コードシェア便

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コードシェア便の案内表示。同一便に複数の便名が付与されていることが分かる。

コードシェア便(コードシェアびん、Code sharing)とは、一つの定期航空便に複数の航空会社の便名を付与して運航される便を指す。事実上は同一便の複数社による販売形態と言っても差し障りない。共同運航便とも呼ばれる。

概要[編集]

この運航形態は、複数社による座席の販売強化や運航効率の向上を狙って実施される。

全日本空輸の乗務員・航空機で運航される国際線の例を挙げると、同じスターアライアンスメンバーであるアシアナ航空中国国際航空ユナイテッド航空コンチネンタル航空ルフトハンザドイツ航空などの便名が付与される場合がある。

つまり、全日本空輸の航空機で運航される便でありながら、アシアナ航空の便としても航空券が販売され、マイレージサービスについては、それぞれ購入した会社のサービスが受けられる。この際、チェックインや荷物の受け取りなどの手続きは、全日本空輸の窓口に出向く必要があり、利用客に対して混乱が発生する原因にもなっている。したがって、コードシェア便を利用する場合には、成田国際空港など航空会社によってターミナルが分かれている空港では、受付カウンターの場所などをきちんと確認しないと、ターミナルを間違えることもある。

表記上の違いとして、自社が運用し他社の販売分の席があるものを「共同運航便」、他社が運用し自社の販売分の席があるものを「共同運送便」と区別されていることがある。この例は、一般には鉄道時刻表として有名な『JTB時刻表』(JTBパブリッシング発行)に見られる。

国内線におけるコードシェア便[編集]

海外航空会社とのコードシェア

地方空港から大都市の国際空港を結ぶ便を中心に、国内線でもコードシェア便が運航される。 例えば、福岡空港から成田空港を結ぶ全日本空輸の便においてはエア・カナダニュージーランド航空などの便名が付与される。これにより、海外の航空会社にとっては日本の地方空港から自国まで、あるいはその逆経路も一貫して(便名上は)自社の便として販売することが可能となる。同時に、日本の航空会社にとっては海外の航空会社の利用客にまで販路が広がる。このような場合、海外航空会社便として搭乗できるのは国際線乗り継ぎを行う場合だけで、国内線区間だけを搭乗する場合は実際に運航する会社の便としてのみ購入可能となっている。

国内航空会社間のコードシェア

国内の航空会社同士においてもコードシェアが行われ、この場合は大手航空会社が地方に拠点を置く新興航空会社の便を自社便として販売することが多い。大手航空会社にとっては就航地・便数を増加させることが、新興航空会社にとっては販路が強力な大手経由で一定数の座席の確保が可能となる。利用客にとっても一社に集約してマイレージ加算が可能になったり、大手主催のパックツアーで新興航空会社の便を利用できたりするなどのメリットがある。

日本国内線におけるコードシェア関係は次の通りである

アライアンスによるねじれ[編集]

日本の国内大手二社の例を挙げる。

日本航空(ワンワールド加盟)と他アライアンス加盟会社との提携[編集]

以下の航空会社とコードシェア便による運航がある。エールフランス・中国東方航空はマイレージの提携も行っている。(2014年6月現在)

日本航空のワンワールド加盟前は、ワンワールド・スターアライアンス・スカイチーム加盟の航空会社と二社間提携によりコードシェア便が運航されていた。ワンワールド加盟後もスターアライアンス・スカイチーム加盟の航空会社とのコードシェアが継続され、異なるアライアンス間におけるコードシェア便の運航が見られる。中国東方航空と大韓航空のように、日本航空のワンワールド加盟後もコードシェア便の拡充が図られている会社もある。

2010年10月まではスカイチームメンバーのアリタリア航空とのコードシェアを行っていたが、日本航空のイタリア撤退により解消された。

2012年3月24日まではスターアライアンスメンバーのニュージーランド航空ともコードシェアを行っていたが、同社は日本航空との間でのコードシェア便運航を打ち切り、日本側のコードシェア相手を全日本空輸に変更した。

タイ国際航空は日本航空だけではなく、スターアライアンスメンバーの全日本空輸とも成田国際空港発着便を中心にバンコク線のみならず日本国内線、タイ国内線、北米線でコードシェアを実施している。

2014年4月22日には大韓航空の日本発着路線の全便が、日本航空とのコードシェア便となった。[2]

全日本空輸(スターアライアンス加盟)と他アライアンス加盟会社との提携[編集]

以下の航空会社とコードシェア便運航およびマイレージの提携を行っている。(2014年6月現在)

2013年10月30日にワンワールドへ加盟したカタール航空東京(成田)大阪(関西)ドーハ線は、同じくワンワールド加盟である日本航空および、スターアライアンス加盟である全日本空輸による日本国内の航空大手二社によるコードシェア便となっている。日本航空と全日本空輸の便名が同時に付与される例は、成田・関西-ドーハ線のカタール航空運航便のみである。2014年6月18日から開設された東京(羽田)~ドーハ線は、日本航空との間でのみコードシェアを実施している。

カタール航空は元々全日本空輸との間で二社間提携を行っており、カタール航空のワンワールド加盟以前は二社間でのコードシェアであった。同社のワンワールド加盟後は、全日本空輸とのコードシェアをそのままを継続し日本航空もコードシェアに加わる形になった。

