はやぶさ (列車)
はやぶさとは、東日本旅客鉄道(JR東日本)が東北新幹線の東京駅 - 新青森駅間で運行している特別急行列車である。
なお本項では、かつて日本国有鉄道(国鉄)および分割民営化後のJRが1958年から2009年までの間、東京駅と熊本駅(1997年までは西鹿児島駅)間を東海道本線・山陽本線・鹿児島本線経由で運行していた寝台特急「はやぶさ」、並びに寝台特急「はやぶさ」に付随して東京と鹿児島県を鹿児島本線経由で運行していた寝台特急列車および優等列車の沿革についても記述する。
東北新幹線「はやぶさ」
はやぶさ | |
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E5系電車「はやぶさ」 (2011年3月6日 大宮駅) | |
運行者 | 東日本旅客鉄道(JR東日本) |
列車種別 | 特急列車 |
運行区間 | 東京駅 - 新青森駅など |
経由線区 | 東北新幹線 |
使用車両 | E5系電車(新幹線総合車両センター) |
運行開始 | 2011年3月5日 |
概要
JR東日本が東北新幹線において、2011年(平成23年)3月5日からE5系電車の運用を開始するにあたり、同車を使用する列車に新たに付与した愛称[1][リンク切れ][2]である。
それまでの東北新幹線最速列車であるE2系電車「はやて」「やまびこ」の275km/hを上回る、最高速度320km/h(運行開始時は300km/h)での営業運転を行う、国内最速の営業列車となる予定であり、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」のように、東北新幹線に新たに設定された最速達種別の列車として位置付けられる。
当初は東北新幹線八戸駅 - 新青森駅間の延伸開業とほぼ同時に運行開始する計画であったが、延伸開業が2010年(平成22年)12月4日に前倒しとなったため、新青森駅までの延伸開業に遅れること3か月での運行開始となった。
列車名の由来
鳥のハヤブサにちなむ。寝台特急の運転開始当初では特急の名称として鳥類のものが充てられただけではなく、東京 - 大阪間ビジネス特急の名称として公募した際に佳作として選定され、特急に使用することが決定されていた名称でもある。
寝台特急「はやぶさ」は2009年(平成21年)3月14日のダイヤ改正で廃止されたことにより、この列車名を使用する列車は一旦運行されなくなったが[3][4][5]、その後、東北新幹線で運行される列車名として復活した。廃止された寝台特急と同名の新幹線列車としては、この他に山陽新幹線・九州新幹線の新大阪駅 - 鹿児島中央駅間を直通運行する「みずほ」「さくら」がある(いずれもかつては東京と九州を結んだ寝台特急の愛称であった)。
新幹線の愛称への採用
E5系電車を用いた最高速度300km/hの列車については、2010年3月に列車名の公募を行った。選考基準は「新型高速新幹線車両にふさわしく、かつお客さまにわかりやすい」こととされ[6]、150,372通の応募があった[7]。その中から、応募総数第7位の「はやぶさ」が選ばれ、2010年5月11日に発表された[7]。
応募総数の上位にはかつての東北方面を結ぶ優等列車の愛称であった「はつかり」(第1位)、「みちのく」(第3位)や、現行列車の愛称でもある「はやて」(第5位)、さらにはE5系のカラーリングがVOCALOIDソフトのキャラクターを彷彿とさせることからネットユーザーを中心に票を集めた「はつね」[8](第2位)などが挙がったが、これら上位を抑え、「親しみやすさとスピード感がある」ことから「はやぶさ」の愛称を採用した[9]。「はやぶさ」の採用にあたっては、東京と九州を結ぶ伝統ある列車で長く親しまれた名称ということで、JR九州には事前に承諾を取り、その他にも商標上のチェックなどが行われている[10]。一方で、鉄道ファンからは「九州の印象が強すぎる」と反対の声やE5系に設けられるグランクラス(当時は「スーパーグリーン車」の仮称で呼ばれていた)の存在を指し「伝統の名前にふさわしい」との賛成の意見も出るなど、賛否両論が渦巻いた[9]。
運行概況
