市民ケーン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
市民ケーン
Citizen Kane
監督 オーソン・ウェルズ
脚本 ハーマン・J・マンキウィッツ
オーソン・ウェルズ
製作 オーソン・ウェルズ
出演者 オーソン・ウェルズ
ジョセフ・コットン
ドロシー・カミンゴア
音楽 バーナード・ハーマン
撮影 グレッグ・トーランド
編集 ロバート・ワイズ
配給 RKO
公開 アメリカ合衆国の旗 1941年5月1日
日本の旗 1966年6月4日
上映時間 119分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 68万ドル(当時)
興行収入 50万ドル(全米)
テンプレートを表示

市民ケーン』(Citizen Kane)は、1941年RKOが製作・公開したアメリカ映画オーソン・ウェルズの処女作であり、アカデミー賞において脚本賞を受賞した。

概要[編集]

ラジオドラマ『火星人襲来』話題になっていたオーソン・ウェルズが経営難に遭っていたRKOに招かれて製作した作品で、当時25歳だったウェルズの監督デビュー作であり、自ら製作・脚本・主演を務めた。主人公である新聞王ケーンは実在する新聞王・ウィリアム・ランドルフ・ハーストをモデルにしているが、ハーストは自分を侮辱していると考え、評論家を買収したり、RKOにネガやフィルムを焼き払うなどと言って圧力をかけたりして映画の公開を妨害しようとした。これによって上映する劇場も減少し、ハースト系の新聞から批判されることとなった。ニューヨーク映画批評家協会賞全米批評家会議賞ゴールデン・グローブ賞などの賞を受賞したが、結局、アカデミー賞では脚本賞のみの受賞となり、作品賞にはノミネートされるだけで終わった。

興行的にも失敗してしまったが、内容的には『嵐が丘』(1939年)などでディープフォーカス技法を実験していたグレッグ・トーランドの撮影によるディープフォーカス技法の使用、広角レンズ・ローアングルの多用、極端なクローズアップなど映画として画期的なもので、その評価は現在に至るまで非常に高いものである。

また、オーソン・ウェルズはこの映画を撮る際に、映写室でジョン・フォード監督の『駅馬車』を繰り返し観て映画を勉強した。

世界一の映画[編集]

BFI(英国映画協会)が10年毎に選出し、全世界の映画批評家を対象に実施する映画史上最高の作品ベスト10では40年間連続で第1位に選出された。しかし、2012年度のランキングではでは第2位にランクインされ首位を陥落した(第1位はアルフレッド・ヒッチコック監督の『めまい』)。 また、AFIアメリカ映画100年シリーズの一環として選出したアメリカ映画ベスト100(1998年と2007年に実施)でも第1位として選出されている。

ストーリー[編集]

Orson Welles-Citizen Kane1.jpg

暗く荒廃した大邸宅の幾つものショットでこの映画は始まる。屋敷の主、新聞王だったケーンが「バラのつぼみ」という謎の言葉を残して死ぬ。彼の生涯をまとめたニュース映画の試写を見た経営者ロールストンは不満を持ち、彼の命を受け、編集のトムスンは、ケーンの最後の言葉を意味を探ってケーンに近かった人間を歴訪する。すなわち、2度目の妻で歌手のスーザン・アレクサンダー、後見人の銀行家サッチャー、ケーンの新聞「インクワイラー」のブレーン、バーンステインとリーランド、邸宅の執事の5人である。

ケーンの幼少の頃、宿泊費のかたにとった金鉱の権利書から母親は大金持ちになった。財産の管理と教育のためケーンは田舎の両親から離され、ニューヨークで育った。青年になったケーンは、友人のバーンステインとリーランドの協力を得て、新聞経営に乗り出す。センセーショナリズムによってケーンの新聞は売上を伸ばすが、友人たちはケーンの手法を批判する。しかし、彼は耳を貸さず、大統領の姪と結婚し、さらに上の権力を求めた。圧勝を予想された知事選挙の前日、歌手である愛人の存在をライバルにすっぱ抜かれたケーンは落選し、妻も彼のもとを去った。彼は愛人スーザンのために巨大なオペラ劇場を建設し、自分の新聞で大々的に宣伝したが、不評は覆うべくもなかった。悩んだ末に自殺未遂を引き起こしたスーザンは大邸宅に幽閉されたが、やがてケーンの元を去った。孤独のうちにケーンは死んだ。結局、トムスンに「バラのつぼみ」の意味は分からなかった。

だが、整理されて燃やされるケーンの遺品の中には「バラのつぼみ」と書かれた、彼が幼い頃遊んだ橇があった…。

キャスト[編集]

  • チャールズ・フォスター・ケーン(Charles Foster Kane):オーソン・ウェルズ(Orson Welles)
  • ジェデッドアイア・リーランド(Leland):ジョゼフ・コットン(Joseph Cotten)
  • エミリー・ノートン(Emily Norton):ルース・ウォリック(Ruth Warrick)
  • スーザン・アレクサンダー(Susan Alexander):ドロシー・カミンゴア(Dorothy Commingore)
  • ミセス・ケーン(Mrs. Kane):アグネス・ムーアヘッド(Agnes Moorehead)  
  • ウォルター・サッチャー(Walter Thatcher):ジョージ・クールリス(George Coulouris)
  • トンプソン(Thompson):ウィリアム・アランド(William Alland)
  • バーンスタイン(Bernstein):エヴェレット・スローン(Everett Sloane)
  • ジェームズ・W・ゲティス(James W. Gettys):レイ・コリンズ(Ray Collins)

日本語吹き替え版[編集]

俳優 日本語版1 日本語版2
オーソン・ウェルズ 小松方正 市川輝夫
ジョゼフ・コットン 島宇志夫 本多啓吾
ルース・ウォリック  広瀬由紀
ドロシー・カミンゴア 小林美穂
ジョージ・クールリス かつまゆう
ウィリアム・アランド 栗田圭
レイ・コリンズ 岡本四郎

スタッフ[編集]

  • 監督:オーソン・ウェルズ(Orson Welles)
  • 脚本:オーソン・ウェルズ
  • 脚本:ハーマン・J・マンキーウィッツ(Herman J. Mankiewicz)
  • 撮影:グレッグ・トーランド(Gregg Toland)
  • 音楽:バーナード・ハーマン(Bernard Herrmann)
  • 編集:ロバート・ワイズ(Robert Wise)
  • アート・ディレクター:ヴァン・ボスト・ボルグレイス(Van Nest Polglase)
  • 美術:ペリー・ファーガソン(Perry Ferguson)
  • 特殊効果:ヴァーノン・L・ウォーカー(Vernon L. Walker)
  • 衣裳:エドワード・スティーヴンソン(Edward Stevenson)

ギャラリー[編集]

外部リンク[編集]