機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
機動戦士VS伝説巨神
逆襲のギガンティス
漫画
作者 長谷川裕一
出版社 バンダイ出版課
学習研究社
角川書店
掲載誌 サイバーコミックス
レーベル ノーラコミックスDX
カドカワコミックス・エース
発表号 No.23 - 26
発表期間 1990年9月 - 12月
巻数 全1巻
話数 全4話
テンプレート - ノート

機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス』(きどうせんしたいでんせつきょじん ぎゃくしゅうのギガンティス、GUNDAM VS. IDEON)は、長谷川裕一漫画アニメ作品群「ガンダムシリーズ」と『伝説巨神イデオン』を題材とするクロスオーバー作品である。

バンダイ出版課の漫画雑誌サイバーコミックス』No.23 - 26に『ガンダムVS伝説の巨神』(ガンダムたいでんせつのきょじん)として連載された。その後、単行本化の際に現在の題名に改められている。宇宙世紀を舞台にしており、アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』と『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の期間をつなぐ「仮想作品」として描かれている[1]

制作背景[編集]

ある時、長谷川は『サイバーコミックス』の編集者からガンダム作品の連載の依頼を受ける[2]。この時編集者は、サンライズはもうアムロ・レイシャア・アズナブルも使わないから好きに描いていいと述べたというが、長谷川は自分の気を削がないように言ってくれたのかもしれないと回想している[2]。編集者はガンダムとイデオンが対決するという内容を聞いて大笑いしており、ギャグ漫画と思われたようである[2]。話数は全3話を予定していたが、収まりが悪かったため全4話となった[2]

発想は「東映まんがまつり」の『マジンガーZ対デビルマン』などと同様のものであり、長谷川には同じ制作会社の作品は対決するものであるというイメージが何となくあったという[2]。また、終盤のジュドー・アーシタの台詞には『無敵鋼人ダイターン3』からの引き写しがある[2]

物語[編集]

宇宙世紀0091年、木星圏にいたジュドー・アーシタ地球からの船とともにやってきたアムロ・レイの来訪を受ける。アムロはジュドーにジオンの残党が関わっているとされる超大型モビルスーツらしきものの写真を見せ、それの調査協力を依頼する。超大型モビルスーツらしきものは、木星出身の小説家ヨシユキ・トミノのフィクション作品に登場する人型ロボットにちなんで「伝説巨神」というコードネームで呼ばれていた。アムロは漠然と、小説の中で人類を見限り宇宙を滅ぼした「伝説巨神」は実在すると考えていた。

アムロ達が運んできたモビルスーツ「メガゼータ」に乗り、強行偵察に出た2人とシマ・八丈、鉄面皮の一行は、小惑星の背に固定されている「伝説巨神」とジオン残党の基地を発見する。ジュドーとアムロは巨神内部に潜入、助けを求める何者かの声を感じ取ったジュドーは単独行動を開始し、サイコミュ装置に繋がれて囚われていたミネバ・ザビを発見する。ジュドーはミネバを連れて巨神を脱出しようとするが、ネオ・ジオン軍の基地司令官のヒトーリンが、ジュドーこそがミネバの敬愛するハマーン・カーンを殺害した張本人であると吹き込む。ミネバの絶叫と共に巨神が復活する。

巨神はヨシユキ・トミノの小説に登場する伝説巨神そのものであり、巨神が夢として見せた内容を書き留めたものがヨシユキ・トミノの小説であった。巨神の力によって、アムロやジュドー、シマ、鉄面皮たち、ヒトーリンを反逆者として討伐しに来たシャア・アズナブルの部隊が一蹴される中、ジュドーは巨神のパイロットとされたミネバの救出を決意する。再び巨神に潜入したジュドーは、彼を「有機宇宙(ユウキ・コスモ)」と呼ぶ存在「無限力」の声を聞く。無限力はかつて、宇宙を終局へ導こうとした者たちの憎しみを利用して宇宙を滅ぼし、その後人間が再び過ちを犯さないように、分かり合える力「ニュータイプ」を与えた。だが人間たちはやはり争いをやめなかったため、再び宇宙を無に帰すのだという。無限力はこれを「死」ではなくやり直しだと言うが、ジュドーはこの考えを否定する。ミネバはジュドーによって救出され、巨神はアムロとシャアの攻撃で破壊される。

戦いの後、アムロはシャアとの戦いのため地球圏に戻り、ミネバはアムロの図らいで「ミネバ・アーシタ」としてジュドーの元に残る。

登場人物[編集]

地球連邦軍[編集]