運行開始当初は、東京駅 - 新青森駅間2往復、東京駅 - 仙台駅間1往復の3往復で、下りは朝の2本(いずれも新青森行き)と夜の1本(仙台行き)、上りも朝の2本(仙台発・新青森発各1本)と夜の1本(新青森発)の運行となり、日中は基本的に運行がない。これは、運行開始当初の「のぞみ」や「みずほ」とほぼ同じである。
東京駅 - 新青森駅間の所要時間は、営業開始の運転最高速度300km/hで最短3時間10分となり、2013年度末は、運転最高速度320km/hで最短3時間5分程度を予定している[11]。
号数は1 - 6号(列車番号:1B - 6B、ただし仙台発着の2・5号は列車番号+1000となる)が与えられる。
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の影響で、運行開始翌週の2011年3月11日午後から運休となり、同年4月29日から当分の間は那須塩原駅 - 盛岡駅間の一部区間で速度を落とした臨時ダイヤにより、東京駅 - 新青森駅間・東京駅 - 仙台駅間に各1往復(号数は501 - 506号)が運行された。7月9日のダイヤ改正より、東京駅 - 新青森駅間1往復が増発(号数は401号 - 406号)され、一部区間で速度制限が解除された。 4月29日から9月22日までは「はやて」と同じ特急料金となっていた。
9月23日、沿線の発電所施設の復旧により速度制限が全面解除されることに伴い、通常運転が再開。あわせて「はやて」と同額となっていた特急料金も「はやぶさ」独自のものに戻された。
停車駅
東京駅 - 大宮駅 - 仙台駅 - 盛岡駅 - (八戸駅) - 新青森駅
- 八戸駅へは上り1本(4号)のみ停車。(札幌 - 青森間運行の急行「はまなす」の接続列車を兼ねているため)
停車駅は「はやて」の最速達タイプに順じており、東北新幹線で全列車停車となる3駅停車が基本となる。
使用車両・編成
はやぶさ | ||||||||||||||||||||||||||||||
← 東京 新青森 →
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前述のとおり、E5系10両編成(新幹線総合車両センター所属)が専用で使用され、大宮駅 - 宇都宮駅間を最高速度275km/h、宇都宮駅 - 盛岡駅間を最高速度300km/hでの営業運転を行うが、他列車との併結運転は行われていない。
同区間で運転される「はやて」と同様に、全車指定席で運行される。特筆すべき事項として、新幹線では初めて、グリーン車より上級となるグレード(いわゆるファーストクラス)の「グランクラス」[12]が設定されており[10][11]、10号車が定員18名の「グランクラス」となっている。
上記の「グランクラス」設定や、1号車(東京寄り先頭車)の定員の大幅減もあり、列車定員は同じ10両編成であるE2系(813名)より約1両分少ない(ただし200系K編成(売店付)とはほぼ同定員である)。
担当車掌区所
車内販売
日本レストランエンタプライズ(NRE)東京列車営業支店、盛岡列車営業支店新青森営業所が担当。
車内販売員2名、グリーンアテンダント(グリーン車担当)1名、グランクラス専属担当1名がそれぞれ乗務する。
なお、「はやぶさ」の運転開始にあわせて専用の制服が導入された。
特急料金
「はやぶさ」と「はやて」「やまびこ」との料金の差額[13] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
(単位:円) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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東京駅 - 大宮駅間および盛岡駅 - 新青森駅間 相互発着となる場合は増額なし |
特急料金は東北新幹線列車としては初めて、東海道・山陽新幹線「のぞみ」や2011年3月12日運行開始の山陽・九州新幹線「みずほ」と同様に、通常列車に比べて最大500円の加算料金の発生する設定となった[13]。加算料金は大宮駅 - 盛岡駅間の乗車に対して設定され、東京駅 - 大宮駅間および盛岡駅 - 新青森駅間相互発着となる場合は増額なしとなっている。この増額分は「高速性や快適な居住性の付加価値分」とJR東日本では説明している[14]。なお、2011年4月29日から9月22日まではの臨時ダイヤでの運転だったため、減速運転であることを考慮して追加料金は徴収しなかった[15]。なお、この「はやぶさ」特急料金は国土交通大臣への認可申請に基づくものだが、申請内容には現在停車駅となっていない仙台以北各駅相互間の料金も設定されており[13]、将来の停車駅増に対応した料金設定となっている。