2014年8月31日をもって、全日本空輸とカタール航空とのマイレージ提携およびコードシェア便運航が終了し、カタール航空の日本での提携先は日本航空に一本化される。

なお、ワンワールド加盟前に全日本空輸との間でコードシェア便を運航していたマレーシア航空の場合は、同社のワンワールド加盟前[4]2012年5月31日をもって全日本空輸との間でのコードシェア便運航とマイレージ提携を打ち切り、2012年7月1日から日本側のコードシェア相手を日本航空に変更している。日本航空とのマイレージ提携はマレーシア航空のワンワールド加盟日である2013年2月1日から開始された。

TAM航空はかつてスターアライアンスに加盟していた。2014年3月30日にスターアライアンスを脱退し、翌日ワンワールドへ加盟したが全日本空輸とのコードシェア便運航とマイレージ提携は継続されている。ただし、同社のスターアライアンス脱退後はANAマイレージクラブにおいて、上級会員になるための基準となっているプレミアムポイントの加算は対象外となる。また、TAM航空の特典航空券も同社区間単独での利用となった。同社のワンワールド加盟日からは日本航空ともマイレージの提携を行っている。

USエアウェイズはワンワールド加盟であるアメリカン航空との経営統合に伴い、2014年3月30日にスターアライアンスを脱退し、翌日ワンワールドへ加盟したため同社のスターアライアンス脱退日をもって全日本空輸との間でのコードシェア便運航とマイレージ提携を打ち切り、日本側のマイレージの提携相手を日本航空に変更している。日本航空とUSエアウェイズはコードシェアを現在実施していないが、経営統合相手のアメリカン航空とUSエアウェイズとの間でのコードシェアは開始されている。

2014年4月25日からはガルーダ・インドネシア航空との間でコードシェア便運航とマイレージ提携が開始された[5]

運航面も含めた「共同運航便」[編集]

「共同運航」には、機材や乗務員についても運行会社を越えて共通化するケースが稀にある。こういった形態をジョイント・オペレーションと呼ぶ。

  • 1967年に開設されたモスクワ - 羽田線でのアエロフロート・ソビエト連邦国営航空と日本航空との共同運航便。機材(ツポレフTu-114)と運航乗務員はアエロフロートのみが提供していたが、客室乗務員はアエロフロートと日本航空がそれぞれ半数ずつ乗務しており[6]、機体の前方には「JAPAN AIRLINES」の文字と日本航空のロゴ(鶴丸)がペイントされていた。また、経費負担と運賃収入についても両者で折半となっていた。この形態での運航は1969年まで続けられ、以降はそれぞれでの単独運航となった。
  • ウィーン - 成田線での全日本空輸とオーストリア航空による共同運航便。週3往復の運航のうち、機材と運航乗務員についてはうち2往復はオーストリア航空が、残り1往復は全日本空輸が提供していたが、オーストリア航空機材の便では全日本空輸の客室乗務員も乗務していた。2003年4月に週5便へ増便して以降は、全日本空輸の乗務員がオーストリア航空機材便に乗務することはなくなった。
  • 全日本空輸とアシアナ航空は2007年10月28日以降、東京(羽田) - ソウル(金浦)線において相互コードシェアを実施しているが、同時に日本語韓国語の言語サービス向上などに努めるため、全日本空輸所属の日本人客室乗務員をアシアナ航空運航便に、アシアナ航空所属の韓国人客室乗務員を全日本空輸運航便に乗務させるようになった。

その他[編集]

  • 他社から席の提供を受けているコードシェア便をマイレージの特典として認めているケースはほぼないため(全日本空輸に対するエアージャパンなどの自社子会社は除く)、コードシェアでカバーしている地域への特典航空券が取得できないケースが発生することが多い。この時には提携航空会社としてマイレージによる特典航空券を取得することになるが、国内接続線が認められず別途手配が必要であり、必要マイレージ数が割高になるケースが多い。
  • 往々にして提供元の航空会社の便名の航空券を購入した方が割安になりがちである。自社手数料を卸値に上乗せしているケースが多いのに対し、提供元は卸値で一般販売しているケースが多いためである。
  • 燃油サーチャージについては、原則として航空券に印字されている航空会社のサーチャージ額が適用される。したがって、同一便でも航空券によってサーチャージ額が異なる場合もある。

脚注[編集]

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  1. ^ ジェットスター・ジャパン(JJP)の便を日本航空(JAL)便名で搭乗できるのは、JJP経由でJAL国際線に乗り継ぐ場合のみ
  2. ^ [1] 大韓航空が運航する日本=韓国全路線・全便でコードシェアを実施 - 日本航空ホームページ
  3. ^ [2] カタール航空(QR)とのコードシェアおよびマイレージ提携の終了について - ANAホームページ
  4. ^ [3] マレーシア航空がワンワールド・アライアンスに正式加盟 - 日本航空ホームページ
  5. ^ [4] ガルーダ・インドネシア航空とのマイレージサービス提携開始のお知らせ - ANAホームページ
  6. ^ 日本就航45年 | Aeroflotによれば、「日本側はソ連側に航空機をレンタルし、パイロットはソ連側、客室乗務員は日本とソ連の混成」だったという。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]