ジュドー・アーシタ
かつて第一次ネオ・ジオン抗争ΖΖガンダムに乗り戦った英雄。木星圏のスペースコロニー「オリュンポス・コロニー」で暮らしていたが、地球からの宇宙輸送艦に乗っていたアムロ・レイに出会う。もう二度と軍とは関わらないと決めていたが、彼に超大型モビルスーツらしき写真を見せられ、協力することを決意する。本作においては『伝説巨神イデオン』の主人公、ユウキ・コスモの生まれ変わりであるとされている。その為、ミネバを救い出すために巨神に乗り込んだ際に、無限力から「ひさしぶりだね、コスモ」と声をかけられる。また、無限力によればアムロとシャアもコスモの生まれ変わりだが、ジュドーが一番、コスモの因子を色濃く受け継いでいるという。
作中、アムロの意志が本物かどうか確かめるためや、ミネバに自分が敵ではないことを教えるためにニュータイプ能力を使っているが、一方でその能力を戦いの場で発揮することはなく、またカミーユ・ビダンパプテマス・シロッコとの決戦で行ったような、死者の思念を取り込み力にすることを否定し(ハマーンプルプルツーララァ等の霊が力を貸そうとするが拒否する)、「生きている者の力」でミネバを救出するなど、ニュータイプの力に頼るまいとする。
アムロ・レイ
超大型モビルスーツの調査のため非公式に木星圏に現れたかつての英雄的存在。ジュドーと共にメガゼータに乗り、途中から参戦したシャアと共に巨神の撃退に向かう。ラストでは「ミネバ・アーシタ」の処遇について便宜を図る。
無限力によれば、彼とシャアもまたユウキ・コスモの生まれ変わりだという。
シマ・八丈(シマ・ハチジョウ)
アムロと共に木星圏に来た女性パイロットだが、専門はデータ分析。鉄面皮と共にメガゼータの援護や巨神のデータ分析を行う。
鉄面皮(てつめんぴ)
アムロと共に木星圏に来たパイロット。仮面をかぶった男性。本名は不明。
シマと共にメガゼータの援護を行う。アムロやジュドーからは火傷を負って仮面を被っていたと思われたが、実は対人赤面症で軍務に支障が出ないように仮面で隠していただけであった。素顔は美形で、それを知ったアムロは苦笑する。

ネオ・ジオン[編集]

ミネバ・ザビ
超大型MSを稼動させるためのキーとして木星圏にてヒトーリンに拘束されている。ニュータイプ能力による精神感応でジュドーを信用するが、姉と慕っていたハマーンを殺したのがジュドーであると吹き込まれ、彼女の悲しみと憎しみによって伝説巨神は発動する。
ヒトーリン
木星圏のネオ・ジオン司令官。ネオ・ジオン本隊からの命令を無視し、巨神を発動させるように仕向ける。
ミネバと巨神の力で「神聖ジオン帝国」を作ると豪語する。最後はザク型のデコプチでオリュンポス・コロニーに逃げ込もうとするが、半ば暴走状態の巨神をコロニーに誘導するような行動だったため、シャアのスザクに撃ち落され爆死する。
シャア・アズナブル
ネオ・ジオンの大部隊を率いて巨神が発動した場に現れ、その場にいたアムロと手を組み巨神の撃退にむかう。
時系列的には本作の2年後に当る『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』と異なり、長髪にサングラスという格好をしている。
無限力によれば、ジュドーやアムロと同じく、ユウキ・コスモの生まれ変わりであるという。

その他[編集]

カイ・シデン
ジャーナリストで元ホワイトベースクルー。ロンド・ベル隊結成式典で登場したアムロ・レイを影武者だと発表するが、後に撤回する(撤回するまでの間にブライト・ノアが接触し、事情を説明したためと思われると描写されている)。
ヨシユキ・トミノ
小説家。宇宙世紀の歴史小説を著述しているほか、「伝説巨神」等のフィクションも手がけている。
無限力(むげんちから)
巨神の核とでもいうべき存在。この世界を見限る決定を下す。
彼(彼女?)によれば、『伝説巨神イデオン』の世界が滅びた後に再生された姿が(宇宙世紀シリーズでの)「ガンダム」の世界であり、ニュータイプ能力は『イデオン』でのような事態が再び起きないようにと、無限力が人類に分け与えた力だという。木星帰りにニュータイプが多いのは、無限力の影響であるとされ、シャリア・ブルパプテマス・シロッコの航海記録には「血まみれの巨神」に会ったと残されている。
ジュドーに語りかけるシーンでは、『イデオン』のカララ・アジバやパイパー・ルウの姿がイメージとして現れている。

登場兵器[編集]

地球連邦軍(主要登場兵器)[編集]

