ヴァージニア・ウルフなんかこわくない
『ヴァージニア・ウルフなんかこわくない』(Who's Afraid of Virginia Woolf?)は、エドワード・オールビーの戯曲。三幕。1962年ブロードウェイにて初演された。二組の夫婦のあいだのエスカレートしていく罵り合いを通じて夫婦の偽善的な関係が暴きだされていくさまを描いた作品で、現代アメリカ演劇の代表的な作品のひとつである。1963年度トニー賞演劇部門を受賞。同年のピュリッツァー賞戯曲部門にも推薦されていたが、保守的な評議委員会が台詞の汚さを問題視して専門委員会の推薦を覆したため、この年の戯曲部門は該当作なしとなった[1]。また1966年にはブロードウェイで本作の舞台演出も手がけたマイク・ニコルズによって映画化されており、同年のアカデミー賞にて主演女優賞(エリザベス・テイラー)など五部門を獲得している。
表題はディズニーのアニメ『三匹の子ぶた』の劇中歌「狼なんかこわくない」(Who's Afraid of the Big Bad Wolf?)の狼(Big Bad Wolf)を英国の小説家ヴァージニア・ウルフに置き換えたもので、劇中に駄洒落として登場し、節をつけて歌われるシーンがある。ただしディズニーの許諾を得ることが難しいため、実際の上演では韻律が合う童謡「Here We Go Round the Mulberry Bush」(英語版)の節回しで歌われることが多い。
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あらすじ[編集]
舞台はニュー・イングランドの大学構内にある住宅である。真夜中2時に、中年の歴史学者ジョージとその年上の妻マーサが帰宅する。二人は大学の学長であるマーサの父が開いたパーティからの帰りである。浮かれてはしゃいでいるマーサとそれをたしなめようとするジョージとの間で、ならいとなっているらしい夫婦喧嘩が始まりかかると、そこに若い生物学者ニックとその妻ハネーが訪ねてくる。彼らはパーティでマーサから招かれて来たのである。
ジョージとマーサははじめ二人の仲の悪さをごまかしながら若い二人をもてなそうとするが、あてこすりのやりあいから、やがて客を巻き込んだ罵り合いと発展していく。マーサは夫が大学長の娘である自分と結婚しながら、大学教員として十分な実績をあげられずにいることを客の前で暴き、ジョージも妻の恋愛歴と結婚生活への幻滅をあけすけに語る。のみならず、ジョージは将来有望なニックへの嫉妬から、こっそり打ち明けられた彼の妻ハネーの想像妊娠の顛末をしゃべる。さらにハネーが酔いで正体を失い、ジョージが知らん振りをしている間に、マーサはニックを誘惑し、ニックもその誘惑に乗って二人きりで階上に行ってしまう。
戻ってきたマーサたちに対して、ジョージは復讐として、子供のいない自分たちの間の秘密であった「想像上の息子」を殺してしまったことを告げる。最後にニックとハネーは帰っていき、夜明けの中、ジョージとマーサのごく静かな会話によって幕となる。
映画[編集]
| バージニア・ウルフなんかこわくない | |
|---|---|
| Who's Afraid of Virginia Woolf? | |
| 監督 | マイク・ニコルズ |
| 脚本 | アーネスト・レーマン |
| 製作 | アーネスト・レーマン |
| 出演者 | エリザベス・テイラー リチャード・バートン |
| 音楽 | アレックス・ノース |
| 撮影 | ハスケル・ウェクスラー |
| 編集 | サム・オスティーン |
| 製作会社 | ワーナー・ブラザーズ |
| 配給 | ワーナー・ブラザーズ |
| 公開 | |
| 上映時間 | 131分 |
| 製作国 | |
| 言語 | 英語 |
| 製作費 | $7,500,000(見積値)[2] |
| 興行収入 | |
1966年のアメリカ映画。日本語版タイトルは『バージニア・ウルフなんかこわくない』。本作が映画初監督となるマイク・ニコルズは原作のブロードウェイでの舞台演出をてがけている。この映画ではハリウッド映画史上初めて「Fuck」という言葉が使われた。
キャスト[編集]
- マーサ - エリザベス・テイラー
- ジョージ - リチャード・バートン
- ニック - ジョージ・シーガル
- ハニー - サンディ・デニス
受賞・ノミネーション[編集]
- 第39回アカデミー賞の以下の部門でノミネートされ、このうち、主演女優賞、助演女優賞、撮影賞(白黒)、美術賞(白黒)、衣裳デザイン賞(白黒)を受賞した。エリザベス・テイラーにとっては『バターフィールド8』(1960年)に続く2度目のアカデミー主演女優賞である。
- 作品賞
- 監督賞(マイク・ニコルズ)
- 主演男優賞(リチャード・バートン)
- 主演女優賞(エリザベス・テイラー)
- 助演男優賞(ジョージ・シーガル)
- 助演女優賞(サンディ・デニス)
- 脚色賞(アーネスト・レーマン)
- 撮影賞(白黒)(ハスケル・ウェクスラー)
- 編集賞(サム・オスティーン)
- 美術賞(白黒)(リチャード・シルバート、ジョージ・ジェイムズ・ホプキンス)
- 衣裳デザイン賞(白黒)(イレーネ・シャラフ)
- 作曲賞(アレックス・ノース)
- 録音賞(ジョージ・グローヴス)
- 第24回ゴールデングローブ賞の以下の部門でノミネートされたが、いずれも受賞には至らなかった。
- 主演男優賞 (ドラマ部門)(リチャード・バートン)
- 主演女優賞 (ドラマ部門)(エリザベス・テイラー)
- 監督賞(マイク・ニコルズ)
- 脚本賞(アーネスト・レーマン)
- 第20回英国アカデミー賞の以下の部門でノミネートされ、最優秀賞を受賞した。
備考[編集]
- 柄谷行人は『反文学論』という時評集の中で、この作品(戯曲を読んだのか、芝居を観たのか、映画を観たのかは明らかではない)に出会ったときのことを述懐している。いわく「タマネギの皮をむくように現実の表層を剥ぎ取っていったら何も残らなかった。それでも元気を出せ、とオールビーは歌った。それは身に染み入るような感じだった」
脚注[編集]
- ^ Klein, Alvin. "Albee's 'Tiny Alice, The Whole Enchilada". The New York Times, 24 May 1998: CT11.
- ^ a b c “Who's Afraid of Virginia Woolf? (1966) - Box office / business” (英語). IMDb. 2011年5月21日閲覧。