ヤクト・ドーガ

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ヤクト・ドーガ (JAGD DOGA) は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式の人型ロボット兵器「モビルスーツ」(MS)の一つ。初出は1988年公開のアニメーション映画機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(以下『CCA』)。

新生ネオ・ジオン軍の主力量産機「ギラ・ドーガ」の発展型で、特殊な能力を持つ「ニュータイプ」および「強化人間」用に開発された試作機。当初はネオ・ジオン総帥「シャア・アズナブル」の専用機となるはずだったが、性能不足からこの役目を「サザビー」に譲り、完成した2機の試作機は部下の強化人間「ギュネイ・ガス」とニュータイプの少女「クェス・パラヤ」(クェス・エア)にそれぞれ与えられた。ギュネイ機は緑と金、クェス機は赤と銀に塗装され、一部形状と武装も異なるが、性能的な違いはない。「ヤクト(ヤクート)」はドイツ語で「狩猟」を意味する。

劇中でギュネイ機は主人公アムロ・レイが搭乗する「νガンダム」に撃墜されるが、クェス機は損傷しつつも残存し、『CCA』の後の時代を描いた『機動戦士ガンダムUC』のアニメ版などでは「袖付き」仕様に改修されて再登場している。なお、クェス自身は『CCA』で戦死するため、パイロットは別の人物が務めている。

メカニックデザイン出渕裕が担当。

機体解説[編集]

諸元
ヤクト・ドーガ
JAGD DOGA
型式番号 MSN-03
生産形態 試作機
頭頂高 21.0m
本体重量 28.0t
28.6t(「袖付き」仕様)[1]
全備重量 64.6t
65.2t(「袖付き」仕様)[1]
装甲材質 ガンダリウム合金
出力 3,340kw
推力 17,000kg×2
13,000kg×2
13,000kg×2
(総推力)82,000kg
(総推力)76,000kg(「袖付き」仕様)[1]
センサー
有効半径
16,400m
20,500m(「袖付き」仕様)[1]
武装 ミサイル
ヒート・ナイフ付ビーム・サーベル
ビーム・アサルトライフル(ギュネイ機)
メガ・ガトリングガン(クェス機)
ビーム・マシンガン(「袖付き」仕様)
メガ粒子砲内蔵シールド
ファンネル×6(「袖付き」仕様は×2または3)
搭乗者 ギュネイ・ガス
クェス・エア(クェス・パラヤ)
ゼクスト・アーデ(「袖付き」仕様)[2][3]
その他 アポジモーター×17

ギラ・ドーガ(サイコミュ試験タイプ)をベースに開発されたNT専用MS。基本骨格であるムーバブル・フレームはギラ・ドーガと共通だが、サイコ・フレームの一部採用による追従性向上、ジェネレーターやスラスターの高出力化、チタン合金からガンダリウム合金製装甲材への変更といった改修によって、ベース機とは別物といえる高性能機へと変貌している。しかし、量産機を半ば強引にNT専用機に仕立てたため、機体バランスに多少の問題を残している。当初は総帥シャア・アズナブルの専用機として設計されていたが、結局はより完成度の高いサザビーがこの役を担うこととなった。型式番号のMSN-03は、13年前の旧ジオン公国軍の最終MSである「MSN-02 ジオング」から引き継いだ通し番号である。

武装[編集]

ビーム・アサルトライフル
単射および連射モードへの切り替えが可能なギュネイ機の専用火器。小口径だが従来のビーム・ライフルと同等以上の威力を持ち、軽量で取り回しにも優れる。
メガ・ガトリングガン
クェス機が携行する4銃身式ビーム・ガトリング砲。メガ粒子の圧力チャンバーに掛かる負荷の一部を銃身の回転で逃がすことにより、従来の間欠連射方式よりも長く高出力のビームを発射できる。
ヒート・ナイフ付ビーム・サーベル
左腰アーマー内に収納される接近戦用武装。鍔の先端に着脱式のヒート・ナイフを装着している。
ファンネル
片方のサブスラスター側面に3基ずつ懸架される、サイコミュ誘導式の小型ビーム砲端末。第一次ネオ・ジオン抗争当時のファンネルよりもエネルギーCAPシステムが大容量化されており、ジェネレーターを内蔵したビットと同等の威力を発揮する。サザビーが装備する端末と同型だが、本機ではエネルギーと推進剤の再充填機能は省かれたため、稼働時間はおよばない。
メガ粒子砲内蔵シールド
表面に4門のメガ粒子砲を内蔵する防御武装。ビームの威力は標準的だが、敵のビームを減免して防御するという運用が可能。

