機動戦士ムーンガンダム

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機動戦士ムーンガンダム
ジャンル SF、ロボット(ガンダムシリーズ
漫画
原作・原案など 福井晴敏(ストーリー)
作画 虎哉孝征
出版社 KADOKAWA
掲載誌 ガンダムエース
レーベル カドカワコミックス・エース
発表号 2017年11月号 - 連載中
巻数 既刊2巻(2018年9月26日現在)
その他 メカニックデザイン:形部一平
原案:矢立肇富野由悠季
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画アニメ
ポータル 漫画アニメ

機動戦士ムーンガンダム』(きどうせんしムーンガンダム、英語題:MOBILE SUIT MOON GUNDAM)は、福井晴敏(ストーリー)、虎哉孝征(漫画)による日本の漫画。および同作に登場する主役ロボットモビルスーツ、以下MS)の名称。『ガンダムエース』(KADOKAWA)にて2017年11月号から連載中。

ガンダムシリーズ」のうち、宇宙世紀を舞台とする作品のひとつで、テレビアニメ機動戦士ガンダムΖΖ』(宇宙世紀0088年)からアニメーション映画機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(宇宙世紀0093年)までの空白期間(宇宙世紀0092年)を描く物語である。

『ガンダムエース』連載時には扉絵に『機動戦士MOONガンダム』とタイトル表記されているが、同誌の目次ページ、『ComicWalker』連載時や単行本では『機動戦士ムーンガンダム』の表記が用いられている[1][2]

製作の経緯[編集]

福井晴敏が、小説『機動戦士ガンダムUC』を執筆する以前に提出した企画を再構成した漫画作品。提出当時は、サンライズからの「ファン全体を鷲づかみするような作品を」という意見からお蔵入りとなり、改めて『UC』が企画された経緯をもつ。それ以来、福井は当初の企画の存在を忘れていたが、『機動戦士ガンダムUC GREAT WORKS 完全設定資料集』(バンダイビジュアル刊)にその企画を掲載したことをきっかけに、再び作品化することを決意した[3]

物語は、『機動戦士ガンダムΖΖ』に登場する機械文明を捨てた部族「光族(ひかりぞく)」が住むスペースコロニームーン・ムーン」で展開され、地球連邦軍ネオ・ジオン軍の争いに巻き込まれた主人公たちの戦いを描く。作品の舞台をムーン・ムーンとした理由は、多数の作品と複雑化した設定によって一度『ガンダム』を離れていた旧来のファンが戻りづらい状況を、宇宙世紀の時代から忘れられたムーン・ムーンの住人たちに重ね合せ、「忘れられた側の視点から改めて宇宙世紀を見てみよう」というアイディアにもとづいている[3]

漫画の作画は、同じく福井原作の『終戦のローレライ』の漫画版を手がけ、『ガンダムエース』誌上でも『機動戦士ガンダムUC テスタメント』『機動戦士ガンダム MSV-R 宇宙世紀英雄伝説 虹霓のシン・マツナガ』を連載していた虎哉孝征、主要メカのデザインは『ガンダム Gのレコンギスタ』『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』などに参加していた形部一平が起用された。なお、一部のメカは虎哉自身がデザインをおこなっている。

あらすじ[編集]

宇宙世紀0091年。ティターンズの残党を追っていた地球連邦軍外郭部隊「ロンド・ベル」のパイロット「アムロ・レイ」は、残党が投入した謎のガンダム「G-ドアーズ」を苦戦の末に撃破する。

宇宙世紀0092年。「忘れられたコロニー」と揶揄される旧式スペースコロニー「ムーン・ムーン」では、「4年前」の悲劇を繰り返さないために機械の力に頼ることを戒め、人々が牧歌的な暮らしを送っていた。そんなある日、1年前にアムロが撃墜したG-ドアーズの頭部と、それに付随するサイコプレートがムーン・ムーンに漂着、外壁に衝突する。この出来事によってコロニーの環境に不具合が生じたため、ムーン・ムーンの人々はコロニー公社に修理を依頼するために使者を派遣するが、彼らが乗った宇宙船は、ネオ・ジオン軍の残党とロンド・ベル隊の小競り合いの場に迷い込む。友人を助けるために船の外に出たユッタ・カーシムは戦闘に巻き込まれて戦場を漂流するが、ネオ・ジオンの試作MS「バルギル」のパイロットであるアゴス・ラガートに助けられ、バルギルのサイコミュシステムを介し、同じく戦場で漂流したジオンの皇女「ミネバ・ラオ・ザビ」を探し当てるという活躍を見せる。

