ミナミハンドウイルカ

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ミナミハンドウイルカ
ミナミハンドウイルカ
ミナミハンドウイルカ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
亜目 : ハクジラ亜目 Odontoceti
: マイルカ科 Delphinidae
: ハンドウイルカ属 Tursiops
: T. aduncus
学名
Tursiops aduncus (Ehrenberg, 1832)
和名
ミナミハンドウイルカ
英名
Indian Ocean Bottlenose Dolphin

ミナミハンドウイルカ(南半道海豚、学名:Tursiops aduncus)は、鯨偶蹄目ハクジラ亜目マイルカ科ハンドウイルカ属に属するイルカの一種である。ミナミバンドウイルカとも呼ばれる。

同じハンドウイルカ属に属するハンドウイルカ(バンドウイルカ)の亜種とされることもあったが、2000年の国際捕鯨委員会 (IWC) 科学委員会により別のとされる[1]。また、ルデュックらは、ミナミハンドウイルカはTursiops 属(ハンドウイルカ属)よりもStenella 属(スジイルカ属)により近いと報告している[2]

分布[編集]

北太平洋の西側、オーストラリア付近の南太平洋インド洋などの温暖な海の沿岸に生息する。10から20頭程度の群を成すことが多いが、1頭の場合もあるし、100頭以上の大きな群も見られる。小笠原諸島伊豆諸島などにおいて、ホエールウォッチングで見たり、ドルフィンスイムと称して一緒に泳いだりするのは多くの場合はハンドウイルカではなく、このミナミハンドウイルカである。

熊本県にある天草諸島では一年中ミナミバンドウイルカに会うことができる。

ミナミハンドウイルカはほぼ全身灰色であるが、背側がやや濃い灰色で、腹側は明るい灰色である。成長すると腹部に斑点が現れるのがハンドウイルカと異なる。成体の体長は2mから3mで、ハンドウイルカに比べるとやや小柄である。またがやや細長い点も異なる[3]

食性については、ミナミハンドウイルカとハンドウイルカを区別した研究がされていない。とはいえ西日本以南で得られた標本はミナミハンドウイルカが含まれている可能性はある[4]。なお、母親を失った子供に対して、別のメスが授乳を行う場合もあることが確認された[5]

脚注[編集]

  1. ^ ミナミハンドウイルカの社会行動に関する研究 (PDF) 12頁, 酒井麻衣, Tokyo Institute of Technology Digital Library / 東京工業大学電子図書館, 2013-5-13閲覧
  2. ^ PHYLOGENETIC RELATIONSHIPS AMONG THE DELPHINID CETACEANS BASED ON FULL CYTOCHROME B SEQUENCES , R. G. Leduc, W. F. Perrin, A. E. Dizon , Marine Mammal Science , Volume 15, Issue 3, pages 619–648, July 1999
  3. ^ 『鯨類学』 図鑑/世界の鯨類49
  4. ^ 『鯨類学』 228 - 230頁
  5. ^ 野生イルカも授乳など孤児の世話 (共同通信)

参考文献[編集]

  • 村山司 『鯨類学』東海大学出版会〈東海大学自然科学叢書〉、2008年、図鑑/世界の鯨類49, 228 - 230頁頁。ISBN 978-4-486-01733-2