バウンド・ドック

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バウンド・ドックBOUND-DOC)は、「ガンダムシリーズ」に登場する架空の兵器。有人操縦式のロボット兵器「モビルアーマー(MA)」の一つ。初出は、1985年に放映されたテレビアニメ機動戦士Ζガンダム』。

作中の軍事勢力の一つである「地球連邦軍」の特殊部隊「ティターンズ」の試作機で、特殊能力者であるニュータイプ強化人間の搭乗を前提に設計されている。ただし、一般のパイロットでも操縦することは可能。人型の「モビルスーツ(MS)」形態に変形する可変機でもあり、MS形態は犬のような頭部と大型の腰部スカートアーマーが特徴の異形の姿となる。この犬(ドッグ)のような姿から「バウンド・ドッ」と誤表記されることが多いが、SDガンダム作品では意図的に「犬(=ドッグ)」とされる場合[1]もある。劇中では、ティターンズ士官の「ジェリド・メサ」や、強化人間の「ロザミア・バダム」などが搭乗し、主人公「カミーユ・ビダン」が所属する反地球連邦政府組織「エゥーゴ」と戦う。

メカニックデザイン小林誠が担当。

当記事では、関連性の高い機体である「ムットゥー」の解説も記述する。

機体解説[編集]

諸元
バウンド・ドック
BOUND-DOC
型式番号 NRX-055
所属 ティターンズ
製造 オークランド研究所
頭頂高 27.3m
本体重量 82.7t
全備重量 129.4t
装甲材質 ガンダリウム合金
出力 2,260kW
推力 48,600kg×3(後腰部)
(総推力)145,800kg
センサー
有効半径
9,840m
武装 ビーム・ライフル(出力2.1MW)
拡散メガ粒子砲(出力16.4MW)
ビーム・サーベル
搭乗者 ゲーツ・キャパ
ロザミア・バダム
ジェリド・メサ
その他 姿勢制御バーニア×4

オークランド研究所で開発されたニュータイプ専用の試作機。サイコガンダムと同じく操縦系にサイコミュを採用しているが、こちらは火器ではなくおもに機体制御に使用している。

右腕は通常のマニピュレーターとは異なるクローで左右非対称、細身な上半身に重量感のある下半身という、グリプス戦役時の兵器の中でも特に異彩を放つ姿をしている。携行火器は左手でしか保持することができない。大型の機体ながらも、宇宙空間での機動性は高い。MA形態時はMS形態時の左腕部シールドに装着されているモノアイがメインカメラに、両脚がクローアームになる。コクピットはMS形態時の胸部にあり、MA形態時には上半身がスカート内後部に90°右向きで収納されるため、パイロットはスカートの下部から乗降する。『機動戦士Ζガンダム』第42話では、ロザミア・バダムがMS形態時の胸部ハッチから搭乗する場面がある。

資料によっては、本機は旧ジオン公国軍のMAグラブロをベースに開発されているという[2]

3機が製造され、それぞれがグレー(1号機)[3]、赤と紺(2号機)、黄色と紺(3号機)に塗り分けられている[4]

劇中での活躍[編集]

赤い機体にロザミア・バダムが搭乗する。 その後、ロザミアのサイコガンダムMk-IIに随伴して、グレーの機体が登場。こちらは複座式で、ゲーツ・キャパローレン・ナカモトが搭乗する。グレーの機体はMA形態のみで運用される。

最後に赤の機体が再登場し、これにジェリド・メサが搭乗する。ジェリドはニュータイプ能力の弱い一般人だが、操縦に特に不具合が生じたという描写はない。劇場版では赤のジェリド機のみが登場する。

耐ビームコーティングなどの設定が明記されているわけではないが、劇中では非常に高いビームへの防御力を見せており、『機動戦士Ζガンダム』42話でのロザミア機は百式のビーム・ライフルの直撃を受け続けても、ほとんど無傷を保つ。ジェリド搭乗時にも、Ζガンダムの発射したビーム・ライフルが直撃しても致命傷にはならず、その衝撃で弾き飛ばされて爆沈中のラーディッシュに衝突したことで撃破される(小説版では、装甲板に開いた隙間を直撃されて撃墜)。

