エデンの東 (映画)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
エデンの東
East of Eden
主演のジェームズ・ディーン
監督 エリア・カザン
脚本 ポール・オスボーン
原作 ジョン・スタインベック
製作 エリア・カザン
出演者 ジェームズ・ディーン
ジュリー・ハリス
レイモンド・マッセイ
ジョー・ヴァン・フリート
音楽 レナード・ローゼンマン
撮影 テッド・マッコード
編集 オーウェン・マークス
製作会社 ワーナー・ブラザーズ
配給 ワーナー・ブラザーズ
公開 アメリカ合衆国の旗 1955年4月10日
日本の旗 1955年10月4日
上映時間 115分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
テンプレートを表示

エデンの東』(エデンのひがし、East of Eden)は、1955年公開のアメリカ映画。監督はエリア・カザンジョン・スタインベック同名小説ポール・オズボーンが脚色した。

映画初主演となったジェームズ・ディーンが、人気と実力を兼ね備えたスターとしての地位を不動のものとした作品として名高い。

作品としては第13回ゴールデングローブ賞作品賞(ドラマ部門)第8回カンヌ国際映画祭劇映画賞を受賞。また、出演者ではジョー・ヴァン・フリート第28回アカデミー賞アカデミー助演女優賞を受賞した[1]

ストーリー[編集]

1917年、アメリカ合衆国カリフォルニア州サリナス。当地トラスク家の次男ケイレブ(愛称キャル)は、秘密を探っていた。無賃乗車して、モントレーの港町でいかがわしい酒場を経営しているケートを尾行していた。彼女が死んだと聞かされていた自分の母かもしれない人物だったからである。 キャルは父アダムの企画していたレタス冷凍保存に使用された氷を砕き、そのことで聖書の一説を引用した叱責を受ける中、「自分のことを知りたい、そのためには母のことを知らなければ」と母のことを問い質す。アダムは母との不和を話したが、彼女は死んだということは揺るがない。 キャルはケートの店に向かい、彼女と直接対面するも話には応じられず追い返されてしまう。その後、キャルはアダムの旧友である保安官のサムから誰にも見せなかったという両親が結婚した時の写真を見せられ、ケートが自分の母だと確信する。

ある日、キャルは「父から愛されていないのではないか」という自分の悩みを兄アロンの恋人アブラに打ち明ける。すると、彼女も同じ悩みを抱えていたことがあったことを語り、二人の心が近づく。 アダムが冷凍保存したレタスを使った取引を実行に移すべく、市場へ輸送した中、その途中に氷が溶けてしまう。キャルは損失額を取り戻すべく、取引の先見の明を持つウィル・ハミルトンのもとを訪れ、彼に認められて戦争に伴う景気変動から豆が高騰するという話を聞くが、投資額は彼に工面できるものではない。 そこで彼はケートのもとへ向かい、資金を求めるが一度は断られてしまう。しかし、そこでケートが家を出た理由は自由を求めていたからということ、アダムがインディアンとの戦いで負ったと言っていた傷はケートが家を出るときに彼女に撃たれて負ったということ、ケートも息子キャルと同じようにアダムから聖書を引用した叱責と清廉であることへの束縛を嫌っていたことが語られ、話の後には資金の提供を受けることに成功する。

ドイツとの間で戦争が始まり、景気変動によってキャルは利益を上げるが、アロンは自分は戦争に反対しているとキャルに語る。その一方、ドイツ系移民である靴屋のグスタフは戦禍の煽りを受けることとなる。 祭りの日、キャルはアロンと待ち合わせしていたアブラと出会う。アロンとの待ち合わせまでの時間、早く来ていたアブラと共に行動するキャル。二人は観覧車に乗り、キャルはアブラからアロンとの間には何か違和感を感じること、母のいないアロンが自分に求める母親の像と自分とは違っているということを打ち明けられる。 その中、釈明に来ていたグスタフに対してのものが中心となった乱闘騒ぎが起こり、その中にアロンが巻き込まれたことを目撃したキャルは彼を助けるべく騒ぎの中へと飛び込む。サムがその場を収めたものの、キャルとアロンは誤解から殴り合いを始める。

豆の取引によってキャルが得た利益が父アダムの損失額を補填できる金額になり、アダムの誕生日にそれを渡すキャル。しかし、戦争に良い感情を持たないアダムはそれを受け取らず、アロンとアブラが同日に婚約をアダムに伝えたように清らかなものが欲しかったと語る。 その日、嘆くキャルをアブラが慰めているのを目撃したアロンは激昂。それに対してキャルは母であるケートと店で対面させるという報復を行う。その直後、アロンの行方をアダムに問われた際に「知らないね、僕は兄さんの子守りじゃないんだ」[2]と返し、ケートが家を出た理由にも触れ、父との決別を告げる。 激しいショックを受けたアロンは狂乱し、誰彼かまわず喧嘩をふっかけ、その日のうちに出兵する。

