TYRANT SWORD Of NEOFALIA

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
タイラント・ソード
小説
著者 藍田豊
出版社 ホビージャパン
掲載誌 月刊ホビージャパン
刊行期間 1987年 - 1998年
話数 6話
その他 メカニックデザイン&
キャラクターデザイン:藤田一己
テンプレート - ノート

TYRANT SWORD Of NEOFALIA』(タイラント・ソード・オブ・ネオファリア)は、ガンダムの模型(ジオラマ)に関連した、雑誌の連載企画、小説、フォトストーリー。 月刊模型雑誌ホビージャパン1987年9月号から1988年2月号までの全6回が掲載された。同誌で1986年9月号から1987年8月号まで連載されていた『ジオンの星』に続いて始まった企画である[1]

同時期には、他誌の『モデルグラフィックス』1987年9月号から『ガンダム・センチネル』の連載が始まっていた。

概要[編集]

紙面での表記は「タイラント・ソード」。第1回は短期集中連載特別企画[2]、第2回は短期集中連載特別企画[3]、第3回は短期集中連載[4]、第4回は特別連載企画[5]、第5回は特別連載企画[6]、最終回は特別連載企画[7]と銘打たれた。

企画内容は、模型写真と小説を組み合わせたフォトストーリー(全5回)、デザイン/藤田一己とお手伝い/藍田豊による雑談を交えながら作中の設定を語る『The Art of T.SWORD』(全5回)、フォトストーリーに使用された模型(既存のガンプラの改造もしくはスクラッチビルド)の作例記事(全6回)で構成されている。

フォトストーリー[編集]

ガンダムワールド」をベースにしてオリジナル設定を付加、元地球連邦軍パイロットの架空の著書“ネオファリアの中で”からエピソードを抜粋して構成されたフォト・ストーリー[8]。この物語はTVシリーズの機動戦士Ζガンダムとは、MSの配備状況が微妙に異なっており[9]、TV本編の設定にのっとったパラレル世界でのストーリーである[10]。 本企画連載第3回目の1987年11月号に休載を挟み[11]、全5回が連載された。

コンセプトワークは藍田豊(第1、2回)、藤田一己(第3、4、5回)。デザインは藤田一己(第1、2、3、4、5回)。ストーリーは藍田豊(第3、4、5回)。モデリングは千葉延雄(第1、2、3回)、原田正彦(第3、4、5回)、藤田伸二(第4回)、野本憲一(第5回)、女美由寿(第5回)が担当した。 原稿書を書いているのは藍田豊だが[12]、設定担当[12]、機体解説は藤田一己である[13]

The Art of T.SWORD[編集]

本作品に登場する機体やキャラクターの設定をイラストを添えて、説明するコーナー。

連載第一回では、「The Art of T.SWORD」とは藤田と藍田の対談部分の名称だった。この対談部分は、連載第二回より説明ページから独立。 第二回が『藤田くんのわがままクラブ』[12]、第三回が『フジタ君のデザイナートーク』[14]、第四回が『藤田さんのラリパッパトーク』[15]、第五回が『藤田くんのライナートーク(今回はハイプロだぜ!)』[16]、第六回が『藤田くんのファイナルトーク』[17]

第三回『フジタ君のデザイナートークでは藍田豊に膨大な量の文芸、テクニカルデータ、MSがとても全部は出せそうにないと指摘されていて、藤田一己も説明不足だと自覚していた[14]

反響[編集]

連載開始後、月刊ホビージャパン宛に大量のハガキが送り届けられた。その投書の中には『なにがソードだ、モビルスーツをコケにするな!』と、手厳しい内容のハガキが送られてきた事もあった[15]。だが同誌の投稿コーナー「アニメカン・グラフィティ(ANIMECAN GRAFFITY)」では、読者から送られてきた本作に登場した機体のイラストが掲載され、好評を博したようである[18][19][20][21]。また、連載最終回では、同コーナーで「FOREVER TYRANT SWORD特別座談会 対談で大騒動!」Theme:『タイラント・ソードにおける2Dと3D間のギャップ及びその傾向と対策(!?)』が掲載され、本作を作る上での思い出や苦労話が語られた[22]

