TYRANT SWORD Of NEOFALIA

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TYRANT SWORD Of NEOFALIA』(タイラント・ソード・オブ・ネオファリア)は、「ガンダムシリーズ」の一つである雑誌企画。月刊模型雑誌ホビージャパン1987年9月号から1988年2月号にかけて短期集中連載が行われた。

概要[編集]

同時期に『モデルグラフィックス』で連載が行われていた『ガンダム・センチネル』に類似した企画であり、模型写真と小説を組み合わせたフォト・ストーリーと、フォト・ストーリーに使用された模型(既存のガンプラの改造もしくはスクラッチビルド)の作例記事からなる。メカニックデザインや設定は藤田一己によるもの。

フォト・ストーリー部は全5話で、「宇宙世紀0118年に刊行された書籍『ネオファリアの中で』内のエピソードを抜粋する」という体裁をとっており、アナハイム・エレクトロニクス社第13開発局「ネオファリア」[1]によるモビルスーツ(MS)に代わる機動兵器「ソード」開発の顛末を描いている。舞台となるのは宇宙世紀0087年、グリプス戦役前夜から緒戦にかけての時期であるが、『機動戦士Ζガンダム』を初めとする「正史」とされる作品とは、MSの開発状況などに相違点が存在する。

なお、ガンダムシリーズの作品ではあるが、主役機はソードである「タイラント・ソード」であり、ガンダムタイプのMSは文字設定を除いて登場しない。

登場人物[編集]

キース・マクレガー
本作の主人公。28歳。元は地球連邦軍辺境守備艦隊所属のMSパイロットであり、ソード開発計画「SE計画」のための専属パイロットとしてネオファリアに出向した。パイロットとしての能力は一流だが、冷静さに欠ける面もある。当時の本人は認知していなかったが、人工知能や機械システムに対して突出したコミュニケーション能力を発揮できる「ネクスト・ワン」と呼ばれる亜種もしくは変種のニュータイプ能力の潜在的保有者であり、SE計画の専属パイロットに選出されたのも、ネクスト・ワンがSE計画が目指す新兵器システムに必要だったためであった。
本編終了後は再び連邦軍に戻され、最前線に身を投じることとなったが無事に生き延び、その後に自身のネオファリアでの体験を『ネオファリアの中で』として公表している。
ネイナ・ラフィット・ファルム
ネオファリアの女性科学者。3?歳独身。旧ジオン系のミノフスキー物理学の権威であり、SE計画を提唱し、タイラント・ソードの開発責任者も務めている。当初は実験対象としてしか見ていなかったキースに、やがて恋心を抱いていったという裏設定が存在する。本編終了後は、ネオファリア解体直後に行方不明となっている。
パプティマス・シロッコ
ジュピトリスを旗艦とする木星船団、および「木星師団(ジュピターズ)」を率いる試験管ベビー型ニュータイプ。直接は登場しないが、木星師団とネオファリアの共倒れを狙うアナハイム本社あるいは連邦軍の思惑によってネオファリアと対決することになる。

ソード[編集]

宇宙世紀0083年から開始された「SE計画」によってネオファリアが開発を進めていた新型機動兵器で、ネイナが基礎理論を構築した、宇宙を構成する空間そのものを制御する「SEシステム」(暫定的空間粒子消失制御システム、SEはSubject Effacementの略)を採用している。SEシステムを用いた動力源「SEジェネレータ」は周囲に空間の歪みや磁場の乱れを生じさせるほどの超大出力を発揮可能なポテンシャルを持ち、これによって生じる力場(SEフィールド)を用いた推進システム「SEドライブ」や、反重力および反磁力システムとして、さらにはエネルギーの消失・転移現象を利用した索敵および通信システムとしても応用されている。これらの機能によって、ソードは火力や運動性などの様々な点において既存のあらゆるMSを凌駕する性能を持つことになった。ただし、SEシステムの全容は解明に至っておらず、信頼性も高いものとは言えない。

ネオファリアではMSとソードを明確に区別しており、「○○・ソード」というソード各機の呼称も、本来の機体名の後ろに「ソード」という語句をつけることによる「ソードはMSではない」ということの強調を意図したものである。また、既存のMSにSEシステムを搭載した機体はソードとしては扱われない。

元々はティターンズエゥーゴネオ・ジオンなどが台頭してくる中でアナハイム社が影の影響力を保つためのブラフとして開発が開始されたものだったが、その性能があまりにも高すぎたためにブラフの役目を果たさず、逆にアナハイム社が危険視される原因になると判断され、SE計画は中止。宇宙世紀0088年にネオファリアは閉鎖・解体され、実戦投入にまで漕ぎ着けていたソードとSEシステムに関する情報は、歴史の表舞台に出ることのないまますべて破棄された。ただし、その後のアナハイム製新型MSには、SE計画で培われた技術が応用されているとされる。

