横尾忠則

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横尾 忠則(よこお ただのり、1936年6月27日 - )は、兵庫県西脇市生まれの美術家グラフィックデザイナー。西脇市名誉市民。

神戸新聞社にてグラフィックデザイナーとして活動後、独立。1980年7月ニューヨーク近代美術館にて開催されたピカソ展に衝撃を受け、その後、画家宣言(これはデザイナーは商業的であり、画家より格が低いという思想から。明確な両者の差はない)。以来、美術家としてさまざまな作品制作に携わる。向田邦子脚本によるテレビドラマ『寺内貫太郎一家』(1974年TBS)では、倉田という謎の多い人物を演じた。長女の横尾美美も美術家。

経歴[編集]

横尾の作品展示と保存を目的する岡之山美術館(西脇市、1984年開館)

作家論・業績[編集]

横尾の個人美術館である横尾忠則現代美術館(神戸市、2012年開館)

幅広い作風でジャンルを超えて活動。油絵、オフセット印刷、テクナメーションや立体など技法は多様である。また先行する作品を引用や模写の形で作品に取り入れることも多い。絵を描くことを愛だと表現し、理論や状況分析によって制作する立場はとらない。また、興味をもった対象は膨大な量をコレクションする。それは作品のモチーフになり、時に引用される。1980年代後半からを描き続けたときは膨大な滝のポストカードを収集し、コレクション自体も作品化した。2000年からの「暗夜光路」シリーズでは、故郷・西脇市で幼少時によく通った模型店付近にあるY字路を集中して描いた。

何度もインドを訪れている。宇宙人的な存在についての言及もあり作品の評価の際にも関連が指摘される。本人も霊感が強く、心霊と会話することが出来ると言う。きっかけは1970年代に宇宙人に、首のところへ送受信装置を埋め込まれ、それにより霊界との交信が可能になったという(『大霊界~丹波哲郎の世界』の対談より)。それらに関するいくつかの著書も出している。

メディア型美術家と評されるほど、各種メディアへの登場頻度が高い。自身の公式サイトにて発表している、ひと言風の日記「YOKOO'S VISION(横尾忠則 昨夜・今日・明日)」は更新頻度も高く、訪問数も高い。

週刊少年マガジン』の表紙や、マイルス・デイビスのアルバム『アガルタ』、サンタナのアルバム『ロータスの伝説』『アミーゴ』などのジャケット、1979年貴乃花・1981年千代の富士貢の化粧廻し、宝塚歌劇団のポスター、マツダ・コスモスポーツの海外向けカタログなどもデザインしている。

また、多くの異なるジャンルの作家と交流を持ち、共同で仕事をしている。岡本太郎谷内六郎高倉健三島由紀夫らを敬愛している。

2005年資生堂が3月に発売した発毛促進剤「薬用アデノゲン」のテレビコマーシャルに対し、「アイデアやコンセプトが私の作品と類似している。広告の作り手の主体性とモラルを問いたい」と抗議。直後に資生堂はCMの放映をやめた。類似していると指摘した横尾自身の作品とは、鏡面床の空間に大量のポストカードをビニールに差込み、壁面3面に展示するものであった。この件に関して、

  1. アンディ・ウォーホル荒木経惟など、数多くの芸術家が実践してきた手法であり、インスタレーションの手法としては一般的である。
  2. 1990年の「GOKAN」というエキジビションで、テレビCMを手がけたタナカノリユキは、底を鏡面にした作品をすでに発表している。
  3. 横尾は滝のポストカードだったのに対して、CMは商品対象になる人物たちのモノクロ顔写真である。

などのことから、模倣という指摘に疑問をもつ声も挙がっている。また、タナカノリユキは模倣を否定している。

主な作品[編集]

  唐十郎の状況劇場のために制作。世界のポスター展「World & Image」で60年代を代表する作品に選出。

著作[編集]