ストーリー[編集]

SCENE.1[編集]

地球連邦軍の辺境守備艦隊に所属するキース・マクレガーは、母艦の「ビルケニア」を後にして5分程で作戦宙域に差し掛かった。哨戒機がキャッチした敵機のデータがキースの搭乗しているジムIIにリンクされると、モニターに映し出された機影の脇に次々とデータが表示される。六機はNMS-04 マラサイだと判別出来たが、残る一機については照合不可能で表示されなかった[23]
「常連さんは俺とヒギンズが引き受けた。新顔のエスコートはお前に任せる」同僚のロジャーからの言葉は、この作戦を最後にAE社に出向を命じられていたキースにとってこの上もないプレゼントだった。なぜなら、辺境守備艦隊のパイロットにとって、敵の新型MSと接触することは撃墜マークを増やすこと以上に名誉な事とする風潮があったからだ(これには、当時のネオ・ジオン主力MSマラサイが性能的には、ジムIIに遠く及ばなかった事に起因している)[23]
素晴らしいチームメイトに巡り会えたことと最後の作戦で新型MSに接触できた幸運を神に感謝したキースは、新型に仕掛けるべく自機に加速をかけた。コクピットが軽く振動音を立てて、キースの全身に心地良いGがかかった。数分後、キースの駆るジムIIの照準には、従来のものとは一線を画するフォルムの新型MSの姿が捉えられていたのだった[23]
(キース・マクレガー著「ネオファリアの中で」より抜粋)[23]

SCENE.2[編集]

ネモ・ソードに搭乗しているキース・マクレガーは、ぎしぎしという音をたてて機体が軋んでいるのを感じ取っていた。強化されたはずの耐Gシステムも、このような状況下ではあってなきがごとしだった。コンソールには危険を知らせるランプが瞬いており、今のネモ・ソードは、放り投げられたゴム人形よりも頼りなく見えるだろうと、キースは思っていた[24]
「何とかしなければ…」と頭の中で思っていても、キースの体は言うことをきかない。周囲の状況はキースの処理能力を上回る速度で、目まぐるしく移り変わり、思考に操作が追いついていかないのだ。それもこれも、ネモをベースにした実験機であるネモ・ソードの背部に取り付けられたユニット、SEジェネレーターが悪いのだとキースが注意を向けた時、ネイナ女史からユニットを排除するようにと、ヘルメットの中に通信が鳴り響く。それをキースはまさに女神からの啓示のようだと思った[24]
半ば意識を失いかけていたキースは、ネイナ女史の声に従い、強制排除レバーを入れた。キースは自覚していなかったが、その後、無意識のうちに機体を立て直し生還を果たした。そして、ネモ・ソードの回収作業は極めてスムーズに進んだ[24]
AE社の医療センターの一室で、キースはAE社第13開発局に出向してから初めての休暇を取る羽目になっていて、二日後、ネイナが訪ねてきた。ネイナに気分はどうかと聞かれ、キースは引退を考えていたと返す。この前の記録テープを持ってきたというネイナは、モニターのスイッチを入れると、テープをセットした[24]
(キース・マクレガー著「ネオファリアの中で」より抜粋)[24]

SCENE.3[編集]