MSΖ-009M メガゼータ
プロトタイプ・ΖΖガンダムの改修機。ΖΖガンダムの2倍の出力を持つ。前腕部をロケットパンチのように分離してオールレンジ攻撃を行う「サイコミュ・ハンド」を装備。またハイメガキャノンの連続使用も可能となっている。
ジム・スナイパー,EX
メガゼータと共に木星圏に運び込まれた機体。巨神の放った全方位ミサイルを受け中破。パイロット達は気絶してしまい、活躍する事は無い。
デコプチ(デコレーション・プチモビルスーツ)
作業用のプチモビルスーツをSD風にデコレーションした物。作中にはガンダムMk-IIゲルググ騎士ガンダムをモデルにした機体が登場している。実際に乗る作業員からは不満が挙がっているが、整備士によれば「流行でこれじゃないと売れない」らしい。なお正確には連邦軍ではなく、木星圏のオリュンポス・コロニーの作業用機であり、冒頭でジュドーも前記のガンダムMk-IIにデコレーションされたプチモビに乗っている。
ジュピトリス級超大型輸送艦(宇宙輸送艦)
木星圏に物資や人員を輸送する超大型輸送艦。物語冒頭に登場する。 メガゼータアムロ・レイ達を、地球からオリュンポス・コロニーに運んできた。

ネオ・ジオン(主要登場兵器)[編集]

木星圏部隊
MS-06 ザクII
作中の宇宙世紀0091年では既に旧型だが、ネオ・ジオン木星圏部隊では警備や作業を中心に現役使用されている。
MS-10 ペズン・ドワッジ
ザクII同様に旧型だが、ネオ・ジオン木星圏部隊では未だに現役。
MS-R12 リックギガン
MS-16 ドガッシャ
デコプチ
ザクIIを模した物をヒトーリンが操縦する。
巨神
遺跡のような姿で小天体の表面に埋まっていた巨大人型兵器(本編中で「イデオン」と呼称されることはない)。
『イデオン』本編よりカラーリングがダークトーンになり、マスク部分にスリット、両肩に二連装砲が増設されている(ただし両肩の砲は使用していない)。発動を阻止しに来たシャアの部隊を圧倒。全方位ミサイルによって壊滅状態に追いやる。
シャア・アズナブル部隊
AMS-110 キタラ
頭部と下腹部から伸びた長い角(下側のは折り畳むことが出来る)の先端を結んで体の前方にビームの刃を形成し、体当たりで攻撃する。大型目標を攻撃する時は四肢を真後ろに向けた突撃姿勢に変形する。足は前後に開き、長方形の板のような腕の、手の甲に相当する部分から細長い槍状の物が3本突き出している。多数機がシャアのスザクに率いられて木星圏に現れ、ヒトーリン一派のMS部隊と交戦するが、発動した巨神に全滅させられる(なお、少なくとも1機はメガゼータに撃破される)。
スザク(S・ザク・ザクIII改・改)
シャアの搭乗するザク系モビルスーツ。スカート部分にビームキャノンを装備している。
MA-08-2 ビグザム
2機登場し、大型メガ粒子砲を巨神に撃つが、バリヤーによって防がれる。その後両機とも巨神に破壊される。作中では「ビグザム」としか呼ばれず、テロップでビグザム改と紹介されている。
ムサイ級軽巡洋艦(宇宙巡洋艦)
ビグザム改を輸送してきた。巨神にビグザム改をぶつけられて撃沈される。
エンドラ級軽巡洋艦(宇宙・大気圏内用巡洋艦)

書誌情報[編集]

  • 機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス(ノーラコミックスデラックス〈学習研究社〉) - ガンダムと無関係のSF短編『わかりすぎた結末 あるいは失笑した宇宙 もしくはキャプテン・オーマイガーの華麗なる挑戦』と併録。
  • 機動戦士Vガンダム外伝(角川コミックス・エース〈角川書店〉) - 『機動戦士Vガンダム外伝』との併録。
  • 機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス(角川コミックス・エース〈角川書店〉) - 前者の改題版。本来はあとがきが追加されるはずだったがミスにより記載されず、長谷川のブログで公開されている[3]

評価 [編集]

ロボット作品のクロスオーバーゲーム「スーパーロボット大戦シリーズ」のプロデューサーである寺田貴信は、本作を「クロスオーバーものの教科書」と評している[4]

「このマンガがすごい!WEB」では、「イデ」・「ニュータイプ」という両作品のテーマを「木星」を軸として繋げた長谷川の想像力を評価している[5]

脚注 [編集]

  1. ^ 長谷川裕一、原案:矢立肇富野由悠季 『機動戦士Vガンダム外伝』、角川書店、1995年、258頁。
  2. ^ a b c d e f 月刊ガンダムエース』2018年5月号、角川書店、2018年、443頁。
  3. ^ 「あとがき」発掘!”. スタジオ秘密基地-長谷川裕一公式ブログ- (2016年1月13日). 2019年1月19日閲覧。
  4. ^ 月刊ガンダムエース』2018年5月号、角川書店、2018年、444頁。
  5. ^ 前島賢 (2017年8月10日). “8月10日は「モーツァルト最後の交響曲、交響曲第41番『ジュピター』を完成した日」 『機動戦士Vガンダム プロジェクト・エクソダス』を読もう! 【きょうのマンガ】”. このマンガがすごい!WEB. 2019年1月19日閲覧。