  • 横尾忠則遺作集 粟津潔編、学芸書林、1968
  • 一米七〇糎のブルース 横尾忠則日記 新書館 1969 のち角川文庫
  • 未完への脱走 講談社 1970 のち文庫
  • 『横尾忠則全集』講談社、1971
  • PUSH 講談社 1972
  • 暗中模索中 河出書房新社 1973
  • なぜぼくはここにいるのか 講談社 1976 のち文庫
  • 反美的生活のすすめ 池田満寿夫共著 河出書房新社 1977
  • 超私的横尾忠則マガジン 平凡社
  • インドへ 文藝春秋、1977 のちに文庫
  • 方舟から一羽の鳩が 講談社 1977
  • 我が坐禅修行記 講談社 1978 のち文庫
  • 彼岸に往ける者よ 文藝春秋 1978 「地球の果てまでつれてって」文庫
  • 私の夢日記 角川書店 1979 のち文庫
  • アクエリアス時代の子 音楽的制覇 深夜叢書社 1979
  • UFO革命 晶文社 1979 「私と直観と宇宙人」文春文庫
  • 昨日のぼく今日のぼく 講談社 1980
  • 宇宙瞑想 対話集 平河出版社 1980 「今、生きる秘訣」光文社文庫
  • 8時起床、晴。 今日はいいことがありそうだ 佼成出版社 1980
  • 創作の源泉 現代研究会 1980
  • 魔術師 PARCO出版局 1985
  • 横尾忠則の画家の日記 1980-1987 アートダイジェスト 1987 「いわゆる画家宣言」「365日の自画像」ちくま文庫
  • 横尾忠則の版画 講談社 1990
  • 竜の器 PARCO出版局 1990
  • 源氏絵語 飛鳥新社、1991
  • 芸術は恋愛だ PHP研究所 1992 「ぼくは閃きを味方に生きてきた」光文社文庫
  • 導かれて、旅 JTB日本交通公社出版事業局 1992 のち文春文庫
  • 見えるものと観えないもの 横尾忠則対話録 筑摩書房 1992 のち文庫
  • ARTのパワースポット 筑摩書房 1993 のち文庫
  • 横尾少年 横尾忠則昭和少年時代 角川書店 1994
  • 天と地は相似形 日本放送出版協会 1994
  • 電脳カーニバル 平凡社 1994
  • 二人でヨの字 淀川長治・横尾忠則連続対話 筑摩書房 1994 「淀川さんと横尾さん 二人でヨの字」文庫
  • 横尾忠則日記人生 1982~1995 マドラ出版 1995
  • 三日月旅行 翔泳社 1995
  • 横尾忠則自伝 「私」という物語 1960~1984 文藝春秋 1995 『波乱へ!!』文庫
  • 滝狂 新潮社 1996
  • 横尾忠則全絵画 平凡社 1996
  • 家族狂 横尾忠則collection中毒 新潮社 1996
  • 名画感応術 神の贈り物を歓ぶ 光文社文庫 1997
  • 東京見おさめレクイエム 朝日新聞社 1997 のち光文社知恵の森文庫
  • 夢枕 夢絵日記 日本放送出版協会 1998
  • 死の向こうへ PHP研究所 1998
  • 涅槃境 新潮社 1998
  • 大有 作品社 1998
  • 異路倫 作品社 1998
  • 横尾忠則の仕事と周辺 ニューヨーク→チェコ駆け足旅行記 六耀社 1999
  • 晴のち晴 小学館、2000
  • コブナ少年―十代の物語― 文藝春秋、2001 のちに文庫
  • 名画裸婦感応術 光文社知恵の森文庫 2001
  • 芸術ウソつかない 横尾忠則対談集 平凡社 2001 のちちくま文庫
  • 赤の魔笛 朝日新聞社 2001
  • 横尾流現代美術 私の謎を解き明かす 平凡社新書 2002
  • 捨てるvs拾う―私の肯定条件と否定的条件― 日本放送出版協会、2003
  • 病の神様 横尾忠則の超・病気克服術 文藝春秋 2006
  • 悩みも迷いも若者の特技だと思えば気にすることないですよ。皆そうして大人になっていくわけだから。ぼくなんかも悩みと迷いの天才だったですよ。悩みも迷いもないところには進歩もないと思って好きな仕事なら何でもいい。見つけてやって下さい。 勉誠出版 2007

  (※2012年現在、日本語で書かれた最もタイトルの長い本として知られる。)

  • ぶるうらんど 文藝春秋、2008
  • 人工庭園 文藝春秋、2008
  • 温泉主義 新潮社、2008
  • 隠居宣言 平凡社新書、2008
  • ポルト・リガトの館、文芸春秋、2010
  • 絵画の向こう側・ぼくの内側-未完への旅 岩波全書・岩波書店、2014

など多数

個人美術館[編集]

出演作品[編集]

映画[編集]

テレビドラマ[編集]

CM・広告[編集]

その他[編集]

  • 五木寛之生と死の対論第2回」(NHK教育テレビ 1994年10月4日)
  • 「プレミアム8 人生は大冒険」(NHK BSハイビジョン 2009年10月) ほか

関連項目・人物[編集]

出典[編集]

外部リンク[編集]