ライアンエアー

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ライアンエアー
IATA
FR
ICAO
RYR
コールサイン
RYANAIR
設立 1985年
ハブ空港 ロンドン・スタンステッド空港
ダブリン空港
ミラノ・ベルガモ空港
ブリュッセル・サウスシャルルロワ空港
保有機材数 305機
就航地 164都市
本拠地 アイルランドの旗 アイルランド
代表者 Michael O'Leary (CEO)
Michael Cawley (CFO)
外部リンク http://www.ryanair.com/

ライアンエアーRyanairNASDAQRYAAY)は、アイルランド国籍の格安航空会社。国際旅客数としては世界最大の航空会社である[1]

概要[編集]

ダブリン空港にあるライアンエアー本社
ライアンエアーのボーイング737−800型機

ヨーロッパ最大の格安航空会社[編集]

1985年に設立された。1997年の規制緩和以降、格安運賃を武器に瞬く間に規模を拡大し、現在ヨーロッパの格安航空会社の中では最大の航路ネットワークを展開している。アイルランドのダブリン空港と、イギリスロンドンで3番目に大きいロンドン・スタンステッド空港を主要ハブ空港としている他、欧州の約50の空港にオペレーティング・ベースを置いている。

格安運賃[編集]

ライアンエアーは料金が驚くほど安く、格安という面では人気が高い。日本でも、ロンドン-パリ間の料金がたったの0.99ユーロからという非常に安い料金であるということで一時話題を呼んだ(なおこの料金は便数、座席提供数が限定されていた)。 ちなみに、この運賃で衝撃を呼んだライアンエアーは、多くの路線に事前購入割引で0.01ユーロの運賃を設定していた。

アメリカの大手格安航空会社のサウスウエスト航空が確立したビジネスモデルに忠実に、大都市の第一国際空港を使用せず、郊外の第二、第三国際空港を使用したり、インターネットによる航空券の予約が中心で販売代理店は置かないなど、様々なコストを省くことでこのような料金を実現している。

発着する空港[編集]

前述したように、ライアンエアーが使用する空港は発着にかかるコストを抑えられる大都市郊外のセカンダリー空港(secondary airport)であることが多い。パリにおけるボーヴェ空港、ストックホルムにおけるスカブスタ空港など、ライアンエアーが拠点とする大都市郊外の空港の多くは、大都市からの距離が遠すぎるために他のキャリア(ウィズエアーを除く)は就航に対し積極的でなく、結果としてライアンエアー以外のキャリアがほとんど就航しない状態となっている。一方で、マドリードにおけるバラハス空港、ロンドンにおけるガトウィック空港のように、大手航空会社と同じ空港に乗り入れる例も存在する。ライアンエアーの最大のライバルであるイギリスのイージージェットは大都市においても主要空港への乗り入れを志向し、またライアンエアーの空港の選定について批判的である。ライアンエアーもまたイージージェットを「高運賃のキャリア」であると攻撃することがしばしばある。

近年はギリシャ・スペイン・イタリア・モロッコなど地中海沿岸諸国の温暖な都市への就航や季節定期便の運航に積極的である。

ライアンエアーは各空港との就航交渉に際して、空港使用料及び着陸料の大幅な割引や新規路線開設に対する補助金の拠出、広告費の負担を求めることが一般的である。また、低運賃を維持するための充分な補助が得られないと判断した場合は空港からの撤退、または路線の縮小を行い、より条件の良い他空港へ就航することが多い。2004年には、欧州委員会においてワロン地域政府からライアンエアーへの補助金の拠出が違法であるとされた[2]為に、ブリュッセルのサウスシャルルロワ空港とロンドンのスタンステッド空港を結ぶ路線を廃止している[3]。また2009年には、エールフランスKLMが「不正な補助金の受け取り」に対する抗議を欧州委員会に行っている。この抗議によれば、ライアンエアーが受け取っている補助金は年間6億6000万ユーロを超えているとされる[4]

ノーフリル[編集]

