わが谷は緑なりき

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わが谷は緑なりき
How Green Was My Valley
監督 ジョン・フォード
脚本 フィリップ・ダン
原作 リチャード・レウェリン
製作 ダリル・F・ザナック
製作総指揮 ジェームズ・B・クラーク
出演者 ウォルター・ピジョン
モーリン・オハラ
ドナルド・クリスプ
ロディ・マクドウォール
音楽 アルフレッド・ニューマン
撮影 アーサー・C・ミラー
編集 ジェームズ・B・クラーク
配給 20世紀フォックス
公開 アメリカ合衆国の旗 1941年10月26日(NY
日本の旗 1950年12月23日
上映時間 118分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 125万ドル(当時)
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わが谷は緑なりき』(原題: How Green Was My Valley)は、1941年制作のアメリカ映画ジョン・フォード監督作品。

概要[編集]

20世紀フォックス制作・配給。第14回アカデミー賞最優秀作品賞、監督賞、助演男優賞(ドナルド・クリスプ)、撮影賞(白黒部門。アーサー・ミラー)、美術賞(リチャード・デイ、ネイサン・ジュラン)、室内装置賞(トーマス・リトル)を受賞した。また1990年米国連邦議会図書館がアメリカ国立フィルム登録簿に登録した作品でもある。この作品を含めて美術を担当したリチャード・デイは、2005年度米国美術監督組合(ADG)の生涯功労者に選ばれている。

この作品は19世紀末のイギリスウェールズ地方のある炭坑町を舞台に、男たちが皆働いているモーガン一家の人々を主人公にした人間ドラマである。原作はリチャード・レウェインという人が書いたベストセラー小説である。この作品でジョン・フォード監督が描こうとしているのは善意と誠実さを貫いて生きる人間の姿と魂である。

あらすじ[編集]

今や初老となったヒュー・モーガンは生まれ故郷のロンダの谷を出ようとしていた。ヒューは谷が緑だった頃、一家みんなが揃って幸せだった少年時代をしみじみと回顧する。

モーガン家の男たちは、末っ子のヒューロディ・マクドウォール)を除いて皆炭坑夫であった。 父ギルムドナルド・クリスプ)を始め5人の兄たちが稼いだ賃金はいつも家の戸口で出迎える気丈な母ベス(サラ・オールグッド)のエプロンに置く。姉アンハードモーリン・オハラ)が湧かしたお湯で身体を洗い、食事につくのが日課である。そんな平穏な日々の中で長男が結婚、一家は幸せだった。 披露宴の日、アンハードは新しく谷に赴任してきた牧師グリュフィードウォルター・ピジョン)と出逢い、互いに密かに惹かれあう。

ある日、会社が賃金を引き下げた事から息子たちは組合を作ろうとして父と対立する。しかし、老いた父の反対にあって彼らは家を出てしまう。 やがてストライキが起こり、ストに反対した父は仲間たちからの非難を浴びる。吹雪の中の野外集会で夫を非難する連中をやりこめた母は帰りに川へ落ち、助けようとしたヒューは重症の凍傷になってしまう。再び歩けるようにはならないかも知れないとの医師の言葉に絶望しかけていたヒューを救ったのはグリュフィード牧師の愛情溢れる手助けだった。数ヶ月後、ヒューは健康を取り戻し、再び自分の足で歩けるようになる。

ヒューの面倒をみたことからモーガン一家と親しくなったグリュフィード牧師は、アンハードを深く愛するようになる。しかしグリュフィードは彼女の幸福を思って炭坑主の息子との結婚を勧め、自分は身を引く。

ヒューはグリュフィードの助けもあってモーガン家で初めて学校へ通うようになる。しかし隣町の学校では教師もクラスメイトたちもヒューを炭坑夫の息子とバカにしてからかい、登校初日からケンカになってしまう。傷だらけで帰って来たヒューを見て谷の人々は憤慨、ヒューにボクシングを教えて鍛える。谷の人々の後押しもあってヒューはガキ大将からも一目置かれるようになり、やがて主席で卒業する。

ストライキは終わったが、炭坑では働き口が激減。谷の人々の心も時代と共に荒んでいた。兄たちは新天地を求めてひとりまたひとりと谷を去っていく。

そしてある日、長男が事故死。ヒューは進学を諦めて炭坑で働き始めた。炭坑主の息子へ嫁いだアンハードは結婚に破れ谷に帰ってきたが、グリュフィード牧師との心ない噂をたてられる。人々の偽善に傷ついたグリュフィード牧師は谷から去る決意をする。その時、炭坑から落盤事故を報せる警笛が鳴り響く。ヒューは戻らない父を案じて、グリュフィードらと共に坑道へ入って行く...。

キャスト[編集]

モーガン家の人々[編集]

  • ヒュー(末っ子):ロディ・マクドウォール
  • ギルム(父):ドナルド・クリスプ
  • ベス(母):サラ・オールグッド
  • アンハード(姉):モーリン・オハラ
  • イヴォール(長兄):パトリック・ノウルズ
  • ブローウィン(兄嫁):アンナ・リー
  • イアント(次兄):ジョン・ローダー
  • デビー(三兄):リチャード・フレイザー
  • オーウェン(四兄):ジェームズ・モンクス
  • ギルム Jr.(五兄):エヴァン・S・エヴァンス
  • 現在のヒュー(ナレーション):アーヴィング・パイケル

ロンダ谷の人々[編集]

隣り谷の人々[編集]

  • ジョナス教諭:モートン・ローリー

スタッフ[編集]

主な受賞歴[編集]

アカデミー賞[編集]

受賞
アカデミー作品賞:ダリル・F・ザナック
アカデミー監督賞:ジョン・フォード
アカデミー助演男優賞:ドナルド・クリスプ
アカデミー美術賞 (白黒部門):リチャード・デイ、ネイザン・ジュラン、トーマス・リトル
アカデミー撮影賞 (白黒部門):アーサー・C・ミラー
ノミネート
アカデミー助演女優賞:サラ・オールグッド
アカデミー脚色賞:フィリップ・ダン
アカデミー録音賞:エドモンド・H・ハンセン
アカデミー作曲賞:アルフレッド・ニューマン
アカデミー編集賞:ジェームズ・B・クラーク

ニューヨーク映画批評家協会賞[編集]

受賞
監督賞:ジョン・フォード

撮影中のエピソード[編集]

本作に出演した長男のイヴォールの妻であるブローウィン役のアンナ・リーは、実は妊娠していた。だが、監督のフォードはそれを知らずにブローウィンが階段から転げ落ちるシーンを撮影。この撮影が原因でアンナは、お腹の中にいた子供を流産してしまう。フォードは後になってその事実を知り、死ぬまで自分を責め続けた。

外部リンク[編集]