アダムはそのショックにより脳出血を起こし、体を麻痺して寝たきりの状態でいた。 カインがエデンの東へ去って行ったように、自分もどこかに去らねばならないと決意したキャルはアダムの前で最後の懺悔を告げる。その後にアブラはキャルが父の愛を求めていたことを語り、自身がキャルを愛していることを伝えてほしいと言い残し、キャルに父との対面に臨むように促す。 キャルに看護婦に替わって付き添ってくれと告げるアダム。父の愛を知ったキャル、そしてアブラは涙する。そしてキャルは父の近くに佇むのであった。

キャスト[編集]

ケイレブ(キャル)・トラスク
演 - ジェームズ・ディーン、日本語吹替 - 野沢那智
主人公。アダムの次男でアロンの双子の弟。アダムより聖書にちなんでケイレブと名付けられるが、劇中ではほとんど愛称のキャルと呼ばれている。粗暴でひねくれた性格で、アダムから愛されず、父の愛に飢えている。
アブラ
演 - ジュリー・ハリス、日本語吹替 - 香野百合子
アロンの恋人で、キャルやアダムへも気配りを忘れない優しい娘。実はキャルの抱える悩みと同じ思いをしたことがあるのだが、今は親との仲は良好。
アダム・トラスク
演 - レイモンド・マッセイ、日本語吹替 - 鈴木瑞穂
キャルとアロンの父。かつては東部で農場を経営していたが、1年前に東部からサリナスへと移住し、レタスの栽培と冷凍輸送を考え始める。敬虔なクリスチャンで、キャルが問題を起こしたときには聖書を取り出し、聖書の一節から教えを説く。モデルは日本からの移民・田島隆之(ユキコ・ルシール・デービスの父)との説がある[3]
ケート
演 - ジョー・ヴァン・フリート、日本語吹替 - 鳳八千代
モントレーであいまい宿(いかがわしい酒場)を経営している。
アロン・トラスク
演 - リチャード・ダヴァロス、日本語吹替 - 富山敬
アダムの長男でキャルの双子の兄。アダムに従順で礼儀正しい性格から、アダムの期待を一身に受けている。
ウィル・ハミルトン
演 - アルバート・デッカー、日本語吹替 - 石田太郎
サリナス在住の資産家で、商売における目の付け所においては抜け目の無い人物。アメリカの第1次世界大戦参戦に伴う、穀物の値上がりを狙っている。
グスタフ・オルブレヒト
演 - ハロルド・ゴードン
サリナスで靴屋を経営しているドイツ系移民。アダムのチェス仲間で、キャルやアロンとも親しい。心情的にはドイツ寄りで、アメリカの大戦参戦後はドイツの非道さが喧伝されるに対して「嘘だ、でたらめだ」と主張する。
ジョー
演 - ティモシー・ケイリー、日本語吹替 - 青野武
ケートの用心棒。物語冒頭にてケートを尾行していたキャルを追い払う。
アン
演 - ロイス・スミス、日本語吹替 - 小山茉美
ケートの家と酒場で働く女性。
サム
演 - バール・アイヴス、日本語吹替 - 富田耕生
保安官。アダムとは古くからの友人。

原作との相違点[編集]

  • 本作は、原作の後半におけるキャルを軸にした、1917年のサリナスを舞台としている。そのため、原作前半でのエピソードの大半や、サミュエルやアダムの父サイラスといった人物は登場しない。ただし、エピソードの一部は当事者が過去を語るという形で登場する。
  • 原作のキャシーの名前が、本作ではケートに変えられている。
  • 原作ではアダムはサリナスに移住した後、結婚して2人の子供にも恵まれるが、本作ではずっと東部で農場を経営しており、1年前にキャルとアロンを連れてサリナスへと移住してきたことになっている。

脚注[編集]

  1. ^ 影響を受けた日本の作品としては、小津安二郎監督の『東京暮色』(1957年)や石坂洋次郎の小説とその映画化作品『陽のあたる坂道』がある。後者では愛を求める対象が父親ではなく、会ったことのない母親なっている。
  2. ^ カインとアベルの逸話にて、アベルを殺害したカインがアベルの居場所を尋ねられた際の返答。ただし、アベルはカインの弟であり、本作では兄弟の立場が逆転している。
  3. ^ 上坂冬子『三つの祖国 満州に嫁いだ日系アメリカ人』 中央公論社、1996年。ISBN 4120025292

外部リンク[編集]