ウエスト・サイド物語 (映画)

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ウエスト・サイド物語
West Side Story
監督 ロバート・ワイズ
ジェローム・ロビンス
脚本 アーネスト・レーマン
原作 ジェローム・ロビンス
アーサー・ローレンツ
製作 ロバート・ワイズ
出演者 ナタリー・ウッド
リチャード・ベイマー
音楽 レナード・バーンスタイン(作曲)
スティーヴン・ソンドハイム(作詞)
アーウィン・コスタルおよびシド・ラミン(オーケストレーション)
ジョニー・グリーン(指揮)
撮影 ダニエル・L・ファップ
編集 トーマス・スタンフォード
配給 ユナイテッド・アーティスツ
公開 アメリカ合衆国の旗 1961年10月18日
日本の旗 1961年12月23日
上映時間 152分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $6,000,000
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ウエスト・サイド物語』(West Side Story)は、ロバート・ワイズジェローム・ロビンス監督の1961年アメリカ映画シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を元にした同名のブロードウェイ・ミュージカルの映画化作品。

概要[編集]

映画の大部分はロサンジェルスに作られた、ボリス・レヴィン設計によるセットで撮影された。ただ、映画冒頭の一連のシーンはニューヨークの、現在はフォーダム大学リンカーン・センターキャンパスが建っている一角で撮影された。舞台版監督のロビンスは音楽シーン、ダンスシーン、ファイトシーンの全責任を負っていたが、撮影が60%ほど進んだ時点で予算超過を理由に解雇された。彼の最後の仕事は決闘場面の演出書きであった[1]

映画は1961年10月18日ユナイテッド・アーティスツ配給で公開された。批評家、観衆からの絶大な支持を得て、その年のアメリカ国内第2位の興行成績となった。アカデミー賞では作品賞をはじめ、ノミネートされた11部門中10部門を受賞した。また、映画のサウンドトラック・アルバムも空前の売り上げとなった。

日本では松竹の洋画専門の丸の内ピカデリー劇場系列で1961年(昭和36年)12月23日に封切られて、1963年(昭和38年)5月17日まで509日にわたりロングラン上映された。

ストーリー[編集]

いわゆるイタリア系アメリカ人の少年達で構成されている非行グループ・ジェット団は、最近力をつけてきたプエルトリコ系アメリカ人の非行グループ・シャーク団と、地元の唯一の広場である屋上運動場の占有権を巡って敵対関係にあった。一触即発の状況が続くある夜、中立地帯であるダンスホールで顔を合わせることになった。初めてのダンスパーティに期待で胸を弾ませていたマリアは、そこでトニーという男性に出会い、恋に落ちてしまう。2人は口付けを交わすが、マリアがシャーク団のリーダー、ベルナルドの妹であり、トニーは以前ジェット団のリーダーだった。

キャスト[編集]

吹き替え問題[編集]

主役級の俳優たちの歌は大部分が吹き替えられており、吹き替えの歌手の名前は映画でもサウンドトラックアルバムでもクレジットされていなかった(現在販売されているものにはクレジットされている)。これは当時広く行われていた慣習であったが、後にいくつかの問題に発展した[2]

特に大きな問題となったのはナタリー・ウッドの吹き替えである。ナタリー・ウッドは自分の声が使われると信じて撮影を行っていたが、裏ではマーニ・ニクソンによる吹き替えが決められていた。撮影終了後に初めて自分の声が使われないと知ったウッドは激怒したと伝えられる。そのため、ニクソンの録音はウッドの協力のない状態で行わざるを得ず、アップショットの場面を中心にウッドの歌い間違いの修正に苦心した上、最後のシーンのマリアの「触らないで!」 (“Don't you touch him!”) 「大好きよ、アントン」 (“Te adoro, Anton.”) の台詞吹き替えまで行うことになった。このことからニクソンは、サウンドトラック・アルバムの売上の一部を要求するに至ったが、配給会社もレコード会社もこれを聞き入れず、結局はバーンスタインが自主的に報酬の一部をニクソンに回すことで解決を図った。

他にも、アニタの吹き替えを担当したワンドが訴訟を起こし、サウンドトラックの売上の一部を受け取ることで和解している。

日本語吹替[編集]

役名 日本語版1 日本語版2 日本語版3
マリア 大竹しのぶ 堀江美都子 小島幸子
トニー 国広富之 大塚芳忠 石川禅
ベルナルド 沢田研二 山寺宏一 川崎麻世
アニタ 安奈淳 佐々木優子 松本梨香
リフ 尾藤イサオ 塩沢兼人
千葉一伸
林延年
アイス 富山敬 田中秀幸 平田広明
2014年5月10日WOWOWで放送された際にカット部分を同一声優で追加録音したものが放送された。その際故人だった塩沢兼人の部分は千葉一伸が代役した。