「はやぶさ」と「はやて」「やまびこ」を乗り継いだ場合の特急料金については「のぞみ」「みずほ」のケースと同様になり、全区間に対応する「はやて」「やまびこ」の特急料金に「はやぶさ」の乗車区間に応じた差額料金を上乗せした特急料金となっている[13]。また、全車指定席で運行を開始することもあり、立席特急券が全区間に設定されることになっているが、この料金は特定特急券の設定されている区間(隣接駅間・盛岡以北相互間など)を除いて「通常期の指定席特急料金から510円引き」すなわち「自由席特急料金+差額料金」となる[13]。
特別企画乗車券については「のぞみ」・「みずほ」と異なり、「フルムーン夫婦グリーンパス」「ジャパンレールパス」などが利用可能となる(新幹線回数券はのぞく)。割引については「レール&レンタカーきっぷ」「ジパング倶楽部」「大人の休日倶楽部(ミドル・ジパング)」が対象(グランクラスは除く)。
また、国会議員は国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律第10条に基づき、JR全線が(グリーン車等も含めて)無料となる特殊乗車券(無料パス)が支給されるが、JR東日本から衆議院・参議院への申し入れにより、グランクラスについては無料パスの適用外となり、特急料金とグランクラス料金を別途支払う必要があることになっている[16]。
寝台特急「はやぶさ」
はやぶさ | |
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寝台特急「はやぶさ」 | |
運行者 | 九州旅客鉄道(JR九州) |
列車種別 | 寝台特急 |
運行区間 | 東京駅 - 熊本駅 |
経由線区 | 東海道本線/山陽本線/鹿児島本線 |
使用車両 | 国鉄14系客車(熊本鉄道事業部熊本車両センター) |
運行開始 | 1942年11月15日 |
運行終了 | 2009年3月13日 |
JRが運行していた定期列車としては、かつての併合相手であった「さくら」が2005年2月28日に廃止されたため、それ以降から廃止までの間は日本一の長距離旅客列車であった[17]。
京阪神と九州を結ぶ「なは」「あかつき」が2008年3月14日発(始発駅基準)の運行をもって廃止されたため、翌日の3月15日以降から廃止まで併結する「富士」と合わせて関東・東海・京阪神から九州へ直通する最後の定期夜行優等列車であった[18]。
運行後期は乗車率が低迷し[19]JR九州によると2007年度の平均乗車率は約20%(1989年時点と比べ約4分の1)[20]。
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寝台特急「はやぶさ」(鹿児島本線)
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末期の寝台特急「はやぶさ」のヘッドマーク
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末期の寝台特急「はやぶさ」のテールマーク
廃止直前の運行概況
東京駅 - 熊本駅間 (1315.0km) で運行されていたが、下り列車は新垂井駅経由のため、実走行キロは1317.9kmとなった。
列車番号は多層建て列車で運行されたため、運転線区により異なっており、東京 - 門司間は併結相手の「富士」に合わせて 下り列車が 1、上り列車が 2、門司 - 熊本間は下り列車が 41、上り列車が 42 として運行されていた。なお、運転最終日のみ臨時列車扱いとなり、東京 - 門司間の下り列車が9001、上り列車が9002、門司 - 熊本間の下り列車が9041、上り列車が9042だった。
停車駅
