ザクIII

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ザクIII (ザクスリー、ZAKU-III) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器で、有人操縦式の人型ロボット兵器モビルスーツ」(MS)の一つ。初出は、1986年放送のテレビアニメ機動戦士ガンダムΖΖ』。

作中の敵側勢力である「ネオ・ジオン軍」の量産機。『機動戦士ガンダム』に登場するジオン公国軍の主力機「ザクII」の発展型として開発され、同機の特徴である高い汎用性と拡張性を持つ。しかし、同時期に開発された「ドーベン・ウルフ」との競合に敗れ、少数生産にとどまったとされる。

劇中では、ネオ・ジオン将校の「ラカン・ダカラン」が主に搭乗し、主人公「ジュドー・アーシタ」が所属する「ガンダム・チーム」らと戦う。終盤では、強化人間となった「マシュマー・セロ」が搭乗する高機動カスタム機「ザクIII改」が登場し、ネオ・ジオンから分裂した「グレミー・トト」派のMSたちを圧倒する活躍を見せる。

当記事では、各派生機についても記述する。

機体解説[編集]

諸元
ザクIII
ZAKU III
型式番号 AMX-011
所属 ネオ・ジオン
建造 ネオ・ジオン
頭頂高 21.0m
本体重量 44.2t
全備重量 68.3t
装甲材質 ガンダリウム・コンポジット
出力 2,150kW
推力 28,400kg×2
19,300kg×6
(総出力)172,600kg
センサー
有効半径
9,700m
武装 ビーム・サーベル兼用ビーム・キャノン(出力2.8MW)×2
ビーム・サーベル×2
頭部ビーム・キャノン×1(出力1.6MW)
試作ビーム・ライフル
ビーム・ライフル×1
バズーカ×1
クラッカー×3
中型ビーム砲(ビーム・キャノンと選択装備)
搭乗者 ラカン・ダカラン
ネオ・ジオン軍一般兵
その他 姿勢制御バーニア×12

旧ジオン公国軍の傑作量産型MS「ザクII」の発展型で、純粋なジオン系MSとしてはザクの名を冠する最後の機体。アクシズへと逃亡した旧ジオンの技術者たちが、地球連邦軍の開発したハイザックマラサイをザクIIの正当な後継機とは認めず、本機の開発へと踏み切ったという経緯を持つ[1][2]

ザク最大の特長である高い汎用性と拡張性をもち、各部に設けられたラッチに多種多様なオプションを装着することが可能。バックパックも偏向スラスター装備の標準型をはじめ複数のバリエーションがあり、推力および装甲面に関しては第4世代MSに匹敵する。

ほぼ同時期に開発されたドーベン・ウルフと次期主力機の座を争ったが、特に突出した火力を持たない本機は競合に敗れ、少数が生産されるに止まる。劇中ではラカン・ダカランがグレーカラーの本機をダブリンで使用する。これに先立つダカール戦では、戦闘への参加は確認できないものの、迎賓館前に立っている姿が確認できる。終盤にも少数が登場する場面がある。


武装
ビーム・サーベル兼用ビーム・キャノン
出力2.8MW[1]。左右フロントスカートに設置されたビーム・サーベル兼用型ビーム・キャノン
ビーム・サーベル
右肩部のシールド内側に収納している[1]
頭部ビーム・キャノン[3]
出力1.6MW[1]。頭部に装備する。
試作型ビーム・ライフル
本機専用に試作された装備。高い出力と射程を誇るが、製作の遅延からR・ジャジャのものを代用する事となった[1]
ビーム・ライフル
開発の遅れから代用された、R・ジャジャ用の物[1]。下部には銃剣を装備する。
バズーカ
脇部ラッチに装着可能。
クラッカー
右肩部のシールド内側に収納された投擲榴弾[1]
中型ビーム砲
ビーム・キャノンとの選択装備。固定武装としては強力な装備[1]
シールド(ハンマ・ハンマ用)
肩部スパイクアーマーのシールドラッチには、ハンマ・ハンマのシールドを取り付けることが可能。
その他装備
バリエーションとして顎部メガ粒子砲の代わりにバルカン砲2門を備えた頭部が検討されていた[1]
デザイン
直接のデザインを担当したのは小田雅弘[4]。モデラーの視点から、『機動戦士ガンダムΖΖ』テコ入れのために、既存の金型を流用して安価に商品化できる機体群[5]ザク・マリナードワッジなど)と同時期にデザインされた。その中でデザインされたオプション装備のアイデアはザクIII改に使用されている[4]
なお、一年戦争末期にジオニック社に社内研究用に残されゲルググ開発用のトライアルとして使用されていた高機動型ザクIIを通称としてザクIIIと呼んでいたが、AMX-011とは別の機体である。

ザクIII(「袖付き」仕様)[編集]