タイラント・ソードのテストに手こずるキース・マクレガーに対し、ネイナ・ラフィット・ファルムは今日のテストは期待していいのかと聞く。キースは「それはあの”わがままな坊や”に言ってほしい、いつになったら俺の言う事を聞くようになるんだ」と、逆に質問する。ネイナは「私の人選に間違いがなければ、そう遠くはないはず」と予想を言うが、キースは「とんでもない物を作ってくれたよ、あんた達は」と言って、ネイナと別れ、カタパルトデッキに向かった[25]
デッキではタイラント・ソードの最終チェックが終了しようとしており、キースはメカニックと今回のセッティングについて軽く打ち合わせを済ませると、コクピットへ滑り込んだ。発進するタイラント、キースの見ているモニターの風景は後方に流れ始め、MSに搭乗しているときのような射出時の衝撃はほとんど感じられず、キースはタイラントの耐Gシステムは完璧だと思った[25]
艦から充分に離れた頃合いを見図り、キースはSEジェネレータを作動。シート越しにSEジェネレータ独特の始動音が伝わってきて、モニターにはSEフィールド発生サインが表示、システムは正常に作動していた。タイラントの後方センサーは、タイラントをモニターするために発艦してきたネモ・ソード改プロト3をキャッチする。ソード改は左手を挙げて、キースに準備が完了したことを伝えた[25]
テストターゲットは現在開発中の名称不明の新型MA三機、その機動力の高さは外観からでも想像出来た。しかし、これらはタイラントの敵ではなかった。「行くぞ」とキースがヘルメットの奥で呟き、モードセレクターに手を伸ばすと、シミュレーションによる数条のビームラインを尽く掻い潜り、キースの乗ったタイラントはMAの懐に身体を潜り込ませた。回避パターンを取らずに、直接戦闘パターンに転じたならば、五秒とかからず全機撃墜出来たはずであろう。実際は、回避パターンによるテストも含め、三分弱で三機のMAから撃墜サインがタイラントへ送られた。
この時、タイラントに乗っていたキースの方が正直な話、驚いていた。最新鋭の高機動MA三機を、自分の乗っていた兵器がわずか百八十秒で撃破してしまったのだから。従来の機動兵器戦術論が全く無効に化してしまう、キースはそう予見して疑わなかった[25]
(キース・マクレガー著「ネオファリアの中で」より抜粋) [25]

SCENE.4[編集]

旧式艦スピノソアでタイラント・ソードのテストが終わりに近づいていた頃、キース・マクレガー達に”ジュピトリスへ接触、タイラントにてこれを撃破せよ”という命令が下された [26]
キースの推測する所、アナハイム(あるいは連邦?)の考えはこうである。数ヶ月前に始まったティターンズエゥーゴの内乱は泥沼化しており、この混乱を機に勢力を広げつつあるジュピターズ(木星師団)を牽制して戦力を探り、同時にタイラントの威力を見せつける事で政治的駆け引きの材料とする。もし失敗しても実験兵器でしかないソードならばリスクは少ないはずである[26]
タイラントのセンサーが超高速で接近する不明機を捉えた。大胆にもその機影は単独であったから、それに乗っているのは”パプテマス・シロッコ”という男に違いないとキースは当たりを付ける。大推力を生かして一直線に突っ込んでくるメッサーラ・ディノファウスト・ジュピターに対して、キースはタイラントを格闘戦モード(ドッグ・ファイト)で潜り込ませるや、交差する瞬間、互いの砲が閃光を発した[26]
タイラント・ソードの装備する熱弾型SEキャノンは、ビーム・ライフルの倍の衝撃と共に、数十のエネルギー弾をバラ撒いた。その一つでも命中すれば敵の機体内で解放されたエネルギー粒子が致命傷を与えるはずだったが、キースが火線をすり抜けたように、シロッコもまた全ての熱弾をかわしていた[26]
実戦とテストの違いを改めて思い知ったキースを鋭い衝撃が襲う。背後に回り込んだメッサーラの大口径メガ砲の直撃を食らったのだった。仮にキースの乗っている機体がタイラントでなければ、それで最期だっただろう。タイラントの周囲に形成されたSEフィールドがメガ粒子の威力を弱めて、バリアーの働きをしていたのだった。キースは機体の慣性制御率を最低にセットして、最大出力で視界から遠ざかるメッサーラを追った。このピンチは自分の奔りが生んだ物、タイラントの性能を過信して敵を舐めたからだとキースは考えていた。逆にシロッコは機体の能力を限界まで引き出す戦法に徹することで不利を補っているのだと[26]
慣性制御が弱められ異常に強くなったGに耐えて、喘ぎながらキースはタイラントを最大機動で操り続けた。身体が悲鳴を上げるが、シロッコを倒すためにはこれ以外方法がなかった。火線が交錯して、両機が絡み合う。疲労により判断力が鈍ったキースは、何度めかの黒視症に襲われた時、一発のエネルギー弾でメッサーラの巨大なエンジン・ポッドを貫く事に成功した。しかし強烈な爆光が輝いた瞬間、メッサーラはそのユニットを自ら切り離して機体の誘爆を防いだ。一転して後退をかけるが、その機動力は格段に落ちていた。
「とどめだ!」キースがそう思った時にはコクピット内のあらゆる警告灯が煌めき、激しい戦闘で機体は限界に達していた。実験兵器ゆえの信頼性の低さである。そして予想以上のダメージを負ったメッサーラも、やがてタイラントのセンサーから消えていった。キースはこの戦いが自分の中の”ネクスト・ワン”を目覚めさせる事になったとも知らず、救助を待った[26]
(キース・マクレガー著「ネオファリアの中で」より抜粋)[26]

