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神津島

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
神津島
所在地 日本の旗 日本 東京都神津島村
所在海域 太平洋
所属諸島 伊豆諸島
座標 北緯34度13分1秒 東経139度9分15秒 / 北緯34.21694度 東経139.15417度 / 34.21694; 139.15417座標: 北緯34度13分1秒 東経139度9分15秒 / 北緯34.21694度 東経139.15417度 / 34.21694; 139.15417
面積 18.48 km²
海岸線長 22 km
最高標高 572 m
最高峰 天上山
神津島の位置(日本内)
神津島
     
プロジェクト 地形
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神津島(こうづしま)は、伊豆諸島有人島の一つである。東京都神津島村に属する。島のゆるキャラは「かんむりん」と「かんむりーな」である[1][2]

地理

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神津島村の中心的な島である。伊豆諸島の有人島としては最も西にあり、本島と最も近い有人島は東北東へ10kmほどにある式根島である。

活火山を有する火山島であり、周辺の島も含め数十個の流紋岩質単成火山が存在し、「神津島火山群」を成している[3]。島の形はひょうたん型をしており、天上山を中心とした北部と、秩父山のある南部とに大きく分けられる。

本島のシンボル的存在である天上山(標高572メートル)は、9世紀噴火で形成された溶岩ドームである。『続日本後紀』では、838年承和5年)に大規模な噴火をしたことが記録されている。山頂部は比較的に平坦で、ここに「表砂漠」「裏砂漠」と呼ばれる砂地がある。

南部と北部の間の西側の前浜沿いに主な集落が存在する。なお、島の他の地域には字滝川や字高処山の様に「字」の文字を有するの地名が存在するが、この地域には「字」も町名も指定されていない。

自然環境

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他の主だった陸地と距離が比較的に離れており、人口の少なさや開発の影響も比較的に少ないことなども相まって、自然環境が大きく破壊されることなく残っている。地下水とそれに由来する湧水も豊富であり、島の植生を支えるなど「東京の名湧水」の一つに数えられている[4]。また、空気汚染も少ないため、2020年には日本国内で2番目の「星空保護区」に認定されている[5]

花の百名山」および「新日本百名山」にも数えられている天上山の山頂部では、ラン科など多様な植生が見られ、本州では2,000メートル級の高山に生育しているような高山植物も見られる[4]

御蔵島青ヶ島など伊豆諸島には断崖絶壁に囲まれた島が多い中、神津島は比較的平坦で砂浜海岸が多い。また近海を黒潮が流れており、伊豆七島でも際立って多数の魚介類ウミガメ海藻類が見られるため、ダイビングなどのエコツーリズムマリンレジャーや漁業の対象にもなっている[4][6]。また、上記のかんむりんとかんむりーなは、神津島周辺がカンムリウミスズメの生息域である事に因んでデザインされている[1][4]。一方で、神津島村の「村の鳥」はイソヒヨドリである[4]

他にも特筆すべき生物種の生息も確認されており、それらの中には絶滅危惧種のナミエヤマガラや、神津島と御蔵島でのみ確認されているミクラミヤマクワガタ、神津島の固有種であるラン科の「コウヅエビネ」や絶滅危惧種のイワチドリも含まれている[4]

なお、ホエールウォッチングやドルフィンスイミングの様な観光事業は発足していないが、ザトウクジラ[7]マッコウクジラ[8]ミナミハンドウイルカ[注釈 1][9]などの鯨類回遊も存在する[10]。また、恩馳島を中心とした神津島の一帯には、今では絶滅したとされるニホンアシカも数多く生息していた[11]

気候

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神津島(2003年 - 2020年)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 18.8
(65.8)
19.3
(66.7)
20.8
(69.4)
23.2
(73.8)
25.6
(78.1)
28.5
(83.3)
33.7
(92.7)
31.8
(89.2)
31.0
(87.8)
28.7
(83.7)
24.5
(76.1)
22.7
(72.9)
33.7
(92.7)
平均最高気温 °C°F 10.6
(51.1)
11.4
(52.5)
13.9
(57)
17.4
(63.3)
20.9
(69.6)
23.3
(73.9)
26.8
(80.2)
28.6
(83.5)
26.3
(79.3)
22.1
(71.8)
18.2
(64.8)
13.4
(56.1)
19.4
(66.9)
日平均気温 °C°F 8.5
(47.3)
9.1
(48.4)
11.4
(52.5)
15.0
(59)
18.6
(65.5)
21.2
(70.2)
24.6
(76.3)
26.3
(79.3)
24.1
(75.4)
20.0
(68)
16.1
(61)
11.2
(52.2)
17.2
(63)
平均最低気温 °C°F 6.3
(43.3)
6.6
(43.9)
8.7
(47.7)
12.6
(54.7)
16.4
(61.5)
19.5
(67.1)
23.0
(73.4)
24.5
(76.1)
22.2
(72)
18.1
(64.6)
13.9
(57)
9.0
(48.2)
15.1
(59.2)
最低気温記録 °C°F −0.8
(30.6)
−0.6
(30.9)
1.2
(34.2)
2.2
(36)
9.8
(49.6)
14.0
(57.2)
17.9
(64.2)
18.7
(65.7)
15.3
(59.5)
11.9
(53.4)
5.0
(41)
1.0
(33.8)
−0.8
(30.6)
降水量 mm (inch) 98.5
(3.878)
128.0
(5.039)
198.8
(7.827)
170.5
(6.713)
183.4
(7.22)
262.8
(10.346)
189.4
(7.457)
197.1
(7.76)
208.1
(8.193)
334.0
(13.15)
174.4
(6.866)
126.3
(4.972)
2,271.3
(89.421)
平均降水日数 (≥1.0 mm) 8.1 9.6 12.1 10.6 10.1 13.3 9.4 8.2 11.8 12.4 10.9 8.9 125.3
出典1:Japan Meteorological Agency
出典2:気象庁[12]