アニメ版『機動戦士ガンダムUC』第7話に登場。 ネオ・ジオン軍残党「袖付き」の所属機であり、ギラ・ドーガ用のビーム・マシンガンを装備、白系のカラーリングはそのままでその他の所属機と同様に「袖」が付けられている。また、フロントスカートがビームサーベルを内蔵した隠し腕を装備した物に、左ショルダーアーマーがザクIII改と同じハイド・ボンブ投下機を内蔵した物に換装されている[6]


ザクIII改[編集]

諸元
ザクIII改
ZAKU III CUSTOM
型式番号 AMX-011S
所属 ネオ・ジオン
建造 ネオ・ジオン
頭頂高 21.0m
本体重量 44.3t
全備重量 71.4t
装甲材質 ガンダリウム・コンポジット
出力 2,860kW
推力 211,500kg
センサー
有効半径
9,700m
武装 ビーム・サーベル兼用ビーム・キャノン×2
ビーム・サーベル×2
30mmバルカン砲×2
ビーム・ライフル×1
ビーム・マシンガン×1(『Twilight AXIS』版)
ハイド・ボンブ投下機
クラッカー×3
搭乗者 マシュマー・セロ
ダントン・ハイレッグ(『Twilight AXIS』版)
その他 姿勢制御バーニア×17

高機動型オプションを装着した指揮官用機。当時のモデルグラフィックス誌内では「AMS-011MC ザクIII マシュマーカスタム」と呼称されることもあった。標準型との相違点は頭部、左ショルダーアーマー、バックパック、リアスカート、膝アーマーなどである。頭部は顎部メガ粒子砲の代わりに30mmバルカン砲2門を装備したタイプに換装され、左右にあった冷却用エア・インテークも廃されている。この頭部形状や緑系の機体色も相まって、従来のザクの意匠に近い姿となった。

ビーム・ライフルは長射程・大出力の専用品に変更され、左ショルダーアーマー先端にはハイド・ボンブ投下機を装備する。リアスカートは大型化され、約8倍に増量されたプロペラントタンクを有するバックパックの換装も併せ、機動性の向上と稼働時間の延長を実現した。

強化人間となったマシュマー・セロの搭乗機のほか、グレミー・トトの反乱時にグレーカラーの機体がアッシマーなどとともに浮かんでいる姿が一瞬のみ確認できる。

劇中での活躍
緑系に塗装された本機にマシュマーが搭乗する。ネオ・ジオンの内乱の際にはプルツーの駆るクィン・マンサやドーベン・ウルフで構成されたラカン・ダカラン率いるスペースウルフ隊と交戦し、その機動性でクィン・マンサの攻撃をかいくぐって撤退に追い込む強さを見せる。しかし、その直後にスペース・ウルフ隊の奇襲を受けた本機は有線アームで四肢を拘束され、身動きの取れなくなったところを高圧電流とビームで攻撃される。マシュマーの精神的高揚によりビームははね返されるが、サイコミュを搭載していない本機はまもなく彼の強大な精神エネルギーに耐えきれなくなり、ドーベン・ウルフ1機を道連れに爆散する。

ザクIII改(『Twilight AXIS』版)[編集]

宇宙世紀0096年を舞台とするウェブ小説および配信アニメ『機動戦士ガンダム Twilight AXIS』に登場。

シャア・アズナブルの搭乗を前提に調整された機体で、第二次ネオ・ジオン抗争後は廃墟となったアクシズ内に放置されていた。シャアのパーソナルカラーである赤系統に塗装され、バックパックと膝アーマーは一般機のものを装着している。一般機と同じ頸部メガ粒子砲をもち、携行武装はギラ・ドーガ用のビーム・マシンガンに変更されている。

ラプラス紛争後、地球連邦軍特殊部隊「マスティマ」とともにアクシズの調査に赴いた元ネオ・ジオンのテストパイロット「ダントン・ハイレッグ」が搭乗し、同じくアクシズに潜入した傭兵部隊「バーナム」のガンダムAN-01“トリスタン”を迎撃する。

ザクIII後期型[編集]

諸元
ザクIII後期型
ZAKU III Late Type
型式番号 AMX-011C
所属 カラード
建造 ネオ・ジオン
頭頂高 21.0m
本体重量 42.5t
全備重量 69.2t
装甲材質 ガンダリウム合金
出力 2,950kw
推力 212,800kg
センサー
有効半径
9,850m
武装 ビーム・サーベル兼用ビーム・キャノン×2
メガ・マシンガンSPS
ザクIIIバズーカ
搭乗者 エルデスコ・バイエ

漫画ダブルフェイク アンダー・ザ・ガンダム』に登場するカラードの汎用攻撃型重MS。

ザクIIIの発展型。オプション換装可能な機体特性はそのままに、さらに汎用性を高めるべく新たな試みがなされている。作戦に応じてバックパックを丸ごと換装可能なほか、頭部や腕部を新タイプのものに更新。そのほか、マシンガンや実体弾バズーカなどの実弾系武装が採用されている。

