性差別

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性差別(せいさべつ)とは、平等に反した、性別に基づく社会的な差別のこと。女性差別男性差別など。また性的少数者に対する不利益も性差別の一つである。

現代において一般的に男性女性間の生物学的な性に基づく扱いの違いが性差別であるとされることは少ない。多くの場合性差別であるとして問題になるのは「社会的な性別」(ジェンダー)や性役割を理由とした差別についてであり、そのため性差別解消の手段の一つとしてジェンダーフリーが主張されることもある。

歴史的背景[編集]

選挙権の有無[編集]

  • 公の場で女性が意見を述べる機会は、多くの地域では近代以前は無かったと言われている。しかし、現代の日本社会においては、女性にも被選挙権が与えられるなど、女性の社会進出に対して好意的に受け入れられていると考えられる。
  • 1906年フィンランドがヨーロッパ史上初となる女性への参政権を認めた。反面、17世紀アメリカのインディアンのある母系部族においては、女性にのみ選挙権を認めており、男性への選挙権は認められていなかった事例がある。

姦通罪と公娼制度の廃止、売春防止法の施行[編集]

  • 姦通罪とは、刑法明治40年4月24日法律第45号)183条であるが、日本国憲法の定める男女平等権に抵触するという理由で昭和22年法第123号により削除された。
  • 昭和21年に連合国最高司令官から日本国政府に「日本における公娼制度廃止に関する覚書」が公布され、ついで同22年に勅令9号「婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令」が施行され、中世以来続いていた公娼制度に終止符が打たれた。
  • 昭和28年(1953年)に内閣は売春問題対策協議会を設置、同31年3月に総理府に売春対策審議会が設けられ、売春防止法を立案、同31年5月に法案提出(昭和31年5月24日法律第118号)、同33年4月に施行された。

国連女子差別撤廃条約批准[編集]

国際連合女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約について日本は1980年7月17日署名し、(デンマークで開催された国連婦人の10年中間年世界会議の際、高橋展子駐デンマーク大使が署名) 1985年6月24日に条約締結を承認(第102回通常国会)同年6月25日 批准書を寄託し、同年7月25日日本において効力発生。

兵役、兵科、強制徴兵制の有無[編集]

  • 世界初の民主主義国である古代ギリシアのアテネでは、高度な都市国家(ポリス)に居住し参政権を持つ権利と引き換えに世帯主の男性が兵役を負うという社会的仕組みであった。
  • フランス革命によって近代民主主義社会(議会制民主主義)が形成されると共に、男性にのみ兵役義務が課された。それは議会に意思を示すことのできる参政権が与えられることと表裏一体のものであった。
  • 現在、兵役を男性に対してのみ強制する国家としては、フィンランドデンマークスイスオーストリアギリシャロシア大韓民国朝鮮民主主義人民共和国中華民国(台湾)、シンガポールイラントルコなどが挙げられる(詳細は、徴兵制度を参照)。
  • 逆に、男女両方に兵役を課す国は現在イスラエル1カ国であるが、男女で期間や兵科、配属先(前線部隊か後方部隊か)が異なっている。またノルウェー2016年から女性にも男性と同条件での徴兵義務を課す。
  • 自衛隊においては「母性の保護」などを理由に、女性の戦闘職種(普通科・機甲科、護衛艦、戦闘機パイロットなど)への配置を行っていない。
  • 近年防衛省は、男女共同参画基本計画を策定し女性自衛官の配置を検討している。ただし配置が容認された場合であっても、潜水艦や護衛艦は「(居住区やシャワー室など)女性用のスペースが無い」というハード面の問題から、策定後に新造される艦艇への更新が進むまで配置は難しいとされる(大型の輸送艦では配置実績がある)。
  • 自衛隊東京地方協力本部募集課によると2013年9月現在で、女性自衛官は、陸上自衛隊は、16職種全ての職種において勤務でき、海上自衛隊は、20職域のうち、機雷掃海、潜水艦を除く全ての職種に勤務でき、航空自衛隊は、28職域のうち、戦闘機パイロットを除く全ての職種に勤務できる。
  • 陸上自衛隊高等工科学校高等工科学校生徒は高卒資格取得できるが、男子のみの採用で、女子は採用されない。海上自衛隊と航空自衛隊で同様の採用区分の海上自衛隊生徒及び航空自衛隊生徒が廃止された事から、廃止して18歳以上の陸曹採用や陸士の陸曹昇任試験で陸上自衛隊も充足させるべきとの考えも存在する。