ムーン・ムーンはネオ・ジオン残党を「停泊中にコロニーの修理を手伝う」という条件で迎え入れるが、それを追ってきたロンド・ベル隊、およびミネバの暗殺をもくろむネオ・ジオン過激派との戦闘が勃発する。ユッタは避難途中に負傷したアゴスに代わり、G-ドアーズの頭を積んで応急修理を施したバルギル改め「ムーンガンダム」を起動させ、ムーン・ムーンの人々を助けるために出撃する。

作中設定・用語[編集]

ムーン・ムーン
サイド1建設の前線基地として100年以上前に建設された旧型コロニー。自然回帰主義者が多く住んでいたことから、現在もその伝統を受け継いだ風習が続いている。
光族の教え(ひかりぞくのおしえ)
「行き過ぎた機械文明は人を狂わせ、戦争に駆り立てる」という教えのもと、人々に自然を活かした生き方を説くムーン・ムーンの掟。この教えのために若い世代は通信機や電波の存在すら知らず、外界と連絡する場合は宇宙船で先方に直接出向くなど、生活水準の著しい低下を招いている。また、コロニーの環境悪化に伴う疾病にも民間療法レベルでしか対応しないため、ユッタの父のような犠牲者を生んでいる側面もある。
戦士隊
ムーン・ムーンの軍隊にあたる集団。光族の教えにもとづいて銃砲などの近代火器は支給されず、剣や槍など前時代的なものしか装備していない。
アルツトの民
過去にムーン・ムーンに戦乱を生んだ元凶として追放され、地下での暮らしを強いられる人々。機械の知識をもっており、コロニー公社との連絡は彼らを通して行うなど、罪人ではあるがコロニーの環境維持には欠かせない役割を担っている。

登場人物[編集]

ムーン・ムーン[編集]

ユッタ・カーシム
本作の主人公。好奇心旺盛な15歳の少年で、ムーン・ムーンに眠るさまざまな機械を独自に研究している。幼少時にムーン・ムーンの掟により適切な医療処置を受けられなかった父親を病で亡くしており、以来「良いものはたとえ外の技術であっても取り入れるべき」という考えをもつようになった。それゆえに、掟を守ろうとする幼なじみのサキや大人たちと衝突することが多い。
漂着したG-ドアーズの頭部に興味を示したことがきっかけで、特例としてムーン・ムーンの「戦士隊」に入隊し、コロニー公社にムーン・ムーンの修理を求める使者の一員として出立する。移動中の事故で宇宙に放り出された友人のマウノを救うべく飛び出し、ネオ・ジオン軍とロンド・ベル隊の戦いに巻き込まれる。そこでネオ・ジオン軍人のアゴスに救われ、その乗機であるバルギルのサイコミュと同調し、宇宙に出ていたミネバを探し当てるという成果を上げる。
ネオ・ジオン過激派とロンド・ベル隊の戦闘が始まった際、戦闘に巻き込まれて負傷したアゴスに替わって、G-ドアーズの頭部を取り付けたバルギルこと「ムーンガンダム」を操縦し、人々を守るために出撃する。
ユッタの祖父
カーシム家の長で、ユッタからは「お爺」と呼ばれている。本名は不明。ジオン公国出身者で、40年前にある事情からムーン・ムーンに移住した。外界の生まれゆえに機械の知識も相応にあり、村の知恵袋として尊敬を集めている。ユッタが幼少のころ、自分の息子(ユッタの父)が大病を患い、ほかのコロニーで治療を受けさせれば助かる可能性があったにもかかわらず、ムーン・ムーンの掟を遵守して外に出すことを許さず、結果として死なせた過去がある。ユッタがサイコミュを通じてミネバと感応したことについてはある程度理解を示すが、外からの来訪者であるネオ・ジオンそのものについては、争いを呼ぶ者として否定している。
カーリナ・カーシム
ユッタの母。ムーン・ムーンの掟のために夫を死なせたことを悔やんでいる。
サキ・メントー
ユッタを想う幼なじみの少女。掟に背いて機械いじりに没頭するユッタを再三注意しているが、それもユッタの個性として受け入れようとも思うようになる。ミネバがムーン・ムーンに来訪して以降は彼女に対する嫉妬心を見せ始める。
マウノ
ユッタの友人で、臆病な性格の少年。頬に痘痕があるのが特徴。
サラサ・ムーン
初出作品は『機動戦士ガンダムΖΖ』。ムーン・ムーンの長を務める巫女。
機械に頼ることを戒める「光族の教え」を伝え広めている。以前は絶対によそ者を受け付けないという姿勢をとっていたが、4年前の戦いで姉妹の ラサラを亡くしたことを教訓とし、ある程度の柔軟性を示すようになった。
リナート・リヒト
ムーン・ムーンの文化遺産を守るリヒト家の長男で、コロニーの自警団「戦士隊」の長。機械文明を否定する立場でありながら、機械の知識を有する罪人であるアルツトの民と密かに交流している。
レイメル
コロニー地下の「子捨ての森」と呼ばれる場所に幽閉されているアルツトの民のひとり。

