アッシマー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

アッシマー(ASSHIMAR) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器で、有人操縦式のロボット兵器モビルアーマー」(MA)の一つ。初出は1985年放送のテレビアニメ機動戦士Ζガンダム』。

作中の登場勢力の一つ「地球連邦軍」の量産機で、人型である「モビルスーツ」(MS)形態への変形機構を持つ可変MA(TMA)。MA形態は円盤のような独特の形状で、空中を高速で飛行することができる。劇中では、連邦正規軍少佐の「ブラン・ブルターク」、特殊部隊「ティターンズ」中尉の「アジス・アジバ」が主に搭乗する。

当記事では、各作品に登場するバリエーション機についても記述する。

機体解説[編集]

諸元
アッシマー
ASSHIMAR
型式番号 NRX-044[1] / NRX-004[2]
所属 地球連邦軍
ティターンズ
エゥーゴ
ネオ・ジオン
生産形態 試作機 → 量産機
全高 23.1m[2]
頭頂高 19.3m[2]
全長 18.4m(MA形態)[2]
本体重量 41.1t[2]
全備重量 63.8t[2]
装甲材質 チタン合金セラミック複合材[2]
出力 2,010kW[2]
推力 17,300kg×2[2]
16,800kg×2[2]
総推力:68,200kg[3]
26,000kg(MA形態)[2]
センサー
有効半径
10,200m[2]
武装 大型ビーム・ライフル
搭乗者 ブラン・ブルターク
アジス・アジバ
ガブリエル・ゾラ
その他 姿勢制御用バーニア×10[2]

地球連邦軍ニュータイプ研究所の一つ、オークランド研究所において開発された、大気圏内用試作可変モビルアーマー[4][5][注 1]

本機はサブフライトシステムなしで大気圏内を飛行可能な機体として開発され、そこに可変機構を組み込むことでMAの機動性とMSの汎用性の両立を目指していた[7]ムーバブルフレームを採用していないため、マグネット・コーティングを施したドラム・フレームと呼ばれる構造を導入[5][注 2]。可変機構はMSにおける関節の自由度を高めたもので、U.C.0085年に試作機が完成している[7]

変形の為の所要時間は0.5秒で、戦闘と並行した降下中においてもMS形態とMA形態の切り替えは可能である。加えて、機体そのものも上昇能力に優れる[9]。MA形態への変形後はリフティングボディの効果によって戦闘機並の航空性能を発揮[10][注 3]。空力性能においては後発のギャプランをしのぐ[7]。耐久性、耐弾性も高く、量産性にも優れる[11][注 4]。その一方で、ビームライフル一丁のみという火器類の乏しさと運動性に課題を残したことから、後発の機体としてギャプランが開発されている[7]

機体構造(アッシマー)[編集]

推進器
移動用ロケット、ロケットエンジンを有する[9][2]とした資料と、熱核ジェットを有するとした資料[4]が存在する。MA形態時には脚部が推進装置として機能。ただし、同部位のインテークはMS形態の際はシャッターで閉鎖される[4]
このほか、MS形態ではバックパックにスラスターを有する(推力は双方で26000kg)が、こちらはMA形態の際は使用されない[4]
頭部
モノアイシステムを採用し、頭部アンテナはマルチプルロッド、ブレードアンテナ、差圧センサーとしての機能が備えられている[4]。また、MS形態時における頭部側面にはコクピットハッチが存在する[13]
劇場作品『機動戦士Ζガンダム A New Translation -星を継ぐ者-』において百式のクレイ・バズーカ(弾種は散弾)によって頭部が被弾した際は、破損したモノアイの代わりに3基のサブ・モノアイを使用する描写もみられた。
ランディングギア
MA形態時に四ケ所から展開する姿が確認できる。

武装(アッシマー)[編集]

大型ビーム・ライフル
武装は専用の大型ビーム・ライフルのみであり、MA形態では機体下面(股間ブロック)にマウントする。砲口は縦に長い長方形で、出力2.6MW[2]。空力特性に配慮された形状を持つ[4]。MS・MA形態の双方で使用可能で、MA形態時には一撃離脱に使用される[12]
その他
ほかの連邦軍MSのビーム・ライフル、ビーム・サーベルも使用可能であり、ブラン機は右手に大型ビームライフル、左手にマラサイ用ビームライフルを持って戦っているほか、ガンダムMk-IIのビームサーベルを奪って使用している。

劇中での活躍[編集]