登場する兵器[編集]

本作オリジナルのもののみを記載する。

ネオファリア[編集]

諸元
タイラント・ソード
TYRANT SWORD
型式番号 SX・NFR-01SES
所属 ネオファリア
建造 ネオファリア
生産形態 試作機
頭頂高 21.4m
本体重量 52.6t
全備重量 82.3t
動力源 改良型SEドライブ・ジェネレータNF・SE-05RP×2
熱核反応ジェネレータ
出力 10,100kw以上
武装 SEジェネレータ式ビームキャノン
搭乗者 キース・マクレガー
その他 バーニアスラスター×6
タイラント・ソード
宇宙世紀0086年半ばにロールアウトした、SE計画によって開発されたソードの試作第一号機。「究極的機動兵器」「超兵器」と称されるほどの性能を持つ。SEドライブによってもたらされるMSに対しての圧倒的な高機動性能を活かしたドッグファイトを基本的な戦術としており、その際に生じる強烈なGからパイロットを保護するため、SEジェネレータの反重力システムとしての機能を利用した慣性制御フィールドが、SEドライブの出力と同調させる形で備えられている。また、機体の操縦は通常のフィードバック制御のほかに思考制御(サイコミュであるかは不明)で行うことも可能で、自己進化型コンピュータの搭載と併せてパイロットの反応速度向上と負担減が図られている。
この時点での武装はSEジェネレータ式ビームキャノン(SEキャノン)のみ。これにもSEジェネレータの技術が応用されており、高エネルギーの熱弾を連続発射できることからビームマシンガンとも呼ばれている。また、機体の周囲に形成されているSEフィールドはバリアーとしても機能しており、メガ粒子砲などが直撃した場合、その威力は低減される。
キースをパイロットとしてテストに従事していたが、アナハイム社もしくは連邦上層部からジュピトリスの撃破を命じられ、それを察知し襲撃してきたシロッコの乗るメッサーラ・ディノファウスト・ジュピターと交戦。善戦するも実験機ゆえの信頼性の低さから機体が限界に達したために痛み分けに終わり、その後はタイラント・ソード改“アグレス”に改修された。
諸元
タイラント・ソード改“アグレス”
TYRANT SWORD AGLES
型式番号 SX・NFR-01SES
所属 ネオファリア
建造 ネオファリア
生産形態 試作機
動力源 SEドライブ・ジェネレータ(AGタイプ)×2基
熱核反応ジェネレータ
武装 SEジェネレータ式ビームキャノン
ビームサーベル
ガンポッド
シールド
SEドライブ
搭乗者 キース・マクレガー
タイラント・ソード改“アグレス”
木星師団との最初の戦闘を経て改修が施されたタイラント・ソード。戦闘で判明した欠点とマイナートラブルの原因を取り除くため、信頼性が向上したAGタイプへとSEジェネレータを換装するとともに、フィールドスタビライザーとして使用可能な可動式サブジェネレータを2基増設することによってトラブル発生率の低下を図っている。
また、実戦のために大幅に武装が強化されており、SEキャノンを改造した頭部のガンポッド(ビームランチャー)やΖ計画機から流用した武装が追加装備されたほか、SEドライブが攻撃手段へと転用され、本来は推進に使用するSEフィールドを前方へと向けることによって、重力や磁場の歪みにとどまらず空間そのものの崩壊時に生じるエネルギーをも用いて敵を攻撃することが可能となっている。SEドライブを用いた攻撃の威力は、一撃で艦隊を全滅させるほど。また、SEフィールドのバリアーとしての機能も強化されており、ビーム攻撃を完全に弾けるようになっている。
さらに、SE計画およびタイラント・ソード開発における目標の一つだった「有機的統合及び機能を持つ兵器システムの確立」を実現するものとして、無人での運用が可能な他のソードに対する思考制御によるコントロール機能がこの時点で実装されている。コントロールにはパイロットがシステムのヘッドクォーターとして機能する必要があるため、この状態でのパイロットは「ネクスト・ワン」でなくてはならない。この「SEウェポン・システム」構想の最終段階ではタイラント・ソード1機がスレイブ・ソード2機、パシケファロ・ソード3機、アパト・ソード2機、イクチオン・ソード1機の計8機をコントロールする計画だったが、作中ではスレイブ・ソード2機とネモ・ソード改プロト3を1機の計3機をコントロールするに止まっている。
随伴機とともに木星師団艦隊への攻撃に投入され、2隻のロンバルディア級巡洋艦をSEキャノンで撃沈。続いてSEドライブを用いて84機のメッサーラ・ディノファウスト・アルファを一撃で全滅させたが、敵旗艦であるジュピトリスは一部のユニットを破壊されたのみで撤退していったため、撃沈には至らなかった。その後はネオファリア閉鎖に伴い、他のソードとともに極秘裏に連邦軍によって接収され、処分された。
スレイブ・ソード
タイラント・ソードに続いて2機が製造されたソード。型式番号:SX・NFR-02SEV。
性能を突き詰めたタイラント・ソードとは異なり、ソードの戦術兵器としての可能性を検証することを開発目的としている。そのため、性能はタイラント・ソードの40パーセントほどに止まっているが、それでも要求される性能には達しており、さらにアグレス化以前のタイラント・ソードより高い信頼性を持つ。武装はビームキャノン。また、タイラント・ソードを中核としたSEウェポン・システムの一部として開発された、タイラント・ソードからコントロールされる無人機でもある。SEウェポン・システムの中ではタイラント・ソードの直掩を担う。
2機ともにタイラント・ソードの制御下で木星師団艦隊に対する作戦に参加し、ジュピトリスの船体をビームキャノンで攻撃している。
なお、後述のネモ・ソード改プロト3も「スレイブ・ソード」と呼称されることがある。
パシケファロ・ソード
SEウェポン・システムの一部として計画されていた無人ソード。設定のみ存在。タイラント・ソードの前衛を務めることが予定されており、そのための強力な火器を装備している。プロトタイプであるミータが製造されたのみに止まった。
アパト・ソード
SEウェポン・システムの一部として計画されていた無人の後方支援用ソード。計画のみに終わった。設定のみ存在。
イクチオン・ソード
SEウェポン・システムの一部として計画されていた無人ソード。設定のみ存在。高い索敵能力を持つ情報収集用機だったが計画のみに終わり、作中ではネモ・ソード改プロト3がその役を担当していた。
ネモ・ソード改
ネモSTIを原型としたSEシステムの実験機。型式番号:RS・NF-81-STI-SES。
ネモ・ソード改プロト3
ネモ・ソード改の三号機。タイラント・ソードからのコントロールも可能。型式番号:RS・NF-81-SES-III。
新型MA
タイラント・ソードと同時期にアナハイム社が開発していた高機動モビルアーマー(MA)。3機がタイラント・ソードの戦闘テストの相手となるが、わずか3分間で全機が撃墜判定を受けた。作中でも「名称は不明」とされており、文章で描写されるのみでその姿は登場しない。
ディジェ・ソード
本編終了後にSE計画の技術を応用して開発された新型MS。設定のみ存在。のちにメカニックデザイン企画『Ζ-MSV』で設定されたディジェSE-Rと何らかの関連性があると見られている[2]
スピノソア
ネオファリアの母艦となった旧式艦。作中では艦級などは語られていない。

