松浦寿輝

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松浦 寿輝(まつうら ひさき、1954年3月18日 - )は、日本フランス文学者詩人、映画批評家、小説家。2009年現在、群像新人文学賞文学界新人賞毎日出版文化賞高見順賞読売文学賞選考委員。

目次

[編集] 人物

東京都出身。幼少期から映画を愛し、家のすぐ裏側が映画館であったという体験は、初の映画評論集『映画n-1』の後書きに語られている。クリント・イーストウッドベルナルド・ベルトルッチ、そして何よりもアルフレッド・ヒッチコックの監督作品をこよなく愛しており、東大の映画講義でもしばしば言及する。ただジャン=リュック・ゴダールには、近年のあからさまなアジア蔑視に対して疑問を感じている。

B級映画への偏愛を隠さず、講義では『アスファルト・ジャングル』、『ウエスタン』から『ミッション:インポッシブル』、『チャーリーズ・エンジェル』、『キューティーハニー』などもとりあげる。

小説家としては、日本の古井由吉吉田健一内田百間、そしてフランスのマルセル・プルーストロラン・バルトを敬愛する。また中井久夫川村二郎を知識人として深く尊敬している。最後まで小説を書かなかったバルトへの思いは「名前」(『そこでゆっくりと死んでいきたい気持をそそる場所』)に詳しい。

社会から脱落した中年男を主人公とした作品が多く、作者自身の内面世界の投影にも思えるが、松浦その人とは微妙に、かつ決定的にズレている。地下、水、女、腐敗といったイメージ群が飛びかい、「そういうことなのか」といった独白が間歇的に呟かれ、読者に奇妙なカタルシスを与える。ストーリーよりも断片的な記憶の連鎖を愉しむべき小説世界といえよう。『巴』、『半島』といった長編小説も手がけるが、著者自身は短編の方により深い愛着を感じている。

『半島』の装丁ではヴィルヘルム・ハメルショイを、『そこでゆっくりと死んでいきたい気持をそそる場所』の装丁ではフィリップ・モーリッツの銅版画をあしらい、細やかな美意識を感じさせる。また近著『そこでゆっくり死んでいきたい気持をそそる場所』の一篇「あやとり」では自身による猫の兄弟の挿画に挑戦する。

荒川洋治は『折口信夫論』を「官僚的な評論」として批判している(『文芸時評という感想』)。やはり『折口信夫論』について、小谷野敦からは「何を言っているのかさっぱり分からない」との批判を受けた[1]。また折口門下の穂積生萩や鈴木亨や米津千之は、同性愛ゴシップへの低俗な関心のみ強く折口学に対する理解の浅さを露呈した支離滅裂な内容である、と批判している(『折口信夫・虚像と実像』勉誠社、1996年)。

なお初期においてしばしば一緒に仕事をした美術研究家の松浦寿夫とは、特に関係はない。

[編集] 学歴

[編集] 職歴

  • 1982年、東大教養学部フランス語教室助手
  • 1986年電気通信大学人文社会科学系列講師。
  • 助教授
  • 1991年、東大教養学部フランス語教室助教授。
  • 1999年、同大学院総合文化研究科超域文化科学専攻(表象文化論コース)・教養学部超域文化科学科教授。

[編集] 受賞歴

[編集] 主な著作

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  • 詩篇20
  • 松浦寿輝詩集 思潮社、1985
  • 冬の本 青土社、1987
  • ウサギのダンス 七月堂、1987
  • 女中 七月堂、1991
  • 松浦寿輝詩集 思潮社(現代詩文庫)、1992
  • 鳥の計画 思潮社、1993
  • 吃水都市 思潮社、2008

[編集] 評論

  • 口唇論 記号と官能のトポス 青土社、1985
  • スローモーション 思潮社、1987
  • 映画n-1 筑摩書房、1987
  • 平面論 1880年代西欧 岩波書店、1994
  • エッフェル塔試論 筑摩書房、1995(後にちくま学芸文庫)
  • 折口信夫論 太田出版、1995
  • 映画1+1 筑摩書房、1995
  • 青天有月 エセー 思潮社、1996
  • 謎・死・閾 フランス文学論集成 筑摩書房、1997
  • ゴダール 筑摩書房(リュミエール叢書)、1997
  • 知の庭園 19世紀パリの空間装置 筑摩書房、1998
  • 表象と倒錯 エティエンヌ=ジュール・マレー 筑摩書房、2001
  • 物質と記憶 思潮社、2001
  • 官能の哲学 岩波書店、2001
  • 散歩のあいまにこんなことを考えていた 文藝春秋、2006
  • 晴れのち曇りときどき読書 みすず書房、2006
  • 青の奇蹟 みすず書房、2006
  • 方法叙説 講談社、2006
  • クロニクル 東京大学出版会、2007

[編集] 散文創作

  • もののたはむれ 新書館、1996
  • ウサギの本 絵本 新書館、1996
  • 幽 講談社、1999
  • 花腐し 講談社、2000(後に文庫化)
  • 巴 新書館、2001
  • あやめ 鰈 ひかがみ 講談社、2004
  • 半島 文藝春秋、2004(後に文庫化)
  • そこでゆっくりと死んでいきたい気持をそそる場所 新潮社、2004
  • 川の光 中央公論新社、2007

[編集] 翻訳

[編集] 共著

  • 記号論 朝吹亮二 思潮社、1985
  • 文学のすすめ(編) 筑摩書房、1996
  • ゴダールの肖像 浅田彰 とっても便利出版部、1997
  • モデルニテ3×3 小林康夫松浦寿夫 思潮社、1998
  • 色と空のあわいで 古井由吉 往復書簡 講談社、2007

[編集] 脚注


芥川賞
122回
玄月
蔭の棲みか
藤野千夜
夏の約束
123回
町田康
きれぎれ
松浦寿輝
花腐し
124回
青来有一
聖水
堀江敏幸
熊の敷石