シートテーブルとシートポケットが廃止され、安全のしおりがシート裏に張られたライアンエアーのボーイング737型機の機内
荷物入れの蓋には広告が記載されている

コスト削減の一環として機内でのサービスも最低限に抑えている。これらの多くは格安航空会社に共通するものである。

機内外サービスの簡略の一例[編集]

「ヴェーツェ空港」に駐機するライアンエアーのボーイング737−800型機
  • 座席クラスをエコノミークラスに統一。
  • マイレージポイントの提供や座席指定の廃止。
  • 新聞雑誌毛布などのサービスを廃止。
  • 個人用ビデオや機内音楽放送などの機内エンターテインメントの廃止。
  • 機内食や飲料の無償提供の廃止と有料販売化。
  • 機内シートのリクライニング機能とシートテーブル、シートポケット廃止。
  • 機内シートには掃除しやすい本革張りを使用する。

2009年5月には空港内のチェックインカウンターは、荷物預かり専用カウンターを除き全面撤去。空港での搭乗手続きを廃止し、搭乗券の発行はインターネット上のみとなった。

付加料金[編集]

ライアンエアーの収入は、航空券販売以外の「付加料金」に頼るところが大きい。したがって航空券自体は破格であっても、多くのサービスが有料である場合が多いが、ライアンエアーに限ったことではない。

  •  機内食や飲料は(水も含め)有料販売。(飲食物を持ち込むことは自由である)。
  •  荷物預かりも有料。航空券購入の時点であらかじめ荷物預かりを「予約」をすれば、荷物預かり料金が割引になる。
  •  航空券購入の時点で(特定のデビットカード所持者のみを除き)支払い手数料がかかる。
  •  他の乗客よりも先に搭乗できる(=席を選べる)有料の「優先搭乗」サービスがある。

時折、ライアンエアーは知名度を上げるために実行不可能とも思えるほどの提案を発表し注目を浴びることがある。例としては

  •  座席の一部を撤去し、立ち乗りサービスを開始する[5]
  •  肥満体の乗客に別料金を適用する[6](なお、肥満が多い米国の航空会社にはこのような別料金は実際にある)
  •  受託手荷物を飛行機まで乗客に運ばせる

などがある。

オ-リアリーCEOはイギリスBBCのインタビューで機内トイレの有料化を検討していると語っていた[7]が、後に冗談だと判明した[8]

乗客の待遇[編集]

"bye bye Latehansa"(ルフトハンザ(Lufthansa)と遅れる(Late)をかけたもの)という非難メッセージが後部に書かれた機材も存在する

ライアンエアーの便が遅延したため乗り継ぎ便に乗り遅れた場合でも、代わりの航空券購入は乗客の自己出費となる。乗り継ぐことを前提としていないためである。 競合他社を広告で露骨に攻撃の対象にすることでも知られている。

イギリス放送局による潜入取材[編集]

イギリスの放送局チャンネル4が2人の女性スタッフを同航空会社のキャビンアテンダントとして送り込み5ヵ月半の潜入取材を行ったドキュメンタリーDispatches: Ryanair Caught Napping」がある。日本では世界まる見え!テレビ特捜部(2009年3月23日)で放送された[9]。この作品は航空会社としては信じがたい実態を内部から暴いており、潜入取材の為基本的には生の音声や映像が使用されている。取り上げられた実態は以下のようなものがある。

  • キャビンアテンダントの研修にて「セキュリティに関するテストは法律で決まっているからやっているものであり、運輸省は教科書を見ながらのテスト実施を禁止していないのでテストはノートを見ながら受けてもよい」と指導員が発言。
  • 「25分ですべての乗客を搭乗させなければならないためパスポートチェックは入念にする必要はない。手に持っていればそれでOK」とキャビンアテンダントが発言。番組潜入捜査員がパスポートを通常通りチェックしていると他のクルーに「君がパスポートチェックをやったせいで離陸が遅れた。君の行動は問題だ」と叱責される。
  • 25分と言う短い時間での離陸になるためライフジャケットの再確認や機内清掃などが十分に行われない。
  • キャビンアテンダントのシフトは1日10時間が1週間続くこともあり飛行中で眠りにつく者もいる。またパイロットにも過酷な労働条件が課されており、ある副操縦士は1ヶ月に99.9時間のフライトを行っているという。これは100時間を越えて操縦してはならないという法律ぎりぎりまで労働していることになる。
  • 離陸前に見つかった不具合で真夜中に乗客が機内で3時間以上待たされたにも関わらず、飲み物一つ提供しなかった。パイロットは「安いチケットにはそれなりのサービスしか伴わない。クレームをつける客がいても構わない。他にも客はたくさんいる。これがライアンエアーの理念だ」と発言。