SCENE.5[編集]

パプテマス・シロッコとの思わぬ接触により作戦の決行は予定より大幅に早められる事となり、スピノソアではタイラント・ソードの修理が急ピッチで進められていた。前回の戦闘で被ったダメージはさほど大きくなかったが、実戦によって得られたデータによりタイラントは若干の仕様変更を余儀なくされた。頭部に接近専用の小型ビームランチャーユニットを設置、「Z計画MS用のビームサーベルとシールドが急遽取り寄せられ、SEジェネレータはより信頼性が高められたAGタイプに換装、タイラント・ソード改”アグレス”へ生まれ変わった。今回の作戦では、完成したばかりのスレイヴ・ソード二機に加え、テスト用の機体であるネモ・ソード改も投入される事になっていた[27]
最後のミーティングが終わり、部屋にはキース・マクレガーとネイナ・ラフィット・ファルムが残っていた。「タイラントとスレイヴの調整は完璧だ」と自信を見せるネイナに「この間みたいに肝心な時に動けなかったというのはゴメンだ」と皮肉っぽく笑うキース。ネイナは眼鏡を外すと、手にしたファイルの中からキースへ一冊のレポートを差し出した。「シロッコの乗っていたメッサーラ・ディノファウスト・ジュピターはあらゆる面に於いて、既存のMSを超越した存在」であるという。「勿論、機体のポテンシャルはソードには遠く及ばないが、艦隊の規模から見て三ケタに近い数字が配備されている」という。キースはこれを聞いて「こちらがいくら最強の機動兵器であろうと、テスト機を入れてたったの四機なのだから、マラサイのような旧式機を百機相手にするのと一緒にするな! 冗談じゃない!」と激昂し、レポートをテーブルに叩きつける。キースはこの時気付いた、ネオ・ファリアは連邦に見放されたのだと。ネクスト・ワンによってのみ作動しうる機動兵器ソードは、その内包するシステムによって時空間をも制御することが可能であり、その存在は連邦の存亡すら脅かしかねない。つまり、連邦の上層部にとっては、ソードの存在は次第に疎ましい物になっており、彼等はジュピターズ(木星師団)がソードの存在に対する脅威からこれを殲滅しようとしていたのを利用して、木星師団とタイラントを共倒れされるつもりだったのだ[27]
スピノソアより射出されたタイラント、それに続き二機のスレイヴと一機のソード改をタイラントにリンクさせて、その操縦をタイラントのコンピュータに委ねる。SEジェネレータが一斉に作動を開始して、キースのヘルメット越しに独特の共鳴音を響かせた。キースは機体のモードセレクターを高速巡航モードに切り替え、三機の機動兵器を従え、作戦宙域へ向かった。数刻後、センサーは旗艦をジュピトリスとした木星師団の艦隊を捉えた。キースはモニターに映る艦影と、その護衛のため、展開した無数のメッサーラに見入っていた。この艦隊をたった一人で相手にすると思うと、キースの心は異様な高揚感に包まれていった。コンソールを操作して、タイラントの管理下にあったスレイヴの操縦系統を、思考制御(コントロール)へ組み入れると、四機の機動兵器はキースの意識化に置かれた。ソード改をそのままの位置に固定し、密集隊形をとった三機のソードを高速巡航モードにしたまま、キースは機体をジュピターズ艦隊の真っ只中へ突入させた[27]