ネオ・ジオン軍残党[編集]

ミネバ・ラオ・ザビ
初出作品はシリーズ第1作である『機動戦士ガンダム』で、『機動戦士Ζガンダム』以降の作品で本格的に登場。ジオン公国の皇女で、ザビ家の末裔。
本作では偽装貨物船「アタラント3」での逃亡生活を送っているが、ロンド・ベルとの戦闘に巻き込まれたことをきっかけにムーン・ムーンに寄港し、ユッタと知り合う。
リセ・ジェナロ
アタラント3の女性艦長。階級は中佐。クルーからは「オフクロさん」という愛称で呼ばれている。
アゴス・ラガート
アタラント3に所属する強化人間パイロット。階級は少尉。搭乗機は「バルギル」。強化人間特有の精神の不安定さは見られず、素直で人当たりのよい青年。人工ニュータイプらしい勘の良さをもっているが、バルギルのサイコミュを稼動させるほどの能力はなく、同僚たちからは半人前あつかいされている。
宇宙に放り出されたユッタを偶然助け、ともにミネバを探し当てたことが縁で知り合い、負傷した自分に代わってバルギル(ムーンガンダム)をユッタに託す。
オルボ・マルシェフ
アタラント3のMS部隊「チームデルタ」の隊長。搭乗機は「アルス・ジャジャ」。
アンスガル・ゴロン、クラース・バッケル
「チームデルタ」に所属するパイロットたち。搭乗機は「ガズアル・グラウ」(アンスガル)と「ガズエル・グラウ」(クラース) 。
シュランゲ隊(ガット、レフィ、マース)
ネオ・ジオン過激派のリユース少佐が指揮する部隊。階級は隊長のガットが大尉、部下のレフィとマースは中尉。搭乗機は「メドゥッサ」。不慮の事態でムーン・ムーンにミネバの存在をさらしたアタラント3を見限り、機密保持のためにロンド・ベルやムーン・ムーンもろとも抹殺しようとする。

地球連邦軍外郭部隊「ロンド・ベル」[編集]

サフィラ・ガードナー
シャア・アズナブル捜索任務のためにラサ司令部からラー・ギルスに派遣された女性中尉。搭乗機は「シータプラス」。
ウバルド・モリーナ
ラー・ギルスMS隊の隊長。階級は大尉。搭乗機は「ジムIII・パワード」。整備スタッフからは最新鋭機のジェダに乗り換えることを勧められているが、ジムが好きだという理由で固辞している。
ラウロ・バチーク
ラー・ギルス艦長。
ベルニス
ラー・ギルスの女性MS整備士。階級は曹長。
アムロ・レイ
『機動戦士ガンダム』の主人公で、以降の宇宙世紀作品にも主要人物や主人公として登場。一年戦争時にガンダムのパイロットとして多大な戦果を挙げたニュータイプの青年。
本作冒頭では乗機のリック・ディジェとともに登場し、ティターンズ残党のG-ドアーズを苦戦しつつ撃破する。
ブライト・ノア
初出作品は『機動戦士ガンダム』で、アムロと同じく以降の宇宙世紀作品にも登場。一年戦争時の「ホワイトベース」を初めとする歴代のガンダム搭載艦の艦長を務めた人物で、本作以降の年代の作品ではロンド・ベル司令兼旗艦「ラー・カイラム」艦長。
『機動戦士ガンダムΖΖ』にて、「アーガマ」艦長としてムーン・ムーンに寄港した経験があるが、その記録は極秘あつかいとなっている。本作ではサフィラのシャア追跡という目的に協力し、自分の記憶にある限りのムーン・ムーンの情報を提供する。

登場兵器[編集]

各兵器の詳細はリンク先を参照。

主役機とその原型機[編集]