本機は新生ネオ・ジオンにて開発され、協力関係であった過激派組織NSPに分類される組織「カラード」に供与された。後にネオ・ジオンによって運用されるドーガ系列機の技術的な礎となった機体である[7]

劇中での活躍
劇中では過激派組織カラードのリーダーでありパイロット、エルデスコ・バイエの乗機としてサイド6における連邦軍襲撃作戦に参加し、連邦軍アラハス所属のDガンダムと渡り合った。また、バイエがカラード過激派と袂を分かったのちにパイロット共々アラハスのチームに合流し、ネオ・ジオンの地球寒冷化作戦を止めるべく共闘する。

ザクIII後期型陸戦仕様[編集]

『ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.3 アクシズ戦争編』等に掲載された。ザクIII後期型の陸戦仕様機で、スモークディスチャージャーや砂中用スコープ等が追加されている[7]

ザクIII(『A.O.Z Re-Boot』登場機)[編集]

雑誌・ウェブ企画『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ -くろうさぎのみた夢-』に登場する量産型MS(型式番号:AMX-011G)。「ザクIII」以外の固有名称は設定されていない。

装備換装によるザクIIIの火星重力下での陸戦仕様であり、ジオン軍残党組織「ジオンマーズ」こと火星独立ジオン軍の主力量産機とされる。背部には、同じくジオンマーズのドムIIIと共通のホバー推進ユニットが装備されている。シルエットはザクIIのものに近くなっており、実戦経験のない新兵へのジオン兵としての意識の植え付けと士気高揚を図っている。通常カラーはザクIIと同様のグリーンであるが、チェスター艦隊の所属機は砂漠戦用のデザートカラーで塗装されている。

ジオンマーズはアクシズと協力関係にあり、本機をはじめとするMSの設計は共有されているという。本機も建造は火星プラントで行われている。

ザクIII強行偵察型[編集]

雑誌・ウェブ企画『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ -くろうさぎのみた夢-』に登場する偵察用MS(型式番号:AMX-011EW)。

アクシズとジオンマーズが共同開発したザクIIIの偵察仕様機で、頭部・両肩・股間のカメラと携行型のガンカメラというザクII強行偵察型に準じた装備を有するほか、ルッグンのものと同規格の2基1組の大型レドームアンテナとパネル状ブレードアンテナ2基を1つのバックパックにまとめて装着している。このバックパックは切り離すことも可能。

また、PCゲーム『機動戦士ガンダム リターン・オブ・ジオン』にも、ザクIIIをネオ・ジオン地上部隊が早期警戒用に独自改造した、同名の偵察用MS(型式番号:AMX-110E)が登場している。こちらは、アイザックと同様に頭部と一体化したパッシブ・レーダー・システム内蔵のロト・ドームを搭載し、両腕を外して高機動デバイスを組み込むことで、アイザックに比べて2倍の行動索敵範囲を有するに至っている。

その他のバリエーション[編集]

以下の機体は『モデルグラフィックス』1987年3月号に掲載された模型作例のオリジナル機である。

AMX-011F ザクIIIF型
リゲルグと同型のランドセルを装備したタイプ
AMX-011G ザクIIIG型
オプションとしてスカート・エキステンションブースターを装備したタイプ。接近戦時にはブースターを排除して戦闘に入る。ブースターはコストが高いために、回収して再利用される。
ザクIII 中距離航行型ランドセル装備型
型式番号不明。背部に推進用ノズルとプロペラントを追加した大型のランドセルを装備したタイプ。
AMX-011R-1A ザクIII改 シン・マツナガ機
ワンメイクの改良機として開発された機体で、シン・マツナガの専用機としてかつてと同様の白のカラーリングがされている。
モデルグラフィックス誌の他に電撃ホビーマガジン 2000年8月号にも模型作例としても登場しているが、マツナガがネオ・ジオンに参加していたという設定は、非公式のものである。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i 『1/144 AMX-011 ザクIII』バンダイ、1986年11月、組立説明書。
  2. ^ 『モデルグラフィックス』1987年3月号、大日本絵画。
  3. ^ 『ハイグレードユニバーサルセンチュリー AMX-011 ザクIII』バンダイ、2000年9月、組立説明書。
  4. ^ a b 『GUNDAM WARS II MISSION ΖΖ』大日本絵画、1987年2月、1991年7月(新装版)、84頁。(ISBN 978-4499205269)
  5. ^ 『GREAT MECHANICS 6』双葉社、2002年9月、40頁。(ISBN 978-4575464092)
  6. ^ 『Febri Vol.23』一迅社、2014年6月、29頁。
  7. ^ a b 『ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダム MS大図鑑 PART.3 アクシズ戦争編』バンダイ、1989年6月20日初版発行、121頁。(ISBN 978-4891890193)

関連項目[編集]