランド出演のデンマーク映画である。

あらすじ[編集]

コピーライターであるジャスティンは、心の病を抱えていた。その鬱症状が引かないうちに僚友マイケルとの披露宴を迎えた彼女は、母であるギャビーとともに奇矯な行動に出、祝宴の雰囲気をぶち壊すのみならず上司ジャックや、他ならぬ新郎マイケルとの関係決裂を招いてしまう。そんなジャスティンをなじる姉クレアだったが、仕方なく夫のジョンや息子とともに彼女との生活を続ける。だが、ジャスティンの病状が穏やかになるとともに、地球に奇妙な周回軌道をとる惑星が接近する。彼女は周りの狼狽を意に介さず惑星の到来を朗らかに出迎えるのだった。

キャスト[編集]

製作[編集]

企画[編集]

映画のアイディアは、鬱病に苦しんでいた頃のラース・フォン・トリアーが出席したセラピー・セッションから来ている。セラピストは、鬱病の人々は先に悪いことが起こると予想し、強いプレッシャーの下では他の者よりも冷静に行動する傾向があることをトリアーに伝えていた[3]

2009年10月、トリアーが映画の脚本・監督をすることの早期発表をした。トリアーは、詳細を機密としたが、「それ以上のハッピーエンドが全くない!」と述べた[4]。そのすぐ後、ペネロペ・クルスシャルロット・ゲンズブールキーファー・サザーランドシャーロット・ランプリングアレクサンダー・スカルスガルドステラン・スカルスガルドウド・キアとの交渉に入った。結局クルスは出演せず、キルスティン・ダンストが彼女の後任となった[4]。さらに2010年5月、ジョン・ハートがキャストに追加された[5]

『メランコリア』はデンマークのZentropaが製作し、ドイツの子会社とスウェーデン。フランス、イタリアの映画会社が協力する[6]。製作のためにDanish Film Instituteが790万デンマーク・クローネEurimagesが60万ユーロSwedish Film Instituteが300万スウェーデン・クローナを出資した[7][8]。追加融資は、Film i Västデンマーク放送協会アルテ・フランスCNCCanal+、BIM Italy、Filmstiftung Nordrhein-Westfalen、スウェーデン・テレビ、Nordisk Film- & TV-Fondが提供した[6]。総製作費は5250万デンマーク・クローネとなった[1]

撮影[編集]

撮影は2010年7月22日に開始し、9月8日に完了した。内面的なシーンはスウェーデンのトロルヘッタンのスタジオで撮られた。トリアーがトロルヘッタンのスタジオで撮るのは4度目である[9]。外部はTjoloholm城周囲の地域を含まれていた[10]。映画はArri Alexaとファントムのカメラでデジタル撮影された[11]。トリアーは、これまで彼がやってきたように、リハーサルなしというスタイルで監督し、代わりに俳優たちは即興で演技した[12]。カメラはまずトリアーが操作し、次に撮影技師のマヌエル・アルベルト・クラロがトリアーが動きを繰り返した。クラロは、「(トリーアは)、1度にシチュエーションを経験したがっています。彼は場面のエネルギー、存在を見つけ、写真的な美意識を作り上げる。」と語った[1]

ポストプロダクション[編集]

リヒャルト・ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』の音楽が映画の主なテーマ曲として使われる。この選択は、マルセル・プルーストの『失われた時を求めて』内で、プルーストがワーグナーのそれこそが史上最も偉大な芸術であると結論付けていることからインスパイアされている。『メランコリア』では、トリアーの『エレメント・オブ・クライム』(1984年)以来のどの作品よりも音楽が使用われている。数場面では、映画は音楽と同じペースで編集された。トリアーは「それは少しミュージックビデオに似ている。」と述べた[3]。またトリアーは、ワグナーと音楽の編集とナチス・ドイツの美意識が並行していると指摘した[3]

公開[編集]

2011年5月18日にカンヌ国際映画祭のコンペティション部門で公開された[13]デンマークでは5月26日にノルディスク・フィルムの配給で公開される[6]イギリスでは9月30日にアーティフィシャル・アイ、北アメリカでは11月4日にマグノリア・ピクチャーズ配給で公開された[14]。日本ではブロードメディア・スタジオ配給で2012年2月17日に公開された。

評価[編集]

カンヌ国際映画祭における記者会見でラース・フォン・トリアーは本作におけるドイツのロマン主義芸術からの影響を話した後、「ヒトラーに共鳴する」などと発言したために反ユダヤとされた。カンヌ映画祭事務局側は事態を重く受け止め、「好ましからぬ人物」としてトリアーを追放した。出品された「メランコリア」は審査の対象から外されなかったものの、仮に授賞してもトリアー監督は出席できない[15]。同映画祭では本作に主演したキルスティン・ダンスト女優賞を受賞した。

参考文献[編集]

  1. ^ a b c Monggaard, Christian (2010年7月27日). “Absurd teater med en film i hovedrollen” (デンマーク語). Dagbladet Information. 2010年7月31日閲覧。 “Han vil opleve situationerne første gang. Han finder en energi i scenerne, nærvær, og gør op med fotoæstetikken.”
  2. ^ Melancholia” (英語). Box Office Mojo. Amazon.com. 2012年2月18日閲覧。
  3. ^ a b c Juul Carlsen, Per (5月 2011年). Neimann, Susanna. ed. “The Only Redeeming Factor is the World Ending”. FILM (Danish Film Institute) (72): 5–8. ISSN 1399-2813. http://www.dfi.dk/Service/English/News-and-publications/FILM-Magazine/Artikler-fra-tidsskriftet-FILM/72/The-Only-Redeeming-Factor-is-the-World-Ending.aspx. 
  4. ^ a b Kirsten Dunst Has Melancholia”. Empire. Bauer Media Group. 2010年4月16日閲覧。
  5. ^ Lars von Trier's 'Melancholia' Locks Down Full End of the World Cast”. Bloody Disgusting. The Collective. 2010年5月18日閲覧。
  6. ^ a b c Melancholia”. Danish Films. Danish Film Institute. 2010年8月5日閲覧。
  7. ^ Fil-Jensen, Lars (2010年6月22日). “Støtte til Caroline Mathildes år og Melancholia” (Danish). dfi.dk. Danish Film Institute. 2010年7月19日閲覧。
  8. ^ Roger, Susanne (2010年6月22日). “Dramerna dominerar produktionsstöden i juni” (スウェーデン語). Filmnyheterna. Swedish Film Institute. 2010年12月21日閲覧。
  9. ^ Pham, Annika (2010年7月28日). “Von Trier's Melancholia kicks in”. Cineuropa. 2010年7月28日閲覧。
  10. ^ Erlandsson, Martin (2010年8月11日). “Dunst och Skarsgård filmar i norra Halland” (スウェーデン語). Hallandsposten. 2011年2月13日閲覧。
  11. ^ Technical info”. melancholiathemovie.com. Zentropa. 2011年5月4日閲覧。
  12. ^ Von Trier's Melancholia Kicks In”. Cineuropa (2010年7月28日). 2011年4月23日閲覧。
  13. ^ Horaires 2011” (フランス語). festival-cannes.com. Cannes Film Festival. 2011年5月12日閲覧。
  14. ^ Lodderhose, Diana (2011年2月13日). “Magnolia takes 'Melancholia'”. Variety. 2011年2月13日閲覧。
  15. ^ 2011年5月21日日本経済新聞

外部リンク[編集]