ギュネイ・ガス機[編集]

カラーリングは緑と金。モノアイの上側に眼を描き入れており、四つ目に見える。物語序盤の5thルナ降下作戦では、アムロ・レイの駆るリ・ガズィに苦戦するも5thの核パルス推進器を守りきり、降下作戦を成功に導く。ルナツー占拠の際はクェスのヤクト・ドーガに随伴し、ジェガン8機をまたたく間に撃破する。また、アクシズ攻撃の第1陣として突入してきたリ・ガズィを戦闘不能にしたうえ、パイロットのケーラ・スゥを捕獲し、殺害する。その後、ラー・カイラムからアクシズへ放たれた核ミサイルを、ファンネルで全弾撃墜する。

最終決戦ではクェスのα・アジールと共にνガンダムに挑むも、パイロットの技量と機体性能の両面で圧倒され、背後を取られたクェスを救おうと無理な姿勢で攻撃に出た際、バズーカとシールドを囮にした戦法に隙を突かれ、ビームライフルの直撃を受けて撃墜される。

クェス・パラヤ(クェス・エア)機[編集]

カラーリングは赤と銀。本来はサザビーの予備機体として用意されていたが、シャアを追ってネオ・ジオン入りしたクェスの訓練機に転用され、そのまま彼女の専用機としてルナツー占拠作戦に初投入される。父・アデナウアー・パラヤの乗る連邦軍のクラップ級巡洋艦のブリッジを破壊した際、その寸前に同艦から放たれたミサイルにより右腕を破損する。作戦終了後はムサカに帰還するが、クェスはアクシズに先行したシャアを追って破損したままの本機で発進する。その後、クェスはα・アジールに搭乗するため、本機は残置される。

「袖付き」仕様(ユニコーンVer.)[編集]

機動戦士ガンダムUC』に登場。ネオ・ジオン軍残党「袖付き」が、残存したクェス機を修復・改修した機体[4]。初出であるアニメ版や、漫画版『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』、設定資料集『機動戦士ガンダムUC GREAT WORKS BOX III』同梱の書き下ろし小説『機動戦士ガンダムUC 不死鳥狩り』などの各作品で一部仕様や作中のあつかいが異なる。

機体色が黄土色系統に変更され、胸部と手首には「袖付き」特有のエングレービング調の装飾が施されている。「袖付き」の財政難から純正パーツの補充ができなかったため、破損した右腕や一部の武装はベース機であるギラ・ドーガのもので代用している。バックパックもギラ・ドーガのものに換装されているが、こちらは破損ではなく運用面での都合を考慮しての変更となっている。武装は指揮官用ギラ・ドーガのビーム・マシンガン、左肩のファンネル2基。『バンデシネ』ではファンネルの数が3基に増えており、左腕にシールドを装備している[5]

各作品でパイロットの描写はないが、アニメ版の外伝漫画『『袖付き』の機付長は詩詠う』では、フロンタル親衛隊のゼクスト・アーデ少尉がパイロットを務めたとされている[3]

アニメ版では端役としての登場だが、『バンデシネ』ではネェル・アーガマへと肉薄し、ガランシェール隊のギラ・ズールに撃破される描写となっている。

『不死鳥狩り』では、アニメ版で設定されたシナンジュ用の巨大MAネオ・ジオング」のコア・ユニットとして登場。小説版の世界観でもネオ・ジオングは存在するが、「フロンタルの下に届かなかった」という設定となり、フロンタルの下への運搬中に発生した戦闘にて、本機を臨時のコア・ユニットとすることで起動させ、ユニコーンガンダム3号機「フェネクス」と交戦する流れになっている。

『ガンダムマガジン』第4号掲載コミック「νガンダム秘話 ネオ・ジオンの亡霊」では、宇宙世紀0094年に地球へ単独降下するクェス機と同型の機体が登場。その後の半年間は、パイロットであるNT少女によって機体共々地球に潜伏するが、連邦軍のマサダ中尉率いる掃討部隊と交戦し、νガンダムと相討つ。漫画でもクェス専用機として運用されていたことを示唆しているが、同一機体かは不明。

ヤクト・ドーガ量産型[編集]

スーパーロボット大戦シリーズ』『バトルロボット烈伝』に登場するゲームオリジナルMS。DC強化兵部隊用の量産型であり、緑色に塗装されている。外見はクェス機に酷似し、武装はギュネイ機と同一仕様である。