目標は旗艦ジュピトリス。眼前には一瞬にして、全長3キロメートルに及ぶジュピトリスの艦影が迫り、艦隊の周囲には何機ものMAメッサーラ・ディノファウスト・アルファが護衛に当たっていたが、ソード達はそれをいとも簡単に振り切ると、ジュピトリスの巨体目掛け、SEキャノンのエネルギー弾をばら撒き、ジュピトリスの各部に爆光が走った。同じ頃、タイラントとそれに隷従している二機のスレイヴは、既に敵艦の射程圏外へと離脱し、再びジュピトリスへ仕掛けた。今度はスレイヴを散開させて、僚艦である二隻のロンバルディア級の巡洋艦を捕捉、ターゲットは閃光に包まれた。それを意識の隅で確認しつつ、キースはジュピトリスの舷側をなめるように機体を滑らせ、SEキャノンを叩き込んでいく。その目前にメッサーラが飛び込んでくるが、即座にタイラント頭部のビームランチャーでコクピットを撃ち抜いた。この時、キースの”ネクスト・ワン”が確実に発現し始めていて、タイラントとSEシステムの全てが、正にキースの肉体と同化して行った[28]
戦闘宙域から離れたポイントで待機しているソード改のヴィジョンが思考制御回路を介して、キースに伝わる。もう一機のスレイヴに支援をさせて、ソード改に詳しいデータを送ると、たちまち敵艦隊の状況が、イメージとしてキースの思考に取り込まれていった。キースの目はモニターに表示される敵機の機影を追い駆けるが、同時に彼の頭の中では、二機のスレイヴ、ソード改から送られてくる情報を的確に処理していた。キースとその愛すべき僕は僅か五分足らずで、二隻の戦艦と七隻の巡洋艦を沈めていたが、ジュピトリスはまだ沈んでいなかった。木星師団の誇るMAメッサーラ総数84機、彼等は残った戦力をジュピトリスを中心に再編成しつつあった。シールドの裏からビームサーベルを引き抜き、格闘戦モードでメッサーラの群れに突っ込んでいくタイラント。何条ものビームが機体に浴びせられるが、最大出力で形成されたSEフィールドにより尽く弾き返した[28]
群がるメッサーラと伴に、ジュピトリスは既に戦線から離脱しようとしていた。ジュピトリスを墜とさねばと考えるキース。それには搭乗するタイラントの前に、立ち塞がるメッサーラ軍団を粉砕しなければならない。キースは無意識の内に、タイラントのSEフィールドの発生ベクトルをメッサーの群れの方向へ変更し、解き放った。タイラントの胸部周辺から集中したSEフィールドが閃光となって、とてつもない衝撃を伴いながら、メッサーラの群れへ吸い込まれていくと、エネルギーの奔流にのみ込まれたメッサーラ部隊は瞬時にして全滅した。その余波は、彼方のジュピトリスにまで及んだが、破壊されたユニットを分離させて、ジュピトリスは遥かな宇宙空間へ消えていった。この時、キースはタイラントの予想だにしない済まさじい破壊力に我を忘れていた[28]
この戦闘で持てる戦力の大半を失ったパプテマス・シロッコティターンズへ接近を図る事となった。その後、ネオ・ファリアは解体され、撤収されたソードと関連資料は、極秘の内に処分されたと伝えられている。当時のSES開発責任者ネイナ・ラフィット・ファルム博士は、ネオ・ファリア解体直前に行方不明となった。そしてキース・マクレガーは再び軍に戻され、最前線へ送り込まれるのだった[28]

登場人物[編集]

ネオファリアの人物[編集]