テレビアニメ『機動戦士Ζガンダム』の第13話で初登場。ブラン・ブルターク少佐が駆るアッシマーはケネディ宇宙港を襲撃し、ロベルトリック・ディアスを撃墜する。その後も再三アウドムラを襲撃し、高い機動力でカミーユたちを苦しめるが、アムロ・レイの駆るリック・ディアスに上記の可変時の弱点を突かれて撃墜される。第37話では、ダカール防衛部隊のアジス・アジバ中尉らが搭乗。ダカール演説事件の際にティターンズの同士討ちが始まり、ジェリド・メサバイアランに立ちはだかったため、撃墜される。

劇場版『機動戦士Ζガンダム A New Translation -星を継ぐ者-』の終盤においてもブランの乗機として登場。一時はカミーユ機とクワトロ機の2体を圧倒する活躍を見せる。

地球連邦軍以外の所属機もいくつか確認できる。『機動戦士ガンダムΖΖ』第45話ではグレーに塗装されたネオ・ジオン所属機が登場、ドーベン・ウルフザクIII改等と共にクイン・マンサに随伴する。『ガンダム新体験-0087-グリーンダイバーズ』では青いカラーリングのティターンズ所属機が登場、プロスペロー号の救命艇の救護活動をおこなう。雑誌企画『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』では、エゥーゴが鹵獲し左肩に"Zeon Alive!!"のマーキングが施されたガブリエル・ゾラ機が登場、カムチャッカ基地での戦闘に参加する。

近藤和久の漫画『サイドストーリー・オブ・ガンダム・ゼータ』では通常MSの1.5倍程度大きく描かれており、エゥーゴのカミーユ・ビダン伍長が搭乗する。上下を反転して単独で大気圏突入し、MSキャリアーとして2機のMSを載せての飛行が可能となっている。同作品での型式番号はTMA-10X。

漫画『機動戦士Ζガンダム Define』では瀧川虚至に再デザインされて登場する。テレビアニメ劇中のイメージを優先させて、一回り巨大に設定され、脚部に折りたたみ式の翼が追加されたほか、武装が手持ちのビールライフルしかないのは不自然との理由で、両腕に2連マシンガンと両肩にミサイルラックを内蔵している。なお、本作ではアムロのリック・ディアスではなく、カミーユのガンダムMK.IIにMA形態で高空飛行中に「跳び乗られて」そのまま取りつかれ撃墜される。

その他[編集]

名前の由来については2種類の説がある。一つは「あっ、しまった!」という台詞のもじりという説[14]で、第16話で本機を味方機と誤認したエゥーゴのパイロットが同じ台詞を発するシーンがある。もう一つはヒンドゥー教の神・ガネーシャの乗る戦車が由来という説で、後継機であるアンクシャは、ガネーシャの持つ杖が名前の由来となっている[15]

劇場版アニメ『超劇場版ケロロ軍曹 撃侵ドラゴンウォリアーズであります!』では、ケロロたちの乗る輸送機として登場する。

デザインは大河原邦男のラフを藤田一巳がクリンナップするという手順で作成された[16]。大きな違いは、固定式複合カメラがジオン軍系のモノアイシステムに変更された点。

アッシマー[ダンダチャクラ][編集]

諸元
アッシマー[ダンダチャクラ]
ASSHIMAR [DANDA-CHAKRA]
型式番号 NRX-044Q
生産形態 カスタム機
装甲材質 チタン合金セラミック複合材
武装 4連装メガ粒子砲
ビーム・ピストル×2
ビーム・サーベル×4
各種ミサイル
搭乗者 ユーイン・バーダー

雑誌企画『ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者』に登場。中破したバーダー機を強化改修した機体。MA形態時に円盤状になる部分は大型化され、頭部は大型のセンサーとアンテナが、前腕部にはビームサーベルが片側2振りずつ装備される。完全新規の脚部は伸縮式で、MA時には短くなり旋回性能が向上。武装も強化されており、4連装メガ粒子砲とビームピストル2丁を標準で携帯、さらにMA形態では機体下面(前腕部)に各種ミサイルを懸架可能であり、ノーマルのアッシマーと比べると格段に火力向上している。

試作機[編集]

雑誌企画『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』にて設定上存在する機体。(型式番号:NRX-044)。

重力下では当初困難であった可変機構のテストを無重力下で行うために建造された機体である。試作機の内1機がティターンズに接収され、プロトタイプアッシマーTR-3[キハール]に改修される。

プロトタイプアッシマーTR-3[キハール][編集]

