古山高麗雄

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古山 高麗雄(ふるやま こまお、1920年8月6日 - 2002年3月11日)は、日本小説家随筆家編集者

主として太平洋戦争での従軍体験や戦後の生活を舞台にした小説を発表し、いかなる場においても変わることのない人間のありかたを描き出した。

目次

[編集] 略歴

[編集] 評価

『季刊藝術』誌では、音楽を担当する遠山一行、文学を担当する江藤淳、美術を担当する高階秀爾と共に、編集専従のデスクとして同人を組んだ。

編集者として、森敦を見出すなど、広い識見を高く評価される。また人脈も広く、予備校時代の安岡章太郎をはじめ、遠藤周作寺山修司田中小実昌吉田満小島信夫円地文子らと深い交流を持った。安岡章太郎の『悪い仲間』の「藤井高麗彦」のモデルでもある。


中上健次の芥川賞受賞直後、文壇バーにて乾杯の音頭をとったのも古山であった(中上健次『夢の力』所収「古山さんの味」参照)。

中上は同じ文章のなかで「古山さんは、ホロ苦くて、ホロ悲しい小説の味そのものである。『今夜、死ぬ』『蟻の自由』、戦争に徴用された青年を主人公にした小説を読むと、戦後に生れた私は、古山さんの小説を元に、戦争と人間、戦争と大衆、組織と個人、歴史と青年という大論文を書きたい気になるということを書いておく。それは古山さんが一等考えていることだが。」とも書いている。

河出書房の編集者だった時代に、晩年の岸田國士を取材し、全集の年譜を古山こまを名義で制作しており、岸田國士が最後の発作に見舞われた際には、救急車に同乗した。

山口瞳とは河出時代の同僚で、山口の『男性自身』シリーズには度々古山の名前が出てくる。

古山の私小説では、河出書房時代の自身を、ひたすらウダツのあがらない社員として描いているが、実際は労働組合の委員長を務めていた。この当時の書記長を、後に詩人となる清水哲男が担当している。

遠藤周作は、古山を「競馬の師匠」として仰いでいた。古山の著書名にも冠された「悪魔の囁き」とは、古山の馬券指南について、遠藤が命名したものである。

遠藤の主宰した素人演劇集団・劇団樹座に参加し、オリジナル脚本を書いたこともある。遠藤の編んだ『日本の名随筆 13 心』には、古山の『非人情』が収録されている。

古山の自伝的な短編集「日本好戦詩集」には、「戦艦大和ノ最期」で著名な吉田満との交流が描かれている。 講談社からの「戦艦大和ノ最期」文庫化の際、古山は作家案内の項を担当した。

元週刊文春の編集長で作家の白石一文は、『不自由な心』と『僕のなかの壊れていない部分』で古山の文章を引用している。

人気TV番組「パネルクイズ アタック25」でおなじみの児玉清とも手紙を交わす仲であった。

実弟も編集者で小島信夫などを担当していた。この兄弟について小島は「あまり似ていない」と書いている。

作家志望は無く、編集者として一生を送るつもりであったが、円地文子が原稿を落とした際に、江藤淳に勧められて発表した『墓地にて』が評価され、寺田博の依頼により『文藝』に発表した2作目の作品『プレオー8の夜明け』が芥川賞を受賞。編集者と作家の二束のわらじとなったが、主軸はあくまで編集者に置かれていた。 緻密な描写と批判的な視点を持ち、戦史だけではなく教育にも精通していた。阿川弘之は、「兵隊生活を観念的でなく、一兵卒として描ける素晴らしい作家でした」と追悼している。 長編作品は少なく、著作数も約50冊と寡作の作家であった。

新しい歴史教科書をつくる会の賛同人であったが、それは《憲兵にも良い奴はいたし、一等兵にも嫌な奴はいた。また、将校と結婚し幸せになった慰安婦もいる》という認識のもと、ステレオタイプな戦争史観への反発からであり、いわゆる皇国史観からはほど遠い思想の持ち主である。

[編集] 著作

  • プレオー8(ユイット)の夜明け 講談社、1970(のち講談社文芸文庫)
  • 私の競馬道 文和書房, 1971
  • 湯タンポにビールを入れて 講談社, 1971
  • 小さな市街図 河出書房新社, 1972
  • 小説の題 冬樹社, 1972
  • 風景のない旅 文芸春秋, 1973
  • 三枚目の幸福 河出書房新社, 1974
  • 蟻の自由 文芸春秋, 1974
  • 立見席の客 講談社, 1975
  • 片乞い紀行 文芸春秋, 1975
  • 悪魔の囁き 番町書房, 1975
  • 岸田国士と私 新潮社, 1976
  • 今朝太郎渡世旅 講談社, 1976
  • 半ちく半助捕物ばなし 新潮社, 1977
  • わが花の街 実業之日本社, 1977
  • 八面のサイコロ 北洋社, 1977
  • 兵隊蟻が歩いた 文芸春秋, 1977
  • 点鬼簿 講談社, 1979
  • 他人の痛み 中央公論社, 1979
  • 隠し事だらけ 作品社, 1979
  • 競馬場の春 文和書房, 1979
  • サインは薔薇の色 実業之日本社, 1980
  • 螢の宿 新潮社, 1980
  • 身世打鈴 中央公論社, 1980
  • 日本好戦詩集 新潮社, 1980
  • 古里は街道筋 実業之日本社, 1981
  • 旅の始り 作品社, 1981
  • やばい関係 集英社, 1981
  • ローカル線気まま旅 潮出版社, 1981
  • 断作戦 文芸春秋, 1982(のち文春文庫)
  • 狼が来たぞ 日本経済新聞社, 1982
  • 水蜜のある風景 実業之日本社, 1984
  • 一つ釜の飯 小沢書店, 1984
  • 女ともだち 集英社, 1984
  • 竜陵会戦 文芸春秋, 1985(のち文春文庫)
  • ロバはニンジンを追って 実業之日本社, 1985
  • わたしのぼく東綺譚 小沢書店, 1989
  • 船を待ちながら 福武書店, 1990
  • 袖すりあうも 小沢書店, 1993
  • 旅にしあれば 小沢書店, 1994
  • 窮鳥を抱いて 実業之日本社, 1994
  • セミの追憶 新潮社, 1994
  • 真吾の恋人 新潮社, 1996
  • フーコン戦記 文藝春秋, 1999(のち文春文庫)
  • 反時代的、反教養的、反叙情的 ベストセラーズ, 2001 (ベスト新書)
  • 二十三の戦争短編小説 文藝春秋, 2001
  • 妻の部屋 文藝春秋, 2002
  • 人生、しょせん運不運 草思社, 2004

[編集]

  • 韓国現代文学13人集 新潮社, 1981

[編集] 外部リンク