キース・マクレガー
26歳。元は地球連邦軍辺境守備艦隊MS部隊のエースで、階級は中尉だった[16]
性格のためか、冷静さに欠ける面もあるが腕は一流である[16]
ネクスト・ワン”と呼ばれる能力の潜在的保有者であり、NF(ネオファリア)による調査の結果ピックアップされ、SE計画の専属テストパイロットとしてアナハイムに出向を命じられタイラント・ソードを駆る事となった。彼の能力が覚醒する時、タイラントもその真の姿を現す[16]
月刊ホビージャパン』1988年1月号の『The Art of T.SWORD』第五回で、藤田一己によるパイロットスーツを着たモノクロ画が掲載された[16]
ネイナ・ラフィット・ファルム
3?才(ラフ画像での説明では、30ん才)[16]。年齢が高いのは藤田が年増が好きだからである[16]
ミノフスキー物理学の権威。SE計画の提唱者で、タイラント・ソードの開発者。旧ジオンの出身[16]
独身で、キースを実験の対象としか考えていなかったが、やがて……という説もあると書かれるが[16]、フォト・ストーリー中でそこまで仲が進展する事は無かった。
月刊ホビージャパン』1988年1月号の『The Art of T.SWORD』第五回で、藤田一己によるアナハイム社の制服を着たモノクロ画が掲載された。タレ目気味で、めがねをかける事もある[16]と書かれた通り、SCENE.5では眼鏡をかけていたが外すシーンがある。
藤田の構想によれば、裏設定がたくさんあり、実は十代にして博士号を取った、ガンダム系のMSが嫌い、キースと「トップガン」するなどの構想があったが、本編で出される事はなかった[17]

地球連邦軍の人物[編集]

ロジャー
辺境守備艦隊のキースの同僚。マラサイ達の相手を自分とヒギンズで引き受けて、新型機体と接触する名誉をキースに譲ってくれた事から、気前がいい男のようである。
ヒギンズ
辺境守備艦隊のキースの同僚。

木星師団の人物[編集]

パプティマス・シロッコ
木星師団(ジュピターズ)の長。今作の設定では、強化人間の実験を目的にかつて木星へ送り込まれた試験管ベビー型ニュータイプであると言われている [29]
SCENE.4から登場し、メッサーラ・ディノファウスト・ジュピターに乗って単機で、タイラント・ソードに搭乗するキースと戦いを繰り広げた[26]
SCENE.5では登場しないが、キースによって自分の保有していた総数84機のメッサーラ・ディノファウスト・アルファ部隊を壊滅させられ、ティターンズに接触を図る事となった[28]

登場兵器[編集]

SE計画[編集]

設定・用語[編集]

出版物[編集]

ネオファリアの中で
U.C.0118年に刊行された出版物。軍の極秘プロジェクトを暴露して、センセーショナルを巻き起こしたとされる [23]。著者はキース・マクレガー[23]
『藤田くんのファイナルトーク』で藤田一己に「キースがどういう経緯でこの本を書くに至ったか」を聞かれた藍田豊は「実はあまり考えていないが、よくあるオカルトネタに近い部分があるのではないか」と答えた[17]

組織[編集]

地球連邦政府
この時代では、AE(アナハイム・エレクトロニクス)社の傀儡である主流派、ティターンズエゥーゴの勢力がひしめき合い、微妙なパワーバランスの上に成り立っていた[30]
SCENE.5では、機動兵器ソードが、その内包するシステムによって時空間をも制御することが可能で、その存在は連邦の存亡すら脅かしかねないので疎ましい存在と気付いた連邦の上層部は、ネオファリアを見捨て、ジュピターズ(木星師団)とタイラント・ソードを共倒れさせる事を目論んだ[27]
辺境守備艦隊
ネオ・ジオンによる領域侵犯を阻止し、その動向を監視する使命が科せられた艦隊[8]
地球連邦が戦後処理に追われている間、ネオ・ジオンアステロイドベルトの一つを拠点として着々と力を蓄えていたが、そこへ推し進めるだけの兵力は連邦軍に残されていなかった。それを良いことに、輸送船襲撃などネオ・ジオンの領域侵犯による被害が後を絶たなかったのである[8]
SCENE.1の時点では、キース・マクレガー、ロジャー、ヒギンズが所属していたが[8]、キースは後にAE社へ出向し隊を離れている。
木星師団(ジュピターズ)
パプテマス・シロッコを長として、木星船団(ジュピトリス)の精鋭達によって組織された教導部隊[29]
彼等は連邦の軍人でありながら、独自のMSMAを駆り、独自の命令系統を持っており、連邦の新勢力として台頭しつつある[29]
AE
自分達の傀儡とした連邦政府の主流派、ティターンズエゥーゴとは何らかの形で関わりを持っていた[30]
SCENE.3では、ソードの存在自体が危険なものであったから、主流派以外にはソードの存在が知られる事は何としても避けようと、完成したタイラント・ソードのテストをテキサス付近の宙域で行う、一計を案じた[30]
ネオファリア
SCENE.2からキースが所属するAE(アナハイム・エレクトロニクス)社の第13開発局、その俗称。
SCENE.5の戦いの後、閉鎖されてしまう。