東京駅 - 横浜駅 - 熱海駅 - 沼津駅 - 富士駅 - 静岡駅 - 浜松駅 - (豊橋駅) - 名古屋駅 - (岐阜駅) - (京都駅) - (大阪駅) - [岡山駅] - [福山駅] - [尾道駅] - 広島駅 - 岩国駅 - 柳井駅 - 下松駅 - 徳山駅 - 防府駅 - 新山口駅 - 宇部駅 - 下関駅 - 門司駅 - 小倉駅 - 博多駅 - 鳥栖駅 - 久留米駅 - 大牟田駅 - 熊本駅
このほか、下り列車では米原駅・姫路駅・岡山駅・福間駅、上り列車では赤間駅・大阪駅・米原駅で運転停車をおこなっていた。下り列車が福間駅で特急「ソニック」10号の、上り列車が赤間駅で特急「有明」24号の待避を行っていた。
大幅な遅延などで品川駅止まりとなった場合は、小田原駅に臨時停車し、小田原 - 品川間は東海道貨物線経由での運転となるため、横浜駅は経由しなかった。
使用車両・編成
表・編・話・歴・PJR・PJRN・C | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
富士・はやぶさ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
← 大分・熊本 東京 →
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「スハネフ14 (15) 形 - オロネ15形3000番台 - オハネ15形2000番台 - オハネ15形 - オハネ15形 - スハネフ14 (15) 形」1編成を上り「はやぶさ」 → 下り「富士」 → 上り「富士」 → 下り「はやぶさ」とする運用を組み合わせる形で使用されていた。
「富士」「はやぶさ」に使用された14系の製造時の形式は、14系14形が5両(スハネフ14形0番台)、14系15形が9両(スハネフ15形、オハネ15形0番台)、24系24形が1両(オハネフ24形を改造したスハネフ14 101)、24系25形が16両(オロネ15形3000番台、オハネ15形2000番台、オハネ15形1100番台)と20系を除く旧国鉄が設計・製造した寝台特急用客車の全形式にわたった。
このため、銀帯の車両が多数派となっているが、もともと白帯であるスハネフ14形に加え、更新改造時にステンレスによる銀帯を白帯塗装に変更した15形車両も存在するため、帯の色が統一された編成となることはほとんどなかった。運行廃止直前の時点では、スハネフ14形、スハネフ15形の一部、オハネ15形1100番台が白帯、スハネフ15形の一部、オハネ15形0番台、オハネ15形2000番台、オロネ15形3000番台が銀帯となっていた。
担当乗務員区所
車掌は国鉄時代からJR時代を通じ、永らく全区間を博多車掌区が担当していたが、2005年3月1日ダイヤ改正での「富士」との併結以降、上下列車とも、東京駅 - 下関駅間を西日本旅客鉄道(JR西日本)の下関地域鉄道部下関乗務員センターが、下関駅 - 熊本駅間は九州旅客鉄道(JR九州)博多車掌区が担当した。運転士は各旅客会社が自社区間を担当していたが、下関駅 - 門司駅間は日本貨物鉄道(JR貨物)門司機関区が担当した。
車内販売
1993年(平成5年)3月18日ダイヤ改正以前は、食堂車が連結・営業されていたが、利用者の減少が著しくなった1993年3月18日からは売店としての営業に縮小され(当時は食堂営業時代と同じく東京駅 - 熊本駅間で 日本食堂が担当していた)、1997年(平成9年)11月29日ダイヤ改正で、食堂車の連結を完全に取りやめた。そのため1997年のダイヤ改正以降は、下りは東京駅→名古屋駅間と徳山駅→博多駅間で、上りは名古屋駅→東京駅間で車内販売が実施されていた。車内販売は6・7号車から巡回した。なお、東京駅 - 名古屋駅間の車内販売はジェイアール東海パッセンジャーズ (JRCP) の担当に変更された。
販売品目はコーヒーやジュース・弁当・菓子などで、内容は上り・下りで異なっていた。下り列車の徳山駅 - 博多駅間では「徳山幕の内弁当」や「ふくめし」・「あなごめし」などの弁当が販売されていた。また、下り「はやぶさ」「富士」では柳井駅水了軒の「特製幕の内弁当」が1日5 - 10個ほど限定発売されていた。ただし、列車が遅れた場合はこの弁当は販売中止となった。