これらすべての内容をライアンエアーは文書で否定している。[10][11][12][13]

将来[編集]

2007年4月、ライアンエアーは新たに長距離路線(おもに大西洋路線)を飛ばす新会社を2009年ごろに設立する計画であると発表した。社名は「RyanAtlantic」(ライアン アトランティック)で、ライアンエアーと同じく低運賃で座席を提供する一方で、これまでエコノミークラスのみの機材で運航してきた方針とは異なり、アッパークラス(ファーストクラス)を設定する方針である。これはヴァージンアトランティック航空などの航空会社に対抗するものであるという。路線は現在ライアンエアーがハブ空港としている空港から、アメリカ国内の約6都市までを結ぶという。ただし(これはライアンエアーに限ったことではないが)、着陸料金が高く混雑しやすい大都市の中心空港は避け、郊外にある小さな空港を使うという方針を踏襲する。現在すでにオハイオ州ポート・コロンバス国際空港への就航を検討し、交渉中である。同空港からはアメリカの格安航空会社・スカイバス航空コードシェア便を運航する計画であったが、スカイバス航空は2008年4月に運航を停止したため、計画は白紙に戻った。使用機材はエアバスA350 XWBボーイング787を40~50機程度調達し投入する予定としている。 運賃は最低で片道10ユーロ(約1320円)とし、最低価格の座席は各便で最大60席ほど提供される予定である。一方でアッパークラスは最大5000ユーロ(約82万円)で、空港へのリムジンサービスやシャワー、ベッドなどを設けたラウンジサービスを提供する予定。目的地としてはアメリカ側はニューヨークボストンデンバーダラスロサンゼルスラスベガス。ヨーロッパ側はダブリンロンドンリバプールフランクフルトバルセロナをそれぞれ予定している。 2010年には、低コストで運用するための機材選定に手間取っていることを理由として、就航を2014年に延期すると公表した。

エアリンガス買収[編集]

アイルランドのフラッグキャリアであるエアリンガスの買収を度々表明しており、2006年、2008年、2012年にはTOBを行った。既にエアリンガスの株式の30%近くを保有する筆頭株主となっているが、エアリンガスからの拒否などにより買収は実現していない。欧州委員会および英国競争委員会は、買収が実現した場合アイルランドにおける新規参入が事実上不可能になってしまうという懸念を示している。

2013年2月12日、ライアンエアーのエアリンガス買収提案は、欧州委員会・ECから拒否される見込みとライアンエアーが発表。ライアンエアーは競争法に基づいて提案したにも関わらず、ECの決定は法に基づいていないとして、弁護士に対してECの決定について裁判所に提訴するよう要求した[1]

路線[編集]

ライアンエアーの就航地、ハブは赤色で表示
主要記事:Ryanair destinations

ライアンエアーはヨーロッパ諸国及びモロッコの164の空港間で路線を運航している。主要ハブ空港はロンドン・スタンステッド空港、本拠地を置くダブリンミラノブリュッセルアリカンテ

所有機材[編集]

ボーイング737NextGen、エアバスA320COMAC C919などの購入によるさらなる飛行機の増備が検討されたが、各メーカーとの価格交渉が不調に終わっていた。

2013年3月にはボーイング社にボーイング737-800を175機発注した。175機の中には古い機体を置き換えるためのものも含まれ、400機体制とすることを目標としている[14]

同社が発注したボーイング製旅客機の顧客番号(カスタマーコード)はASで、737-8ASとなる。

関連項目[編集]

脚注[編集]

外部リンク[編集]