雑誌企画『ADVANCE OF Ζ ティターンズの旗のもとに』に登場(型式番号:NRX-044(R))。

宇宙仕様
アッシマーの試作機のうち可変機構のテストのために建造された機体を、ティターンズが半ば強引に徴用して戦闘用に改修したものである。宇宙空間での使用を前提にしているために脚部は廃されており、代わりにプロペラントタンクを装備する。また、可変機構としてドラムフレーム構造が採用されているが、技術が未成熟のためにフレームが大幅に露出した構造となっている。本機のフレームはムーバブルフレームの開発の基礎となった後、量産機の部品を組み込み重力下仕様に改装されている。兵装としてはロングビーム・ライフル、索敵用装備として頭部に折りたたみ式のレドームを装備する。
重力下仕様
キハールを地上に持ち込んだ際の重力下テスト用に改修が施された機体。制式採用されたアッシマーのデータ及び脚部を中心として各種部品を流用しており、全体的なシルエットが量産機に近いものとなっている。キハールが地上テストを開始した時点で連邦軍内では通常型のアッシマーが制式採用されていたが、ティターンズにおける用兵思想の違いから別個にテストが行われた。通常のアッシマーとの違いとしては、脚部エンジンユニットの換装、腰部ブースターユニットの追加装備、ビームアックス兼大型ビームライフルの装備、各部装甲に整流板を設置、胸部装甲にスプレッドビームガンが取り付けられていることなどである。
劇中での活躍
宇宙仕様には主にマーフィーが搭乗し、ゲルググ[シュトゥッツァー]にプロペラントタンクを直接ぶつけて撃破する。重力下仕様にはエリアルドが搭乗し、ハルツーム基地でテストを行った。テスト中にジオン軍残党との戦闘に突入し、大気圏を単体降下してきたカール搭乗のダンディライアンとともに対峙した。戦闘終了後、基地司令の横柄な態度に怒りを感じたエリアルドは基地に低空で接近し、司令室のガラス窓を破壊すると、ライフルを突きつけて警告を行う。この行為により、エリアルドは一時営倉入りとなった。

EWACアッシマー[編集]

雑誌・ウェブ企画『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-』に登場(型式番号:NRX-044EW)。

ガンダムTR-6[キハールII]用に開発された円形のレドーム型ブーストポッドをアッシマーに装着したEWAC機。評価は高く、グリプス戦役後も偵察機として運用されている。「パンケーキ」という愛称を持つ。

アンクシャ[編集]

小説およびOVA『機動戦士ガンダムUC』に登場したアッシマーの後継機。

アッシマック[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]

注釈[編集]

  1. ^ 大気圏内用とされるが、宇宙空間での使用は不可能なわけではない[6]
  2. ^ 作業用ポッドであるオッゴにドラムフレームが搭載されていたとする媒体もみられる[8]
  3. ^ 変形した脚部を推進装置とする事で戦闘機並の航空能力を得たとする資料もみられる[4]
  4. ^ しかしながら、変形時に展開する胸部ハッチは弱点となっている[12]

出典[編集]

  1. ^ 『MJマテリアル4 機動戦士Ζガンダム メカニック設定集&作例集』バンダイ、1985年6月、54頁。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 『ジ・アニメ特別編集 機動戦士Ζガンダム』近代映画社、1985年8月、106頁。
  3. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .2 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.2 グリプス戦争編】』バンダイ、1988年3月、56-57頁。
  4. ^ a b c d e f g 『HGUC 1/144 アッシマー』バンダイ、2005年6月、組立説明書。
  5. ^ a b 『プロジェクトファイル Ζガンダム』SBクリエイティブ、2016年10月、30-31頁。ISBN 978-4-7973-8699-8
  6. ^ 『ラポートデラックス 機動戦士Ζガンダム大辞典』ラポート、1986年8月、1999年7月(復刻版)、67頁。ISBN 489799392X
  7. ^ a b c d 『ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.2 グリプス戦争編』バンダイ、1989年3月、40頁。(ISBN 978-4891890186)
  8. ^ 藤岡建機 (2016年9月30日). “A.O.Z Re-boot Vol.29 ズサブースター・マリンタイプ [宇宙移民を支える機械]2: 技術の軍事転用”. 電撃ホビーウェブ. KADOKAWA. 2016年12月14日閲覧。
  9. ^ a b 『1/250 アッシッマー』バンダイ、1985年11月、組立説明書。
  10. ^ 『データコレクション 機動戦士Zガンダム 上巻』角川書店、1997年6月、57頁。ISBN 978-4073063025
  11. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.2 グリプス戦争編』バンダイ、1989年3月、106頁。(ISBN 978-4891890186)
  12. ^ a b 『モビルスーツ・イン・アクション アッシマー』バンダイ、2005年4月、付属データカード。
  13. ^ 『データコレクション 機動戦士Zガンダム 上巻』角川書店、1997年6月、18-19頁。ISBN 978-4073063025
  14. ^ 学研ムック『機動戦士Ζガンダム 完全収録』
  15. ^ 角川書店『機動戦士ガンダムUC カトキハジメ メカニカルアーカイブス』120頁。
  16. ^ アニメック1985年10月号特集

関連項目[編集]