上り列車の場合、機関車の交換と「富士」の連結作業のため、門司駅で29分間停車した。門司駅には改札内に売店などはないが、改札外にコンビニエンスストアがあり、改札係員に乗車券類を提示すれば、いったん改札外に出て買い物をすることができた。通常は出場した時点で特急券・寝台券は無効となるが、便宜上このような取扱いがなされており、車内放送でもそのように案内をしていた。
東京対鹿児島本線優等列車沿革
戦前・関門トンネル開業による運転開始
- 1942年(昭和17年)11月15日:関門トンネル開業に際し、急行列車7・8列車の運行区間を東京駅 - 鹿児島駅間に変更する。
- 1945年(昭和20年)1月25日:運行区間を下関駅まで短縮され、3月20日に運行が中止された。
戦後・運行復活からの展開
- 1950年(昭和25年)11月2日:東京駅 - 鹿児島駅間を東海道本線・山陽本線・鹿児島本線経由で運行する急行列車「きりしま」運転開始。また、姉妹列車として「筑紫」(つくし)が運行される。
- 「きりしま」は山陽本線に夜行運転となるが「筑紫」は東海道本線と鹿児島本線とで夜行運転をしたため、1列車が2回夜行列車として運行。
- 1956年(昭和31年)11月9日:「きりしま」、漢字名称の「霧島」に改称。また、「筑紫」の列車名を「さつま」に変更。「筑紫」は新設された東京 - 博多間の夜行急行列車の名称に用いられる。
第3の九州特急「はやぶさ」の登場以降
- 1958年(昭和33年)10月1日:「はやぶさ」が東京駅 - 鹿児島駅間で現行の運行経路で運転開始。
- 従前、同区間を運行していた夜行急行列車「さつま」を格上げする形で運転が開始される。これにより、「はやぶさ」は鳥栖駅以南の鹿児島本線を運行する初めての特別急行列車となった。運転開始時の博多駅以南の停車駅は、久留米駅 - 大牟田駅 - 熊本駅 - 八代駅 - 出水駅 - 鹿児島駅であった。
- 編成はこちらを参照されたいが、車両は(「さちかぜ」→)「平和」と同編成で組成された一般形車両を使用した。
- 1957年(昭和32年)10月1日のダイヤ改正の時点で博多駅以西対東京直通特急列車の設定に際して、長崎駅直通か鹿児島駅直通かという検討がなされた。最終的には、戦前に運行された「富士」の実績から「さちかぜ」は長崎直通となった。その代替として東京駅 - 博多駅間運行の寝台特急列車「あさかぜ」と京都駅 - 鹿児島駅間運行の夜行急行列車「桜島」と博多駅で接続するダイヤを設定し、実際に同経路で乗車する際には無割引ながら「あさかぜ」の寝台券を付けた乗継特急・急行券を発行した[21]。
- 1960年(昭和35年)
「みずほ」の誕生
- 1960年12月24日 - 1961年(昭和36年)1月14日:東京駅 - 熊本駅間に臨時特急「臨時あさかぜ」を他の列車の混雑緩和のため運転。この列車が「みずほ」の前身となる。編成図はこちらを参照されたい。
- 1961年10月1日:東京駅 - 熊本駅間を不定期列車として「みずほ」運転開始。
- 「みずほ」は「不定期列車」と名乗るが、実際には毎日の運転とした。当時、唯一の特急用客車であった20系客車が「さくら」・「あさかぜ」・「はやぶさ」用に限定され、運用本数もその3列車専用として運用されていたことから、必然的に一般形客車を使用する編成となった。ただし、「はやぶさ」登場時と異なり、かつての特急用車両であったスハ44・スハフ43形や急行用としては最新鋭一等寝台車両であったオロネ10形を充当するなど、特別急行列車として一定の配慮がなされていた。しかし、運行当初は表中では「正規編成」と表現した計画された編成で運行できず、実際には表中の「暫定編成」で運行を行った。
- また、エア・コンディショナーがオロネ10形や食堂車であるオシ17形のみであることから、翌1962年(昭和37年)夏季には「みずほ」利用に際して特急料金の割引がなされた。
- 定期列車化した1962年(昭和37年)10月1日以降は正規編成を用い、20系化する1963年(昭和38年)6月まで運行されたとされる。
- 1962年10月1日:「みずほ」が定期列車に昇格。
- 1963年(昭和38年)
- 6月1日:「みずほ」の使用車両をそれまでの一般客車から20系客車に変更。これと同時に編成の一部を大分駅発着とする。