メカニックデザイン[編集]

ザクIIマラサイなどの流れを汲むギラ・ドーガの基本構造を流用している設定だが、両肩のシールドと腰部と脚部を中心にボリュームアップしシルエットにより大きく趣を異にする。猛禽類のようにも見える頭部は、ローマのガレー船のイメージでデザインしたという[6]

バギ・ドーガ[編集]

諸元
バギ・ドーガ
BAGI DOGA[7]
型式番号 MSN-X4
所属 ネオ・ジオン
生産形態 試作機
頭頂高 18.5
本体重量 21.7t
全備重量 48.3t
装甲材質 ガンダリウム合金
出力 3,110kw
センサー
有効半径
16,400m
武装 銃剣型ビームライフル
モビル・ビット×2
スプゥン・ビット×8(ピクセル)

漫画『ダブルフェイク アンダー・ザ・ガンダム』に登場する機体。新生ネオ・ジオンのニュータイプ用実験機で、ギラ・ドーガとヤクト・ドーガの中間にあたり、旧フラナガン機関の流れをくむ研究所が開発した[8]

ゲーマルク量産型キュベレイが、ファンネルの装備数と戦果が比例しなかった事例を反省して開発された機体[9]。半自立式の「モビルビット(「ビー・ビット」という別名の記載もある[9][10])」という、昆虫のような姿のサイコミュ兵器を胴体に2基搭載している。それぞれウィルトンとウィルティーノというニックネームがつけられていて、ウィルトンが対人掃討用、ウィルティーノが敵艦中枢の破壊用とされている[9]

武装一覧には「スプゥン・ビット(ピクセル)」という武装も記載されているが、具体的にどれかは明らかでない[11]。また携行武装として銃剣のような形状のビームライフルが設定されている(劇中未登場)。

サイコ・ギラ・ドーガ(サイコ・ドーガ)[編集]

小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』に登場する機体(型式番号:MSN-03-2)。作中での表記は「サイコ・ドーガ」となっているが、後発の『CCA-MSV』に「NZ-222 サイコ・ドーガ」という同名の機体が登場したため、混同を避けるためか後の書籍資料ではこの名前で呼ばれることが多い。機体の姿は、小説中での言及以外では月刊ニュータイプ1988年6月号に掲載された出渕裕の描き下ろしカラー・イラストのみで、上半身が白色であることなどが伺える。後にトレーディングカードゲームガンダムウォー」にて全身が描き下ろされた。コミカライズ版『ベルトーチカ・チルドレン』では、柳瀬敬之によって作画設定資料が描かれている[12]

劇中では2機登場し、ともにグラーブ・ガス(映画でのギュネイ・ガスに当る人物)が搭乗する。1号機はフィフスルナ戦でアムロのリ・ガズィの攻撃で大破。ロンド・ベルに鹵獲されると、サイコフレームが取り出され、νガンダムに組み込まれる。2号機は最終決戦で、ベルトーチカの乗ったリ・ガズィと遭遇するが、ベルトーチカに宿ったアムロの子供の声に動揺した所をグレネード(カセット文庫版ではミサイル)で撃墜される。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 『機動戦士ガンダムUC メカニック&ワールドep7』 61頁。
  2. ^ 漫画『機動戦士ガンダムUC 『袖付き』の機付長は詩詠う』第2巻より。
  3. ^ a b 『機動戦士ガンダムUC プリズマティック・モビルズ part2』124頁。
  4. ^ 『グレートメカニックDX29』、双葉社、2014年6月、 12頁、 ISBN 978-4-575-46481-8
  5. ^ 『機動戦士ガンダムUC バンデシネ』第15巻、15頁。
  6. ^ 株式会社ムービック『出渕裕メカニカルデザインワークス1』14頁。
  7. ^ 『機動戦士ガンダムMS大全集2013[+線画設定集]』66頁。
  8. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .3 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.3 アクシズ戦争編】 』122頁。
  9. ^ a b c 『模型情報1989年3月号』43頁。
  10. ^ 『ENTERTAINMENT BIBLE .3 機動戦士ガンダム MS大図鑑【PART.3 アクシズ戦争編】 』50頁。
  11. ^ 劇中で他に使用した武器として、肩に装着された球形のパーツを遠隔操作武器として撃ち出している場面があり、設定画で確認できる装備数がスプゥン・ビットと一致している。
  12. ^ 『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』第1巻188-189頁。

関連項目[編集]