松浦寿輝
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
| 文学 |
|---|
![]() |
| ポータル |
| 各国の文学 記事総覧 |
| 出版社・文芸雑誌 文学賞 |
| 作家 |
| 詩人・小説家 その他作家 |
| お知らせ |
| このテンプレートの解説ページができました。使用されるべき記事が決まりましたので一度ご確認ください。 |
松浦 寿輝(まつうら ひさき、1954年3月18日 - )は、日本のフランス文学者、詩人、映画批評家、小説家。2009年現在、群像新人文学賞、文学界新人賞、毎日出版文化賞、高見順賞、読売文学賞選考委員。
目次 |
[編集] 人物
東京都出身。幼少期から映画を愛し、家のすぐ裏側が映画館であったという体験は、初の映画評論集『映画n-1』の後書きに語られている。クリント・イーストウッド、ベルナルド・ベルトルッチ、そして何よりもアルフレッド・ヒッチコックの監督作品をこよなく愛しており、東大の映画講義でもしばしば言及する。ただジャン=リュック・ゴダールには、近年のあからさまなアジア蔑視に対して疑問を感じている。
B級映画への偏愛を隠さず、講義では『アスファルト・ジャングル』、『ウエスタン』から『ミッション:インポッシブル』、『チャーリーズ・エンジェル』、『キューティーハニー』などもとりあげる。
小説家としては、日本の古井由吉、吉田健一、内田百間、そしてフランスのマルセル・プルーストとロラン・バルトを敬愛する。また中井久夫、川村二郎を知識人として深く尊敬している。最後まで小説を書かなかったバルトへの思いは「名前」(『そこでゆっくりと死んでいきたい気持をそそる場所』)に詳しい。
社会から脱落した中年男を主人公とした作品が多く、作者自身の内面世界の投影にも思えるが、松浦その人とは微妙に、かつ決定的にズレている。地下、水、女、腐敗といったイメージ群が飛びかい、「そういうことなのか」といった独白が間歇的に呟かれ、読者に奇妙なカタルシスを与える。ストーリーよりも断片的な記憶の連鎖を愉しむべき小説世界といえよう。『巴』、『半島』といった長編小説も手がけるが、著者自身は短編の方により深い愛着を感じている。
『半島』の装丁ではヴィルヘルム・ハメルショイを、『そこでゆっくりと死んでいきたい気持をそそる場所』の装丁ではフィリップ・モーリッツの銅版画をあしらい、細やかな美意識を感じさせる。また近著『そこでゆっくり死んでいきたい気持をそそる場所』の一篇「あやとり」では自身による猫の兄弟の挿画に挑戦する。
荒川洋治は『折口信夫論』を「官僚的な評論」として批判している(『文芸時評という感想』)。やはり『折口信夫論』について、小谷野敦からは「何を言っているのかさっぱり分からない」との批判を受けた[1]。また折口門下の穂積生萩や鈴木亨や米津千之は、同性愛ゴシップへの低俗な関心のみ強く折口学に対する理解の浅さを露呈した支離滅裂な内容である、と批判している(『折口信夫・虚像と実像』勉誠社、1996年)。
なお初期においてしばしば一緒に仕事をした美術研究家の松浦寿夫とは、特に関係はない。
[編集] 学歴
- 開成中学校・高等学校卒業。
- 東京大学教養学部教養学科フランス分科卒業。
- 同大学院人文科学研究科フランス文学専攻博士課程単位取得満期退学。
- 1981年、パリ第三大学より文学博士号取得。
- 2002年、『表象と倒錯 エティエンヌ=ジュール・マレー』の研究で東大総合文化研究科超域文化科学専攻より「博士(学術)」の学位取得。
[編集] 職歴
- 1982年、東大教養学部フランス語教室助手。
- 1986年、電気通信大学人文社会科学系列講師。
- 同助教授。
- 1991年、東大教養学部フランス語教室助教授。
- 1999年、同大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(表象文化論コース)・教養学部超域文化科学科教授。
[編集] 受賞歴
- 1988年、 詩集『冬の本』で第18回高見順賞。
- 1995年、研究『エッフェル塔試論』で第5回吉田秀和賞。
- 1996年、評論『折口信夫論』で第9回三島由紀夫賞、研究『平面論――1880年代西欧』で渋沢クローデル賞。
- 1999年、研究『知の庭園』で第50回芸術選奨文部大臣賞評論等部門。
- 2000年、小説『花腐し』(はなくた-)で第123回芥川龍之介賞。
- 2005年、小説集『あやめ 鰈 ひかがみ』で第9回木山捷平文学賞、小説『半島』で第56回読売文学賞。
[編集] 主な著作
[編集] 詩
- 詩篇20
- 松浦寿輝詩集 思潮社、1985
- 冬の本 青土社、1987
- ウサギのダンス 七月堂、1987
- 女中 七月堂、1991
- 松浦寿輝詩集 思潮社(現代詩文庫)、1992
- 鳥の計画 思潮社、1993
- 吃水都市 思潮社、2008
[編集] 評論
- 口唇論 記号と官能のトポス 青土社、1985
- スローモーション 思潮社、1987
- 映画n-1 筑摩書房、1987
- 平面論 1880年代西欧 岩波書店、1994
- エッフェル塔試論 筑摩書房、1995(後にちくま学芸文庫)
- 折口信夫論 太田出版、1995
- 映画1+1 筑摩書房、1995
- 青天有月 エセー 思潮社、1996
- 謎・死・閾 フランス文学論集成 筑摩書房、1997
- ゴダール 筑摩書房(リュミエール叢書)、1997
- 知の庭園 19世紀パリの空間装置 筑摩書房、1998
- 表象と倒錯 エティエンヌ=ジュール・マレー 筑摩書房、2001
- 物質と記憶 思潮社、2001
- 官能の哲学 岩波書店、2001
- 散歩のあいまにこんなことを考えていた 文藝春秋、2006
- 晴れのち曇りときどき読書 みすず書房、2006
- 青の奇蹟 みすず書房、2006
- 方法叙説 講談社、2006
- クロニクル 東京大学出版会、2007
[編集] 散文創作
- もののたはむれ 新書館、1996
- ウサギの本 絵本 新書館、1996
- 幽 講談社、1999
- 花腐し 講談社、2000(後に文庫化)
- 巴 新書館、2001
- あやめ 鰈 ひかがみ 講談社、2004
- 半島 文藝春秋、2004(後に文庫化)
- そこでゆっくりと死んでいきたい気持をそそる場所 新潮社、2004
- 川の光 中央公論新社、2007
-
- 川の光は2009年6月20日にNHKの長編アニメーションとしてアニメ化されて放送された。なお、この作品は有料でオンデマンドでNHKのサイトで視聴できる。
[編集] 翻訳
- 熱い太陽、深海魚 ミシェル・ジュリ サンリオSF文庫、1981
- シネマトグラフ覚書 ロベール・ブレッソン 筑摩書房、1987
- エモーション・ピクチャーズ ヴィム・ヴェンダース 河出書房新社、1992
- デッサンと肖像 アルトー・デリダ みすず書房、1992
- 基底材を猛り狂わせる デリダ みすず書房、1999
[編集] 共著
- 記号論 朝吹亮二 思潮社、1985
- 文学のすすめ(編) 筑摩書房、1996
- ゴダールの肖像 浅田彰 とっても便利出版部、1997
- モデルニテ3×3 小林康夫・松浦寿夫 思潮社、1998
- 色と空のあわいで 古井由吉 往復書簡 講談社、2007
[編集] 脚注
| 「芥川賞」 |
||||||||||||||
|
|
|
||||||||||||