- 12月:「みずほ」「はやぶさ」「さくら」に二等寝台車を1両増結。「さくら」「はやぶさ」は博多駅発着の付属編成に、「みずほ」は基本編成に連結をした。
- 1964年(昭和39年)10月1日:東海道新幹線開業に伴うダイヤ改正に伴い、以下のように変更。
- 1967年(昭和42年)10月1日:「霧島」運行区間を東京駅 - 西鹿児島駅間に短縮。
- 1968年(昭和43年)10月1日:このときのダイヤ改正により、以下のように変更。
- 「はやぶさ」:博多駅にて増解結を行っていた編成を長崎駅まで延長。西鹿児島発着編成とは鳥栖駅で分割併合を行う。また、長崎駅発着編成は「あかつき(下り1号・上り2号)」と共用する。
- 「みずほ」の運転区間を東京駅 - 熊本駅間に変更。
- 「霧島」の東京駅 - 門司駅間を「高千穂」と併結運転とする。同時に寝台車廃止。
- 1970年(昭和45年)10月1日:京都駅 - 西鹿児島駅間の寝台特急列車としてひらがな書きの「きりしま」を運転開始。これに伴い、東京駅 - 西鹿児島駅間急行列車の名称を「霧島」から「桜島」(さくらじま)に変更。
- 従来から運行していた臨時列車「桜島」はこの変更に際して上り・下りとも「しろやま51号」と改称。
- 1972年(昭和47年)
東海道・山陽新幹線全通後の展開
- 1975年(昭和50年)3月10日:山陽新幹線博多駅乗り入れに伴うダイヤ改正により、以下のように変更する。
- 1976年(昭和51年)9月27日:「はやぶさ」の使用車両を24系24形客車から24系25形客車に置き換え。「富士」「出雲」とともに、東京駅発着の定期寝台特急初の2段B寝台投入。1人用個室A寝台「オロネ25形車両」も同時に連結。このA寝台1人用個室には当初愛称がなかったが、1986年(昭和61年)3月3日に「シングルデラックス」と命名される。編成についてはこちらを参照のこと。
- 1978年(昭和53年)2月1日:博多「あさかぜ」の24系25形化に伴い、食堂車の運用を捻出するため食堂車は熊本回転の付属編成となる。この変更は共通運用だった「富士」・「出雲」にも同様に実施。
- 食堂車は増備しない方針であったため、既に末端区間の食堂利用率が低下気味でかつ運行時間が丸1日となる「富士」・「はやぶさ」の食堂車を途中駅折り返しとすることで東京に戻る日を1日早め、「あさかぜ」への充当が可能になった。この時の編成はこちらを参照のこと。
- 1980年(昭和55年)10月1日:「富士」の運転区間を東京駅 - 宮崎駅間に短縮。「はやぶさ」15年ぶりに日本最長距離特急へ返り咲く。
- 1984年(昭和59年)
- 1985年(昭和60年)3月14日:「はやぶさ」にオハ24形700番台「ロビーカー」を連結。これに伴い、「はやぶさ」を含めた東京駅 - 下関駅間を運転する寝台特急列車の牽引機をEF65形からEF66形へ変更。
- 1986年(昭和61年)11月1日:ダイヤ改正に伴い、車両の受け持ちを以下のように変更。
JR化以降の展開
- 1989年(平成元年)
- 1990年(平成2年)3月11日:「はやぶさ」水俣駅で昼行電車特急である「有明」11号に追い越されるダイヤを組んだ。
- 1991年(平成3年)5月31日:「みずほ」の食堂車の営業を売店営業に差し替え。
九州特急「はやぶさ」の斜陽化から終焉へ
- 1993年(平成5年)3月18日:「はやぶさ」の食堂車の営業を売店営業に差し替え。また、下り列車の東京 - 小倉間のダイヤが「富士」と差し替えられて「はやぶさ」のダイヤが1時間15分繰り下がったことで西鹿児島到着が15時10分とその当時での定期列車では一番遅い到着時間で、途中で追い抜かれる昼行特急列車「つばめ」に乗り換える乗客が目立ってしまい、熊本以南の利用者が減少傾向となる。
- 1994年(平成6年)12月3日:「みずほ」が廃止。「さくら」が長崎編成・佐世保編成とも共通化されたためJR東日本の車両は九州に入らなくなる。
- 1997年(平成9年)11月29日:利用者の減少により運行区間を東京 - 熊本間に短縮。1980年(昭和55年)10月1日に「富士」が区間短縮された時以来維持してきた、定期列車の日本一の長距離定期列車の座を「さくら」に譲る。また、売店営業を行っていたオシ24形の連結終了。同時に日本食堂による東京 - 熊本間通しでの車内販売営業も終了した。24系25形のみで単独運行されたこのときの編成図はこちらを参照されたい。