受賞[編集]

受賞 人物
作品賞 ロバート・ワイズ
監督賞 ジェローム・ロビンス
ロバート・ワイズ
助演男優賞 ジョージ・チャキリス
助演女優賞 リタ・モレノ
脚色賞 アーネスト・レーマン
撮影賞 ダニエル・L・ファップ
編集賞 トーマス・スタンフォード
美術賞 ボリス・レヴェン
ヴィクター・A・ガンジェリン
衣裳デザイン賞 アイリーン・シャラフ
録音賞 ゴードン・E・ソーヤー
フレッド・ヘインズ

他、全10部門。ただし作曲家賞は、映画のための書き下ろし音楽ではないという理由で対象から外された[3]

舞台版との違い[編集]

映画では舞台版から楽曲構成、歌詞等に相当の変更が加えられている。また役名や役の位置づけにも一部変更がある[4]

役の大きな変更では、ジェッツの2番手にあたる役がアクションではなく「アイス」という役に変更されている。またファイティングシーンで戦うのも、ディーゼルではなくアイスに変更されている。アイスは常に冷静さを欠かさないクールな少年として設定されているため、トーンティングでのアニタの悲劇が起きる場面には彼の存在があってはならず、直前にトニーを探しに外を出たため、ドラッグストアにはいない。彼の役を演じたタッカー・スミスは、来日公演ではリフを演じ、リフ役のタンブリンの歌唱部分も吹き替えとして担当した。他にグラジェラとヴェルマの位置づけが入れ替わっていたり、ブライダルショップのオーナーであるマダム・ルチアが登場したりといった変更がある。

楽曲の順序の入れ替えとして、ダンスパーティー後にシャークスを待つジェッツが歌う「クール」と、決闘後に同じくジェッツが歌う「クラプキ巡査どの」の位置が入れ替えられている。これに伴い「クラプキ巡査どの」はアクションではなくリフが中心となって歌い、「クール」は死んだリフに代わってジェッツを束ねるアイスが歌い、内容も「シャークスへの復讐にむけて冷静になれ」という意味を持ったものになっている。また、舞台版では決闘後(第2幕冒頭)に置かれている「素敵な気持ち」が2日目夕方のトニーとマリアの待ち合わせ前に移され、マリアたちがお針子をするブライダルショップでの情景に変更されている。これらの変更は明るい雰囲気をもった「クラプキ巡査どの」と「素敵な気持ち」を決闘前に、不気味で緊張感の高い「クール」決闘後に移すことで、決闘を挟んでの物語の暗転をよりくっきり描き出す効果を得ている。

また、ダンスパーティー後のナンバーである「トゥナイト」と「アメリカ」の順番が入れ替わっている。「アメリカ」は舞台版では女たちだけの歌だが、映画ではアニタ率いる女たちとベルナルド率いる男たちが対抗して歌い、歌詞もベルナルドたちがアメリカの欠点を数えあげる、より社会批判的な内容に変えられている。

その他の楽曲構成の変更として、舞台版の序曲では「どこかへ」の旋律が現れるが、映画版では「マリア」の旋律に変えられ、続く「プロローグ」も舞台版より拡大されている。また、舞台版では第2幕前半にあって全員のダンスを含む「どこかへ」のシークエンスは歌の前後が大幅にカットされ、歌はトニーとマリアのデュエットで歌われる(オリジナルでは舞台裏の女声が歌う)。「体育館でのダンスパーティー」はリフ役のタンブリンのアクロバットを見せるために拡張されている。また「あんな男に/私は愛している」は「あんな男に」後半のデュエット部分がカットされ、マリアのソロからそのまま「私は愛している」に移行するほか、「ひとつの心」でも若干のカットがある。

トリビア[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ アマンダ・ヴァイル (2006). Somewhere: The Life of Jerome Robbins. ニューヨーク: Broadway Books. ISBN 978-0767904216. 
  2. ^ 以下は Jack Gottlieb “West Side Story Fact Sheet,” West Side Story - The Official Site (ウエスト・サイド物語公式サイト)による。2008年10月6日最終閲覧。
  3. ^ Jack Gottlieb “Did You Know That, West Side Story - The Official Site. (ウェスト・サイド物語公式サイト) 2008年10月6日最終閲覧。
  4. ^ 以下は主に “WSS Frequently Asked Questions,” West Side Story - The Official Site (ウエスト・サイド物語公式サイト)による。2008年10月6日最終閲覧。

外部リンク[編集]