ワルソー条約

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国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約
通称・略称 ワルソー条約
署名 原条約: 1929年10月12日(ワルソー
ヘーグ改正条約: 1955年9月28日(ヘーグ
モントリオール第4議定書: 1975年9月25日(モントリオール
効力発生 原条約: 1983年10月2日
ヘーグ改正条約: 1963年8月
モントリオール第4議定書: 1998年6月
条約番号 原条約: 昭和28年条約第17号
ヘーグ改正条約: 昭和42年条約第11号
モントリオール第4議定書: 平成12年条約第6号
主な内容 国際航空運送に関する航空運送人の責任や航空運送状等について
関連条約 モントリオール条約
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ワルソー条約(ワルソーじょうやく)は、国際的な航空貨物、旅客の運送に関する、航空運送人の責任や航空運送状の記載事項等を定める条約である。正式名称は国際航空運送についてのある規則の統一に関する条約: Convention for the Unification of Certain Rules Relating to International Carriage by Air: Convention pour l'unification de certaines règles relatives au Transport aérien international[1]。日本は1953年に批准した。条約名の「ワルソー」とはポーランド首都ワルシャワ英語読みである。

概要[編集]

本条約は、出発地および到着地の双方が当事国である国際航空運送に適用される(第1条第2項)[2]。責任原則としては過失推定主義を採用し、損害賠償責任の限度額を定めている。

国際裁判管轄を定める条約で日本の締結しているものは数少ないが、本条約はその一つであり、第28条第1項は「責任に関する訴は、原告の選択により、いずれか一の締約国の領域において、運送人の住所地、運送人の主たる営業所の所在地若しくは運送人が契約を締結した営業所の所在地の裁判所又は到達地の裁判所のいずれかに提起しなければならない」と定めている。

課題[編集]

本条約では航空運送人の損害賠償額の制限を定めているが、その制限額が旅客の死亡時でも12万5千金フラン=約140万円(ヘーグ議定書により25万金フラン=約280万円に改定)にとどまるなど、署名当時からの経済情勢の変化に対応できていない[3]。また、貨物に関する損害賠償額の上限は1キログラム当たり250金フランであるが、運送人に「wilful misconductまたは法廷地の法においてそれと同視されるdefault」[4]がある場合には上限が適用されないため、当該事由の有無をめぐって争いになることも多かった[5]。これらの課題を解決するためモントリオール条約が作成され発効に至ったが、ワルソー条約の当事国中にはモントリオール条約を締結していない国も存在し、そのような国を出発地または到着地とする運送については引き続きワルソー条約が適用されている。

脚注[編集]

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  1. ^ 後述のモントリオール条約も正式名称は同一である。
  2. ^ 言うまでもないが、国内航空運送には適用されない。
  3. ^ そのため、欧米・日本の主要航空会社は自主的に運送約款を改定することにより人身事故に関する損害賠償額の上限を撤廃していたが、発展途上国などにワルソー条約による責任制限を享受する航空会社が残っていた。中華航空140便墜落事故も参照。
  4. ^ 日本では「重過失」に当たるとされる。
  5. ^ かかる訴訟は、損害が発生した貨物に対してあらかじめ保険契約を締結していた損害保険会社が、荷主に対する保険金の支払いにより航空会社に対する損害賠償債権を取得して提起することが多かったという。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]