- 1999年(平成11年)12月4日:「はやぶさ」の利用者減に伴う運行系統整理により、鳥栖駅まで寝台特急「さくら」を併結して運転する2階建て列車とした[24]。この「さくら・はやぶさ」の運行形態は1968年から1975年までの「はやぶさ」、1975年から1994年の「みずほ」の運行形態と同様となった。
表・編・話・歴・PJR・PJRN・C | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
富士・はやぶさ・さくら | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
← 大分・熊本・長崎 東京 →
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表・編・話・歴・PJR・PJRN・C | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
富士・はやぶさ・さくら | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
← 大分・熊本・長崎 東京 →
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- 2004年(平成16年)2月:九州新幹線開業に伴い西鹿児島駅が鹿児島中央駅に改称するのを記念し、西鹿児島駅→東京駅・品川駅間の団体専用列車「思い出のはやぶさ号」として「はやぶさ」を上り列車のみであるが復活運転させた。その際、定期列車は平常どおり運行。
- 2005年(平成17年)3月1日:この時のダイヤ改正で、「はやぶさ」は併結相手の「さくら」廃止に伴い、新たに東京 - 門司間で「富士」と併結する2階建て列車とした。これにあわせて、使用車両を24系25形客車から14系客車に変更。また「ロビーカー」とブルトレ便も同時に廃止した。
- この関係で個室A寝台「シングルデラックス」のオロネ25形はオロネ15形3000番台に改造する必要があるため、下りは1月14日 - 2月28日、上りは1月11日 - 2月28日の間連結を中止。
- このダイヤ改正で「さくら」が廃止され、1,315kmの運行距離を有する「はやぶさ」が定期列車の日本一の長距離列車の座に2度目の返り咲きを果たした。また「あさかぜ」廃止に伴い国鉄→JRの現役特急愛称継続年数の最長1位(当時47年継続)にもなっていた。
- しかし、「はやぶさ・富士」の運行形態は1963年から1964年の「みずほ」に近い運行形態とされ、東京駅 - 京都駅間では「(東京対)九州特急」「九州ブルートレイン」は1往復のみの運行となった。
- また国鉄時代から全区間を担当していた博多車掌区・熊本車掌区(現在の熊本車掌センター)の乗務区間が九州内に短縮され、本州内の乗務を下関地域鉄道部下関乗務員センターが担当した。
- 2009年(平成21年)
列車名の由来
- 「霧島・きりしま」:鹿児島県と宮崎県の県境に広がる火山群である霧島山から。異称として他に霧島連山、霧島連峰、霧島山地、霧島火山群があるが日本語版Wikipediaにおける項目では「霧島山」が採用されている。曖昧さ回避記事の霧島も参照。
- 「桜島」(さくらじま):鹿児島県の錦江湾(正式には鹿児島湾)にある半島であり活火山でもある桜島から。海の中にそびえるその山容は特に異彩を放っており、鹿児島のシンボルの1つとされる。
- 「さつま」:現在の鹿児島県西部に相当する令制国(いわゆる旧国名)の薩摩国から。
- 「筑紫」(つくし):現在の福岡県東部を除く部分に相当する令制国(いわゆる旧国名)の筑紫国または、日本神話の国産みにおける「筑紫島」と呼ばれた九州全域を指す「筑紫」に由来する。ただし、一般的には前者のみとされる。
- 「みずほ」:日本国の美称でもある、「瑞穂国」(みずほのくに)にちなむ。ただし、特別急行列車の愛称には抽象名詞を用いるという慣例があったことや戦前の特別急行列車愛称公募時に日本の意味合いがある「大和」があるため、それによるものともされる。
「はやぶさ」が登場する主な作品
脚注