宗教観[編集]

  • 特に中世盛期から後期において、キリスト教は長らく女性を抑圧してきた。13世紀、カタリ派のように女性を司教に採用したり、男性を統率する立場に就任する事もあったが、ローマ教皇庁の命令で破門や虐殺を受けている。プロテスタントの生みの親ルターも「女児は男児より成長が早いが、それは有益な植物より雑草の方が成長が早いのと同じである」という言葉を残している。
    • キリスト教によって女性差別が緩和された例も少ないながらある。たとえば売買婚を禁止した例がある(そもそも売買婚はなかったとの説[要出典]もある)。ただし、奴隷との性行為に関しては、教会自身が多くの奴隷を保有していたため禁止できなかった。ローマ帝国の法律では、既婚女性の財産の所有権や発言権には非常に制約が課せられていた。しかし、その後、キリスト教の布教により緩和された。つまり、一定の相続権や離婚の請求権などを得たのである。姦通の罪は女性のみに適用されていたが、男性も罪に問われた。このように、主に結婚に関係して女性の権利が部分的ではあるが解放された。しかし、こういった解放は、中世初期において集中的に発生し、後期においては締付けは逆に厳しくなったりもした。
  • イスラム世界においても古来から男女差別があり、コーランには男が女よりも偉いと書かれている節や、女は男の所有物であると書かれている節がある。例えばイスラム教4代カリフのアリー・イブン・アビー=ターリブは、ナフジュ・アル・バラーガの中でたびたび女性をさげすむ文言を残している。一夫多妻制についても、男女差別の一例として批判されることが多い[誰によって?]。現代でもイスラーム世界の知識人の中には、イスラーム法を理由に男女差別を正当化する人間や、男性の性欲処理のために一夫多妻制を女は認めるべきだという意見[1]を述べる人間もいる。
    • ただし前近代のイスラーム教においても、女性の権利を保護した面がないわけではない。イスラームにおいて女は男性の半分とはいえ財産を相続することができるが、これはイスラーム以前の状態に比べれば女性の権利を擁護するものだった。また、女児の嬰児殺しも禁止された。
  • 仏教においては、女は穢れていて、精神的向上が望みづらく、成仏できない、悟りを開きにくいなどという主張がなされていた(女人五障説)。「女性は男性に変化することによって成仏することができる」と説く説もある(変成男子説。ただし悟りを開きにくいがゆえに悟った時には男性より高みに登っているとして女性を優遇する宗派も存在する)。なお、女人五障説は釈迦が唱えた説では無く、仏教本来の思想ではないとする見解もある。
  • 儒教においても古来から男女差別があり、女は男に従うべきという主張が、キリスト教やイスラム教同様存在している。

同性愛と性差別[編集]

同性愛者に対する偏見も性差別と同様視されている。EUでは2006年1月に欧州議会が「同性愛嫌悪」に対する共同決議案を採決し、同性愛に対するあらゆる差別は人種差別と同様とされた。2000年に採択された欧州連合基本権憲章の第21条も性的指向による差別の禁止を明記している。