ジェリドの搭乗について
小説版『機動戦士Ζガンダム』の設定によると、ジェリドはニュータイプ部隊に加入しており、バウンド・ドックもロザミアが乗っていた機体を受け継いだものである。しかしこうした説明は映像中には存在せず、小説以外の設定にも明確な記述はない。
アニメ中でジェリドのニュータイプ描写は少なく、当時の書籍でも一般兵用に改良されていたと推測されている[5]
なお、アニメではロザミアの搭乗時とコクピットの内装が異なっている[6]
黄色の3号機について
黄色の機体のカラー設定画が複数の資料に掲載されているが、これは作中に登場しない。これをジェリド機として紹介している資料も存在し[7]、『SDガンダム G CENTURY』[8]や、『スーパーロボット大戦』シリーズ、『SDガンダム Gジェネレーション』シリーズなど、2000年ごろまで幾つかのゲーム作品にジェリド機として登場する。『SDガンダム Gジェネレーション』の設定によるとこれは一般兵用の3号機で、一般兵では性能が発揮しきれなかっただろうとしている。
2000年代以降はそれらのシリーズにも登場しなくなり[9]、現在は資料にも掲載されていない[10]が、2010年のカードゲーム『ガンダムウォー』のカードでもジェリドが搭乗予定だった機体として登場する。
『ニュータイプ100%コレクション4 機動戦士Ζガンダム メカニカル編 2』や『模型情報』1986年1月号では、この黄色の機体をゲーツ機としている[11][12]。プラモデル『1/300 サイコガンダムMk-II』の箱に随伴機として描かれているのも黄色の機体である。

デザイン[編集]

オリジナル作品『ドラゴンズヘブン』などに登場する、スカートがホバー走行装置になっているメカ「ガンプ」がもとになっており、それに脚を付けたようなスタイルをしている。この経緯から『Gの伝説』などの小林のガンダム漫画作品中では脚のないガンプの外観で描かれている。
なお、小林は本機を水陸両用機としてデザインしており、『B-CLUB』では小林自らグラブロの両腕を脚部とした模型作例を掲載してそれに準じたイラストが添えられている。

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アモン・ドッグ[編集]

漫画『機動戦士ゼータガンダム1/2』に登場。

ティターンズの月面拠点で開発された機体で、2機のバウンド・ドックがスカート部で上下互い違いに接続されている。本来の脚部はクローアームとして側面に露出しており、クローアームと左腕にメガ粒子砲が各1門、計4門追加されている。

また、搭載されたサイコミュと搭乗者を連動させることで、予測した状況の推移に応じた対処法の選択や結末を搭乗者に直接伝達するシステムを有している。これは、戦場に漂う死者の精神をサイコミュシステムに取り込ませ、ナビゲーションとしての役割を持たせるものであり、死者の数だけ取り込むことが可能となっている。

当機について描写のある「エドガー・エドモンド・スミスの日記」によれば、バウンド・ドックがニュータイプ用試作機として開発したにもかかわらず、とりたてて内蔵武器を持たない点や、MA状態での機体防御面での脆弱性を否めない点から用兵思想が見えがたい兵器であることを指摘しており、当機こそが本来の完成形であるものと仮説を立てているが真偽のほどは不明。

なお、本機の名称は作中での表記はアモン・ドッで統一されている。単行本での機体解説では原型となったバウンド・ドックについてもバウンド・ドッとされているが、これらが誤字か意図のある変更かは不明である。

劇中での活躍
強化人間であるウォルナックが搭乗。サイコミュによる予測システムを「死者の魂との会話」と称しており、より多くのナビゲーションを増やすため、敵味方問わず殺戮を繰り返すが、宇宙世紀0088年頃の月面宙域において、エゥーゴのエドガー・エドモンド・スミスと交戦し撃墜される。

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リバウンド・ドック[編集]

雑誌企画『A.O.Z Re-Boot ガンダム・インレ-くろうさぎのみた夢-』に登場(型式番号:ARZ-055)。

火星のジオン軍残党組織「レジオン」が、ティターンズ残党の持ち込んだ図面やパーツをもとに再生産したバウンド・ドックを作業用に転用した機体。

改修にあたって安定性を欠く脚部は排除され、ホバーによって移動する陸上機に改められており、安定した移動を可能としている。超重機として運用されており、左腕部を大型のクレーンアームに換装しているほか、汎用モビルバケットを2基装備することも可能。さらに、スカート後部は延長されており、そこに建築資材の搭載スペースを有する。

MA形態への可変機構はそのまま残されており、MA形態では大型クレーン車そのものといった外観をとる。

本機の愛称は、これらの改修による機体の大型化と、飛行機能を封印されたことに由来する。

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ムットゥー[編集]