- ^ 東北新幹線「はやぶさ」、3月5日運行スタート - 産経新聞 2010年11月11日
- ^ 東北新幹線 「はやぶさ」 3月5日 デビュー (PDF) - 東日本旅客鉄道プレスリリース 2010年11月11日
- ^ a b ブルトレ、東京駅から消える 3月に富士・はやぶさ廃止 - 朝日新聞 2008年12月19日
- ^ a b 2009年3月ダイヤ改正について (PDF) - 東日本旅客鉄道プレスリリース 2008年12月19日
- ^ a b 平成21年3月ダイヤ改正について 別紙 (PDF) - 東海旅客鉄道プレスリリース 2008年12月19日
- ^ 新しい東北新幹線の列車愛称を募集します (PDF) - 2010年3月2日 JR東日本ニュースリリース
- ^ a b 新しい東北新幹線の列車愛称等の決定について 〜2011年3月から新型高速新幹線車両(E5系)営業運転開始〜 (PDF) - 東日本旅客鉄道プレスリリース 2010年5月11日
- ^ “新幹線「はつね」にしてあげる JR東日本が募集中”. 産経新聞. (2010年4月8日)
- ^ a b “東北新幹線、新型車両の愛称「はやぶさ」 八戸-新青森は12月4日開業”. 産経新聞. (2010年5月12日)
- ^ a b “高速新幹線の愛称が決定”. Response.. (2010年5月11日) 2011年4月27日閲覧。
- ^ a b “新幹線「はやぶさ」、新青森駅に登場 500人出迎え”. 日本経済新聞. (2010年6月17日)
- ^ 「グランクラス」は1960年以前の国鉄における3等級制でいう「一等車」に相当する。なお、JRにおける「グリーン車より上級のグレード」としてはJR九州787系電車6両編成に連結されている「DXグリーン席」がある。
- ^ a b c d e 「はやぶさ」の特急料金・グランクラスの料金について (PDF) - 東日本旅客鉄道プレスリリース 2010年11月11日
- ^ “E5系 こまち連結だと「はやて」”. 東奥日報. (2010年11月14日)
- ^ “東北新幹線が29日に全線再開 「はやぶさ」運転、グランクラスの営業も”. 産経新聞. (2011年4月22日) 2011年4月27日閲覧。
- ^ “新幹線「はやぶさ」グランクラス 国会議員無料パス適用外”. 河北新報. (2011年2月28日)
- ^ ただし、臨時列車を含めると「さくら」廃止以前から大阪 - 札幌間を運行する「トワイライトエクスプレス」が日本一の長距離旅客列車で、2012年3月時点でもその記録を継続している。
- ^ 優等列車以外では「ムーンライト九州」が2009年年始を最後に運行休止。
- ^ “さらば九州ブルトレ 「はやぶさ」と「富士」最終便”. 西日本新聞. (2009年3月15日) 2011年4月27日閲覧。
- ^ a b “東京発ブルートレイン「はやぶさ・富士」最終日”. Response.. (2009年3月13日) 2011年4月27日閲覧。
- ^ 三宅俊彦 (2009). ブルートレイン - 夢を運んで半世紀. JTBパブリッシング. ISBN 978-4-533-07350-2
- ^ のち熊本機関区と統合し熊本運転所。2006年(平成18年)より、熊本鉄道事業部熊本車両センターとなる
- ^ 「はやぶさ」の運行区間である東京駅 - 西鹿児島駅間の距離については、運賃計算上の経路である岩徳線経由の営業キロ(運賃計算キロ)である1,493.6kmとされている資料もあるが、実際の運行距離は山陽本線柳井駅経由の1,515.3kmであった。
- ^ "平成11年12月 ダイヤ改正について II. 在来線 3. 東海道線寝台特急「さくら」「はやぶさ」を併結運転します" (Press release). 東日本旅客鉄道. 24 September 2003. 2011年4月27日閲覧。
- ^ "平成21年2月限定 寝台特急「富士」「はやぶさ」に寝台券なしでご乗車になれます!" (Press release). 九州旅客鉄道. 25 December 2008.[リンク切れ]
関連項目
外部リンク
- 新しい東北新幹線「はやぶさ」2011年3月デビュー。 - 東日本旅客鉄道
- JR九州 : 九州を走る寝台列車 - 九州旅客鉄道