キリスト教圏では文学においても同性愛がタブー視されることが多かったが、日本では伝統的にその傾向はなく、文学の世界でも同性愛がしばしば表現されている。日本が伝統的にキリスト教国ではなく、同性愛が制度的に禁止されていたこともなかったため、異性愛者の中には「日本は同性愛に寛容である」と考える者が少なからず[誰?]存在する。しかし、主要先進国とされる日本やアメリカ合衆国、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、カナダの中で、法的に同性愛者の婚姻ないしそれに準じる地位(シビル・ユニオンないしドメスティックパートナーなど)を用意していない国は日本だけであり「制度的には、日本は主要先進国の中で最も同性愛者を差別している国家である」という見方もある(ただし、アメリカ合衆国は州により制度が異なる)。

日本では男女の結婚は、婚姻届を役所に提出することで成立し、戸籍上に両者の関係が記載され、その関係を公証してもらえる。夫婦は互いに同居、協力、扶助、貞操などの義務があるが、たがいの血族から姻族として親族として扱われる。また、互いの生活財の共有権や遺産相続権などを法律が保障する。また税法上、社会保障上の優遇措置などが受けられる。夫婦の一方が病気や障害を負ったときも、家族とみなされるため、互いの介護や看護などに特別な資格がなくても携われる。制度的に結婚していなくとも、内縁関係が認められれば、相続以外の権利は夫婦と同等に認められる。ところが、日本では同性結婚が認められず、同性間の内縁関係も基本的に認められない(部分的に内縁に準じる地位を認めた判例はある)。このため、同性愛のカップルが権利や優遇措置を得るためには、養子縁組という方法がとられることがある。しかし、養子縁組は本来同性カップルによる利用を想定した制度ではなく、カップルとしての権利が認められにくいという問題がある。

ポルノグラフィーと性差別[編集]

一部のフェミニストポルノグラフィを性差別だとする意見を述べている。女性の肉体が男性の楽しみによって利用される事自体が性差別だとする考え方は、一部の急進的なフェミニストに支持されている。アメリカの著名なラディカル・フェミニストであるキャサリン・マッキノンアンドレア・ドウォーキンが代表的。

カナダEUラディカル・フェミニスト女性議員が多い為か、(準)児童ポルノに対する規制が厳しく、所持しているだけで逮捕される例(ポルノの単純所持の規制)が存在する。

司法における性差別[編集]

性犯罪に関する刑事事件において、女性に比べて男性のほうに厳しい対処が行われる。裁判、取り調べにおいて、女性が男性に何かをされたと訴えた場合、被疑者とされる男性の発言は一切無視され、被害者女性の証言のみを取り上げ、推定無罪の原則は無視される形でそのまま送検起訴に至る事がほとんどである。この傾向から痴漢冤罪事件などが発生し、痴漢冤罪を題材にした映画などが制作されるなど社会問題となっている。[要出典]

また、殺人事件などで男性が被告人の場合は、被害者が一人だけでも死刑判決が出されるのに対し、女性が被告人の場合には、複数の被害者が発生していても死刑判決は女性の地位向上の妨げとされ無罪判決が下される。[独自研究?]

夫婦同氏と性差別[編集]

婚姻の際、ほとんどの場合結婚後の姓として男性の姓を選ぶが、これを性差別として、その改善のために選択的夫婦別姓制度を導入するべきであるとの意見がある。なお、この制度については、2009年の大手新聞各紙の世論調査などで賛成が反対を上回るケースも多かったが[2]、2010年の時事通信による調査など反対が賛成を上回るケースもあり[3]、また、内閣府が2006年11月に実施した「家族の法制に関する世論調査」(2007年1月27日発表)の結果については、日本経済新聞や東京新聞はじめ新聞報道で「賛否拮抗」という評価が目立つなど、制度導入の是非について賛否両論がみられる。

脚注[編集]

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  1. ^ 「女性に一夫多妻制を認める教えを」、マレー系ムスリム議員が発言
  2. ^ 民法改正を考える会『よくわかる民法改正―選択的夫婦別姓&婚外子差別撤廃を求めて』朝陽会、2010年
  3. ^ WSJ「夫婦別姓、反対が55.8%=外国人参政権も賛成少数−時事世論調査」2010年3月12日

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]