孀婦岩

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
孀婦岩
Soufuiwa 07.jpg
孀婦岩遠景(2007年)
座標 北緯29度47分39秒 東経140度20分31秒 / 北緯29.79417度 東経140.34194度 / 29.79417; 140.34194座標: 北緯29度47分39秒 東経140度20分31秒 / 北緯29.79417度 東経140.34194度 / 29.79417; 140.34194
面積 0.01 km²
海岸線長 - km
最高標高 99 m
所在海域 太平洋フィリピン海
所属国・地域 日本東京都
地図
孀婦岩の位置(日本内)
孀婦岩
テンプレートを表示
東側からの姿(2007年)
航空写真(1978年)
国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)を基に作成
位置(図中の最下)

孀婦岩(そうふがん、そうふいわ)は、伊豆諸島最南端の岩である。所属市町村未定のため東京都の直轄となっており、東京都総務局の出先機関である八丈支庁が管理事務を行っている。日本の気象庁により活火山(ランク未分類)とされている。

地理[編集]

東京の南約650 km鳥島の南約76 kmに位置する標高99 m、東西84 m、南北56 m、面積0.01 km2の顕著な黒色孤立突岩[1]。火道内のマグマが硬化してできた典型的な岩頸である。日本放送協会(NHK)や産業技術総合研究所等による海底から陸上までの調査により、岩質は海底部分は玄武岩であり、海上部分は安山岩であることが判明している[2][3]。頂上付近には水面に対して垂直方向の柱状節理が認められる。

2003年活火山の基準が見直された際に、新たに活火山に選定された[4][5]カルデラ式海底火山の外輪山にあたり、孀婦岩の南西2.6 km、水深240 mには火口がある[1]。海底から海上に及ぶ形状は、ケーキに立てられた1本のろうそくにも例えられる[6]

その形状のために上陸することは困難であるが、1972年早稲田大学の学生が上陸、登頂に成功[7]ほか、2003年にもロッククライミングで登頂した例などが存在する[8](ただし転落事故も記録されている)。2018年5月には増本亮らクライマー2人、NHKカメラマン2人の計4人が上陸に成功している[3]

周辺は航海の難所ながら、豊かな漁場として伊豆・小笠原漁民に知られる。また、高い透明度と豊富な魚影からスキューバダイビングの聖地とする人も多い。

歴史[編集]

孀婦岩について初めて確実な記録を残したのは、イギリス人で元海軍大尉のジョン・ミアーズ英語版であった。彼は交易のため2艘の船団でマカオを出発、ミンダナオ島を経て北アメリカに向かう途上で孀婦岩を目撃した。ミアーズの記録によると1788年4月9日、彼は初めてこの岩を目撃し「その岩に近づくにつれ、我々の驚きはより大きくなった。船員たちは何か超自然的な力が、この岩の形を現在の形に突然変えたのだ、と強く信じたがっていた」と書き記した。ミアーズは、この岩をその不思議な形から、旧約聖書創世記19章26節に記された、神の指示に背いたために塩の柱に変えられてしまったロトの妻に見立てて「Lot's wife(ロトの妻)」と名づけた。ミアーズの報告と実際の岩の位置は経度が大きく異なっており、実際よりも17度も東にされている。

日本語文献では1885年の『寰瀛水路誌』に初めて「孀婦岩(ロッツワイフ)」の名が現れる。「孀婦岩」は「やもめいわ」の意味であるが、これは「Lot's wife」を意訳したもので、やがて音読して「そうふがん」と読まれるようになったと考えられる。今日では「そうふいわ」と呼ばれることも多い[9][10]。聖書に由来することが確定している日本の地名は珍しい。

周辺では海底火山が活動中であり、1975年に孀婦岩の北約500 mの海域に緑色の変色水の発生が観測されたが、火山活動との関連性は不明である[11]

戦後、1946年(昭和21年)3月22日に伊豆諸島が本土復帰してから、1952年(昭和27年)2月10日トカラ列島が本土復帰するまで、この岩は日本の最南端であった。

生物相[編集]

周辺はダイビングスポットとしても知られ、多様な魚類のほか、ザトウクジラ[12][出典無効][13][出典無効]アカボウクジラ[14][出典無効]などが現れることもある。

海鳥の生息地となっているため、島は鳥の糞で白くなっている。また、頂部にイネ科の植物が生息している[15][出典無効]。2018年の調査では新種と思われるウミコオロギの仲間も発見されている[3]

脚注[編集]

  1. ^ a b 活火山情報:孀婦岩 気象庁
  2. ^ NHKスペシャル 秘島探検 東京ロストワールド 第2集「孀婦(そうふ)岩」、2018年9月29日
  3. ^ a b c 奇跡の巨岩「孀婦岩」に迫る! NHKニュースおはよう日本、2018年9月28日
  4. ^ “火山噴火予知連絡会による活火山の選定及び火山活動度による分類(ランク分け)について” (PDF) (プレスリリース), 気象庁, (2003年1月21日), http://www.jma.go.jp/jma/press/0301/21a/yochiren.pdf 
  5. ^ 日本の火山 > 第四紀火山 > 孀婦岩 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
  6. ^ 東京ロストワールド サメだらけの海に聳える「絶海の奇岩」に挑む”. FRIDAYデジタル. 講談社 (2018年9月29日). 2018年11月24日閲覧。
  7. ^ 清水浩史 『秘島図鑑』 河出書房新社、2015年7月
  8. ^ 第817号、山と渓谷社、2003年8月
  9. ^ 長谷川亮一 『地図から消えた島々』 吉川弘文館、2011年、72-79頁。
  10. ^ 「孀婦岩」の名称の発生については辻村太郎、「地名と発音」(『辻村太郎著作集七』)、平凡社、1986年参照
  11. ^ 孀婦岩 産業技術総合研究所
  12. ^ Kobayashi K. (2013年). “小笠原クルーズとわたくし しょの1 鯨とわたくし”. 2018年11月7日閲覧。
  13. ^ 3月26日(木) 終日航海”. 2018年11月7日閲覧。
  14. ^ 鯨類・観察メモ(海驢類含む)
  15. ^ ブログ「Hey! Manbow」から「孀婦岩」

関連項目[編集]

外部リンク[編集]