諸元
ムットゥー
MUTTOWOOOO
型式番号 MRC-F31(ムーンレィス)
J-2126(旧文明時)
所属 ディアナ・カウンター
全高 30m弱(MA形態時13m)
武装 腰部メガ粒子砲
腕部半固定式ヒート・ナタ兼用ビームライフル
搭乗者 タイラン、バートン、ほか

1999年放映のテレビアニメ『∀ガンダム』に登場。

ディアナ・カウンターのゼノア隊が地球のロスト・マウンテンから発掘したMSで、バウンド・ドックに似た形状をしている。ただし、両腕がマニピュレーターで左右対称となっており、変形機構や、全体的な形状は異なっている。上半身・下半身どちらかだけを変形させた状態でも運用できる。ヒートサーベル兼用ビームライフルが装備されている[13]。高性能な推進装置を持ち、大気圏内での運用を目的としていた。発掘後はディアナ・カウンターによってMRC-F31の型式番号を与えられ運用される。

なお、「ムットゥー」とはフィル・アッカマン少佐が付けた名前だが、兵からは不評を買う。元々の名称は不明で、J-2126という型式番号のみが判明している。

基本フレームにはフラットなどと同じスパイン・コンセプト・フレームを用いて、構造的に簡略化された、故障率の低い変形機構を実現している[14]

旧型番の "J" は "JUPITER" を示し、本来は木星大気圏上層部での運用を想定された機体である[15]。MA形態時、Iフィールドによって機体外部に開放型ラムジェットを形成し、木星大気を燃料に一撃離脱戦法を取る可変戦闘機だった。木星の重力に捕まらないほどの大推力を有するが、やや機動性に欠ける。劇中では状態が完璧ではなく、飛行は可能だったがラムジェット機能は回復していない。

劇中では∀ガンダムのハイパーハンマーに足を取られ振り回されたりなど、やられ役を演じており、目立った戦績はない。のちにターンXとの戦闘に参加する。

『∀ガンダム』企画段階ではバウンド・ドックそのものが登場予定だった。コミックボンボン版コミックでは、準備稿を元に執筆されている関係からか、バウンド・ドックがロストマウンテンで発掘されている。

脚注[編集]

  1. ^ 「九尾犬」「弾犬」など。
  2. ^ ラポート『RAPPORT DELUXE 12 機動戦士Ζガンダム大事典』71頁。
  3. ^ 角川書店『ニュータイプ100%コレクション4 機動戦士Ζガンダム メカニカル編 2』49頁。
  4. ^ 『SDガンダム Gジェネレーション』シリーズの設定など。『ENTERTAINMENT BIBLE.2 機動戦士ガンダムMS大図鑑 PART.2 グリプス戦争編』22頁に、赤の機体をNRX-055-2、黄色の機体をNRX-055-3とした記述がある。メディアワークスの『MS大全集』において、1998年刊行の『MS大全集98』31頁において、それぞれの型式番号をNRX-055-1、NRX-055-2、NRX-055-3としている。
  5. ^ 『ニュータイプ100%コレクション4 機動戦士Ζガンダム メカニカル編 2』88頁。
  6. ^ 42話でロザミアが搭乗したものや48話でゲーツが単独で搭乗したものはサイコ・ガンダムのコクピット設定画と同様のデザインだが、49話のジェリド搭乗時は42話のゲーツ機(複座式)と同様のデザインになっている。
  7. ^ メディアワークス『データコレクション4 機動戦士Ζガンダム 上巻』37頁。
  8. ^ 厳密にはシナリオモードで配置されているのがジェリドの機体のみになっており、ゲーム自体にもそれに対応して黄色の機体しか存在しない。
  9. ^ 2006年の『Gジェネレーション・ポータブル』には登場するが、これは『GジェネレーションF』から流用されたものである。
  10. ^ 『MS大全集2013』、『MS大全集2015』には黄色の画稿は掲載されていない。
  11. ^ 『ニュータイプ100%コレクション4 機動戦士Ζガンダム メカニカル編 2』49頁。同頁中では、映像中のグレーのゲーツ機も紹介している。
  12. ^ 『模型情報』1986年1月号4頁。
  13. ^ グリップ部分が回転し、ヒートサーベルとビームライフルを切り替える。
  14. ^ 『∀ガンダム全記録集2』56頁。
  15. ^ 『ニュータイプ100%コレクション41 ∀ガンダムVol.2』31頁および『電撃データコレクション20 ∀ガンダム』50頁。

関連項目[編集]