商品化[編集]

2019年現在、単行本化などはなされていない。 2014年には、1/144スケールのタイラント・ソードのレジンキットが、株式会社ボークスによってキャラホビ限定商品として発売されており、翌2015年にも再発売がなされている[31][32]

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ ホビージャパン8709 1987, p. 52.
  2. ^ ホビージャパン8709 1987, p. 3.
  3. ^ ホビージャパン8710 1987, p. 3.
  4. ^ ホビージャパン8711 1987, p. 3.
  5. ^ ホビージャパン8712 1987, p. 7.
  6. ^ ホビージャパン8801 1988, p. 31.
  7. ^ ホビージャパン8802 1988, p. 3.
  8. ^ a b c d ホビージャパン8709 1987, p. 48.
  9. ^ ホビージャパン8709 1987, p. 49、51.
  10. ^ ホビージャパン8710 1987, p. 59.
  11. ^ ホビージャパン8711 1987, p. 55.
  12. ^ a b c ホビージャパン8710 1987, p. 56.
  13. ^ ホビージャパン8711 1987, p. 57.
  14. ^ a b ホビージャパン8711 1987, p. 59.
  15. ^ a b ホビージャパン8712 1987, p. 60.
  16. ^ a b c d e f g h i j ホビージャパン8801 1988, p. 35.
  17. ^ a b c ホビージャパン8802 1988, p. 19.
  18. ^ ホビージャパン8710 1987, p. 58.
  19. ^ ホビージャパン8711 1987, p. 63.
  20. ^ ホビージャパン8712 1987, p. 64.
  21. ^ ホビージャパン8801 1988, p. 49.
  22. ^ ホビージャパン8802 1988, p. 26.
  23. ^ a b c d e f ホビージャパン8709 1987, p. 49.
  24. ^ a b c d e ホビージャパン8710 1987, p. 53.
  25. ^ a b c d e ホビージャパン8712 1987, p. 58.
  26. ^ a b c d e f g h ホビージャパン8801 1988, p. 33.
  27. ^ a b c d ホビージャパン8802 1988, p. 13.
  28. ^ a b c d e ホビージャパン8802 1988, p. 14.
  29. ^ a b c ホビージャパン8801 1988, p. 32.
  30. ^ a b c ホビージャパン8712 1987, p. 57.
  31. ^ ボークス【速報レポート!キャラホビ2014】プリズマ☆イリヤ、イオリ・リン子、タイラントソードほかを展示! - 電撃ホビーウェブ。2014年8月24日、2016年6月24日閲覧。
  32. ^ キャラホビ2015 C3×HOBBY ボークス出展情報 - 株式会社ボークス公式サイト。2016年6月24日閲覧。

参考文献[編集]

  • 月刊ホビージャパンホビージャパン
    • 『ホビージャパン』1987年9月号、ホビージャパン。
    • 『ホビージャパン』1987年10月号、ホビージャパン。
    • 『ホビージャパン』1987年11月号、ホビージャパン。
    • 『ホビージャパン』1987年12月号、ホビージャパン。
    • 『ホビージャパン』1988年1月号、ホビージャパン。
    • 『ホビージャパン』1988年2月号、ホビージャパン。

外部リンク[編集]