木星師団[編集]

メッサーラ・ディノファウスト・ジュピター
シロッコが自らの専用機として開発したアグレッシブビーステッドフォームドスーツ(ABFS)。ソードの域には及ばないが、その性能は既存のMSを上回っている。型式番号:ABFS-RR01S。
メッサーラ・ディノファウスト・アルファ
メッサーラ・ディノファウスト・ジュピターの量産型。型式番号:ABFS-RR01M。

地球連邦軍・ティターンズ[編集]

ネモSTI
ジムの後継機として連邦軍が開発したネモの改良量産型。運動性能の低い欠陥機とされる。設定のみ存在。型式番号:RS-81-STI。
ジムII改
ネモSTIに代わる連邦軍の主力機ジムIIの辺境守備艦隊仕様機。型式番号:RS-82B-R。
サム
ティターンズの主力機とされるMS。設定のみ存在。型式番号:RX-86。
ピルケニア
辺境守備艦隊所属のサラミス級宇宙巡洋艦。ネオファリア出向前のキースの乗艦。

アクシズ(ネオ・ジオン)[編集]

ガザ
宇宙世紀0087年の時点で開発中とされる機体。設定のみ存在。ガザシリーズとは機体形状が大きく異なる。なお、作中にも機種不明のネオ・ジオンの新型MSが登場するが、関連性は不明。

商品化[編集]

2016年現在、単行本化などはなされていない。

2014年には、1/144スケールのタイラント・ソードのレジンキットが、株式会社ボークスによってキャラホビ限定商品として発売されており、翌2015年にも再発売がなされている[3][4]

脚注[編集]

  1. ^ 「ネオ・ファリア」との表記も存在する。
  2. ^ 皆川ゆか 『総解説 ガンダム辞典』 講談社2007年、258頁。ISBN 978-4-06-372390-8
  3. ^ ボークス【速報レポート!キャラホビ2014】プリズマ☆イリヤ、イオリ・リン子、タイラントソードほかを展示! - 電撃ホビーウェブ。2014年8月24日、2016年6月24日閲覧。
  4. ^ キャラホビ2015 C3×HOBBY ボークス出展情報 - 株式会社ボークス公式サイト。2016年6月24日閲覧。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]