AMS-123X-X ムーンガンダム
ユッタ・カーシムの搭乗機。バルギルの胴体に、G-ドアーズの頭部と8枚の遠隔操作兵器「サイコプレート」を移植した機体で、背部に半月状に連結された「サイコプレート」の形状から「ムーン(月)ガンダム」と命名される。
AMS-123X バルギル
アゴス・ラガートの搭乗機。サザビーのプロトタイプとなるネオ・ジオン軍のサイコミュ搭載型MSで、外見や武装もサザビーに類似している。
G-ドアーズ
ティターンズ残党が保有するサイコミュ搭載型ガンダム。本作冒頭でアムロのリック・ディジェに倒され、残骸となった頭部とサイコプレートはムーン・ムーンで勃発する騒乱のきっかけとなる。

ネオ・ジオン軍の兵器[編集]

AMX-104L アルス・ジャジャ
オルボ・マルシェフの搭乗機。R・ジャジャに長距離狙撃用武装と高精度センサーを組み込んだ機体で、原型機の白兵戦能力も兼ね備えた汎用機。
AMX-117RG ガズアル・グラウ / AMX-117LG ガズエル・グラウ
アンスガル・ゴロンとクラース・バッケルの搭乗機。親衛隊(ロイヤルガード)専用機であるガズアルとガズエルの現地改修型で、装飾の撤去や一部武装の変更がおこなわれている。
AMA-103 メドゥッサ
ネオ・ジオン軍過激派に所属するシュランゲ隊の搭乗機。 ハンマ・ハンマの欠点を克服しつつ発展させた準サイコミュ搭載型MAで、ハンマ・ハンマに似たMS形態に変形する。
諸元
アタラント3
ATALANTE 3
艦籍番号 不明[4]
全長 200m[4]
武装 2連装メガ粒子砲×3
対空ビーム砲×複数
5連装ミサイル×2
ほか
搭載数 4機[4]
アタラント3
ネオ・ジオン軍の偽装貨物船。艦長はリセ・ジェナロ。艦載機はバルギル、アルス・ジャジャ、ガズアル・グラウ、ガズエル・グラウ。
ジオン共和国時代の艦を改造した宇宙海賊船で、通常はグレーの地味な民間船らしい外見だが、外装を順次排除することで戦闘艦らしい外見となる。艦首のコンテナブロックはまるごと武装の格納スペースに換装され、両舷には自航能力をもつ脱出艇を計4機、艦艇には4機のMSを積載可能なコンテナをもつ。潜伏活動中のネオ・ジオン軍では、ほかにもこのような偽装艦が複数運用されている[4]
武装は艦首の2連装メガ粒子砲3基、対空ビーム砲多数、5連装ミサイル発射管2門のほか、判明していない武装もある[4]


地球連邦軍の兵器[編集]

MSK-008R リック・ディジェ
アムロ・レイの搭乗機。『機動戦士Ζガンダム』でアムロが搭乗したカラバのMS「ディジェ」の宇宙戦仕様で、同じくアムロが搭乗した「ΖプラスA1型」に似せた朱色とグレーの機体色が特徴。
RGM-86R ジムIII
地球連邦軍の主力量産機で、後発の「ジェダ」やその発展機「ジェガン」の配備に伴い主力を降りる運命にある。
ラー・ギルスに配備された機体は、初代ジムのような赤白に塗装されている。
RGM-86RF ジムIII・パワード
ウバルド・モリーナの搭乗機。装甲やスラスターなどを全体的に強化した白兵用の機体。
MSZ-010A1 シータプラス
サフィラ・ガードナーの搭乗機。ΖΖガンダムやその系列機のコンセプトを統合して開発された機体。最大の特長である分離可変機構と火力、機動性を維持しつつ、運用面にも配慮した設計となっている。
SCC-180926 ラー・ギルス
ロンド・ベル所属のクラップ級巡洋艦。グレーと白の艦隊色に塗られ、ジムIII・パワードやシータプラスなどを搭載する。

そのほかの兵器[編集]

キャトル
スペースコロニーの建設に使用されていた旧式の作業機械で、MSの始祖的存在。当時使用されていた1機がムーン・ムーンの御神体として祀られている。

書誌情報[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 「機動戦士MOONガンダム」作品情報|ガンダムエース
  2. ^ 機動戦士ムーンガンダム 無料漫画詳細 - 無料コミック ComicWalker
  3. ^ a b 『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA2017年1月、 34-36頁、 JAN 4910124011171。
  4. ^ a b c d e 『月刊ガンダムエース』、KADOKAWA2018年6月、 80-81頁、 JAN 4910124010686。