歴史

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神津島
雨温図説明
123456789101112
 
 
110
 
11
6
 
 
108
 
11
7
 
 
199
 
13
8
 
 
178
 
17
13
 
 
231
 
21
16
 
 
230
 
23
19
 
 
221
 
27
23
 
 
281
 
28
24
 
 
195
 
26
22
 
 
369
 
22
18
 
 
174
 
18
14
 
 
130
 
13
9
気温(°C
総降水量(mm)
出典:気象庁
インペリアル換算
123456789101112
 
 
4.3
 
51
44
 
 
4.2
 
53
44
 
 
7.8
 
56
47
 
 
7
 
63
55
 
 
9.1
 
69
61
 
 
9.1
 
74
67
 
 
8.7
 
80
73
 
 
11
 
83
75
 
 
7.7
 
79
72
 
 
15
 
71
64
 
 
6.8
 
65
57
 
 
5.1
 
56
48
気温(°F
総降水量(in)

島名の由来は、伊豆の島々を作るために、神々を集めて話し合う場がこの島であったことから[13]。昔は「神集島」と書いた[13]

本島は、840年(承和7年)に伊豆国賀茂郡上津嶋として名が現れる。

神津島では、砂糠崎(さぬかさき)や沢尻湾、ほか恩馳島黒曜石が産出し、後期旧石器時代から石器の材料として採取され、大量に本州に送られた。その流布範囲は広く、東は東京都、西は静岡県西部、さらに内陸部の山梨県北杜市横針前久保遺跡にまで達し、半径約180kmまで拡がっていた。これは同時に旧石器時代の人々が船を使っていたことを示す貴重な間接証拠でもある。採掘は縄文時代まで続いた。

神話によれば伊豆の島々を造った神様が集まるところということから「神集島」の名が生まれ、それが転訛して神津島といわれる。古文書の中には「神集島」と書かれたものもある。

江戸時代初期、キリシタン朝鮮人女性ジュリアおたあが流罪になり、神津島で没したという伝説があり、島内には墓所とされるものがある。また、ジュリア祭が毎年行われている。

ギャラリー

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脚注

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注釈

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  1. ^ 近隣の島々から来遊した可能性が高い。

出典

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  1. ^ a b ゆるバース製作委員会, かんむりん(東京都), ゆるキャラグランプリ公式サイト
  2. ^ 神津島観光協会, 2017年12月22日
  3. ^ 9.国内外の主な火山現象による津波観測記録一覧表、10.個別火山の津波発生要因に関する調査結果の詳細”. 原子力規制委員会. 2022年1月10日閲覧。
  4. ^ a b c d e f 東京都環境局, 神津島の動植物, 東京の自然公園
  5. ^ 毎日新聞, 2022年05月04日, 星空の世界遺産 東京・神津島
  6. ^ 神津島村, ダイビング
  7. ^ 東京海洋大学, 2023年03月22日, 【高大連携事業】大島海洋国際高等学校と共同で伊豆諸島において鯨類目視調査を実施しました
  8. ^ シーランドダイビングサービス, 2019年5月24日, Facebook
  9. ^ 読売新聞, 2023年06月07日, 漁師お手上げ、イルカがキンメダイ「横取り」…駆除できず追い払い作戦
  10. ^ 科博登録ID:8894”. 国立科学博物館. 2024年1月19日閲覧。
  11. ^ 中村一恵三浦半島沿岸に生息していたニホンアシカについて」(PDF)『神奈川県立博物館研究報告. 自然科学』第22号、神奈川県立生命の星・地球博物館、1993年1月、81-89頁、CRID 1520853833567161472ISSN 045319062024年6月28日閲覧 
  12. ^ 神津島 過去の気象データ検索”. 気象庁. 2024年2月14日閲覧。
  13. ^ a b 出典: 神津島について - 神津島村

関連項目

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外部リンク

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